【完結】結び屋 アメリア・ブロー〜他人の幸せを結んでいますが、自分の幸せの相手には気付きません〜

彩華(あやはな)

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七十二話、アンドリュー視点

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 試合が始まった。
 昨日までにベスト8まで決まっていて、今日は8人の試合になるのだ。

 8人が試合場に立つと去年の優勝者のアルの姿がないため、ブーインが起こった。
 実況解説者が慌てマイク放送を行う。

「今回、特別ゲストがおります。先程彼らにも急遽話をしたそうですが、今回優勝者と副優勝には特別ゲストとの対戦が決まっております。
 えーっと・・・まず、正騎士団団長ガイル様vs3位以下の者。次に・・・副優勝vsんっ?未来の鬼?と対戦?次に、優勝者vs去年の優勝者アル選手。で、正騎士団団長ガイル様vsえっ、またアル選手?その後決戦は最終勝者たちvs『眠れる師匠』タリオ・タジェロア?えっ、えっ~?はあ~?」

 メモを読んでいるのか、疑問符が口から飛び出ていた。
 観客もわかっていない。
 もちろん僕も。

 母さんたち、つまりサジュとアルゼルト殿下は楽しそうに笑っていた。


 8人の戦いが始まる。
 試合のルールは簡単。胸当ての右にあるブ  
ローチを壊すか、あいつが降参すればいいだけ。

 やはり、騎士を目指す者たちが有利だった。

 このうち5人が騎士科の生徒で、強い。ファンの女の子もいるようで熱い声援が飛ぶ。

 決勝には騎士科の3年、ブラッドと同じく騎士科3年ゼンだった。もともと仲の悪い二人で何かと張り合っているらしいと、もっぱらの噂の二人。

「ここであったのが100年目、覚悟しろ」
「はっ、くだんねぇ。ぶっ倒す!」

 双方睨み合う。
 審判の開始と共に二人は突撃した。
 刃を潰した剣とはいえ、撃ち合う音は凄まじく、火花が飛び散る。
 あまりの接戦に誰もが声を失い見入っていた。

 最後にはブラッドが勝利を収めた。
 あまりの白熱に会場は熱気に包まれていた。

「では、引き続き、正騎士団団長vs3位以下6人です」

 審判の合図で始まった。
 6人言うハンディをものともせず、正騎士団団長は倒していく。実践経験の差が出たとしかいいようはなかった。
 いとも簡単に、子供の遊びのようにすぐに終わった。

 彼の顔が冷たく怖かった。

「次は変更がありまして、一位のブラッド選手vs去年の勝者アル選手です」

 2人が出てくる。
 アルはやはり顔を見せない。

 溢れんばかりの声援がおこる。
 ブラッドのファンとアルのファンとともにのぶとい声援も混じっている。
 ブラッドを倒せコールのようだった。

 審判の掛け声で試合は始まった。

 えっ?

 瞬殺。

 ブラッドのブローチはあっけなく壊れた。
 何が起こったのか、わからないのか呆然としている。

 次のゼンが、ブラッドの敗北を見て笑っていた。

 しかし、「未来の鬼」たる謎の騎士にあっけなくゼンも負けた。こちらも瞬殺。
 ゼンは自身喪失したようであった。


 アルと未来の鬼の剣裁きでよく似ていた。

 
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