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エピソード43 【我が迷宮にようこそ】
しおりを挟む★「おしゃれ」「お母さん」→マンモス白珊瑚の森に住む。おしゃれ金平糖ウミウシ。
★「いちご」→船形石珊瑚に住む「おしゃれ」の心友。いちごジャムウミウシ。
★「兄」→マンモス白珊瑚の森に住む14匹の魚たちの長男。青くて大きめの魚。過度の心配性の特徴あり。
★「妹」→マンモス白珊瑚の森に住む14匹の魚たちの末っ子。オレンジ色の小さな魚。しっかり者の性分。
******
「おしゃれ」たちを案内してくれた飛び魚は、残念ながら口ほどにもなかった。
疲れるほどトンネルの中をぐるぐると巡るハメになった。
おかしいな、道が変わったかな? それが我らが水先案内魚の口癖である。
道は変わらない、君がトンチンカンなんだ。と、「おしゃれ」がのど元まで出かかっていた言葉を飲み込んだのに、「兄」がとうとう口を滑らせてしまった。
「道の方は悪くない、君の頭がアンポンタンなんだ」
こんなことを毒もなく言ってしまえるとこが、「兄」のすごいところではあるのだが、それにしても困ったものだ。
飛び魚は目を丸くして、ガムシャラに道を進んでは、行き止まりにぶつかってばかりで、余計に道を千里にも長くしてみせてくれた。
ついに老シャチの部屋にたどり着いた時には、ここはとんでもない迷宮だと、「おしゃれ」たちは、そろって口をそろえた。
その言葉を聞くと、老シャチが面白そうに、我が迷宮へようこそ、と言い、氷の上で、ひと跳ねしてみせた。
齢はとうに100を越えると噂されるジイさんだとは聞いていたが、
見てみると、ヒゲはピンと力強くそり上がって伸び、身は黒々した光沢(つや)に包まれ、
口もとからチラリと見える牙の並び具合やアゴの勇ましげな有り様ときたら、
カジキマグロでさえ尾をひるがえすと思われる、生粋な気っ風を感じる。
氷の上で寝そべる老シャチの尾のそばに、飛び魚たちが次々にやってきては、
何かの伝令を受け、急いで引き返していく。
合間に、ご用向きはなんでござんしょう、とホシガメの上の3匹に老シャチはカッカと笑いながら、大きなアゴを開いた。
「ターコイズブルーウミウシの行方を知りたいの」
そう「いちご」が言うと、隣にいた「おしゃれ」が、星型の身体から、めらめら湯気をあげる。
〈続く〉
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