【完結】君が見ているその先には

彩華(あやはな)

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10.マリア視点

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 汚れた服のまま歩いて家路につこうとしている私を誰もが訝しげに見てきた。

 もしかすれば手篭めにあったように見えるだろう。そんなこと知ったことじゃない。聞かれたら正直に話してやればいいだけ。

 それより、リューンのことをどうすればいい?
 あのままでは両親の傀儡になるだけ。本人の意思はどこにいくの?

 何かを考えていないと頬と胸の痛みに負けそうだった。じくじくとして熱を持ち出している。

 そんな時、道すがらで喧嘩をしている二人の若者を目の端に捉えた。
 街中のどこにでもある光景に馬鹿らしいなと思って知らぬ顔で素通りしようとして、思わず二度見してしまう。

 まさか!

 自分の目を疑う。
 薄汚れた身なりだが間違いない。
 今見ているものに確信を持ち、痛む身体を無視して、彼らに近づいた。

 喧嘩をする元気な二人。
 なぜ伯爵に殴られた時より子供の喧嘩に見えるのだろう?

「ねぇ、うちにきてくれるかしら?」

 自分が思っていたよりもドスの聞いた声が出ていた。
 二人の若者の手が止まり恐る恐るこちらを見てくる。

「あっ」

 片方の青年は私を見るなりばっと目を逸らす。

「なんだよ!邪魔すんじゃ・・・」
 
 もう一人が私に食ってかかろうとするのを視線だけで威嚇する。

「あなたは黙っててくださいな。用事があるのは、もうひと方なのよ」
「ああん?」
「聞こえなかったのかしら?なにかご用があるなら後日ブランド商会に来てくださる?丁寧にお聞きしますので今はお帰りいただいてもよくて?」
「えっ・・・・・・あ、はい」

 やさし~く頼んでみると、いきりたっていた青年は素直に頷いて走って逃げていく。

「さあぁてと。そちらの方、逃げんじゃなくてよ」

 背後で這いながらそっと逃げようとするもう一人を引き留める。

 カツ カツ とわざと歩く音を立て彼に近づいた。
 音を立てるごとに肩がびくついている。

「えっと・・・ブランド商会のご令嬢が俺に何か・・・」

 私を振り返り見上げ、ゴニョゴニョと尻窄みになっていく青年耳元で囁いてあげた。

「大事なお話があるのよ」
「いや~、俺には大事な話はありませんよ?あなたに貸す顔なんてないですから~」
「あら~。でもこの傷はあなたにも関係あるのよねぇ?責任をとってと今ここで叫んでもかまいませんのよ?」
「はぁ?責任?俺は知りませんって」
の身内にやられたんですけどぉ?」
「えっ・・・?」
「つべこべ言わずに黙ってついて来い、と言った方がおわかりになりますか?♥︎」
「わ、わかりました・・・・・・」

 彼は観念したように真っ青な顔になり、正座の形でがっくりと肩を落とした。

 


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