【完結】研究一筋令嬢の朝

彩華(あやはな)

文字の大きさ
4 / 31
アイリ・マクアリス

大丈夫ですか?あなた方

しおりを挟む
 お三方は、鼻息荒く前に立ちはだかります。

 「きちんと見ましたとも。あなたがたが放課後の教室で、エミリーの教科書を破り捨てているところを。泣いている彼女が可哀想でした」
 「ぼくも、見ましたよ。エミリーの大事なブローチを笑いながら池に投げ入れているのを。一緒に探しましたが、見つからず・・・、エミリーの悲しさがわからないのですか?」 
 「ぶつかった様に見せかけて、階段から落としましたよね。お二人が逃げる様に走って行かれましたが、間違いなく貴女でした。あの後、エミリーは足を痛めたのですよ」

 主語を都合よく抜かしてますわね。誰を見たのでしょう?
 皆さん眼科へ行くべきですわね、見たというなら、間違いなくヤバいです。まさか、見えざる者というやつでしょうか?
 どこかいい所あったかしら?眼鏡もいるわね。そういえば、洒落たフレームが人気らしいって室長が言ってたわ・・・。
 
 「アイリ嬢。大丈夫ですか?」 
 「・・・クラム様?」
 「そろそろ限界ですよね。思考が別の所に行ってますよね。僕が先に反撃しますので、後で止めを刺してください」

 クラム様はそう耳元で囁くと、マイン様と共に一歩前に出て、私の横に並んだ。

 「好き勝手言ってくれますね。自己紹介が遅くなりましたが、私は、魔術研究室に配属が決まっています、レイナード公爵家次男、クラム•レイナードといいます。彼女は私の婚約者、サフィール侯爵令嬢のマイン•サフィールです。バルロ•ランディル殿ケイ•セフリスト殿ヤコフ・アルゼルト殿そしてエミリー・ミリシア男爵令嬢でしたよね。我が家より、正式に抗議させていただきます」

 温厚なクラム様が怒っています。珍しいです。マイン様も、微笑んでいるのに目が冷たいです。綺麗な方ですから、怒ると迫力があります。
 というか、クラム様は公爵家だったんですね。知りませんでした。研究室は無礼講なので、気にしてませんでしたわ。
 ちなみに、魔術研究室は王室お抱え部署で、エリート中のエリートです。
 あら、お三方のお顔が青白くなって震えています。それはそうですよね。自分たちより上の方を貶めようとされましたもの。大丈夫ですか?

 「マインは我が家で花嫁修行をしているので、こんな所にくる必要はないんですよ。私の両親、兄の妻、侍女、使用人が証言してくれますよ。ちなみにアイリ嬢の無実の証明もしますね。彼女は同じ研究室ですので、ほぼ、四六時中一緒です。勿論、2人きりではありませんよ。10人ほどの男女がいますからね。全員が証言してくれますよ。確か、アイリ嬢、家に帰る時間が惜しいからと研究棟に部屋を借りてます。研究科から馬車で10分かかる高等科に来る事はないんですよ」

 その言葉に、彼らは間抜けな顔をした。

 「高等科に来る事はない?!」
 「研究科?」

 ポカンとした間抜け顔をします。
 
 「わたくし、中等、高等科を3年で卒業して、特例措置で2年間研究室に通っていましたの。研究科の卒業生として、ここにいますの。
 わたくしの記憶が正しいならそちらのピンクブロンド様、中等科にはいらしゃいませんでしたよね。しかも十五歳入学の一般科ですよね。では、お会いしたことも一切ありません。
 ロディク殿下。わたくしの年齢も覚えていませんね。わたくしですのよ。当たり前のように呼び出しましたが、実際ならここにいる訳ないのですよ。特例措置以外ここにいるの方々は十八歳以上ですもの。
 年齢も顔も覚えてもいないのに、わたくしが虐めをしたとよく言えましたわね。見たこともないのに高等科にもいないのにいると言えましたわね。その目には何が見えていますの?大丈夫ですか?病院に行くべきですわよ。
 それに、礼儀は知っています?このような場所で婚約破棄?時と場所ぐらいお選びください。このような晴れの日に、最低ですよね。
 あと、ダンスパーティは招待状がいりますのに、なぜそちらの方々が入りこんでますの?まさか殿下の権限で、ですか?
 はっ!規範を守るのが、上に立つものの務めですわよね。それなのに、率先してお破りになったのですか?
 貴方方のせいで、わたくしの睡眠時間がどんどん削られて、とっととこんな茶番終わらしていただけますぅ?
 結婚破棄で結構。周りも見えていない罪を押し付けようとする方の妻になんてなりたくもない。
 どうぞ、お似合いのピンクブロンドちゃんとお幸せになって破滅してください。
 私は早く帰って寝たいんですっ!!早く終わりにして下さい!」

 はあ~、いいきりました。すっきりです。
 ・・・、なぜ皆様呆然とされているのでしょう?
 言い過ぎました?

 そんな時、後ろからクスクスと笑い声が聞こえて来た。振り返ると、そこには、キラキラの室長が立っていた。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

ソウシソウアイ?

野草こたつ/ロクヨミノ
恋愛
政略結婚をすることになったオデット。 その相手は初恋の人であり、同時にオデットの姉アンネリースに想いを寄せる騎士団の上司、ランヴァルド・アーノルト伯爵。 拒否に拒否を重ねたが強制的に結婚が決まり、 諦めにも似た気持ちで嫁いだオデットだが……。

隣の芝生は青いのか 

夕鈴
恋愛
王子が妻を迎える日、ある貴婦人が花嫁を見て、絶望した。 「どうして、なんのために」 「子供は無知だから気付いていないなんて思い上がりですよ」 絶望する貴婦人に義息子が冷たく囁いた。 「自由な選択の権利を与えたいなら、公爵令嬢として迎えいれなければよかった。妹はずっと正当な待遇を望んでいた。自分の傍で育てたかった?復讐をしたかった?」 「なんで、どうして」 手に入らないものに憧れた貴婦人が仕掛けたパンドラの箱。 パンドラの箱として育てられた公爵令嬢の物語。

【完結】捨てた女が高嶺の花になっていた〜『ジュエリーな君と甘い恋』の真実〜

ジュレヌク
恋愛
スファレライトは、婚約者を捨てた。 自分と結婚させる為に産み落とされた彼女は、全てにおいて彼より優秀だったからだ。 しかし、その後、彼女が、隣国の王太子妃になったと聞き、正に『高嶺の花』となってしまったのだと知る。 しかし、この物語の真相は、もっと別のところにあった。 それを彼が知ることは、一生ないだろう。

あなたのその目に映るのは

中田カナ
恋愛
下っ端メイドの私は視力を失った旦那様の目を務める。(全6話) ※小説家になろう、カクヨムでも投稿しています

【完結】馬車の行く先【短編】

青波鳩子
恋愛
王命による婚約を、破棄すると告げられたフェリーネ。 婚約者ヴェッセルから呼び出された学園の予備室で、フェリーネはしばらく動けずにいた。 同級生でありフェリーネの侍女でもあるアマリアと、胸の苦しさが落ち着くまで静かに話をする。 一方、ヴェッセルは連れてきた恋の相手スザンナと、予備室のドアの外で中の様子を伺っている。 フェリーネとアマリアの話を聞いている、ヴェッセルとスザンナは……。 *ハッピーエンドではありません *荒唐無稽の世界観で書いた話ですので、そのようにお読みいただければと思います。 *他サイトでも公開しています

魔女の祝福

あきづきみなと
恋愛
王子は婚約式に臨んで高揚していた。 長く婚約を結んでいた、鼻持ちならない公爵令嬢を婚約破棄で追い出して迎えた、可憐で愛らしい新しい婚約者を披露する、その喜びに満ち、輝ける将来を確信して。 予約投稿で5/12完結します

お飾りの私と怖そうな隣国の王子様

mahiro
恋愛
お飾りの婚約者だった。 だって、私とあの人が出会う前からあの人には好きな人がいた。 その人は隣国の王女様で、昔から二人はお互いを思い合っているように見えた。 「エディス、今すぐ婚約を破棄してくれ」 そう言ってきた王子様は真剣そのもので、拒否は許さないと目がそう訴えていた。 いつかこの日が来るとは思っていた。 思い合っている二人が両思いになる日が来ればいつの日か、と。 思いが叶った彼に祝いの言葉と、破棄を受け入れるような発言をしたけれど、もう私には用はないと彼は一切私を見ることなどなく、部屋を出て行ってしまった。

悪役令嬢は二度婚約を破棄される

くきの助
恋愛
「エリザベス=ルトフェルト=ビバリースカイ!!お前との婚約を破棄する!」 学園の卒業パーティで高らかに宣言したのはアウリス=ヴィ=バールキャピタル  この国の第一王子であり、私エリザベス公爵令嬢の婚約者である。 「ここにいるジョージィ男爵令嬢に対する暴言や嫌がらせ!もはや看過できん!」 と言いながら横にいるピンクブロンドの髪にピンクアイのかわいらしい女性を抱き寄せた。 うーん、何度考えても身に覚えがない罪ばかりだわねぇ。 王子の命令で北の辺境伯に嫁ぐことになるも、 北の大地でもエリザベスの悪役令嬢っぷりは噂になっており‥‥

処理中です...