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王と王弟、そして影 2
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「え…………?」
一瞬、弟は、兄が何を言ったのか理解できなかった。
「閨教育で」
兄が日陰見、日陰は物言わず頷いた。
「何故……、影と?」
「……信頼できる者は限られている。その上で最適な閨教育を施してくれる者は影しかいない」
「どうして……」
言葉が上手く出ない。だが、兄は弟が言いたいことを汲み取った。
「知らなければ……ーー避けられない」
男達からの悪意も、女達からの悪意も。
「だから……知っている。女の抱き方、男の抱き方……抱かれ方も。リシェを可愛がるのにも役に立ったろう?」
「……」
「そんな泣きそうな表情をしなくていい。信頼しているのかと聞かれたから、“影を信じて……自らを委ねているーー”大前提としてそれがあることを教えておこうと思っただけだ」
薄っすら笑う兄を見ながら、弟は居たたまれなくなり……気づいた時には言葉が零れ落ちていた。
「僕……、やっぱりいやらしい子なんだね。ーーに、兄さまは、へ……、平気だったんでしょ? り、僕……直ぐ、肛門……疼いて仕方なくなった……! 兄さまに、して、欲しくて……男根を肛門に挿れて欲しくて……我慢できなくなった! 直ぐに!!」
兄は、頬に羞恥を滲ませて訴える弟の頭を撫でてやりながら、その訳を教えてやった。
「影が誘導してくれたよ。ーーティゼに深く酩酊して揺蕩う間……夢現の中で。影に抱かれながら、リシェを抱いていた……ずっと――リシェだけだ。そして、ティゼが……白のティゼも、青のティゼも効かなくなった頃……閨教育も終わった」
兄は、弟の顎を捉え、音を立てて口づけた。
「すまなかったな、いやらしい兄で」
何度も口づけを交わす合間に、弟は兄に囁いた。
「に……さま、……ほんと、は……少しも、おも‥‥‥って、ない……」
「ーーん?」
「すまない、……って……」
兄は、微笑むだけで応えない。
「おもわなく……て、いい……僕、うれし……い……。やっぱり……僕の方、が……いやらしい子、なんだね……。すごく……うれしい、もの……兄さまが、抱いててくたの……僕なのが……」
ーー聞いていい? と、弟は重ねて兄に問う。
「日陰……は? 日陰、も……?」
クスり、と笑って、兄は日陰を見ながら答えた。
「多分……?」
「ーー多分?」
兄が曖昧に流したように、日陰もまた、同じように返した。
弟は兄とした戯れを思い出す。
そして兄は、日陰に問い掛けた。
「日陰……俺をやろうか? ーー望むなら。今、ここで」
ーー挑むように。
一瞬、弟は、兄が何を言ったのか理解できなかった。
「閨教育で」
兄が日陰見、日陰は物言わず頷いた。
「何故……、影と?」
「……信頼できる者は限られている。その上で最適な閨教育を施してくれる者は影しかいない」
「どうして……」
言葉が上手く出ない。だが、兄は弟が言いたいことを汲み取った。
「知らなければ……ーー避けられない」
男達からの悪意も、女達からの悪意も。
「だから……知っている。女の抱き方、男の抱き方……抱かれ方も。リシェを可愛がるのにも役に立ったろう?」
「……」
「そんな泣きそうな表情をしなくていい。信頼しているのかと聞かれたから、“影を信じて……自らを委ねているーー”大前提としてそれがあることを教えておこうと思っただけだ」
薄っすら笑う兄を見ながら、弟は居たたまれなくなり……気づいた時には言葉が零れ落ちていた。
「僕……、やっぱりいやらしい子なんだね。ーーに、兄さまは、へ……、平気だったんでしょ? り、僕……直ぐ、肛門……疼いて仕方なくなった……! 兄さまに、して、欲しくて……男根を肛門に挿れて欲しくて……我慢できなくなった! 直ぐに!!」
兄は、頬に羞恥を滲ませて訴える弟の頭を撫でてやりながら、その訳を教えてやった。
「影が誘導してくれたよ。ーーティゼに深く酩酊して揺蕩う間……夢現の中で。影に抱かれながら、リシェを抱いていた……ずっと――リシェだけだ。そして、ティゼが……白のティゼも、青のティゼも効かなくなった頃……閨教育も終わった」
兄は、弟の顎を捉え、音を立てて口づけた。
「すまなかったな、いやらしい兄で」
何度も口づけを交わす合間に、弟は兄に囁いた。
「に……さま、……ほんと、は……少しも、おも‥‥‥って、ない……」
「ーーん?」
「すまない、……って……」
兄は、微笑むだけで応えない。
「おもわなく……て、いい……僕、うれし……い……。やっぱり……僕の方、が……いやらしい子、なんだね……。すごく……うれしい、もの……兄さまが、抱いててくたの……僕なのが……」
ーー聞いていい? と、弟は重ねて兄に問う。
「日陰……は? 日陰、も……?」
クスり、と笑って、兄は日陰を見ながら答えた。
「多分……?」
「ーー多分?」
兄が曖昧に流したように、日陰もまた、同じように返した。
弟は兄とした戯れを思い出す。
そして兄は、日陰に問い掛けた。
「日陰……俺をやろうか? ーー望むなら。今、ここで」
ーー挑むように。
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