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エピソード5 森の中へ
しおりを挟む「お前のしたことは許さぬぞ、ジョルディール。
お前はカバをだました。そして、ワシを裏切った。
もう友達なんかじゃない。
お前はこの土地から出て行くんだ。二度と戻ってきてはならぬ。
百獣の王の名にかけて、お前を追放する!」
ライオンはジョルディールのシッポを踏みつけたまま、そう言うと、
満月に向かって、遠く吼(ほ)えました。
そして、高らかに跳躍すると、勇ましい足音と共に、
月明かりの向こうに、消えて行きました。
残されたジョルディールは、とぼとぼと、サバンナを引き返しはじめました。
もう、この沼では、暮らせなくなってしまったのです。
夜が明ける前に、ここから離れて、できるだけ遠くへ行かなければなりません。
ライオンに見つかったら、きっと、食べられてしまうでしょう。
ジョルディールは、東に向かって、どこまでも、ずんずん行きました。
夜が明ける頃、ジョルディールは、とうとうサバンナの東のはずれに着きました。
そこから東へは、果てのない深い森が続いています。
そして、森の奥深くには、真っ白な雪をかぶった大きな山があり、
その山の頂きが、雲の中まで、伸びていました。
ジョルディールは、森の中へ、入って行きました。
辺り一面には、見知らない背の高い草が生えていて、
ジョルディールの鼻を、しきりにくすぐります。
ジョルディールは、こらえきれずに、思わず、
「ジョルディ~ル」
と、鳴きました。
すると、突然、頭の上を覆う、木の枝が揺れ出しました。
ジョルディールが見上げて見ると、
三匹の猿たちが枝にぶらさがって、体を揺らしています。
「なんだ、コイツは」
「何しに来たんだ」
「危険だよ。早く追い出そう!」
猿たちは、しきりに声をあげます。
「待って、僕はジョルディール。僕は住めそうな沼を探しているだけなんだ。
決して、危険なんかじゃないよ。この声に誓って」
「ジョルディール。ジョルディール」
それを聞くと、猿たちは、不思議と信じてみようという気持ちになりました。
木の上で、何やら相談が始まりました。
ジョルディールが、三匹目のハチを口にくわえて飲み込んだ時、
木の上からサルの声が聞こえました。
「ジョルディール。この森は、果てしなく深いよ。
このまま行けば、たちまち迷ってしまう。だから、森の精キリマに会うといいよ」
〈続く〉
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