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エピソード3
しおりを挟む彼は、言います。
あなたが心で願うことは現実になると。
人は、人ではなくロボットでも、
真からの人生を手に入れ、誰もが幸せになれると。
その秘訣は、言葉にあると。
その言葉とは、誰もがよく知っている感謝の言葉。
『ありがとう』
『100万回言ってください。あなたの人生はきっと、変わります』
『たとえばもしもロボットが100億回ありがとうと言ったとしたら、
そのロボットには人間に生まれ変わるくらいの素敵なことが起きるでしょう!』
拍手と大歓声がうねりとなって、響き渡ります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ガットンは、しばらくは放心状態で過ごしました。
頭の中を数字・英語・音符・記号などがチョウチョのように飛び交います。
コンピがくれた情報を飲み込めるようになるまで、3日かかりました。
ガットンは、またロボットのガラクタでできた山の頂きに登り、
地球を眺めました。
青い星が、いつもと同じように浮かんでいます。
ガットンは、地球にいた頃は、
郵便配達の仕事をしていました。
ポストへ手紙を差し込むと、
よく窓を開けて人間たちが『ありがとう』と声をかけてくれたものです。
『ありがとう』とロボットが100億回言ったら……
ガットンの心は、決まりました。
この山の頂きで、地球を見ながら100億回言い続けることに。
『アリ・ガットン』
『アリ・ガットン、アリ・ガットン、アリ・ガットン』
『アリ・ガットン、アリ・ガットン、アリ・ガットン、アリ・ガットン、アリ・ガットン、アリ・ガットン、アリ・ガットン、アリ・ガットン、アリ・ガットン、アリ・ガットン、……』
ムーンシャトルが月に降りたったのは、
ガットンが『ありがとう』を言った回数が1億回を越えた頃でした。
ムーンシャトルから降り立ったロボットは、ガットンの姿を見ると、
大きな2本の手を長く伸ばし、ガットンを持ち上げて、シャトルの中に運びました。
ムーンシャトルが地球に到着すると、
ガットンは車に乗せられ、【思い出ロボット病院】に連れていかれました。
〈続く〉
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