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その1 授業をサボってはダメです

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どこまでも青い空、白い雲!
……本当は今曇り空で、全然青くなくて灰色の空で、灰色の雲だけど。
きれいな景色!……今ら曇り空のせいで、あまりきれいな景色ではないけど。
そういえば前も曇り空で、その前も曇り空で、そのまた前も曇り空だったっけ?
あ、その時は雨が降ってきて大変だったっけ。
……ふふ、ふふふ。なんでいつも私ばかりこんな目にあうのだろう。どうしていつも私だけ。どうしていつも私だけ。どうしていつも私だけ……。
私アカリは、授業をサボって学校の屋上に来ていた。本当はダメだけど、まあバレないだろうから大丈夫!
なぜ学校の屋上に来ていたのかというと、私の性格を変えるためだ。
小さいころから、なにかあるたびに「どうしていつも私だけ」と考えてしまう。なんとか気持ちを切り替えようとするのだが、またすぐに同じことを考えしまう。ずっとそれを繰り返してきた。
そんな時私の通う学校でこんな話を聞いた。
「学校の屋上に行くといいことがある」と。
私はその話を聞いて、すぐに行こうと思った。きっと暗い気持ちが吹き飛ぶぐらいのなにかすごいことがあるに違いない。
「善はいぞけ」ということわざがあるので、さっそく授業をサボって行くことにした。
ふふふ。私を変えるわよー!
しかし1つだけ問題がある。どうやって授業をサボって、屋上に行くかだ。屋上へ行くことは禁止されている。
その時私はあることを思いついた。さすが私、天才ね!さっそく次の授業で使うわよ!


次の授業が始まってしばらくして、
「先生、急に熱が出たので保健室に行ってきまーす!」
と私は先生にそう言うと、立ち上がって大急ぎで教室を出た。体調が悪く保健室へ行くと言えば、皆私が保健室へ行ったと思いこむ。
そして屋上へ行ったことがバレない!
さらに授業中ならあまり人はいないため、屋上に入ったことがバレることがないからだ。
さすが私、本当に天才ね!
ゆっくりしてしまっていたら、授業をサボって屋上に行くことがバレてしまう。そうなると、先生や親に怒られ皆に笑われてしまう。
そんなこと絶対にあってはいけない!
そう思い私は大急ぎで、屋上へと向かった。
屋上の扉は、古くてなかなか開かなかったけど気合いを入れたらなんとか開いた。
開いた扉から屋上へ入ると。そこには柵のない灰色の広い床の屋上があった。
「……」
私は屋上の真ん中でじっと座っていた。端になどいけるわけがない。
だって柵がないからだ。
……さっきつい好奇心でどんな景色なのかなと見てしまった。地面や草木が小さく見えて、「あ、怖い」と思ってしまった。そのため真ん中でじっと座っている。
真ん中にじっと座っていれば、よっぽどのことがない限り動くことはないし、さっきの景色を見ることがない。あとはいいことが起こるまで、ジッと待つだけよ。
さすが、私!天才よ私!


とそんなことを考えてどのくらいだったんだろう。座っているのになんでだろう、なぜかしんどい。なんでこんなにしんどいの?
(理由:長い時間同じ姿勢で座っているから、腰や肩が痛くなってきたから)
そ、そろそろ立ってもいいかな?
……いやダメよ。またあの怖さ景色を見ることになって、怖い思いをすることになるのよ。絶対に座っていないとダメよ!
……でもちょっとぐらいは立っていいよね。なぜか腰が痛い。座っているのに……。
(理由:長い時間で同じ姿勢を座っていたからである)
ちょっとだけ、ちょっとだけならいいよね。
そう思って立とうとした時。
キーンコーンカーンコーン、と音が鳴った。
……あ、授業が終わった。
あ、授業中に戻ろうと思っていたのに……。
すっかり忘れてた!!
今気づいたけど、保健室に先生が見にくるんじゃ……。そ、そうなったら屋上に来たことがバレちゃう!
……あ、いそいで走れば大丈夫よ。さっきチャイムが鳴ったばかりだから大いそぎでいけばまだ間に合うわ。さすが私、天才ね私!
よし、それじゃ……いそがないと!
そして私は大いそぎで教室へと戻ったのであった。



その後のことは全く覚えていないが、たぶん大丈夫。なんか皆ちょっとかわいそうな目で見ているような気がするけど、きっと気のせいよ!
そしてそれを何回繰り返したんだろうか。何回も屋上に来て、じっと座って待っているのに何も起こらない。
……なぜだろう?
……あ、そっか。私は気づいてしまった。
「学校の屋上に行くといいことがある」という話は嘘で、私は騙されたのか。
……ふふふふふふ。私は昔から騙されやすい。今思い出したけど、小さいときに食べるといいことがあるお菓子を買って食べたけど、何も起こらなかったっけ。
あれからもう騙されないと決意したのに、何回も何回も騙されたんだっけ……。
本当に私って騙されやすいな。ふふふふふふ。
「……あのすいません。もう教室に戻ったほうがいいですよ。もう少しでチャイムが鳴るので」
「……はい、そうします。教えてくれてありがとうございます」
……ん?今誰がしゃべったんだろう?
今ここには私しかいないはずだが。
「はやく戻ってくださいね」
声のしたほうへ振り向くと、私と同じ年くらいの少年がいた。
どうやってやったのか左目あたりだけが包帯をしていて、右目の瞳がとても赤い。学生服はなんだろう。なんかこう昔ながらのデザインだ。どこかで見たことあるけど、名前が分からないよ……。
「…えっとこんにちは」
「あ、こんにちは」
「……ん?」
とりあえずあいさつをしてふと気づく。いつの間にこの子はいたのだろうか。
扉は1つだけなので、誰かが来たらすぐに分かる。だけれど誰も来なかった。
ま、まさか……。恐る恐る聞いてみる。
「あ、あの……」
「はい」
「おかしなことを聞くんですが……。その、あの、えっと……。お、お化けではないですよね?」
「はい、お化けです」
「あ、やっぱりそうなんですか。へえー」

「ってえええーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー?」
私は驚きすぎてなぜか後ろに動いてしまった。そのせいで後ろにあった壁におもいっきりぶつかってしまった。

「いったーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!」

その時ゴーンと大きな音が鳴ったようで、なぜか学校中にその音が響いたらしい……。
な、なんで……?
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