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41.メリアのヘルプ
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この日はセイネ様のドレスの準備をマリー様としていた。
ロイド殿下とソレイユ様とのご婚約お披露目会が目前に迫って忙しい。
しかもロイド殿下たっての要望で、また船上で行うことになっている。
正式な婚約パーティーは盛大な物を別日にするらしく、今回は国内の貴族に周知すると共にアトラス国とカラナイ国の友好を深めるためのものだった。当日は夕方には出港して、深夜には帰ってくる予定になっている。
小さいパーティーとはいえ、やることは山ほどあった。
そんな時にメリア様が東館に駆け込んできたのだ。顔を涙と鼻水で汚し、姉のマリー様ではなく私に泣きついてきた。
「フィー!助けてぇ」
何事?としかない状況に驚く。普段メリア様はルナ様のメイドとして誇りを持っているので、多少のことは自分でどうにかしようとするので、珍しいことだった。
「メリア?どうしたの」
マリー様が呆れ顔で聞く。
「ルナ様が・・・ルナ様がぁ」
「どうしたの?落ち着いていいなさい」
鼻水をずずっとすするメリア様の肩をマリー様が優しくさすった。
「ルナ様がソレイユ様の部屋に乗り込んだんです」
「乗り込んだ?どういうこと?お二人は?アンナ姉様は?」
疑問符が飛び交っている。
「お二人ともにこやかで怖いですぅ。アンナ姉様がフィーを呼んでこいって」
二人がわたしを見てきた。
どうしてわたしが必要なのかわからない。
「緩和剤、ね」
「フィー、お願いっ!」
再びずびっと鼻水がたれる。
「フィー。ソレイユ様の部屋に行ってきて」
「私に何ができるのですか?」
正直行きたくない。ただでさえ忙しいというのに、そんなことに時間を取られたくない。
マリー様は手慣れたようメリア様の鼻にハンカチをあてている。そうしながら困り顔で私を見てくるのだからたまったものじゃない。
「あなたはソレイユ様にもルナ様にも好感を持たれているわ。役に立つはずよ」
はぁ・・・ため息がでた。
「わかりました。行ってきます」
観念して私はソレイユ様の部屋に向かった。
お気楽な下っ端のメイドとして働き始めたはずなのに、いつの間にか重要な仕事をしていることに気づいて気が重くなっていた。
ソレイユ様の部屋につくとノックをした。
顔を引き攣らせたアンナ様に出迎えられ、中に入ると微妙な雰囲気が漂っていた。
ソレイユ様とルナ様がまるで先に目をそらせた方が負けとばかりに無表情で見つめ合い、無言のままお茶を飲んでいる。
アンナ様でさえこんな顔をしているぐらいなのだからメリア様は耐えられなかったに違いない。
年上であるはずのアンナ様が目線だけで私にどうにかしてほしいと訴えてくる。
「睨めっこですか?」
私の放った言葉に、二人の顔は緩みこちらを見てきた。
「フィー、きてくれたのね」
「良かったわ」
にこりと笑われる二人。
白と黒。
色も雰囲気も対照的なのに、似ているようにも感じて戸惑う。
「ねぇ、フィー。ルナ様の言いたいことを通訳してくれないかしら?この方、私に婚約を見直せと言ってくるのよ」
「だって、まだ出会って二ヶ月も立っていないのよ。もっとお互いに知ってからでいいとフィーだって思わない?」
「フィーリングが合うのに月日など関係ありませんわ」
ーこの二人を相手?
お互いに一歩も引かない雰囲気を見て、私が一番のハズレを引いた気がした。
「ルナ様。世の中、一目惚れもありますし、一週間で婚姻もあった例も存在します」
人の世界の常識を語ってみせたが、ルナ様は納得していないようだ。
「私たちはカラナイ国の王家は『運命の恋』をするのです」
「それがわかるとでもいうわけ?」
「ええ。父も叔母もそうやって相手を見つけました。私たちにはわかるのです」
「くだらないわ・・・」
ルナ様は吐き捨てた。
もしかするとこの方はセイネ様とはまた別の理由で地上に来たのかもしれない。
「・・・そんなにここがいいの?」
眉が垂れ、泣きそうな声でルナ様は訴え出した。
「海に帰りたいとは思わないの?」
「海?どう言うことです?」
ソレイユ様がルナ様の言葉に詰まっていると、ノックが聞こえてきた。
ロイド殿下とソレイユ様とのご婚約お披露目会が目前に迫って忙しい。
しかもロイド殿下たっての要望で、また船上で行うことになっている。
正式な婚約パーティーは盛大な物を別日にするらしく、今回は国内の貴族に周知すると共にアトラス国とカラナイ国の友好を深めるためのものだった。当日は夕方には出港して、深夜には帰ってくる予定になっている。
小さいパーティーとはいえ、やることは山ほどあった。
そんな時にメリア様が東館に駆け込んできたのだ。顔を涙と鼻水で汚し、姉のマリー様ではなく私に泣きついてきた。
「フィー!助けてぇ」
何事?としかない状況に驚く。普段メリア様はルナ様のメイドとして誇りを持っているので、多少のことは自分でどうにかしようとするので、珍しいことだった。
「メリア?どうしたの」
マリー様が呆れ顔で聞く。
「ルナ様が・・・ルナ様がぁ」
「どうしたの?落ち着いていいなさい」
鼻水をずずっとすするメリア様の肩をマリー様が優しくさすった。
「ルナ様がソレイユ様の部屋に乗り込んだんです」
「乗り込んだ?どういうこと?お二人は?アンナ姉様は?」
疑問符が飛び交っている。
「お二人ともにこやかで怖いですぅ。アンナ姉様がフィーを呼んでこいって」
二人がわたしを見てきた。
どうしてわたしが必要なのかわからない。
「緩和剤、ね」
「フィー、お願いっ!」
再びずびっと鼻水がたれる。
「フィー。ソレイユ様の部屋に行ってきて」
「私に何ができるのですか?」
正直行きたくない。ただでさえ忙しいというのに、そんなことに時間を取られたくない。
マリー様は手慣れたようメリア様の鼻にハンカチをあてている。そうしながら困り顔で私を見てくるのだからたまったものじゃない。
「あなたはソレイユ様にもルナ様にも好感を持たれているわ。役に立つはずよ」
はぁ・・・ため息がでた。
「わかりました。行ってきます」
観念して私はソレイユ様の部屋に向かった。
お気楽な下っ端のメイドとして働き始めたはずなのに、いつの間にか重要な仕事をしていることに気づいて気が重くなっていた。
ソレイユ様の部屋につくとノックをした。
顔を引き攣らせたアンナ様に出迎えられ、中に入ると微妙な雰囲気が漂っていた。
ソレイユ様とルナ様がまるで先に目をそらせた方が負けとばかりに無表情で見つめ合い、無言のままお茶を飲んでいる。
アンナ様でさえこんな顔をしているぐらいなのだからメリア様は耐えられなかったに違いない。
年上であるはずのアンナ様が目線だけで私にどうにかしてほしいと訴えてくる。
「睨めっこですか?」
私の放った言葉に、二人の顔は緩みこちらを見てきた。
「フィー、きてくれたのね」
「良かったわ」
にこりと笑われる二人。
白と黒。
色も雰囲気も対照的なのに、似ているようにも感じて戸惑う。
「ねぇ、フィー。ルナ様の言いたいことを通訳してくれないかしら?この方、私に婚約を見直せと言ってくるのよ」
「だって、まだ出会って二ヶ月も立っていないのよ。もっとお互いに知ってからでいいとフィーだって思わない?」
「フィーリングが合うのに月日など関係ありませんわ」
ーこの二人を相手?
お互いに一歩も引かない雰囲気を見て、私が一番のハズレを引いた気がした。
「ルナ様。世の中、一目惚れもありますし、一週間で婚姻もあった例も存在します」
人の世界の常識を語ってみせたが、ルナ様は納得していないようだ。
「私たちはカラナイ国の王家は『運命の恋』をするのです」
「それがわかるとでもいうわけ?」
「ええ。父も叔母もそうやって相手を見つけました。私たちにはわかるのです」
「くだらないわ・・・」
ルナ様は吐き捨てた。
もしかするとこの方はセイネ様とはまた別の理由で地上に来たのかもしれない。
「・・・そんなにここがいいの?」
眉が垂れ、泣きそうな声でルナ様は訴え出した。
「海に帰りたいとは思わないの?」
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