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21.アルト視点
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全てが終わった。
あの女のことも。そしてミリアの関係さえ何もかも。
冬休みに入っても王宮では後始末に追われている。
あの女は事実の裏付けもあり、教会で軟禁状態になっていた。
彼女の養父であるエレスト伯爵は横領が発覚し地下牢に入っている。貴族を優先に治療させるために金銭を騙し取っていたのが明らかになったのだ。「聖女」の力が失われていたのを黙認していたのではないかと捜査も行われている。
また、聖女つきのシスターがエレスト伯爵の愛人だったこともわかり、伯爵の入れ知恵だったのでは・・・と調べられていた。
ミリアはというと、国外追放となった。
しかし彼女はバードさえ知らないうちにいなくなっていた。
バードが父親ーアスローディ伯爵に問いただしたが、今だに黙ったままらしい。
やっと日常が戻ってきて、落ち着いた頃に舞い込んできたアリナ嬢との婚約話。
今回は彼女の優しさに救われた。
多少なりともアリナ嬢に惹かれている自覚はあったが、それでもまだ自分はミリアのことが処理しきれていない。
早く忘れなくては・・・。
あんなことがあったのだ。
ミリアを嫌いになったはずなのに、いまだに認めたくないと思っている自分がいる。
夢だったことにしたいー。
気持ちを上書きするために婚約を進めるべきか・・・いや、アリナ嬢に失礼だ。ミリアに対する気持ちを引きずったままの状態で婚約の話を受けていいものか気が引けた。
ずっとミリアを想っていたからこそ、自分に向けられた好意をどう受け止めればよいのかわからない。
一度、殿下に相談してみよう・・・。
そんなことを思いながら、王宮の殿下の執務室のドアを開けると、そこには殿下とバードがいた。
バードは僕を見るなり手に持っていたもの慌てて背後に隠す。
「バード?どうかしたのか?」
「いや、何でもない。殿下、わたしはこれで失礼します」
不思議に思い聞いてみると、彼はあきらかな作り笑いをして急いで部屋を出ていく。
「殿下?彼はなんだったんですか?」
「な、なんでも、ない」
殿下も歯切れの悪いものいい。
どこか顔色がすぐれない。
「・・・アルト、すまない・・・。急ぎで父・・・陛下に問わなければならないことが、できた」
殿下はふらりとまるで幽霊のように立ち上がると部屋を出て行った。
なんだったのだろうか・・・。
一人残されため息が出た。散乱している机の上を片付けようとした時、先ほどまでバードがいたあたりにゴミが落ちているのに気づく。
急いでいたからゴミを落としたのさえ気づかなかったのだろう・・・、そんなことを思いながら拾おうとして、指を止めた。
それはカラカラに乾いた四葉のクローバーだ。
なんでこんなところに・・・。バードの服にでもついていたのかもしれない。
拾い上げ、ゴミ箱に捨てようとしたが捨てれなかった。
「ミリア・・・」
脳裏にミリアの顔が浮かんでくる。
クローバーの葉と花で花冠を作っていた笑顔を思い出したのだ。
本当に情けないほど未練がましい。
でもクローバはそれほどまでに思い出の物でもあった。
ミリアが会場から出て行く時にした最後のカーテシーを見たからかもしれない。出会ったころー小さい頃していた間違ったやり方のカーテシー。完璧なマナーをしていた彼女があんな失敗をしたから思い出したのかもしれない。
二人で培ってきた年月はすぐには思い出になってくれないんだと改めて思う。
僕は情けない・・・。
はははっ・・・。
君を想うと涙が溢れてくる。
忘れなければ・・・。
忘れてしまいたい・・・。
忘れてしまおう・・・。
これを最後に・・・。
誰もいない生徒会室で僕は泣いた。
あの女のことも。そしてミリアの関係さえ何もかも。
冬休みに入っても王宮では後始末に追われている。
あの女は事実の裏付けもあり、教会で軟禁状態になっていた。
彼女の養父であるエレスト伯爵は横領が発覚し地下牢に入っている。貴族を優先に治療させるために金銭を騙し取っていたのが明らかになったのだ。「聖女」の力が失われていたのを黙認していたのではないかと捜査も行われている。
また、聖女つきのシスターがエレスト伯爵の愛人だったこともわかり、伯爵の入れ知恵だったのでは・・・と調べられていた。
ミリアはというと、国外追放となった。
しかし彼女はバードさえ知らないうちにいなくなっていた。
バードが父親ーアスローディ伯爵に問いただしたが、今だに黙ったままらしい。
やっと日常が戻ってきて、落ち着いた頃に舞い込んできたアリナ嬢との婚約話。
今回は彼女の優しさに救われた。
多少なりともアリナ嬢に惹かれている自覚はあったが、それでもまだ自分はミリアのことが処理しきれていない。
早く忘れなくては・・・。
あんなことがあったのだ。
ミリアを嫌いになったはずなのに、いまだに認めたくないと思っている自分がいる。
夢だったことにしたいー。
気持ちを上書きするために婚約を進めるべきか・・・いや、アリナ嬢に失礼だ。ミリアに対する気持ちを引きずったままの状態で婚約の話を受けていいものか気が引けた。
ずっとミリアを想っていたからこそ、自分に向けられた好意をどう受け止めればよいのかわからない。
一度、殿下に相談してみよう・・・。
そんなことを思いながら、王宮の殿下の執務室のドアを開けると、そこには殿下とバードがいた。
バードは僕を見るなり手に持っていたもの慌てて背後に隠す。
「バード?どうかしたのか?」
「いや、何でもない。殿下、わたしはこれで失礼します」
不思議に思い聞いてみると、彼はあきらかな作り笑いをして急いで部屋を出ていく。
「殿下?彼はなんだったんですか?」
「な、なんでも、ない」
殿下も歯切れの悪いものいい。
どこか顔色がすぐれない。
「・・・アルト、すまない・・・。急ぎで父・・・陛下に問わなければならないことが、できた」
殿下はふらりとまるで幽霊のように立ち上がると部屋を出て行った。
なんだったのだろうか・・・。
一人残されため息が出た。散乱している机の上を片付けようとした時、先ほどまでバードがいたあたりにゴミが落ちているのに気づく。
急いでいたからゴミを落としたのさえ気づかなかったのだろう・・・、そんなことを思いながら拾おうとして、指を止めた。
それはカラカラに乾いた四葉のクローバーだ。
なんでこんなところに・・・。バードの服にでもついていたのかもしれない。
拾い上げ、ゴミ箱に捨てようとしたが捨てれなかった。
「ミリア・・・」
脳裏にミリアの顔が浮かんでくる。
クローバーの葉と花で花冠を作っていた笑顔を思い出したのだ。
本当に情けないほど未練がましい。
でもクローバはそれほどまでに思い出の物でもあった。
ミリアが会場から出て行く時にした最後のカーテシーを見たからかもしれない。出会ったころー小さい頃していた間違ったやり方のカーテシー。完璧なマナーをしていた彼女があんな失敗をしたから思い出したのかもしれない。
二人で培ってきた年月はすぐには思い出になってくれないんだと改めて思う。
僕は情けない・・・。
はははっ・・・。
君を想うと涙が溢れてくる。
忘れなければ・・・。
忘れてしまいたい・・・。
忘れてしまおう・・・。
これを最後に・・・。
誰もいない生徒会室で僕は泣いた。
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