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エピソード6 金色に光り輝くチーター
しおりを挟む猿たちにそう言われると、ジョルディールも、
森の精キリマに会って見たくなりました。
「どうやったら、会えるの?」
「なあに簡単さ。この森の奥深くにあるキリマの山に向かって、まっすぐすすむだけ。
そのうちにキリマの方から姿を現すさ」
猿たちは、そう言って枝を揺らしたかと思うと、
いつの間にかいなくなっていました。
ジョルディールは、更に森の奥へずんずん進みました。
すると、だんだんと背の高い草むらがまばらになってきて、
見通しが良くなってきました。
前が急に明るくなり、ジョルディールは、
思わず、目をつぶりました。
気がつくと、ジョルディールは、
大きなレモンの木の幹に、鼻をくっつけていました。
ジョルディールが、こんな大きなレモンの木を見たのは、初めてでした。
見上げると、レモンの実が、たわわになって、枝をしならせています。
そして、不思議なことにレモンの実一つ一つが、光り輝いていました。
その輝きを見ていると、何だか急にお腹がすいてきました。
ジョルディールは、レモンの木の幹に前足をかけ、
背伸びをして大きな口を開けました。
パクリ、パクパク。
ジョルディールは、レモンを一個食べたと思ったら、
あまりのすっぱさに、悲鳴をあげました。
「ジョルディ~ル!」
ジョルディールは、地面にもんどりをうつと、
東の方角へ、転がり出しました。
あまりのすっぱさに、ジョルディールの硬い体に鳥肌が立ちました。
ジョルディールは、転がり続けました。
どこまでも、どこまでも。
そして、とうとうジョルディールは、キリマの山の麓(ふもと)にたどり着き、
なだらかな登り坂の途中で、目をまわして、ひっくり返りました。
ジョルディールが、気がついた時は、もう夜でした。
月明かりが、うっそうと繁る森の天井のすき間から、差し込んで来て、
木々の葉っぱを、そして、ジョルディールを明るく照らします。
ジョルディールは、起き上がろうとしましたが、なかなか起き上がれませんでした。
どうしてしまったのでしょう?
みると、ジョルディールのお腹の上に、
誰かが乗っているではありませんか。
首を起こして見てみると、金色に光り輝くチーターが、
お腹の上に座って、シッポを振っています。
〈続く〉
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