ワニのジョルデール

夢ノ命

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エピソード21 ジョルディールの歌

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ふたたび、ジョルディールを、濃い霧がおおいました。


その時、かすかな風の音がしました。


いえ、それはジョルディールの声でした。


いよいよ歌が始まったのです。



遠くから、ドラミングを終えたばかりのゴリラの先生と、

地に舞い降りた火喰い鳥が、かたずを飲んで見守っています。



ジョルディールは、空から、メロディを捕まえようとしているようです。


空を仰いで、ハミングを続けます。


ハミングは、あらゆる音を奏でながら、変化し、

流れ星のように、一瞬の時に、光ながら流れて行きました。




風のそよぎ

霧の舞い

舞い上がる翼~



上昇気流

空間の柱

行き返り花咲く生命(いのち)

星たちの花園~



きらびやか

その一つ

その一つぶ

その結晶



彩り



消えゆく間に~



ジョルディールは、今度は、首をうなだれ、下を向きました。


まるで、チューニングをしているかのように、低い音を奏で始めました。



草の原



土の匂い



地面を転がるフンコロガシ

アリ塚

土を駆ける足音



水浴びする獣たちの声

サバンナ

ジャングル



暗闇で光る目

月光を浴びるしなやかなシッポ

しじま



悲しみの奥

生命力

虚ろの中



ひしめきあう魂

夢見心地と

現実的存在



ざわめき

感覚

波立ち



運命

高鳴り

たまゆら~



響き……

天と地の……



そこで、ジョルディールは、一息ついて、ゆっくり顔を起こしました。


どうやら、長く続いたチューニングは、終わったようです。

ジョルディールをおおっていた霧も、いつの間にか消えていました。


ジョルディールは、ふたたび、キリマを見つめました。

口元から、あふれ出しそうなメロディを必死でこらえながら……



―――やがて、ジョルディールの歌声は、堰を切ったように溢れ出しました。



なめらかで豪快に

力強く優しさにあふれ

光さす美しさと

影や闇の手ごたえと

繰り返す生と死

地球の大循環



ジョルディールは、歌いました。

空と地の響き……のままに。


ジョルディールは、歌い続けました。

空と地の響き……の、あますところなく。



〈続く〉





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