【完結】結び屋 アメリア・ブロー〜他人の幸せを結んでいますが、自分の幸せの相手には気付きません〜

彩華(あやはな)

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五十三話、誘拐2

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「ここに入ってろ」

 わたしたちは馬車ごと誘拐されました。
 途中、馬車の乗り換えをさせられたりして、最後にはボロい家の地下に閉じ込められた。

「アメ・・・」
「しっ、名前は呼ばないでください」
「っ・・・」
「いいですか、先ほどもいいましたが、何が起こるかわかりません。
 大人しく様子をみましょう。
 貴女をお守りします。大丈夫。助けに来てくれます。
 それまで貴女はわたしのメイドまたは同僚メイドとして演技しましょう。できます。だって、貴女は知識を手に入れましたもの」
「ふふっ、あなたって面白いわ。どうすればいいの?」
「なにも、ただわたしを心配していたら構いません。か弱く。生意気な事は言わない、それだけで大丈夫です」
「難しい注文ね。でも、やるわ」

 サーシャス殿下は少し吹っ切れたのか、笑った。

 わたしは、どうしようかな・・・。
 あいつらが何をしたかったかによるかしら。
 舐めたことして・・・。許さないから。


 だいぶ経って、扉がギジリと開き、大男が入って来た。
 サーシャス殿下がびくりと肩を震わす。

「どっちがセジャルス王国の姫だ?」

 サーシャス殿下狙いか・・・。
 目の色を同じに知っててよかった・・・。
 と言うより、顔知らないの、ね。
 良かった。
 サーシャス殿下の手をぎゅっと握りしめてながら言った。

 「私に何か御用かしら」

 驚きの目を向けるサーシャス殿下をよそに、わたしは少し高めに、少し震えた声で言った。

「ほう、お前か。噂通り、気位お姫様だな」

 大男は不気味に笑う。人を舐め回すように見る。気持ち悪い・・・。

「どうして、私をさらったの?お父様が許さないわよ」
「依頼人に言えよ、まあ、いい女だよ」
「頭・・・依頼人が・・・」
「わかった。すぐ行く。待ってろよ」

 舌なめずりをして、大男は出ていった。

「なんであんなこと!」
「しっ、これでいいんです」
「でも・・・」
「それより、誰が貴女を攫おうかしたです。思い当たることは?」

 首を振った。
 そうよね・・・。先日まで世間知らずだったもの・・・。

「大丈夫ですから」
「なんで、そんなにできるのよ?」
「はい?」
「どう見ても、私より王女様じゃない~」

 はい?
 泣きながら言うこと?

「どうしたらいいの?」

 ええっ~。
 えっと・・・。

「・・・、わたしに教えてくれた人が、手や指の使い方、目線、顔の傾け方だけでもかわると教えってくれました。どんなに怖くても堂々とする、それだけでも王女らしいですよ」
「そうなのね、わかった。わたく・・・わたしはメイド。か弱いメイドよ」

 ふん、と意気込む。

 大丈夫かしら?
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