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エピソード42 【逆さま氷山の洞窟】
しおりを挟む★「おしゃれ」「お母さん」→マンモス白珊瑚の森に住む。おしゃれ金平糖ウミウシ。
★「いちご」→船形石珊瑚に住む「おしゃれ」の心友。いちごジャムウミウシ。
★「兄」→マンモス白珊瑚の森に住む14匹の魚たちの長男。青くて大きめの魚。過度の心配性の特徴あり。
★「妹」→マンモス白珊瑚の森に住む14匹の魚たちの末っ子。オレンジ色の小さな魚。しっかり者の性分。
******
……何しろサンゴ礁がどうやって生まれたとか、海に生きる生き物たちのご先祖様の話とかするんだって。極めつけは、人間の種類が分かるそうなんだ。アメーリカンとか。おフランス。オサムライにん、なんて、いろいろ人間には種類があるってことなんだ。ともかく凄いらしいよ。たとえば「お母さん」と「いちご」さんからもし子ウミウシが生まれるとしたら、どんな特色のウミウシになる? そんなことまで知っているくらいなんだ。とにかく老シャチの旦那を探そうよ。でも、どうしよう。見つからなかったら」
「おしゃれ」も「いちご」も「兄」の言うことには反対しなかった。
さっそくホシガメに乗って、老シャチを探し始めることにした。
探していると、ここより北を目指して泳いで行く飛び魚たちに、たびたび出会った。
それで、彼らに居場所をたずねると、老シャチの居所はすぐに分かった。
案内するよ、と言ってくれた飛び魚の後について行くと、やがて「北の果ての大地」が見えてきた。
老シャチは、氷でできた「北の果ての大地」を少し潜った所にある山の洞窟の中にいた。
山と言っても、それは大地の裏面から、逆さまに海底に突き出したゆったりと横に長い氷の山である。
傾斜には、水に浸かった大小様々な氷柱が数千本に渡ってぶら下がり、
逆さまに突き出した山の頂きからは、ポッカリ口を開けた透明なほら穴が見える。
ほら穴からは、しきりに魚たちが出たり入ったりと忙しい。
その様子を眺めながら、「おしゃれ」たちもほら穴へ入っていく。
透明なトンネルは、山の懐をグルグルと巡るように長い間続いて、目が回るようだった。
トンネルの途中で二股や三又に分かれたり、行き止まりもたびたびあって、迷路よろしくの有り様だった。
利口な飛び魚ほど、この迷路を自在に行き来できるらしい。
〈続く〉
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