3 / 5
エピソード3 合わせて1001話の物語
しおりを挟むつまり、水星や木星や土星が、ドッチボールくらいの大きさで、
部屋の中に浮かんでいたんだ。
5歳の時は、それが何なのか分からなかったけれど、
今思えば、あれは僕の生まれた瞬間の天体図だったのかもしれないね。
僕は長い間、珍しげにあたりを見回してから、
やっと気がついたように壁の本棚に歩いて行って、1冊本を手にとってみた。
どれも5歳の僕の手におさまるくらいの小さな本だった。
1ページめくると、
『5さいのぼくへささげる』
と書いてあった。
また1ページめくると、
『きみいろのとしょかんへようこそ』
と書いてあった。
その本のページをめくっていくと、
僕が主人公の物語が書かれていたんだ。
1冊に1話。
本棚には、合わせて1001話の物語が並んでいた。
アラビアンナイトっていうお話は、千一夜物語とも言うよね。
どうやら、僕たちの体験できる物語は、
本当は千と一回ほどあるみたいなんだ。
僕らは、こうなったらいいな、ああなったらいいなって、よく思うでしょ。
そう思ったことは、本当は、君だけの『きみいろ図書館』の本の中に書かれていて、
君がやればできることなんだ。
この千一話の中には、僕の性格、才能、好きなこと、住む環境のこと、
家族のこと、学校のこと、友達のこと、仕事のこと、それに結婚相手のことも……本の数だけ書かれていた。
ある本では、僕は天文学者の仕事をしていた。
そして、ある日、新しい彗星を発見して、
それからその彗星は、こうじ彗星と呼ばれるようになるんだ。
またある本では、僕は地球の環境を調べる冒険家なんだ。
南極や北極の氷のとけ具合を調べるため犬ゾリで氷上を旅したり、
アフリカのサバンナや砂漠では、野宿をしてかんばつや砂漠化の様子を調査し、
ブラジルでは、密林や川の生態系の変化を観察して報告したりしていた。
他にも、交通事故で足がマヒしてしまい、
車イス生活をしながら、花屋の店員をしている物語。
若い時にアイルランドに留学して、
ある著名な思想家の家にホームステイする物語もあった。
〈続く〉
0
あなたにおすすめの小説
予言姫は最後に微笑む
あんど もあ
ファンタジー
ラズロ伯爵家の娘リリアは、幼い頃に伯爵家の危機を次々と予言し『ラズロの予言姫』と呼ばれているが、実は一度殺されて死に戻りをしていた。
二度目の人生では無事に家の危機を避けて、リリアも16歳。今宵はデビュタントなのだが、そこには……。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
真実の愛には敵いませんもの
あんど もあ
ファンタジー
縁談の相手に「自分には真実の愛の相手がいる」と言われて破談になってしまった私。友人達に聞いてもらって笑い飛ばしてもらいましょう!、と思ったのですが、話は予想外に広まってしまい……。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
- - - - - - - - - - - - -
ただいま後日談の加筆を計画中です。
2025/06/22
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる