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二章~異世界の日本~
雨の日の暇つぶし、あれの復活
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「航さん、美空ちゃんと愛衣ちゃんが昨日の事謝りに来たって」
これから雨が降るらしいのにわざわざ来たのか、気にしてない、というかもうこの話はしたくないんだけどなぁ。
「あの、航…………」
うわぁ、普段元気な印象が強い美空がかなりションボリしている、その後ろに居る愛衣も同じ様な感じ、えーっとそんなに深刻に落ち込まれても…………思った以上に元気がないのでこちらが悪い事をした気分になって、気まずくなる。
「お兄さん、昨日は本当にごめんなさいっ! 私、お兄さんがあんなにびっくりすると思わなくて……ちょっとしたイタズラのつもりだったんです。……うぅ、ひっく…………」
泣かれた!? え、これどうすればいいんだよ!? 他人と関わってこなかったせいでこんな時どうすればいいのかも分からない。
「航、あたしもごめんなさい、うぅ…………」
げっ! 美空まで泣き出した!? ちょ、ちょっとこれ、本当にどうすれば? えぇ、これそんな深刻になるような話じゃないよね? 虫で気絶した事をこんなに深刻になられると困るんだけど…………軽く謝られて、はいお仕舞いってのを想像してただけに、この状況に狼狽える。
「いや、二人とも泣かなくても、別に俺は怒ってないから」
「本当?」
「ああ、怒ってない」
というかこの状況を早く脱したい。
「…………な~んだ、怒ってないんだぁ、愛衣が航は凄く怒ってるかもしれないから泣いたふりして許してもらおうって言うから心配してたけど、必要なかったじゃん」
「そうね、少し心配し過ぎだったのかも」
お前ら…………怒ってはないが少しは反省すべきじゃないか? さっきまでの様子が嘘の様に笑っている。様にじゃなく本当に嘘か、嘘泣きだったんだし、全く反省はしてないな、あの状態で居られるのも困るけどこの状態は少しムカついた。
「はぁ~、ほら、仲直りって事でこれをやろう」
少し仕返しをしてやるつもりで、硬くかなり酸っぱいパウダーの掛かったグミを渡す。
「え! いいの!? イタズラしたのにお菓子もらえるなら、もっと早くイタズラしてればよかったよ」
「お兄さん、これこの前くれたのと違いますよね?」
くっ、気付いたか、美空は気にしてない感じなのに、愛衣は勘がいいのかもしれない。
「あ、ああ、違うのも食べさせてやろうと思ってな」
「……ふ~ん、そうですか」
やっぱり、愛衣は勘繰ってる様子だ。
「いただきま~す……すっぱー! なにこれぇ!? 本当にお菓子? ばあちゃんの梅干しより酸っぱいぃ!」
あ~あ、美空だけ先に食べちゃったからこれじゃ愛衣は食べないな。
「そんなに酸っぱいの?」
「ものすっごく酸っぱい…………それに硬い」
「美空ちゃんが食べるの待って正解でした。お兄さん、これは返しますね」
勘繰って美空で試したのか、結構ひどいな。しょうがないので返されたグミは自分の口に放り込む。
「ええ!? 自分で食べるの? こんなに酸っぱいのに」
美空は酸っぱいのが苦手なのかかなり驚いている。
「これはこれで美味いんだよ。ん? 美緒は酸っぱいの興味ある?」
興味ありげに美緒がこっちを見ていた。
「あ、えっと、はい、私は酸っぱい物、酢の物とか梅干しも好きなので」
「んじゃどうぞ、にしてもちょっと仕返しのつもりだったのに、愛衣には躱されたか」
入ってる袋ごと美緒に渡した。
「怒ってなくてもイタズラしたのにお菓子をくれるって言われたら変だと思いますよ」
ふむ、少し唐突過ぎたか、残念。
「変だって気付いてたなら教えてよ愛衣~、あたしが酸っぱいの苦手なの知ってるでしょ~」
「変だとは思ったけど味までは分からないもん、それにもしかしたら本当に美味しい物をくれてるかもしれなかったから」
それで美空で試したと、そういえば最初に遣った時も美空で試してたな……。
「酸っぱくて美味しい」
美緒の口には合ったみたいだ。
「美緒ちゃんは美味しいって思うんだ? う~ん、お兄さん、やっぱり一つ貰っていいですか?」
「お好きにどうぞ」
もう酸っぱいのはバレてるし量はまだあるから問題ない。
「ん~確かに酸っぱいけど、美味しいかも? 美空ちゃんは大げさ過ぎ」
「えぇ、美味しくないよこんなの…………二人だけ美味しい思いしてずるいよ! 航前にくれたのもらうから!」
そう言って美空がリュックを漁り始めた。おいおいなに勝手に漁ってんだよ。
「他人の物を勝手に漁るな。それに美空は美緒たちより食べてるんじゃないのか? 俺が親父さんに渡したのが家にあるだろ?」
「食べてないよ! 父さん全然分けてくれないんだもん。ん? なにこの黒い板きれ? それに変な紐?」
美空がリュックからスマホと充電器を引っ張り出した。スマホと充電器……?
「ああぁぁぁ!」
「ふぇ!? な、なに?」
そうだよ、スマホと充電器が有って、今俺は電気を扱える状態じゃないか! スマホの事なんてすっかり忘れていた。やった! 充電出来る! ネットや電話としての機能は使えなくても、音楽聞いたりネットを使わないアプリなら使う事が出来るしカメラ機能が付いてるんだからライトとしても使える。
「ちょ、ちょっとそれ貸せ」
美空が持っていたのを引っ手繰る。充電、充電、久しぶりに文明の利器が使えると思って少し興奮する。って、あ、あれ? 充電器の差し込み口のカバーは外せたけど、充電器を上手く差し込めない、片手じゃ無理か。
「美空、ちょっとこれをこの穴に差し込んでくれ」
「い、いいけど、これでなにするの?」
なにって…………なんて説明しよう? というか言っても信じそうにない、美空たちから見たらただの板切れと変な紐だろう、それから音楽が流れたり、自分の姿が写るなんて思いもしないだろう。
「あ~、美空たちが凄く驚くこと?」
「もしかしてまた仕返し? だったら手伝わないよ!」
そう言ってスマホを投げて寄越す。あ、危なぁ、壊れたらどうしてくれる!? こっちじゃ絶対に手に入らない貴重な文明の利器だぞ!?
「なら別にいいよ。美緒、頼めるか? その袋のやつは全部食べていいから」
「はい、いいですよ。でも、全部貰っていいんですか?」
「いい、いい、全然いい」
スマホが復活するならグミの一袋位全く問題ない! あぁ~早く復活させたい!
「あー! ズルい! 美緒をお菓子で釣った! 美緒止めてよ、航それであたし達に仕返しするつもりなんだよ」
「そんなこと一言も言ってないだろ、あ、ありがと美緒。やっと充電出来る!」
『充電?』
聞き慣れない言葉に三人が不思議そうな顔をする。そんなことより充電、充電! プラグを摘んで少しずつ電気を流して充電ランプがついたら流す量を増やすのをやめて充電を開始する。こんな感じで対象が動かなければ、少しずつ電圧を上げて気絶させれる加減を調べられるんだけどなぁ。
「わ!? 変な板切れが赤く光ってる、これどうなってるの?」
「どう、って言われてもなぁ、あっちじゃ雷、というか電気を利用した道具がいっぱいあるんだよ」
「じゃあこれ航さんの雷の力で光ってるんですか?」
「そう、今この板に電気を溜めてるところ」
充電にどの位掛かるだろう? 普段充電器を差したら投げっぱなしだからどれくらいで充電が終わるのか分からない。このままじっとしてるのは結構辛いな。
「お兄さん、この板はどんな道具なんですか?」
ただの板だと思ってた物が光ったせいか三人とも興味津々って感じだな。
「基本的には離れている人と話をしたり、手紙というか文章を送ったりする為の物だな」
電話機能とメールは使ってない状態だったけど…………殆どゲームアプリか音楽を流してるだけだったもんなぁ。たまにテレビで見たニュースで気になった事があればネットで調べるとか位、俺のスマホって本職を全う出来てないな、俺に買われたばかりに可哀想な扱いだ。
「じゃあこれで私の家に居る両親と話が出来るんですか?」
「いや、同じ物を相手も持ってないとダメだし、これを使うにも使う為の環境が整ってないと使えないからこの世界じゃ使えないな」
メイン機能だけど元々使ってなかったから、そこは大して困らない。
「使えないなら意味ないじゃん」
「ふっふっふ、俺の目的はその機能じゃないから別に問題ない。これには他にも色々使い方があるんだよ」
「他って?」
「教えない」
後で実際に使って見せて驚かせる方が面白そうだし、カメラ機能使ったらどんな反応するだろう? 昔の人って写真を撮ったら魂を取られる、って思ってたみたいな事を何かで読んだ記憶があるけど、美緒たちもそんな風に思ったりするんだろうか?
『ええー!』
三人からブーイングがあがった。
これから雨が降るらしいのにわざわざ来たのか、気にしてない、というかもうこの話はしたくないんだけどなぁ。
「あの、航…………」
うわぁ、普段元気な印象が強い美空がかなりションボリしている、その後ろに居る愛衣も同じ様な感じ、えーっとそんなに深刻に落ち込まれても…………思った以上に元気がないのでこちらが悪い事をした気分になって、気まずくなる。
「お兄さん、昨日は本当にごめんなさいっ! 私、お兄さんがあんなにびっくりすると思わなくて……ちょっとしたイタズラのつもりだったんです。……うぅ、ひっく…………」
泣かれた!? え、これどうすればいいんだよ!? 他人と関わってこなかったせいでこんな時どうすればいいのかも分からない。
「航、あたしもごめんなさい、うぅ…………」
げっ! 美空まで泣き出した!? ちょ、ちょっとこれ、本当にどうすれば? えぇ、これそんな深刻になるような話じゃないよね? 虫で気絶した事をこんなに深刻になられると困るんだけど…………軽く謝られて、はいお仕舞いってのを想像してただけに、この状況に狼狽える。
「いや、二人とも泣かなくても、別に俺は怒ってないから」
「本当?」
「ああ、怒ってない」
というかこの状況を早く脱したい。
「…………な~んだ、怒ってないんだぁ、愛衣が航は凄く怒ってるかもしれないから泣いたふりして許してもらおうって言うから心配してたけど、必要なかったじゃん」
「そうね、少し心配し過ぎだったのかも」
お前ら…………怒ってはないが少しは反省すべきじゃないか? さっきまでの様子が嘘の様に笑っている。様にじゃなく本当に嘘か、嘘泣きだったんだし、全く反省はしてないな、あの状態で居られるのも困るけどこの状態は少しムカついた。
「はぁ~、ほら、仲直りって事でこれをやろう」
少し仕返しをしてやるつもりで、硬くかなり酸っぱいパウダーの掛かったグミを渡す。
「え! いいの!? イタズラしたのにお菓子もらえるなら、もっと早くイタズラしてればよかったよ」
「お兄さん、これこの前くれたのと違いますよね?」
くっ、気付いたか、美空は気にしてない感じなのに、愛衣は勘がいいのかもしれない。
「あ、ああ、違うのも食べさせてやろうと思ってな」
「……ふ~ん、そうですか」
やっぱり、愛衣は勘繰ってる様子だ。
「いただきま~す……すっぱー! なにこれぇ!? 本当にお菓子? ばあちゃんの梅干しより酸っぱいぃ!」
あ~あ、美空だけ先に食べちゃったからこれじゃ愛衣は食べないな。
「そんなに酸っぱいの?」
「ものすっごく酸っぱい…………それに硬い」
「美空ちゃんが食べるの待って正解でした。お兄さん、これは返しますね」
勘繰って美空で試したのか、結構ひどいな。しょうがないので返されたグミは自分の口に放り込む。
「ええ!? 自分で食べるの? こんなに酸っぱいのに」
美空は酸っぱいのが苦手なのかかなり驚いている。
「これはこれで美味いんだよ。ん? 美緒は酸っぱいの興味ある?」
興味ありげに美緒がこっちを見ていた。
「あ、えっと、はい、私は酸っぱい物、酢の物とか梅干しも好きなので」
「んじゃどうぞ、にしてもちょっと仕返しのつもりだったのに、愛衣には躱されたか」
入ってる袋ごと美緒に渡した。
「怒ってなくてもイタズラしたのにお菓子をくれるって言われたら変だと思いますよ」
ふむ、少し唐突過ぎたか、残念。
「変だって気付いてたなら教えてよ愛衣~、あたしが酸っぱいの苦手なの知ってるでしょ~」
「変だとは思ったけど味までは分からないもん、それにもしかしたら本当に美味しい物をくれてるかもしれなかったから」
それで美空で試したと、そういえば最初に遣った時も美空で試してたな……。
「酸っぱくて美味しい」
美緒の口には合ったみたいだ。
「美緒ちゃんは美味しいって思うんだ? う~ん、お兄さん、やっぱり一つ貰っていいですか?」
「お好きにどうぞ」
もう酸っぱいのはバレてるし量はまだあるから問題ない。
「ん~確かに酸っぱいけど、美味しいかも? 美空ちゃんは大げさ過ぎ」
「えぇ、美味しくないよこんなの…………二人だけ美味しい思いしてずるいよ! 航前にくれたのもらうから!」
そう言って美空がリュックを漁り始めた。おいおいなに勝手に漁ってんだよ。
「他人の物を勝手に漁るな。それに美空は美緒たちより食べてるんじゃないのか? 俺が親父さんに渡したのが家にあるだろ?」
「食べてないよ! 父さん全然分けてくれないんだもん。ん? なにこの黒い板きれ? それに変な紐?」
美空がリュックからスマホと充電器を引っ張り出した。スマホと充電器……?
「ああぁぁぁ!」
「ふぇ!? な、なに?」
そうだよ、スマホと充電器が有って、今俺は電気を扱える状態じゃないか! スマホの事なんてすっかり忘れていた。やった! 充電出来る! ネットや電話としての機能は使えなくても、音楽聞いたりネットを使わないアプリなら使う事が出来るしカメラ機能が付いてるんだからライトとしても使える。
「ちょ、ちょっとそれ貸せ」
美空が持っていたのを引っ手繰る。充電、充電、久しぶりに文明の利器が使えると思って少し興奮する。って、あ、あれ? 充電器の差し込み口のカバーは外せたけど、充電器を上手く差し込めない、片手じゃ無理か。
「美空、ちょっとこれをこの穴に差し込んでくれ」
「い、いいけど、これでなにするの?」
なにって…………なんて説明しよう? というか言っても信じそうにない、美空たちから見たらただの板切れと変な紐だろう、それから音楽が流れたり、自分の姿が写るなんて思いもしないだろう。
「あ~、美空たちが凄く驚くこと?」
「もしかしてまた仕返し? だったら手伝わないよ!」
そう言ってスマホを投げて寄越す。あ、危なぁ、壊れたらどうしてくれる!? こっちじゃ絶対に手に入らない貴重な文明の利器だぞ!?
「なら別にいいよ。美緒、頼めるか? その袋のやつは全部食べていいから」
「はい、いいですよ。でも、全部貰っていいんですか?」
「いい、いい、全然いい」
スマホが復活するならグミの一袋位全く問題ない! あぁ~早く復活させたい!
「あー! ズルい! 美緒をお菓子で釣った! 美緒止めてよ、航それであたし達に仕返しするつもりなんだよ」
「そんなこと一言も言ってないだろ、あ、ありがと美緒。やっと充電出来る!」
『充電?』
聞き慣れない言葉に三人が不思議そうな顔をする。そんなことより充電、充電! プラグを摘んで少しずつ電気を流して充電ランプがついたら流す量を増やすのをやめて充電を開始する。こんな感じで対象が動かなければ、少しずつ電圧を上げて気絶させれる加減を調べられるんだけどなぁ。
「わ!? 変な板切れが赤く光ってる、これどうなってるの?」
「どう、って言われてもなぁ、あっちじゃ雷、というか電気を利用した道具がいっぱいあるんだよ」
「じゃあこれ航さんの雷の力で光ってるんですか?」
「そう、今この板に電気を溜めてるところ」
充電にどの位掛かるだろう? 普段充電器を差したら投げっぱなしだからどれくらいで充電が終わるのか分からない。このままじっとしてるのは結構辛いな。
「お兄さん、この板はどんな道具なんですか?」
ただの板だと思ってた物が光ったせいか三人とも興味津々って感じだな。
「基本的には離れている人と話をしたり、手紙というか文章を送ったりする為の物だな」
電話機能とメールは使ってない状態だったけど…………殆どゲームアプリか音楽を流してるだけだったもんなぁ。たまにテレビで見たニュースで気になった事があればネットで調べるとか位、俺のスマホって本職を全う出来てないな、俺に買われたばかりに可哀想な扱いだ。
「じゃあこれで私の家に居る両親と話が出来るんですか?」
「いや、同じ物を相手も持ってないとダメだし、これを使うにも使う為の環境が整ってないと使えないからこの世界じゃ使えないな」
メイン機能だけど元々使ってなかったから、そこは大して困らない。
「使えないなら意味ないじゃん」
「ふっふっふ、俺の目的はその機能じゃないから別に問題ない。これには他にも色々使い方があるんだよ」
「他って?」
「教えない」
後で実際に使って見せて驚かせる方が面白そうだし、カメラ機能使ったらどんな反応するだろう? 昔の人って写真を撮ったら魂を取られる、って思ってたみたいな事を何かで読んだ記憶があるけど、美緒たちもそんな風に思ったりするんだろうか?
『ええー!』
三人からブーイングがあがった。
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