170 / 470
八章~臆病な姫と騎士の盟約~
欲しかったもの
しおりを挟む
「あのぉ~? 近くない?」
話がある、と呼ばれてクロの部屋に来てみれば、ソファーに座らせられて左右をクロとシロに挟まれて、こてっと頭を預けられている。
「ダメ、ですか? ワタル様は明日には発たれてしまうのだから今だけはお許しください」
「そうですよ。酔っ払っていたとはいえあんな事をして婚約までしてしまったんだから大人しく諦めてください」
「……諦めるという言い方は少し悲しいですね。やはり私たちでは不足ですか?」
「ああっ!? そんな事ないですクロエ様、クロエ様で不足なら私はどうなってしまうんですかっ」
俺を睨まれましても、俺が言ったんじゃないもの。というか酔った上での話だと分かってるのにシロは納得してるのか? 俺は一体どんな風に言い包めたんだ?
「不足とかはないけど、二人とも納得してるのか? 酔ってた上に他にも同じ事を言ってたやつだぞ?」
「納得していなければこのような事するわけないじゃないですかっ、クロエ様と私を馬鹿にしてるんですか?」
顔を赤くして拗ねた様にシロが怒ってるが、股がけの方を馬鹿にしてる、と怒るべきでは? そこはいいのか? 許されてるのか?
「皆様と話し合ってワタル様は全員で共有するという事になっていますので構いませんよ。覚えておられませんか? それにワタル様は私の欲しかったものをくださった方ですから、ワタル様がいいのです」
なにそれ、覚えておられませんよ…………俺最低だな!? 不誠実きわまりないぞ。一体どうしてこうなった。結局何を話すでもなくこの日は丸一日クロとシロに甘えられた。シロは意外に甘え上手で、撫でて欲しいと言ってみたりシロにしては大胆にも腕にしがみ付いてみたりといつも以上に可愛かった。今まで甘える相手が居なかったクロは戸惑いながらもシロの真似をしてシロとは反対側に寄り添って優しい笑顔を向けてくれていた。
「フィオ……本当にそれ持って歩くのか?」
ディアボロス戦で使った大剣アル・マヒク、当然の如くこれも紋様で強化されている。効果は重量を増やし硬度を上げるというもの、斬ると言うよりは叩き潰す事が目的みたいだ。ただでさえ馬鹿デカい剣で重さも相当だというのに加重してるから普通の人間には扱えない物になっている。他にもナイフが新調され、ガントレットやグリーブまで…………鬼に金棒を与え過ぎである。北の大陸にも厄介な物が多かったとは聞いたけど、ガントレットは電気が利かないから俺の電撃も殴って弾けるようになってるし、グリーブは硬度が異様に高くフィオなら簡単に岩も蹴り砕ける。オリハルコン製の金色のナイフ、アゾットは持ち主の自己治癒力を高め、俺の黒剣と同じく黒い方のタナトスは斬った相手を弱体化させる効果があるそうだ。死にかけた一件で力が増したような事を言ってたし、この最強ロリはどこまで強くなるのやら…………。
「あると便利」
不便さの方が大きいかと思いますが、使う気が無い時はずるずると引き摺って轍の様なものをあとに残して行ってるし――。
「そんなの使わないといけない程の魔物なんて多分ドラウトには居ないと思うぞ。なぁ?」
「ああ、ディアボロスみないなのが居たらもっと早くに救援を頼んだりしてるよ。危険な物が居るって問題じゃなくて町の近くで見かける事が多くなってるから住民が不安がっている事が問題だから」
「…………持っていく」
何を意地になってるんだか、まぁ好きにすればいいけど。
「持っていくのは分かったけど引き摺るのは止めろ、地面には溝が出来て迷惑だし石畳の上だと金属が擦れる音が煩過ぎる」
「ん」
返事をしたと思ったら持ち上げて肩に乗せた。引き摺ってるだけでも異様な光景だったのに肩に乗せたら更に異様さが増した。
「まぁ、いいか。どうせ陣を使ってすぐだしな」
「いや、国には海路で帰る」
「? なんでわざわざ、陣がない場所に行くのか?」
「ティナさんも来てくれるんだろう? 少し能力を使って手伝ってもらいたい事があるんだよ」
「んふふ~、しょうがないわね~。ワタルの友達だから特別に聞いてあげるわ」
「抱き付くな、胸を押し付けるなっ」
「興奮しちゃう? 可愛いわね~」
「慣れたからそれはない。恥ずかしいんだよ、べたべたされると」
「そう……ワタルにとって私は恥ずかしい女だったのね…………」
「えっ、いや、そうじゃなくて――」
「動揺したワタルも可愛いーっ」
「いい加減にしろティナ。そんな事ばかりしてるとワタルに嫌われるぞ、それはそれで私は構わないが」
抱き付いてくるティナをナハトが引き剥がしてくれた。
「んっふっふ、それは無いわね」
何を根拠に…………確かにこんな事くらいじゃ嫌いになんかならないが――ん?
「ナハト日本刀なんか使うのか?」
ナハトの腰には大太刀と言っていいほどの長さの日本刀がある。
「ああ、まんがに出ていてずっと気になっていてな。クロイツに居る刀匠に依頼していたのがようやく出来たのだ。見てくれこの黒刀、名はへし切航だ」
「あぁそう――っておい!? なに勝手に俺の名前使ってるんだ!?」
しかもへし切長谷部をもじってるし、もじるなら航じゃなく刀匠の名を入れないと駄目だろう。ひらがなを覚えてからというもの漫画にハマってたからって自分でも日本刀を持つのか。
「ワタルが悪いのだ、何人も女を作るから……私は私だけのワタルが欲しかったのだ。股がけの事に口出ししていないのだからこのくらい大目に見てくれ」
ナハトが日本刀を抱いて唇を尖らせ拗ねている。
「うぐぅ…………」
今までは特に何もなかったはずなのに酔っ払った一件で一気に立場が…………。
「ワタル様、本当に行ってしまわれるのですね」
そんな寂しそうな顔をされましても……シロなんてこっち見もしないんだけど。
「友達なら恋とか紅月が居るだろ? それにせっかく自由なんだし何か始めてみたりとか……あ~…………そうだ、落ち着いたら色んな所を旅しよう。クロもシロも見たことない場所を回って、それで――」
「ふふふ」
穏やかな微笑みを向けられてしまった。親が子供に向けるような視線な感じが少しする。
「変な事言ったか?」
「いえ、また同じ約束をしてくださったので」
「同じ?」
「やっぱり覚えておられるわけじゃないのですね。式典があった日に同じことを言ってくださったのですよ?」
「……ごめん、全然覚えてない」
「いいのです、ワタル様が心から言ってくださっているのだと分かりましたから。ほら、シロナもお別れをしないと」
「ず、ずびばせん。泣かないつもりだったのでずが……ワダルさば、今のクロエ様との約束を破ったら許じばぜんよ」
「シロ、泣き過ぎ」
「仕方ないじゃないですか、ワタル様だけじゃなく皆さんともしばらく会えなくなってしまうのですから、リオさんとは特に仲良くしていただきましたし」
俺にはぷいっと顔を背けてリオの方へ行って別れを惜しんでいる。リオ、クロ、シロはよく一緒にいたしなぁ。
「フィオさん、ワタル様の事よろしくお願いしますね」
クロよ、せめて年上のティナかナハトに頼んでくれよ。年下の娘にお守りを頼まれてしまう俺の立場は…………フィオは強いけどさ。
「ん、絶対守る」
「んじゃあ行ってくる」
「はい、お気をつけて。お帰りをお待ちしてます」
「それで、陣を使わずわざわざ船で帰る理由は?」
陣を使ってクロイツ南端の町に来たが、船の出港まで時間があるとの事で宿屋で休んでいる。
「貴方、本当に来ますのね。面倒な情勢の時期に来るなんて物好きですのね――」
「とか言ってるけど実は喜んでるから気にしないように」
「っ!? タカアキっ、別に私は喜んでなどいませんわ」
「その割には国に居た時より随分と表情が柔らかいよ。クロイツに来て友達に会えてよかったね」
「そ、それは、その……確かにアリシア達に会えたのはよかったですけど、この重婚男が付いてくるのは嬉しくなんかありません」
してない、重婚してないよ……あれ? 婚約でも重婚なのか? というかどうすればいいんだ……破棄? 俺から言った事なのに? うおぉぉぉ…………。
「まぁまぁ、民の為に魔物討伐とかに協力してくれるんだから」
「…………」
天明の姫さんには嫌われてるようだ。当然だな、普通に不誠実な状況だし。
「……海路で帰るのはドラウトからクロイツまでの航路で出る海賊退治をしておきたいからなんだ。結城さんの陣のおかげで移動は便利になっているけど金持ちの道楽で船旅をしようって人も結構いるし漁をする為に遠出する人も居る。そういった船が襲撃を受けて人攫いとかも起こってる」
「? そんなの簡単に潰せるんじゃないのか?」
「海賊の中にも覚醒者が居るんですの、その上私のタカアキは有名ですから身を隠していても違和感を嗅ぎ取って逃げてしまうのですわ」
「一つ質問、迷惑かけてるのって異界者?」
「報告では異界者数人と残りは混血者とヴァーンシア人かな、異界者の方はまだ学生とか――ほら、凄い力を手に入れたら使ってみたくなったりするだろ? その延長線というか、不良っぽいのが偶々海賊たちと出会って組んだみたいだ」
状況が違えばそんな心境にもなるか。俺が電撃使えるようになった時はビビったけどなぁ。
「あ~、なるほど。それでティナの能力か。見える範囲に居れば逃げようとしても追えるもんな……ん? 見える範囲に居るなら船で追えないのか?」
「あっちには目が良いのが居るみたいで追えない距離で様子見をして襲うかどうかの判断をしてるみたいなんだ。だからちょろちょろと逃げ回られてる。それに海路を管理してるのがソフィアと継承権争いをしている一人だからうちの騎士団が関わるのを嫌って協力を断られっぱなしでね」
「一度参加した時にあちらが変な指示をして逃げられたくせにタカアキのせいにして非難ばかりするんですのよ!」
「はぁ、帰る途中で出くわしたから退治しました。って方針?」
「そうなるね」
海賊、か…………人間と戦うのはかなり抵抗があるな。剣は抜かず電撃だけで対処しないと、人間を斬るのはもうしたくないな。
話がある、と呼ばれてクロの部屋に来てみれば、ソファーに座らせられて左右をクロとシロに挟まれて、こてっと頭を預けられている。
「ダメ、ですか? ワタル様は明日には発たれてしまうのだから今だけはお許しください」
「そうですよ。酔っ払っていたとはいえあんな事をして婚約までしてしまったんだから大人しく諦めてください」
「……諦めるという言い方は少し悲しいですね。やはり私たちでは不足ですか?」
「ああっ!? そんな事ないですクロエ様、クロエ様で不足なら私はどうなってしまうんですかっ」
俺を睨まれましても、俺が言ったんじゃないもの。というか酔った上での話だと分かってるのにシロは納得してるのか? 俺は一体どんな風に言い包めたんだ?
「不足とかはないけど、二人とも納得してるのか? 酔ってた上に他にも同じ事を言ってたやつだぞ?」
「納得していなければこのような事するわけないじゃないですかっ、クロエ様と私を馬鹿にしてるんですか?」
顔を赤くして拗ねた様にシロが怒ってるが、股がけの方を馬鹿にしてる、と怒るべきでは? そこはいいのか? 許されてるのか?
「皆様と話し合ってワタル様は全員で共有するという事になっていますので構いませんよ。覚えておられませんか? それにワタル様は私の欲しかったものをくださった方ですから、ワタル様がいいのです」
なにそれ、覚えておられませんよ…………俺最低だな!? 不誠実きわまりないぞ。一体どうしてこうなった。結局何を話すでもなくこの日は丸一日クロとシロに甘えられた。シロは意外に甘え上手で、撫でて欲しいと言ってみたりシロにしては大胆にも腕にしがみ付いてみたりといつも以上に可愛かった。今まで甘える相手が居なかったクロは戸惑いながらもシロの真似をしてシロとは反対側に寄り添って優しい笑顔を向けてくれていた。
「フィオ……本当にそれ持って歩くのか?」
ディアボロス戦で使った大剣アル・マヒク、当然の如くこれも紋様で強化されている。効果は重量を増やし硬度を上げるというもの、斬ると言うよりは叩き潰す事が目的みたいだ。ただでさえ馬鹿デカい剣で重さも相当だというのに加重してるから普通の人間には扱えない物になっている。他にもナイフが新調され、ガントレットやグリーブまで…………鬼に金棒を与え過ぎである。北の大陸にも厄介な物が多かったとは聞いたけど、ガントレットは電気が利かないから俺の電撃も殴って弾けるようになってるし、グリーブは硬度が異様に高くフィオなら簡単に岩も蹴り砕ける。オリハルコン製の金色のナイフ、アゾットは持ち主の自己治癒力を高め、俺の黒剣と同じく黒い方のタナトスは斬った相手を弱体化させる効果があるそうだ。死にかけた一件で力が増したような事を言ってたし、この最強ロリはどこまで強くなるのやら…………。
「あると便利」
不便さの方が大きいかと思いますが、使う気が無い時はずるずると引き摺って轍の様なものをあとに残して行ってるし――。
「そんなの使わないといけない程の魔物なんて多分ドラウトには居ないと思うぞ。なぁ?」
「ああ、ディアボロスみないなのが居たらもっと早くに救援を頼んだりしてるよ。危険な物が居るって問題じゃなくて町の近くで見かける事が多くなってるから住民が不安がっている事が問題だから」
「…………持っていく」
何を意地になってるんだか、まぁ好きにすればいいけど。
「持っていくのは分かったけど引き摺るのは止めろ、地面には溝が出来て迷惑だし石畳の上だと金属が擦れる音が煩過ぎる」
「ん」
返事をしたと思ったら持ち上げて肩に乗せた。引き摺ってるだけでも異様な光景だったのに肩に乗せたら更に異様さが増した。
「まぁ、いいか。どうせ陣を使ってすぐだしな」
「いや、国には海路で帰る」
「? なんでわざわざ、陣がない場所に行くのか?」
「ティナさんも来てくれるんだろう? 少し能力を使って手伝ってもらいたい事があるんだよ」
「んふふ~、しょうがないわね~。ワタルの友達だから特別に聞いてあげるわ」
「抱き付くな、胸を押し付けるなっ」
「興奮しちゃう? 可愛いわね~」
「慣れたからそれはない。恥ずかしいんだよ、べたべたされると」
「そう……ワタルにとって私は恥ずかしい女だったのね…………」
「えっ、いや、そうじゃなくて――」
「動揺したワタルも可愛いーっ」
「いい加減にしろティナ。そんな事ばかりしてるとワタルに嫌われるぞ、それはそれで私は構わないが」
抱き付いてくるティナをナハトが引き剥がしてくれた。
「んっふっふ、それは無いわね」
何を根拠に…………確かにこんな事くらいじゃ嫌いになんかならないが――ん?
「ナハト日本刀なんか使うのか?」
ナハトの腰には大太刀と言っていいほどの長さの日本刀がある。
「ああ、まんがに出ていてずっと気になっていてな。クロイツに居る刀匠に依頼していたのがようやく出来たのだ。見てくれこの黒刀、名はへし切航だ」
「あぁそう――っておい!? なに勝手に俺の名前使ってるんだ!?」
しかもへし切長谷部をもじってるし、もじるなら航じゃなく刀匠の名を入れないと駄目だろう。ひらがなを覚えてからというもの漫画にハマってたからって自分でも日本刀を持つのか。
「ワタルが悪いのだ、何人も女を作るから……私は私だけのワタルが欲しかったのだ。股がけの事に口出ししていないのだからこのくらい大目に見てくれ」
ナハトが日本刀を抱いて唇を尖らせ拗ねている。
「うぐぅ…………」
今までは特に何もなかったはずなのに酔っ払った一件で一気に立場が…………。
「ワタル様、本当に行ってしまわれるのですね」
そんな寂しそうな顔をされましても……シロなんてこっち見もしないんだけど。
「友達なら恋とか紅月が居るだろ? それにせっかく自由なんだし何か始めてみたりとか……あ~…………そうだ、落ち着いたら色んな所を旅しよう。クロもシロも見たことない場所を回って、それで――」
「ふふふ」
穏やかな微笑みを向けられてしまった。親が子供に向けるような視線な感じが少しする。
「変な事言ったか?」
「いえ、また同じ約束をしてくださったので」
「同じ?」
「やっぱり覚えておられるわけじゃないのですね。式典があった日に同じことを言ってくださったのですよ?」
「……ごめん、全然覚えてない」
「いいのです、ワタル様が心から言ってくださっているのだと分かりましたから。ほら、シロナもお別れをしないと」
「ず、ずびばせん。泣かないつもりだったのでずが……ワダルさば、今のクロエ様との約束を破ったら許じばぜんよ」
「シロ、泣き過ぎ」
「仕方ないじゃないですか、ワタル様だけじゃなく皆さんともしばらく会えなくなってしまうのですから、リオさんとは特に仲良くしていただきましたし」
俺にはぷいっと顔を背けてリオの方へ行って別れを惜しんでいる。リオ、クロ、シロはよく一緒にいたしなぁ。
「フィオさん、ワタル様の事よろしくお願いしますね」
クロよ、せめて年上のティナかナハトに頼んでくれよ。年下の娘にお守りを頼まれてしまう俺の立場は…………フィオは強いけどさ。
「ん、絶対守る」
「んじゃあ行ってくる」
「はい、お気をつけて。お帰りをお待ちしてます」
「それで、陣を使わずわざわざ船で帰る理由は?」
陣を使ってクロイツ南端の町に来たが、船の出港まで時間があるとの事で宿屋で休んでいる。
「貴方、本当に来ますのね。面倒な情勢の時期に来るなんて物好きですのね――」
「とか言ってるけど実は喜んでるから気にしないように」
「っ!? タカアキっ、別に私は喜んでなどいませんわ」
「その割には国に居た時より随分と表情が柔らかいよ。クロイツに来て友達に会えてよかったね」
「そ、それは、その……確かにアリシア達に会えたのはよかったですけど、この重婚男が付いてくるのは嬉しくなんかありません」
してない、重婚してないよ……あれ? 婚約でも重婚なのか? というかどうすればいいんだ……破棄? 俺から言った事なのに? うおぉぉぉ…………。
「まぁまぁ、民の為に魔物討伐とかに協力してくれるんだから」
「…………」
天明の姫さんには嫌われてるようだ。当然だな、普通に不誠実な状況だし。
「……海路で帰るのはドラウトからクロイツまでの航路で出る海賊退治をしておきたいからなんだ。結城さんの陣のおかげで移動は便利になっているけど金持ちの道楽で船旅をしようって人も結構いるし漁をする為に遠出する人も居る。そういった船が襲撃を受けて人攫いとかも起こってる」
「? そんなの簡単に潰せるんじゃないのか?」
「海賊の中にも覚醒者が居るんですの、その上私のタカアキは有名ですから身を隠していても違和感を嗅ぎ取って逃げてしまうのですわ」
「一つ質問、迷惑かけてるのって異界者?」
「報告では異界者数人と残りは混血者とヴァーンシア人かな、異界者の方はまだ学生とか――ほら、凄い力を手に入れたら使ってみたくなったりするだろ? その延長線というか、不良っぽいのが偶々海賊たちと出会って組んだみたいだ」
状況が違えばそんな心境にもなるか。俺が電撃使えるようになった時はビビったけどなぁ。
「あ~、なるほど。それでティナの能力か。見える範囲に居れば逃げようとしても追えるもんな……ん? 見える範囲に居るなら船で追えないのか?」
「あっちには目が良いのが居るみたいで追えない距離で様子見をして襲うかどうかの判断をしてるみたいなんだ。だからちょろちょろと逃げ回られてる。それに海路を管理してるのがソフィアと継承権争いをしている一人だからうちの騎士団が関わるのを嫌って協力を断られっぱなしでね」
「一度参加した時にあちらが変な指示をして逃げられたくせにタカアキのせいにして非難ばかりするんですのよ!」
「はぁ、帰る途中で出くわしたから退治しました。って方針?」
「そうなるね」
海賊、か…………人間と戦うのはかなり抵抗があるな。剣は抜かず電撃だけで対処しないと、人間を斬るのはもうしたくないな。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど何もしなかったらヒロインがイジメを自演し始めたのでお望み通りにしてあげました。魔法で(°∀°)
ラララキヲ
ファンタジー
乙女ゲームのラスボスになって死ぬ悪役令嬢に転生したけれど、中身が転生者な時点で既に乙女ゲームは破綻していると思うの。だからわたくしはわたくしのままに生きるわ。
……それなのにヒロインさんがイジメを自演し始めた。ゲームのストーリーを展開したいと言う事はヒロインさんはわたくしが死ぬ事をお望みね?なら、わたくしも戦いますわ。
でも、わたくしも暇じゃないので魔法でね。
ヒロイン「私はホラー映画の主人公か?!」
『見えない何か』に襲われるヒロインは────
※作中『イジメ』という表現が出てきますがこの作品はイジメを肯定するものではありません※
※作中、『イジメ』は、していません。生死をかけた戦いです※
◇テンプレ乙女ゲーム舞台転生。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げてます。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる