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六十三話、アンのこと2

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「では、本題にはいりましょうか?」
「えっ?」

 なんか、いろいろ聞きたいな~。
 今までなんで言ってくれなかったのかとかとか・・・。

  でも、その前に・・・

「風避けの依頼ここで終わらせてもらいたいです」
「なぜ?」

 アンドリュー様は慌てます。

 わたしも考えました。でも、答えは一つしかなかった。
 彼がアンであろうと、わたしの目の前にいるのはアンドリュー様ですから。

「ラフィス殿下を見ていて思ったんです」
「殿下とは何もない。あれは勝手に向こうが・・・」
「違う、違いますっ」

 恥ずかしい、でも・・・。

「ラフィス殿下を見て・・・アンドリュー様の側に女性が・・・初恋の人が・・・えっと、そのっ・・・、たってる姿を見たくない、って言うか、これ以上、アンドリュー様の側にいると、あの、その・・・自分の気持ちが抑えきれないと、いうか・・・」

 ダメだ。
 これ以上、言えない。

 わたしは顔を押さえしゃがんだ。

 わたし・・・何がいいたかったんだろ?


 アンドリュー様がそんなわたしを抱きしめてくれました。
 耳元で笑う声。

 くそっ!
 笑って!!
 
 指の間から見ると、甘い笑顔があった。
 
 なんなの?
 この笑顔っ?!

「そうか。嫉妬なんだね」

 嫉妬?

「大丈夫」

 なにが?

「僕の初恋は君だよ」


 初恋は君?
 君?
 きみ?
 つまり、わたしっ?

 顔をあげ、アンドリュー様を見た。

「僕の初恋は君なんだ。アメリア。僕と付き合って。そして、いずれ結婚しよう」


 ぼんっ!!

 わたしの頭の中で音がした。
 キャパオーバーですっ。


 チュッと口びる何かが触れました。

 悪戯っ子のようなアンドリュー様。

 再び、少し硬いものが当てられ、吸われる。次第に温かい物が口内に侵入してくる。

 ちょっ、まっ・・・。

「返事はなくても、もう逃さないよ。リアの気持ちもわかったんだから、手加減はしないよ」

 子犬が狼になってる?
 どういうこと?

 再び口づけが再開される。

 気持ちいい・・・。
 ふにゃふにゃに、なりそう・・・。






 じゃ、な・く・て・っ!



 

        ドゴッ


 
 久しぶりのクリーンヒット。
 鳩尾を押さえて悶絶、アンドリュー様。

 な、流されるとこだった・・・。


「アンドリュー、様。いいえ、アン、今までの話してくれるよね!」
「そこ?いい感じだっただろう?」
「そ、それは・・・。今よりこれからの事を話さないといけないでしょう?」
「これから?」
「ラフィス殿下の、こと、とかぁ?」

 アンドリュー様は満足そうに目を細めた。



 わたしたちは誰もいないカゼボでアンの今までの話を聞いた。
 笑って怒って。二人の時間を埋めた。

 そして、これからラフィス殿下をどうするか二人で考えた。
 と言っても、この学園祭のことだけだが。

 さりげに触ってこようとするアンドリュー様の手を叩きながら。

 だから、何が重大な事を忘れてる気がしたのだったが、思い出すことが出来なかった。
 それは2日後に判明する。
 それもカオスな状況の中で。
 まだ、それはわたしたちは知らないでいた。







◇◇◇◇◇

 二人はくっつきました。でも、もう少し学園祭終わりまで続きます。
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