2 / 56
【ゆかいなアニカンたち2】
しおりを挟む「ダメです。王子はもっと自覚をもって下さらなければ困ります。人間は我々の敵なのですよ」
「そうです。人間の歌には、俺たち動物を侮辱(ぶじょく)していることが歌われているのですぞ」
「それは、たとえばどんな歌だい? 」
リンリンは不思議そうにトラの顔を覗(のぞ)き込む。
すると、トラはグァッへンと一つ咳払いをしてから、歌いはじめた。
「あぶらはむにんは~七にんの子ォー、ひとりはノッポであとはチビ、みいんな仲良く暮らしてるぅ~」
そこまで歌ってトラはもう一度、グァッへンと咳払いをして、歌いやんだ。
「それのどこが侮辱(ぶじょく)なんだい? 」
「侮辱(ぶじょく)なんてもんじゃありません。この歌をつくった人間は、この牙で一撃にとどめをさしてやりたいくらいです。王子も王子です。もっと真剣に聞いて頂きたかった。いいですかあ」
と、トラはリンリンの耳に上から覆(おお)いかぶさるような仕草で、説明をはじめる。
「まずは、アブラハムニです。これはオレの幼なじみのメスのトラの名前です。それをアブラハムニはノッポだとかチビだとか侮辱(ぶじょく)するにもほどかあるじゃないですか。よくも人間の分際(ぶんざい)で大切なアブラハムニを侮辱(ぶじょく)できたものです」
「そうかあ、アブラハムニは君の初恋の相手なんだね」
それを聞いてペンギンがクックと笑う。
そんなペンギンをトラは物凄い形相(ぎょうそう)で、一瞥(いちべつ)する。
「王子、茶化さないでください。とにかく人間の奴なんかがつくった歌は、歌わないでください」
あまりにトラが嘆願するので、リンリンは、とりあえずうなずいた。
そこで長老のアイアイが、話の腰を折るように話しはじめた。
「皆の衆、そろそろ本題に入ろうじゃないか。皆も知っての通り、今年は上野公園の桜がいまだに咲いていない。これは実に由々しきことじゃ。皆も知っておるじゃろう。お園に伝わる伝説のことを」
「お恥ずかしい話でごわんすが、おいどんはよく知らんですたい。何しろ大昔のことでごわせんか」
話し終わり、豪快な鼻息を吐いたのは、ゴリラのジュジュである。
〈続く〉
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
秘書と社長の秘密
廣瀬純七
大衆娯楽
社内の調査のため、社長・高橋健一はこっそり秘書・木村由紀と不思議なアプリで入れ替わることに。
突然“社長役”を任された由紀と、自由に動ける立場を手に入れた高橋。
ふたりの秘密の入れ替わり作戦は、どの様な結末になるのか?
背徳のミラールージュ(母と子 それぞれが年の差恋愛にのめり込んでいく鏡写し)
MisakiNonagase
恋愛
24歳の市役所職員・中村洋平には、自慢の恋人がいた。2歳年上の小学校教師、夏海。誰もが羨む「正解」の幸せの中にいたはずだった。
しかし、50歳になる母・美鈴が21歳の青年・翔吾と恋に落ちたとき、歯車は狂い出す。
母の恋路を「不潔だ」と蔑んでいた洋平だったが、気づけば自分もまた、抗えない引力に引き寄せられていた。
その相手は、母の恋人の母親であり、二回りも年上の柳田悦子。
純愛か、背徳か。4年付き合った恋人を捨ててまで、なぜ僕は「彼女」を求めてしまうのか。
交差する二組の親子。歪な四角関係の果てに、彼らが見つける愛の形とは――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる