ワニのジョルデール

夢ノ命

文字の大きさ
23 / 25

エピソード23 ジョルディール山を降りる

しおりを挟む




キリマ山の頂きで、大きく深呼吸するジョルディール。



「う~ん」


背伸びをすると、背中が空に触れているようで、とても気持ちが良くなります。


太陽の輝きが、ジョルディールの心をくすぐります。


すると突然、ジョルディールの心が、ポワンと宙に浮かび上がりました。

オレンジ色に輝く球(たま)。


これは、たましいと呼んだ方が良いのかもしれませんね。

オレンジ色の球は、すぐに小鳥の姿に変わり、空に向けて飛び立ちました。


ジョルディールが、歯と歯の間を吹き抜けていく風の音を聞いているわずかな時間に、

小鳥は、山を降りて、ジョルディールの住む沼を探してきてくれました。



「なんて便利なんだろう!」


ようやく気がついたようです。


キリマの試練を乗り越えたことで、ジョルディールは、タマシイを自在に飛ばして、

遠くの場所へ行ったり、遠くのものを見たりすることができるようになっていたのです。


住む沼が見つかってホッとしたジョルディールの頭に、ふと、

あのもじゃもじゃなタテガミをしたライオンさんの顔が浮かびました。


「ライオンさんは、いまごろ何をしているかなあ」


無意識にジョルディールは、ライオンさんが住むサバンナの方角へ、

【タマシイの小鳥】を飛ばしていました。


サバンナのあちこちを飛んでいるうちに、ついにライオンさんを見つけることができました。


驚いたことにライオンさんは、バオバブの木の下で、傷つき、動けなくなっていました。


どうやら、強いオスライオンと戦って、負けてしまったようです。


ジョルディールは、いてもたってもいられなくなりました。


傷ついたライオンさんをそのままにしておけば、きっと死んでしまうでしょう。



ジョルディールは、急いで、山を降りはじめました。



〈続く〉
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

処理中です...