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16.アルト視点
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「なんか、わかったか?」
「あぁ、君のおかげで助かった」
「なら、良かった」
「後払いだ」
そう言って、聞いた金額より多めに少年に渡す。渡した金を見て、少年は目を輝かせた。
「いいのか?」
「ああ」
「やった。チビどもも喜ぶぜ」
「チビども?」
「俺、孤児院にいるんだよ。姉ちゃんはお嬢様のとこで働いてても、その給金じゃ生活するには足らないんだよな。孤児は増えるし、建物維持や人件費、食費、衣料とかを含めると出費がさぁ。治療院に入るお布施なんて微々たるもんし・・・食うものには困るんだよな」
愚痴を言いつつも少年の顔は嬉しそうだ。
「なら、もう少し・・・、これでパンでも買って帰ってあげて」
アリナ嬢も僅かに金を出してきた。
「ありがとう。じゃあ、お礼に。この先にあるロッテっていうカフェが貴族様の間で人気らしいよ。そこでももしかするとセイジョサマの話が聞けると思う。姉ちゃんが前に行って聞いたらしいから行ってみるといいぞ」
「姉ちゃんって誰だ?」
本当に誰のことを言っているのか見当もつかない。
「姉ちゃんは姉ちゃんだよ?じゃぁな」
少年はそれだけ言うとスキップでもしそうな足取りでパン屋へと走っていった。
僕たちは、少年から聞いたカフェに行くことにする。
ロッテカフェという名前を見つけ、入店した。
確かに見知った学園の同級生などの顔がある。
場違いの生成りのマントは脱いでいたが、なるべく正体がわからないように奥の席に通してもらう。
紅茶とケーキを頼んで待っていると、どこからか令嬢たちの噂話が聞こえてきた。
「どう思う?」
「ミリア様のこと?」
「そうそう。やっぱりおかしいわよね」
「聖女様が関わってる噂は本当かしら?」
「聖女様を王太子妃にして、その見返りを求めてるってやつよね」
「アルト様から隣国の王太子妃を狙ってるからってやつよね?」
その噂を聞いて、固まる。
ミリアが僕を捨てるために・・・?
「アルト様!?」
アリナ嬢の声をが遠くで聞こえる。
「意外に強かな方なのね」
「メリアーナ様やアリナ様とも見せかけの友情だったのかしら?」
「どちらにつく?」
「もちろんメリアーナ様でしょう」
「あんな田舎娘が王太子妃なんて、ありえないわ」
「でも、聖女には教会がついてるわ」
「お父様次第かしら」
「そうよね・・・」
ミリア・・・。
僕を優しく見つめてくれていた彼女が僕を裏切るなんてー。
僕は必要ないのだろうか・・・。
「アルト様・・・」
アリナ嬢の暖かな手が僕の手を包んでくれた。
「わたくしは・・・」
彼女はそれ以上は言わなかった。
でも、その温もりが僕の気持ちを落ち着かせてくれたー。
「あぁ、君のおかげで助かった」
「なら、良かった」
「後払いだ」
そう言って、聞いた金額より多めに少年に渡す。渡した金を見て、少年は目を輝かせた。
「いいのか?」
「ああ」
「やった。チビどもも喜ぶぜ」
「チビども?」
「俺、孤児院にいるんだよ。姉ちゃんはお嬢様のとこで働いてても、その給金じゃ生活するには足らないんだよな。孤児は増えるし、建物維持や人件費、食費、衣料とかを含めると出費がさぁ。治療院に入るお布施なんて微々たるもんし・・・食うものには困るんだよな」
愚痴を言いつつも少年の顔は嬉しそうだ。
「なら、もう少し・・・、これでパンでも買って帰ってあげて」
アリナ嬢も僅かに金を出してきた。
「ありがとう。じゃあ、お礼に。この先にあるロッテっていうカフェが貴族様の間で人気らしいよ。そこでももしかするとセイジョサマの話が聞けると思う。姉ちゃんが前に行って聞いたらしいから行ってみるといいぞ」
「姉ちゃんって誰だ?」
本当に誰のことを言っているのか見当もつかない。
「姉ちゃんは姉ちゃんだよ?じゃぁな」
少年はそれだけ言うとスキップでもしそうな足取りでパン屋へと走っていった。
僕たちは、少年から聞いたカフェに行くことにする。
ロッテカフェという名前を見つけ、入店した。
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「どう思う?」
「ミリア様のこと?」
「そうそう。やっぱりおかしいわよね」
「聖女様が関わってる噂は本当かしら?」
「聖女様を王太子妃にして、その見返りを求めてるってやつよね」
「アルト様から隣国の王太子妃を狙ってるからってやつよね?」
その噂を聞いて、固まる。
ミリアが僕を捨てるために・・・?
「アルト様!?」
アリナ嬢の声をが遠くで聞こえる。
「意外に強かな方なのね」
「メリアーナ様やアリナ様とも見せかけの友情だったのかしら?」
「どちらにつく?」
「もちろんメリアーナ様でしょう」
「あんな田舎娘が王太子妃なんて、ありえないわ」
「でも、聖女には教会がついてるわ」
「お父様次第かしら」
「そうよね・・・」
ミリア・・・。
僕を優しく見つめてくれていた彼女が僕を裏切るなんてー。
僕は必要ないのだろうか・・・。
「アルト様・・・」
アリナ嬢の暖かな手が僕の手を包んでくれた。
「わたくしは・・・」
彼女はそれ以上は言わなかった。
でも、その温もりが僕の気持ちを落ち着かせてくれたー。
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