【完結】結び屋 アメリア・ブロー〜他人の幸せを結んでいますが、自分の幸せの相手には気付きません〜

彩華(あやはな)

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四十三話、孤児院に行きましょう2

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 無知。
 それほど怖い物はない。
 探求無くしてなにを学ぶのか?

「では、国王様のお仕事を知る良い機会ですね」
「だからなぜ私が・・・」
「入りましょう」

 孤児院の中へ入りました。
 綺麗に掃除が行き渡っています。ガラスもよく磨かれているので、部屋の中が明るいです。

「マロンさまぁ~」

 子供たちが駆けてきます。
 マロン様人気ですね。

「お客さま?」

 子供たちはわたしたちを見て言った。
 全員で23名。下は0歳から上は17歳まで。シスター3人と通いの手伝いが2人だそうです。
 質素で清潔な服を着ています。
 
「そうよ、こちらはサーシャ様。ラフィス様、アンドリュー様にメイよ」

 マロン様は子供たちに自己紹介してくれました。

「メイです。よろしくね」

 子供の目線まで目を下ろして挨拶する。
 子供たちは好意的な目線で返してくれる。
 サーシャス殿下とラフィス殿下には少し怖がっています。

 純粋な子供たちは怖いですよ・・・。

「さて、お掃除から始めましょうか」

 マロン様、仕切ります。
 かっこいいです。
 
 この言葉に反論したのはお二人とも、そのお付き。

「掃除?した事ないわ」
「なぜしなきゃならないの?」

「では、シスターになぜ孤児院があるのかお聞きになっていてください」

 ニコニコ

 やりますね、マロン様。

 サーシャス殿下とラフィス殿下は奥の部屋に通されました。
 エンリュリッヒ様とレックス様たち男手はというと力仕事です。
 わたしたちは掃除を開始しました。


「メイ、手際がいいわね」

 ハタキで上から埃を落とし、箒で掃いた後、雑巾掛け。
 その頃にはエンリュリッヒ様もレックス様も雑巾掛けの手伝いにきてくれました。
 
「実家では当たり前ですから」

 笑って答えます。メイドは一人ですから、掃除も自分らでやるのが当たり前。掃除のコツはしっかり伝授してもらってます。

「ブロー男爵領には孤児院はありますの?」
「・・・ありますよ。どうしても育てられないてか、犯罪者だからとか、さまざまな理由です。あと、他の領地の孤児院では環境や衛生面・・・国の支援も不十分だから、一つにまとめて面倒をみて・・・父が補助して・・・」
「「「「「・・・・・・・・・」」」」」
「でも、でも、代わりに一人一人に将来仕事に就けるよう、識字率を上げて、それぞれに合う分野を伸ばしたりしてるんですよ。きちんと就職先も斡旋してますし・・・」

 同情の目つきはきつい。
 いいたいことは解ります。
 金銭的な部分の多くは我が家が見てますよ。人の良い父ですから・・・。

 でも、そのおかげで、人は減らず増えました。父を慕う人がいっぱいです。

 孤児院をでて、騎士になったもの自警団に入ったもの、商売で王都に行ったものもいれば、領地で農作業に励むもの。さまざまな人生を歩んでいます。でも、ありがたいことにみな孤児院を大事に思い、還元してくれたり領地にも援助してくれたりもします。
 
「カロン様からの手紙がわかる気がするわ」

 ほぅ、とため息をつくマロン様。
 カロンからの手紙・・・。
 まさか、本当にマロン様と文通?!

「嘆いてたわ。贅沢な食卓が一気に貧しくなった。毎日領民から野菜が届いたと思うと、それは他のところにまわる。
 毎日子供たちが家にくるから託児所なの?って。
 わがまま言う前に生活に追われてるって。
 嘘かなって思ってたけど、その感じだと、事実なのね」

 どこをどう捉えて言ってますか?

 というか、恥ずかしい。
 内情バレバレじゃないですか・・・。
 
「お父上は自分で何もかもやられるのね」
「・・・そう、ですね・・・」
「珍しいよね。男爵で領地もちって!」

 確かにないわけではありませんが、珍しいでしょう・・・。

「父いわく、押し付けられたと言ってました」
「押し付けられ、た?」

 なにしたんでしょうか?
 両親は昔の事は語りませんから。

「権力や地位にしがみつかないですから、わたしの父は・・・」

 人の良い父さんでいいのです。
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