【完結】結び屋 アメリア・ブロー〜他人の幸せを結んでいますが、自分の幸せの相手には気付きません〜

彩華(あやはな)

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六十五話、学園祭最終日はカオスな一日

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 学園祭三日目。
 この日、朝からラフィス殿下は仁王立ちで行く手をはばみました。
 しかも、その背後には紳士と騎士たちがいる。しかも、国王陛下直属の正騎士団。

 学園祭に正騎士を呼ぶって・・・。

「父上?」

 ん?
 父上?
 まさか、あの紳士がアンドリュー様のお父様、エンリュリッヒ侯爵?なぜ?

「アンドリュー、聞いたぞ。ラフィス殿下とお付き合いしてるようだな」
「してません」
「そうなのか?それは兎も角、陛下から打診されたよ。ラフィス殿下と婚約したらどうだ。ラフィス殿下と降下される意思がおありだ」

 外堀埋めてきたの?

「父上。約束したはずです。1年間は僕の好きにしていいと。それに、彼女、アメリア・ブロー男爵令嬢とお付き合いしています」

 改めて言われると、恥ずかしい・・・。

 侯爵様の顔色が変わった。

「ブロー?カジュエル・ブローの娘か?悪いがそれは認めることはできん!」

 タリオンの言ってたことは本当みたい。
 父さん・・・侯爵になにしたんですか?
 かなり、恨まれてるよね・・・。

「やつの、やつだけは無理だ」

 やつだけって・・・、わたし関係ないよね。
 父さんとわたしは別物です。

「やっぱり、わたくししかいませんわね」

 面倒くさい集まりだな。

 実力行使しようかな・・・。
 でも、相手は殿下と正騎士だし・・・。
 なんで問題起こしてくれるのかな~?

 あれっ?
 これって、わたしのせい?
 『結び屋』の失態?
 折角の学園祭が壊れたら、絶対わたしの失態・・・。

 かなり青ざめていたのがわかったのでしょう。
 ラフィス殿下とエンリュリッヒ侯爵は満足そうに笑い、アンドリュー様はわたしを庇うように立ちます。

 いけない・・・
 失敗・・・。

 ふつふつと怒りしかうがばない・・・。
 落ち着け!

「この女を連れて行って。そうね、適当に言って、明日の朝まで地下牢でも入れておいて」

 落ち着け・・・。

 騎士たちが殿下の命に従って囲む。

 あんたたちの主はラフィス殿下なの?

 落ち着け・・・。

「何をするんだ!」
「アンドリュー様、わたくしと一緒に回りましょう」
「殿下のご意向だ。喜びなさい」
「いやです!」

 落ち着いて・・・。

    ・・・・・・・・・・・・。


 
        ・・・うん、無理!!

 くいっと真正面を向いて騎士たちにやさし~く、言いました。

「あなた方の主人はラフィス殿下と思って宜しいのですね」
「?!」

 騎士たちが一瞬動揺します。

 なんとかなるでしょう。
 父さんがこっちに来てるなら、相談もしやすい。何かあれば、タリオンを頼ればいい。
 わたしにはみんながいるもの、どうとでもなる。もし、ダメで平民になっても今と変わらないし。

「見たところ正騎士団の方とお見受けしましたが、正騎士団は国王陛下の直轄のはず。いつから、ラフィス殿下の近衛兵になったのですか?これは陛下のご意向ですか?それならば書状をお出しください。確かめた上、わたしは牢でもはいります。ですが、ないというなら、わたしがあなた方にはむかっても、文句はありませんね」
「口ばかり、カジュに似て・・・」

 やはり逆恨みじゃありませんか?
 父さん?

「うるさいわね。捕まえなさい」

 一瞬悩んだ騎士たちはやはり殿下の命令通り襲いかかってきた。
 いつでも反撃できるように体制をとったものの、無駄に終わった。

 なぜなら、わたしが倒す前に騎士たちは地面に転がってから。

「姉さん、何やってるの?」

 弟、テリーが、騎士の上に乗って肘をねじり上げていた。
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