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23.マルス視点
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「マルス様どうされちゃったんですか?」
僕に声をかけてきたのはケティだった。ケティ・メルセス伯爵令嬢である。親友のブライド・ホッチャー侯爵令息の従妹で最近よく一緒に共にしている。
そして父が言っていた人物だ。グラマラスな美女である彼女は豊満な胸を僕の腕に押し付けてくる。
「婚約解消に、なったんだ」
「やだー。本当?良かったじゃないの」
明るい声に少し心軽くなった。
「遠目から見たけどやっぱり気持ち悪い傷だわ。あんな傷どうしてできたんだか?女の子は見た目も大事なのにねっ!」
僕の胸がズキリと痛む。
あの傷は・・・僕が・・・。
「どうした?」
ブライドや他の友人たちも集まってくる。
「マルス様。あの傷女と婚約解消したんですって」
「おぉっ、やったな」
「あんな前髪を長くして陰険な感じがした女がいなくなるにかのか。あんなんじゃぁ、社交界にも連れて歩きたくないよな」
「せめて顔じゃなければ・・・」
「いやいや、身体にあっても嫌じゃねぇ?」
「そりゃあ、そうだ」
「マルス。良かったな!」
僕の背中を叩きながら、笑って祝ってくれた。
その声を聞けば・・・。
そうだ、これでよかったのだ・・・。
「でも、綺麗だよな・・・」
誰かがぼそりと呟く。
その言葉を聞いて一瞬で嫌な気分になる。
・・・ノエルを変な目でみている?
「ケティとは違った美女だよな」
「どういうつもり??比べないでくれる?」
ケティが低い声で威嚇する。それに冗談めかした返答が返ってきた。
「いや、傷がなければ綺麗だなって感じだよ。正妻には無理だけど、愛人くらいならできるかな~なんて、なっ!」
「はぁ~?趣味わるっ!!わたしのほうが断然綺麗なんですけど!?」
そうしてまた笑いが起こる。僕も形だけ笑った。
誰もが婚約解消できたことを祝ってくれるので言い返すことができない。
「マルス様?わたしはどお?自分から推薦するわよ」
形のいいぷっくりしたケティの唇が弧を描きながら僕の顔に近づいてくる。艶かしい感じに思わず息を呑んでしまった。
「少し考えさせて」
「もぅ、いけず。わたしの気持ちを知ってるくせに。ふふっ。まぁ、いいわ。婚約解消したんだし、何も言われないわよね。他の羽虫たちのアピールがはじまる前にしっかりわたしの魅力を知ってもらうわよ」
うふふっ、と彼女は笑うので、「お手柔らかに」と僕も笑った。
不思議だ。
こんな笑顔を向けられて嬉しいはずなのに心がザワザワするのはなぜだ。
腑に落ちないのはどうしてなのか?
脳裏にノエルの姿がチラつく。彼女の声が聞こえる。
「私より素晴らしい女性はたくさんいます。ですので、私でない誰かと幸せになってください」
ノエルでない誰か・・・。
ケティでいい・・・?
未来を想像できなかった。
僕は自分の心に自問自答する。
自分がよくわからない。
そんな感じをひた隠しにしながら僕は友人たちの話を笑顔で聞いていた。
僕に声をかけてきたのはケティだった。ケティ・メルセス伯爵令嬢である。親友のブライド・ホッチャー侯爵令息の従妹で最近よく一緒に共にしている。
そして父が言っていた人物だ。グラマラスな美女である彼女は豊満な胸を僕の腕に押し付けてくる。
「婚約解消に、なったんだ」
「やだー。本当?良かったじゃないの」
明るい声に少し心軽くなった。
「遠目から見たけどやっぱり気持ち悪い傷だわ。あんな傷どうしてできたんだか?女の子は見た目も大事なのにねっ!」
僕の胸がズキリと痛む。
あの傷は・・・僕が・・・。
「どうした?」
ブライドや他の友人たちも集まってくる。
「マルス様。あの傷女と婚約解消したんですって」
「おぉっ、やったな」
「あんな前髪を長くして陰険な感じがした女がいなくなるにかのか。あんなんじゃぁ、社交界にも連れて歩きたくないよな」
「せめて顔じゃなければ・・・」
「いやいや、身体にあっても嫌じゃねぇ?」
「そりゃあ、そうだ」
「マルス。良かったな!」
僕の背中を叩きながら、笑って祝ってくれた。
その声を聞けば・・・。
そうだ、これでよかったのだ・・・。
「でも、綺麗だよな・・・」
誰かがぼそりと呟く。
その言葉を聞いて一瞬で嫌な気分になる。
・・・ノエルを変な目でみている?
「ケティとは違った美女だよな」
「どういうつもり??比べないでくれる?」
ケティが低い声で威嚇する。それに冗談めかした返答が返ってきた。
「いや、傷がなければ綺麗だなって感じだよ。正妻には無理だけど、愛人くらいならできるかな~なんて、なっ!」
「はぁ~?趣味わるっ!!わたしのほうが断然綺麗なんですけど!?」
そうしてまた笑いが起こる。僕も形だけ笑った。
誰もが婚約解消できたことを祝ってくれるので言い返すことができない。
「マルス様?わたしはどお?自分から推薦するわよ」
形のいいぷっくりしたケティの唇が弧を描きながら僕の顔に近づいてくる。艶かしい感じに思わず息を呑んでしまった。
「少し考えさせて」
「もぅ、いけず。わたしの気持ちを知ってるくせに。ふふっ。まぁ、いいわ。婚約解消したんだし、何も言われないわよね。他の羽虫たちのアピールがはじまる前にしっかりわたしの魅力を知ってもらうわよ」
うふふっ、と彼女は笑うので、「お手柔らかに」と僕も笑った。
不思議だ。
こんな笑顔を向けられて嬉しいはずなのに心がザワザワするのはなぜだ。
腑に落ちないのはどうしてなのか?
脳裏にノエルの姿がチラつく。彼女の声が聞こえる。
「私より素晴らしい女性はたくさんいます。ですので、私でない誰かと幸せになってください」
ノエルでない誰か・・・。
ケティでいい・・・?
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そんな感じをひた隠しにしながら僕は友人たちの話を笑顔で聞いていた。
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