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60.最終話1
「ねえ、それからどうなったの?」
僕は話の続きが気になって、侍女のマーシャに聞いた。
「殿下。もう眠らないと明日の朝が起きられませんよ」
「だって気になるんだもん」
寝物語に昔の人魚姫の話を求めたのはいいのだが、ハッピーエンドになったのか気になって仕方ない。こんなモヤモヤした気持ちで寝られるはずがないだろう。
「亡くなったひぃお祖母様から聞いた話は以上です。詳しく知りたいなら図書館に行けばわかるとは思います」
「図書館にあるの?」
「あるそうですよ」
「わかった!じゃあ、おやすみ」
「えっ、あ、はい。おやすみなさいませ」
僕は明日のやることを見つけ、とっとと寝ることにした。
朝、マーシャが来る前から起きた僕は、早く図書館に行きたくて仕方なかった。
いつも通り服を着替え、お母様たちと朝食をとったあと、家庭教師から逃れるように図書館に行った。
薄暗い部屋に並ぶ本は圧倒するくらいあり、探すのにも一苦労する。
そうやって、見つけた『人魚』に関するたくさんの本。
その中には先先代の国王直筆のものもあった。
僕が最初に手に取ったのは『人魚 アリ著』と丁寧に記されていた青い表紙の本だった。
中は手書きで人魚の挿絵や色鮮な彩色が施され、どれも精密に描写もされている。
書かれた言葉は丁寧で優しい字だった。そこには人魚に対する敬意が感じ取れた。
次に目に入ったのは『記録 リード著』と『アルフリード伝記 アンナ編集』と書かれていたものだ。
アンナとは確かマーシャの曽祖母の名前だった気がして、その3冊を机に持って行った。
たくさんわからない文字や意味、表現が何個もあった。それでも話に惹きつけられ頑張って読んでいった。読まざるにいられなかった。
両親や兄妹たちより好きになる人が現れるなんてまだ子供の僕には理解できない。人を愛するという気持ちがよくわからない。愛と好きはどう違うの?
そんな人が僕にもできるのだろうか?大人はすごいんだな・・・。
でも、この本を書いた人は・・・僕のご先祖様は人魚をすごく大切に思っていたことを理解することはできた。
読み終わった時には外が赤く染まっていて、思わず僕は泣いていた。読んでいて胸が締め付けられるように痛かったが、夕日を見てますます悲しく思ったからだ。
部屋に戻るとそこにはお母様とマーシャがいた。
今日の勉強をサボってしまった僕。叱られるかもしれないと思っていたけど、お母様は僕と目線を合わせてきた。
「人魚の話はどうでした?」
図書館で本を読んでいたことをマーシャが教えたのだろうか。
僕はお母様の問いにきちんと答えることができずに首を振った。
「わかりません。アリフリードやフィーは幸せだったのですか?ルナはどうなったのですか?セイネシアは?」
それについては詳しい話は書いてなかった。知りたいことはまだわからないままだった。選ぶ本を間違えていた。でもあれは読まなければと思ってのも本当だ。
「リュート王の本はまだ読めてないのね」
お母様は笑いながら、ソファーに一緒に座った。
「また、読めばいいわ。でも知りたいのでしょう。簡単に話してあげるわ」
にこにこと美しく笑うお母様。
「アルフリードとフィーが消えたあと、ルナ様とセイネシア様は海に戻ったわ。その後、リュート様は王位につき生涯独身を貫かれたの。王妃は海の女王であるセイネシア様であると誓われたから。お二人は住む世界は違えど一つの夫婦の形を作られたそうよ。
ロイド様はリュート王の右腕として仕えたわ。ソレイユ様はロイド様とご結婚しお子を儲けたの。それが、先王様よ」
「リュート王とセイネシア様は種族を越えて結ばれたってこと?」
「・・・そうなるわね」
そんな生き方もできるのかと感心した。
それに、僕の先祖だと思うと身近な存在にびっくりもした。
「リュート王は人魚族との架け橋になられた方ですよね」
「そうね。そのおかげもありアトラス国は繁栄を極めているの。お互いに尊重し合うことは素晴らしいことだと思うわ」
僕は物語として聞いていただけだが、改めてリュート王はすごいんだと尊敬した。
僕は話の続きが気になって、侍女のマーシャに聞いた。
「殿下。もう眠らないと明日の朝が起きられませんよ」
「だって気になるんだもん」
寝物語に昔の人魚姫の話を求めたのはいいのだが、ハッピーエンドになったのか気になって仕方ない。こんなモヤモヤした気持ちで寝られるはずがないだろう。
「亡くなったひぃお祖母様から聞いた話は以上です。詳しく知りたいなら図書館に行けばわかるとは思います」
「図書館にあるの?」
「あるそうですよ」
「わかった!じゃあ、おやすみ」
「えっ、あ、はい。おやすみなさいませ」
僕は明日のやることを見つけ、とっとと寝ることにした。
朝、マーシャが来る前から起きた僕は、早く図書館に行きたくて仕方なかった。
いつも通り服を着替え、お母様たちと朝食をとったあと、家庭教師から逃れるように図書館に行った。
薄暗い部屋に並ぶ本は圧倒するくらいあり、探すのにも一苦労する。
そうやって、見つけた『人魚』に関するたくさんの本。
その中には先先代の国王直筆のものもあった。
僕が最初に手に取ったのは『人魚 アリ著』と丁寧に記されていた青い表紙の本だった。
中は手書きで人魚の挿絵や色鮮な彩色が施され、どれも精密に描写もされている。
書かれた言葉は丁寧で優しい字だった。そこには人魚に対する敬意が感じ取れた。
次に目に入ったのは『記録 リード著』と『アルフリード伝記 アンナ編集』と書かれていたものだ。
アンナとは確かマーシャの曽祖母の名前だった気がして、その3冊を机に持って行った。
たくさんわからない文字や意味、表現が何個もあった。それでも話に惹きつけられ頑張って読んでいった。読まざるにいられなかった。
両親や兄妹たちより好きになる人が現れるなんてまだ子供の僕には理解できない。人を愛するという気持ちがよくわからない。愛と好きはどう違うの?
そんな人が僕にもできるのだろうか?大人はすごいんだな・・・。
でも、この本を書いた人は・・・僕のご先祖様は人魚をすごく大切に思っていたことを理解することはできた。
読み終わった時には外が赤く染まっていて、思わず僕は泣いていた。読んでいて胸が締め付けられるように痛かったが、夕日を見てますます悲しく思ったからだ。
部屋に戻るとそこにはお母様とマーシャがいた。
今日の勉強をサボってしまった僕。叱られるかもしれないと思っていたけど、お母様は僕と目線を合わせてきた。
「人魚の話はどうでした?」
図書館で本を読んでいたことをマーシャが教えたのだろうか。
僕はお母様の問いにきちんと答えることができずに首を振った。
「わかりません。アリフリードやフィーは幸せだったのですか?ルナはどうなったのですか?セイネシアは?」
それについては詳しい話は書いてなかった。知りたいことはまだわからないままだった。選ぶ本を間違えていた。でもあれは読まなければと思ってのも本当だ。
「リュート王の本はまだ読めてないのね」
お母様は笑いながら、ソファーに一緒に座った。
「また、読めばいいわ。でも知りたいのでしょう。簡単に話してあげるわ」
にこにこと美しく笑うお母様。
「アルフリードとフィーが消えたあと、ルナ様とセイネシア様は海に戻ったわ。その後、リュート様は王位につき生涯独身を貫かれたの。王妃は海の女王であるセイネシア様であると誓われたから。お二人は住む世界は違えど一つの夫婦の形を作られたそうよ。
ロイド様はリュート王の右腕として仕えたわ。ソレイユ様はロイド様とご結婚しお子を儲けたの。それが、先王様よ」
「リュート王とセイネシア様は種族を越えて結ばれたってこと?」
「・・・そうなるわね」
そんな生き方もできるのかと感心した。
それに、僕の先祖だと思うと身近な存在にびっくりもした。
「リュート王は人魚族との架け橋になられた方ですよね」
「そうね。そのおかげもありアトラス国は繁栄を極めているの。お互いに尊重し合うことは素晴らしいことだと思うわ」
僕は物語として聞いていただけだが、改めてリュート王はすごいんだと尊敬した。
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