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エピソード2 懐かしく安らげる場所
しおりを挟む『すごいだろ。数のかぞえ方はこうだ。
いち、に、さん、し、ご、きみいろ図書館へのトンネルひらけ!』
『じゅもんみたい』
『そうだ。じゅもんなんだ。忘れるな。
誕生日の、午後、5時5分にこのじゅもんを5回繰り返すんだ』
それから僕は、ケイスケおじさんに何度も会ったけど、
それいらい『きみいろ図書館』の話は、してくれなかった。
もしかしたら、忘れてしまったかのかもしれないね。
そして、僕の誕生日は、すぐにやってきた。
僕の5歳の誕生日は12月10日。
その日は月曜日だった。
幼稚園から帰ると、僕はせっせと服を着替えて、おやつを食べた。
そして、5時まで、ずっと絵本に顔をうずめていたんだ。
本当は絵本を読んでるふりをしていただけだった。
気がそわそわして、絵本どころではなかったよ。
ただ、胸の中に抱いていた置き時計がチクタクなっているのを聞いていたんだ。
午後5時3分になると、僕は【トイ・ストーリー】の絵本から顔をあげて、ママに言った。
『おしっこしてくる』
僕は、ひとりトイレの中で、5時5分をむかえた。
もちろん、ケイスケおじさんから聞いた呪文をとなえてみた。
忘れずに5回ね。
そして、目をあけてみたら、知らない部屋の中に立っていたんだ。
不思議なんだけど、そこは立っているだけで、
どこか懐かしい、安らげる場所だった。
壁じゅうにズラリと本棚が並んでいて、
部屋の広さは幼稚園のおゆうぎ場ぐらい。
天井は、ドーム型で壁もプラネタリウムの部屋のようにまるく一周している。
足下のふかふかの絨毯(じゅうたん)には、
大きな七色の虹と、虹の上を男の子が滑り台のように、すべって行く絵が描かれていた。
滑り台の先には海が広がっていて、小さな小舟が浮かんでいる。
その小舟の上にも、男の子が一人のっている。
そして、海をずっと渡っていくと、明るく輝く大きな太陽が描かれていて、
その太陽の真ん中にも、天使のように羽根をつけた男の子が、
太陽の中へ飛んでいく姿が描かれている。
部屋の中央には、プラネタリウムのものとそっくりな映写機が置いてあり、
その映写機を通して、天井には、僕の生まれた瞬間の映像が写し出されていた。
そして、その映写機は、
部屋の中に宇宙の様子も映し出していたんだ。
〈続く〉
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