60 / 66
粛正 2 ー慰撫 《サクリファイス》1ー # R18
しおりを挟む
「兄さまっ!!」
ふらりと現れた兄は血に濡れ、尋常ではない様子で、弟と日陰の前に立った。
「血が!」
兄の服は血痕が飛び散り、血生臭い香を放っていた。
「大事ない」
「ーーきゃあ!」
ひと言、言い捨て、兄は血に塗れたまま、弟を抱き上げた。
「主! 浄めを!!」
立ちはだかった日陰を、兄は物ともしなかった。
「いらぬ。そこをどけ」
恐らく……滅多に動じる姿を見せぬだろう日陰が怯み、その脇を兄はすり抜けた。
ーーすり抜け様、弟はシェイドに微かに首を振った。
「ーーっっ!」
弟は、乱暴に褥に放り投げられ身体を起こそうと手をついた時、間髪を入れず兄が覆い被さり、噛みつくように口づけられた。
「は…ぁっ、に…さま、兄さま! 頬に、血が…、血を、拭かせて!」
「捨ておけ」
兄はにべもなく、だが弟は食い下がった。微笑みを浮かべて。
「なら……、僕に舐めさせて? ね? 兄さま……」
「……駄目だ。これはーー汚れた血」
「兄さま。血を拭かせてくださいーー駄目なら僕、舐める。舐めて……綺麗にするから」
兄の頬に手を伸ばし、焦点を結ばない冷えた兄の眼を、それでも見つめながら弟が言葉を重ねた。
「…………」
「日陰」
弟が伸ばした手に、日陰はハーブ水を浸した更紗を乗せ、弟はようやっと兄の頬にこびりついていた血糊をふき取った。
兄の頬から更紗が離れると、兄は更紗を奪い取り投げ捨てた。そして、血痕が散る服を脱ぎ捨てて放る。それを弟は黙って待った。
「あ……!」
うつ伏せに身体を返され、腰を掴まれ尻を上げさせられた。
肛門を開かれたーーと、弟が思う間もなく唇が触れ、舌で嬲られる。
ぴちゃっ……
「に……さま……っ! あ……い、いっぱい、舐……めて……」
だが、弟が兄の舌戯に酔う前に、肛門が解ける前に、猛り切った兄の男根が肛門に当てられた。
「主っ!! 駄目です軟膏を」
「日陰、いいから黙って!! ーーーー……ひ……ぃ……あ、く……っ……っっ!! ああっ!!」
肛門を引き裂かれる鋭い痛みに、弟は飲み込み損ねた声を上げた。
「ーーっ、……ひぁ……っ……く……ぅ……ーーっっ!」
無理やり男根をねじ込まれ容赦なく揺さぶられながら、弟の頬は生理的な涙に濡れた。
だが、本当だったらーー 一番最初に与えられてもおかしくない痛みだった。愚かにも痛みを望む自分を……それでも兄は、大事に……大事に抱いてくれていたのだ、そう弟は思う。
「う……あ…ぁ……! あ……、白い、ティゼ…………日陰……僕、女の子じゃないって……言って……の、に」
痛みに目を歪ませながら、弟はふふっ……と、笑う。日陰が、少しでも痛みを紛らわせられるよう、ティゼを焚いてくれたことは分かっていた。
「ーー……! くっ……ぅ……!」
肛門の最奥に白濁を叩きつけた。
兄が荒く息を吐いた後、ずるっと血濡れた男根が抜かれたが、弟は痛みに耐えて身体を返して、兄に腕を差し伸べた。
「まだ……、もっと……」
兄は弟の足を抱え、未だ猛る男根を弟の肛門に沈めた。
「んっっ……くっ……ーーぅ……」
苛まれる時間は長く続いた。だが、それでも弟は一度も痛みを訴えることなく、ただ一心に兄を求め、兄を慰め続けた。
「あ……」
一瞬、気を飛ばしたらしい弟は、覚醒して直ぐ兄の姿を探した。
兄は、血に濡れた服ではなく、日陰が用意したであろう、服に袖を通していた。
「兄さま……」
振り返った兄は未だ、荒んだ眼をしていた。
弟は兄に掛ける言葉を探せず、兄は、弟を一瞥したが何も発せず身体を返した。
ーーバシンッ……! ーー
その時、兄の頬が張られる音が響き、空気が凍った。
ふらりと現れた兄は血に濡れ、尋常ではない様子で、弟と日陰の前に立った。
「血が!」
兄の服は血痕が飛び散り、血生臭い香を放っていた。
「大事ない」
「ーーきゃあ!」
ひと言、言い捨て、兄は血に塗れたまま、弟を抱き上げた。
「主! 浄めを!!」
立ちはだかった日陰を、兄は物ともしなかった。
「いらぬ。そこをどけ」
恐らく……滅多に動じる姿を見せぬだろう日陰が怯み、その脇を兄はすり抜けた。
ーーすり抜け様、弟はシェイドに微かに首を振った。
「ーーっっ!」
弟は、乱暴に褥に放り投げられ身体を起こそうと手をついた時、間髪を入れず兄が覆い被さり、噛みつくように口づけられた。
「は…ぁっ、に…さま、兄さま! 頬に、血が…、血を、拭かせて!」
「捨ておけ」
兄はにべもなく、だが弟は食い下がった。微笑みを浮かべて。
「なら……、僕に舐めさせて? ね? 兄さま……」
「……駄目だ。これはーー汚れた血」
「兄さま。血を拭かせてくださいーー駄目なら僕、舐める。舐めて……綺麗にするから」
兄の頬に手を伸ばし、焦点を結ばない冷えた兄の眼を、それでも見つめながら弟が言葉を重ねた。
「…………」
「日陰」
弟が伸ばした手に、日陰はハーブ水を浸した更紗を乗せ、弟はようやっと兄の頬にこびりついていた血糊をふき取った。
兄の頬から更紗が離れると、兄は更紗を奪い取り投げ捨てた。そして、血痕が散る服を脱ぎ捨てて放る。それを弟は黙って待った。
「あ……!」
うつ伏せに身体を返され、腰を掴まれ尻を上げさせられた。
肛門を開かれたーーと、弟が思う間もなく唇が触れ、舌で嬲られる。
ぴちゃっ……
「に……さま……っ! あ……い、いっぱい、舐……めて……」
だが、弟が兄の舌戯に酔う前に、肛門が解ける前に、猛り切った兄の男根が肛門に当てられた。
「主っ!! 駄目です軟膏を」
「日陰、いいから黙って!! ーーーー……ひ……ぃ……あ、く……っ……っっ!! ああっ!!」
肛門を引き裂かれる鋭い痛みに、弟は飲み込み損ねた声を上げた。
「ーーっ、……ひぁ……っ……く……ぅ……ーーっっ!」
無理やり男根をねじ込まれ容赦なく揺さぶられながら、弟の頬は生理的な涙に濡れた。
だが、本当だったらーー 一番最初に与えられてもおかしくない痛みだった。愚かにも痛みを望む自分を……それでも兄は、大事に……大事に抱いてくれていたのだ、そう弟は思う。
「う……あ…ぁ……! あ……、白い、ティゼ…………日陰……僕、女の子じゃないって……言って……の、に」
痛みに目を歪ませながら、弟はふふっ……と、笑う。日陰が、少しでも痛みを紛らわせられるよう、ティゼを焚いてくれたことは分かっていた。
「ーー……! くっ……ぅ……!」
肛門の最奥に白濁を叩きつけた。
兄が荒く息を吐いた後、ずるっと血濡れた男根が抜かれたが、弟は痛みに耐えて身体を返して、兄に腕を差し伸べた。
「まだ……、もっと……」
兄は弟の足を抱え、未だ猛る男根を弟の肛門に沈めた。
「んっっ……くっ……ーーぅ……」
苛まれる時間は長く続いた。だが、それでも弟は一度も痛みを訴えることなく、ただ一心に兄を求め、兄を慰め続けた。
「あ……」
一瞬、気を飛ばしたらしい弟は、覚醒して直ぐ兄の姿を探した。
兄は、血に濡れた服ではなく、日陰が用意したであろう、服に袖を通していた。
「兄さま……」
振り返った兄は未だ、荒んだ眼をしていた。
弟は兄に掛ける言葉を探せず、兄は、弟を一瞥したが何も発せず身体を返した。
ーーバシンッ……! ーー
その時、兄の頬が張られる音が響き、空気が凍った。
13
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
【完結】抱っこからはじまる恋
* ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
BLoveさまのコンテストに応募しているお話を倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる