1 / 3
エピソード1 まえとび100回できたら
しおりを挟むガンちゃんは、5歳の男の子。
こぎれいに整った前髪の下のまんまるい目。
頭には茶色いカウボーイの帽子がのっかり、
腰にも茶色のカウボーイベルトをしめて、
ちっちゃいジーパンをはいています。
みんなから『3丁目のガンちゃん』って、呼ばれています。
そう呼ばれるきっかけとなったのが、
【耳かっぽじおじさん】との出会いでした。
あれは1年前の春のことでした。
谷中3丁目公園ではちょうど桜が満開の季節、
ガンちゃんは近所のお友達となわ跳びをして遊んでいました。
ガンちゃんは、まだ前跳び30回ができませんでした。
ガンちゃんは、前跳びの練習をしながら、
昨日幼稚園の体育の先生から言われたことを思いだしました。
『まえとび30かい、ちゃーんとできるように、
練習してきてください。いいですか』
ガンちゃんは、スポーツ刈りで背の高い男の高杉先生に向かって叫びました。
『30かいなんて、へちまのへっちゃら、へのかっぱ!
どうせれんしゅうするなら100かいぐらいにして!』
『でたな、ガンジの口八丁ケンジュウ。いいぞ。もっとならしてみろ』
高杉先生は、怒るかわりに笑って言います。
『100かいやってできたら、どっちがながくできるか、
こんどは、せんせいときょうそうだ!』
『よく言ったガンジ。というわけで、次の体育の時間には、
ガンジと先生の前跳び競争をやります』
まわりの子供たちがさわぎはじめました。
『ガンちゃん、ほんとにできるの?』
『たかすぎせんせいにかてっこないわよ』
『むりむり』
足になわとびがひっかかり、
ガンちゃんは、目をさましたように、気がつきました。
目の前に男の人が立っています。
ちょうど、ガンちゃんのお父さんと同じくらいの年齢でしょうか?
野球ぼうをかぶったキツネのように目の細い、
でんとお腹の出ている、見たことのないおじさんでした。
ガンちゃんはまた、数をかぞえながら前跳びを始めました。
でも、何回やっても15回を過ぎたところで、
なわが足に引っかかってしまいます。
『あ~ぁ、そんなんじゃダメダメ。いつまでたっても飛べやしない。
耳をかっぽじって、ようく聞きな』
目の前に立っていた見知らぬおじさんが言いました。
〈続く〉
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
予言姫は最後に微笑む
あんど もあ
ファンタジー
ラズロ伯爵家の娘リリアは、幼い頃に伯爵家の危機を次々と予言し『ラズロの予言姫』と呼ばれているが、実は一度殺されて死に戻りをしていた。
二度目の人生では無事に家の危機を避けて、リリアも16歳。今宵はデビュタントなのだが、そこには……。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる