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サンタクロースが選ばれる時
しおりを挟む「シャシュ。今年選ばれた男の子の名前は何て言ったっけ?」
「また忘れちゃったわけ。フォーフィーは、いつも肝心なことを忘れる忘れん坊さんときてる。
いいかい、一度しか言わないからね名前は、ユ・ウ・キ!」
「そう、ユウキ。彼は今どうしてるの?」
フォーフィーは床を転がってみせると、心配そうにシャシュにたずねました。
「うん、悩んでるよ。行くべきか?行かざるべきかと」
シャシュはテーブルの上にほおづえをついたまま、ため息をもらしました。
「僕らが会いに行ってあげたらどう?」
「それはだめなんだ。ルールっていうのがある」
「どんなルールなの?」
「サンタクロースが選ばれる時、それまでの間、僕らはなにもしちゃいけないんだ」
「なぜ?」
フォーフィーは興味津々に聞きました。
「なぜって、あるぐうぜんが生まれる。それがサンタクロースの種だからさ。
偶然採用通知がユウキのところへ届いた。そして、ユウキが自力でクリスマスイブに雪岡公園へ行ったとしたら、
偶然が必然に変わる。そこでもしも、ユウキが自分の使命を想い出せたら……その瞬間こそサンタクロースが選ばれる時なのさ」
シャシュは両手を何度も広げながら、フォーフィーに分かりやすく説明しました。
「なるほどねぇ。シャシュは物知りだね」
思わずフォーフィーは拍手しました。
「これはサンタの付き人の僕たちなら知っているべきことだよ」
シャシュは、あきれたようにフォーフィーを見ました。
こうして、23日の夜は過ぎていきました。
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