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【ゆかいなアニカンたち2】
しおりを挟む「ダメです。王子はもっと自覚をもって下さらなければ困ります。人間は我々の敵なのですよ」
「そうです。人間の歌には、俺たち動物を侮辱(ぶじょく)していることが歌われているのですぞ」
「それは、たとえばどんな歌だい? 」
リンリンは不思議そうにトラの顔を覗(のぞ)き込む。
すると、トラはグァッへンと一つ咳払いをしてから、歌いはじめた。
「あぶらはむにんは~七にんの子ォー、ひとりはノッポであとはチビ、みいんな仲良く暮らしてるぅ~」
そこまで歌ってトラはもう一度、グァッへンと咳払いをして、歌いやんだ。
「それのどこが侮辱(ぶじょく)なんだい? 」
「侮辱(ぶじょく)なんてもんじゃありません。この歌をつくった人間は、この牙で一撃にとどめをさしてやりたいくらいです。王子も王子です。もっと真剣に聞いて頂きたかった。いいですかあ」
と、トラはリンリンの耳に上から覆(おお)いかぶさるような仕草で、説明をはじめる。
「まずは、アブラハムニです。これはオレの幼なじみのメスのトラの名前です。それをアブラハムニはノッポだとかチビだとか侮辱(ぶじょく)するにもほどかあるじゃないですか。よくも人間の分際(ぶんざい)で大切なアブラハムニを侮辱(ぶじょく)できたものです」
「そうかあ、アブラハムニは君の初恋の相手なんだね」
それを聞いてペンギンがクックと笑う。
そんなペンギンをトラは物凄い形相(ぎょうそう)で、一瞥(いちべつ)する。
「王子、茶化さないでください。とにかく人間の奴なんかがつくった歌は、歌わないでください」
あまりにトラが嘆願するので、リンリンは、とりあえずうなずいた。
そこで長老のアイアイが、話の腰を折るように話しはじめた。
「皆の衆、そろそろ本題に入ろうじゃないか。皆も知っての通り、今年は上野公園の桜がいまだに咲いていない。これは実に由々しきことじゃ。皆も知っておるじゃろう。お園に伝わる伝説のことを」
「お恥ずかしい話でごわんすが、おいどんはよく知らんですたい。何しろ大昔のことでごわせんか」
話し終わり、豪快な鼻息を吐いたのは、ゴリラのジュジュである。
〈続く〉
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