サンタクロースの生まれた日~空に飛翔(かけ)あがる時~

夢ノ命

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夜空に駆け上がる時

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あれから一年後。


「ヤッホー。ユウキ、いい夜だね。そう今日は特別な夜さ。なんてったって、クリスマスイブなんだから。
うーーっ、血さわぎ、肉おどるぜ」

シャシュは、勇気のまわりを踊るように飛び跳ねました。


「シャシュ。熱くなりすぎだよ。もっと冷静にクールに行こうよ。
クリスマスイブは、知的なお祭りなんだから」

フォーフィーは、シャシュをたしなめるように言いました。


「やれやれだよ。サンタの付き人って、テンション高すぎない?
それで一日よくもつもんだ」


トナカイにソリ、そのたずなを握っているのは勇気でした。


「シャシュ。フォーフィー。プレゼントの準備はできているかい?」

勇気はソリのまわりでうろちょろしている二人の付き人にそう聞きました。


「もちろんさ!」

「バッチリだよ!」

それを聞いた勇気は、言いました。


「それじゃ、まずは500個、プレゼントをソリに積んじゃって!」


「ホウイ」

「ヨイサ」

二人の小人は、トンガリ防止を帽子を逆さに持つと、

次から次へとプレゼントを帽子の中に入れ始めました。

そしてあっという間に500個のプレゼントをつめ込むと、

それはいつの間にか、ソリの上に積まれていました。



今宵は、クリスマスイブ。

この星空の先には、たくさんの子供たちが待っている。


勇気は握ったたずなに力をこめて、シャシュとフォーフィーに言いました。

「いよいよ出発だ!」


「行きましょう。空の冒険へ!」

「届けましょう。星の数だけあるプレゼントを!」

そう言うと、シャシュとフォーフィーは、ぴょんとソリに飛び乗りました。


風が頬(ほほ)をなで、勇気の前髪をゆらします。


静かな夜のひととき、

見上げると世界を包み込むように星空が広がっています。


ふと勇気の胸に、あたたかくて優しい、祈るような気持ちがわいてきました。

不意にこの瞬間が永遠に続けばいい、そんな感情がこみ上げてきました。



勇気はそんな自分を戒めるように苦笑して、トナカイたちに目で合図をしました。


あの幼いころに滑り台を何度も滑った感覚を味わいながら、

勇気は夜空に駆け上る瞬間に、ただ、ただ、身をゆだねました。

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