17 / 57
17.セイネ4
しおりを挟む
私の話を女王様は黙って聞いてくれた。
「同じね・・・」
女王様は悲しそうに笑う。
どうしてそのような顔をするのかわからなかった。しかも、同じとは誰と、どう言う意味で?と疑問に思う。
きっと女王は私の思っていることに気づいたはずなのにそれには答えなかった。代わりに私の名前を呼ぶ。
「セイネイラ。あなたはわかっていますか?人魚と泡沫人は種族が違います。同じ土俵にはたてません。もし同じ立ち位置にたつならばその代償が必要になります」
女王様は何かを思い出すように遠くを見ていた。
再び紅い唇が動く。
「人魚が泡沫人になることはできます」
泡沫人になれる?!
それを聞いて期待で胸が熱くなる。
「本当ですか?」
「ええ。代わりに、その鰭は二本の足になり『土』を踏みしめるたびに痛みを伴うでしょう。また、自分が人魚であることを言わないため、人魚の力を使わないためにその声を失います」
ー声を失う?
足の痛みがどういうものか想像できなかった。それより声を失いことの方が恐怖に感じた。俯き考える私に女王様は続ける。
「そして、最後にその方との恋が実らなければあなたは泡になってしまうでしょう」
「泡・・・」
「・・・そう。恋が実ったとしても泡沫人になれば寿命は儚いものになる。叶わなくても泡となる。それでもあなたは泡沫人になることを選びますか?」
「私は・・・」
ーそれでも、彼の方にもう一度会えるのなら後悔したくない。
「それでもかまいません」
顔を上げ、女王様を見た。
女王様は私の顔を見て、先ほどとは打って変わり妖艶な笑顔を向けてきた。
「そう!なら、先代女王であるレイシア様から引き継ぐ口伝の秘密を教えてあげるわ」
女王様は目を細めながらこいこいと手招きをした。耳元で囁かれたことに私は目を見開き、手を口にあてる。
ーそんなことができるのだろうか・・・
「わたくしは、そうしたの。あなたも同じことをすればいいわ。後悔のない生き方をなさい」
ふふふっと笑う女王様の姿はとても綺麗だった。
私は女王様と別れた後、魔女様の元へ行った。泡沫人になる薬を魔女様が持っていると聞いたからだ。
魔女様の家は王宮からだいぶ離れたところにある。
「あら、来たのね。女王の言った通りね」
家に行くと、黒髪黒目の魔女様ールナ様は私を出迎えてくれた。ここでは珍しい『花』の刺繍があるピンを髪につけている姿は愛らしくみえる。彼女はくすくす笑いながら、家の中に招いてくれた。
「女王様がですか?」
「そうよ。『思い詰めているようだから、もしかしたら』だそうよ。その感じじゃあ、大当たりのようね。薬の用意はできてるわ。もちろんそのお代に何があったのか話してくれるわよね?女王にだけに話すなんてずるくてよ」
面白がっているようだった。
ルナ様に勧められて椅子に座ると真正面からニコニコした顔で圧をかけられる。
こうなれば話は進まないと思い、洗いざらい話をすることにした。
話をし出すと、ルナ様は楽しそうに質問も交えながら聞いてくれた。だが、最後になったとき、ルナ様は顔色を変えた。
「白い髪?」
「遠目でしたので、そのように見えたとしかいえませんが・・・。どうかされました?」
考え込んだルナ様に声をかける。
「なんでもないわ。ちょっと昔のことを思い出しただけよ。待ってて、薬を持ってくるわ」
彼女は立ち上がり調合室に入って行った。
私は部屋を眺めた。いくつもの海藻や、貝が吊り下がっている部屋はいつ来ても不気味に感じ、一人でいるのが怖いくらいだ。
まだかまだかと10分ほどまっていると、ルナ様が部屋から出てきた。その手には小さなガラスの小瓶を持っている。
「この薬は前の魔女であるフィレーネ様が考えた物を私が改良したものよ。人魚の負担を減らすようにはしているわ。効果は女王から聞いているわね」
私は頷いた。
「上に行ってから飲みなさい。味は良くないから吐かないようにね。身体の仕組みが変わるから苦しいけれど耐えるのよ」
「ありがとうございます」
私はそう言って薬をもらい、そのまま海の上へと泳いで行った。
早く、泡沫人になって、あの方に会いたかった。
月が大きい。
それが後押ししてくれついるように思え、私は彼を助けた場所で薬を飲み干したー。
「同じね・・・」
女王様は悲しそうに笑う。
どうしてそのような顔をするのかわからなかった。しかも、同じとは誰と、どう言う意味で?と疑問に思う。
きっと女王は私の思っていることに気づいたはずなのにそれには答えなかった。代わりに私の名前を呼ぶ。
「セイネイラ。あなたはわかっていますか?人魚と泡沫人は種族が違います。同じ土俵にはたてません。もし同じ立ち位置にたつならばその代償が必要になります」
女王様は何かを思い出すように遠くを見ていた。
再び紅い唇が動く。
「人魚が泡沫人になることはできます」
泡沫人になれる?!
それを聞いて期待で胸が熱くなる。
「本当ですか?」
「ええ。代わりに、その鰭は二本の足になり『土』を踏みしめるたびに痛みを伴うでしょう。また、自分が人魚であることを言わないため、人魚の力を使わないためにその声を失います」
ー声を失う?
足の痛みがどういうものか想像できなかった。それより声を失いことの方が恐怖に感じた。俯き考える私に女王様は続ける。
「そして、最後にその方との恋が実らなければあなたは泡になってしまうでしょう」
「泡・・・」
「・・・そう。恋が実ったとしても泡沫人になれば寿命は儚いものになる。叶わなくても泡となる。それでもあなたは泡沫人になることを選びますか?」
「私は・・・」
ーそれでも、彼の方にもう一度会えるのなら後悔したくない。
「それでもかまいません」
顔を上げ、女王様を見た。
女王様は私の顔を見て、先ほどとは打って変わり妖艶な笑顔を向けてきた。
「そう!なら、先代女王であるレイシア様から引き継ぐ口伝の秘密を教えてあげるわ」
女王様は目を細めながらこいこいと手招きをした。耳元で囁かれたことに私は目を見開き、手を口にあてる。
ーそんなことができるのだろうか・・・
「わたくしは、そうしたの。あなたも同じことをすればいいわ。後悔のない生き方をなさい」
ふふふっと笑う女王様の姿はとても綺麗だった。
私は女王様と別れた後、魔女様の元へ行った。泡沫人になる薬を魔女様が持っていると聞いたからだ。
魔女様の家は王宮からだいぶ離れたところにある。
「あら、来たのね。女王の言った通りね」
家に行くと、黒髪黒目の魔女様ールナ様は私を出迎えてくれた。ここでは珍しい『花』の刺繍があるピンを髪につけている姿は愛らしくみえる。彼女はくすくす笑いながら、家の中に招いてくれた。
「女王様がですか?」
「そうよ。『思い詰めているようだから、もしかしたら』だそうよ。その感じじゃあ、大当たりのようね。薬の用意はできてるわ。もちろんそのお代に何があったのか話してくれるわよね?女王にだけに話すなんてずるくてよ」
面白がっているようだった。
ルナ様に勧められて椅子に座ると真正面からニコニコした顔で圧をかけられる。
こうなれば話は進まないと思い、洗いざらい話をすることにした。
話をし出すと、ルナ様は楽しそうに質問も交えながら聞いてくれた。だが、最後になったとき、ルナ様は顔色を変えた。
「白い髪?」
「遠目でしたので、そのように見えたとしかいえませんが・・・。どうかされました?」
考え込んだルナ様に声をかける。
「なんでもないわ。ちょっと昔のことを思い出しただけよ。待ってて、薬を持ってくるわ」
彼女は立ち上がり調合室に入って行った。
私は部屋を眺めた。いくつもの海藻や、貝が吊り下がっている部屋はいつ来ても不気味に感じ、一人でいるのが怖いくらいだ。
まだかまだかと10分ほどまっていると、ルナ様が部屋から出てきた。その手には小さなガラスの小瓶を持っている。
「この薬は前の魔女であるフィレーネ様が考えた物を私が改良したものよ。人魚の負担を減らすようにはしているわ。効果は女王から聞いているわね」
私は頷いた。
「上に行ってから飲みなさい。味は良くないから吐かないようにね。身体の仕組みが変わるから苦しいけれど耐えるのよ」
「ありがとうございます」
私はそう言って薬をもらい、そのまま海の上へと泳いで行った。
早く、泡沫人になって、あの方に会いたかった。
月が大きい。
それが後押ししてくれついるように思え、私は彼を助けた場所で薬を飲み干したー。
11
あなたにおすすめの小説
側妃の愛
まるねこ
恋愛
ここは女神を信仰する国。極まれに女神が祝福を与え、癒しの力が使える者が現れるからだ。
王太子妃となる予定の令嬢は力が弱いが癒しの力が使えた。突然強い癒しの力を持つ女性が異世界より現れた。
力が強い女性は聖女と呼ばれ、王太子妃になり、彼女を支えるために令嬢は側妃となった。
Copyright©︎2025-まるねこ
王太子妃専属侍女の結婚事情
蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。
未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。
相手は王太子の側近セドリック。
ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。
そんな二人の行く末は......。
☆恋愛色は薄めです。
☆完結、予約投稿済み。
新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。
ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。
そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。
よろしくお願いいたします。
報われなかった姫君に、弔いの白い薔薇の花束を
さくたろう
恋愛
その国の王妃を決める舞踏会に招かれたロザリー・ベルトレードは、自分が当時の王子、そうして現王アルフォンスの婚約者であり、不遇の死を遂げた姫オフィーリアであったという前世を思い出す。
少しずつ蘇るオフィーリアの記憶に翻弄されながらも、17年前から今世まで続く因縁に、ロザリーは絡め取られていく。一方でアルフォンスもロザリーの存在から目が離せなくなり、やがて二人は再び惹かれ合うようになるが――。
20話です。小説家になろう様でも公開中です。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
その事実だけを抱えて、離縁をつきつけ家を出た。
そこで待っていたのは、
最悪の出来事――
けれど同時に、人生の転機だった。
夫は、愛人と好きに生きればいい。
けれど、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
彼女が選び直す人生と、
辿り着く本当の幸せの行方とは。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi(がっち)
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
【完結】地味な私と公爵様
ベル
恋愛
ラエル公爵。この学園でこの名を知らない人はいないでしょう。
端正な顔立ちに甘く低い声、時折見せる少年のような笑顔。誰もがその美しさに魅了され、女性なら誰もがラエル様との結婚を夢見てしまう。
そんな方が、平凡...いや、かなり地味で目立たない伯爵令嬢である私の婚約者だなんて一体誰が信じるでしょうか。
...正直私も信じていません。
ラエル様が、私を溺愛しているなんて。
きっと、きっと、夢に違いありません。
お読みいただきありがとうございます。短編のつもりで書き始めましたが、意外と話が増えて長編に変更し、無事完結しました(*´-`)
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる