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エピソード11 深い霧の中で
しおりを挟む「ありがとう、ジョルディール。
おかげでわたしは、自由になれた。
君も、ついに空の響を手に入れたね。
これからは、どんな鳥よりも、高らかに歌うことができるし、
遥か遠くのものとも話ができるよ」
呼び鳴き鳥は、そう言うと、空高く舞い上がりました。
山腹をかすめるように飛んでいった呼び鳴き鳥が、
木に火をつけたかと思うと、
一瞬にして、雨を降らせて火を消した姿が、小さく見えました。
ジョルディールは、ふたたび、山を登りはじめました。
陽が沈むと、岩間で体を伸ばして、眠りました。
また朝になり、夜が来て、数えきれないほど月日が過ぎていきました。……
そんなある朝のこと、ジョルディールがいつものように山を登り続けていると、
まわりに、霧が立ち込めてきました。
それでもジョルディールは、ずんずん進みました。
すると、あっという間に霧が深くなって来て、周りが見えなくなってしまいました。
ジョルディールは、もう、一歩も動けません。
これは困ったことになったぞ、とジョルディーは首をうなだれましたが、
不意に何かを思いついたように、気を取り直して、一声鳴きました。
「僕はジョルディール。誰か僕の声が聞こえますか? 」
すると、空から声が聞こえてきました。
「はいはい。あんたの声は、聞こえたよ」
「あなたは、どなたですか? 」
「あっしは、オオワシでさぁ」
「僕は、ジョルディール。霧が深くて動けないのです。
キリマ山へ行くのに、どうか力をかして下さい」
「そうかい。助けてやりたいのは、やまやまなんだか……
こう霧がふかくちゃあな。お前さんが見つけられんよ」
「大丈夫です。声で、わたしのいる所をお伝えします。
そして、あなたがキリマ山の方向へ飛んで頂ければ、
あなたの翼が風を切る音をわたしが見つけますから」
「ほっほぅ。面白い。そんなことを頼まれたのは、初めてだ。
いっちょう、やってみるか」
その声を聞いたジョルディールは、空に向かって鳴きました。
「ジョルディール。ジョルディール」
「ほっほぅ。たしかに聞こえたぞ。さあ、こっちだ、こっちへすすめ!」
空を切るオオワシの翼の音が、東の方角から、
ジョルディールの耳にハッキリ聞こえました。
ジョルディールは、深い霧の中、
翼の音を追って、また山を登りはじめました。
<続く>
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