星ふる夜にでかけよう~オシャレこんぺいとうウミウシの恋

夢ノ命

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エピソード66 【死んだフリ】

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★「おしゃれ」「お母さん」→マンモス白珊瑚の森に住む。おしゃれ金平糖ウミウシ。


★「いちご」→船形石珊瑚に住む「おしゃれ」の心友。いちごジャムウミウシ。


★「風船ウミウシ」→体を丸めて転がって移動する珍しい種族。「妹」が出会った「浦島太郎」は、実は玉手箱を開けて風船ウミウシに変身した元人間だった。


★「ターコイズブルーウミウシ」→おしゃれ金平糖ウミウシの恋のお相手。背中の突起したイボイボの先端を発光させる発光性のウミウシ。


★「兄」→マンモス白珊瑚の森に住む14匹の魚たちの長男。青くて大きめの魚。過度の心配性の特徴あり。


★「妹」→マンモス白珊瑚の森に住む14匹の魚たちの末っ子。オレンジ色の小さな魚。しっかり者の性分。





******



それは、森に住む14匹の兄弟たちから、「死んだフリ」とあだ名されている海草だった。



よく心配性の「兄」がその海草に首を突っ込みながら考え事をしていて、



しまいには考えすぎてプカプカ斜めに浮いて、のびてしまうことがあった。



そんな光景をいつも目の当たりにしている兄弟たちの誰かが面白半分につけたのだ。



今頃きっと、にぎやかな兄弟たちは森の奥のイソギンチャクの懐に寄り添って、眠っていることだろう。



ふと、白の襞々(ひだひだ)や紫の触手の柔らかい感触が、「妹」の全身に甘い郷愁を思い出させた。



そうだ、「お母さん」や「兄」は今どこに居るのだろう。



あの速い飛び魚のことだから、「兄」さんに出した手紙は、そろそろ着いているころだと思うが、もうこっちに向かっているだろうか。



ただ、もし「兄」たち皆が、《星の船》に乗っている状態だとしたら、それでも手紙は届くだろうか?



《星の船》で進んでいる時の、海の世界が前へ前へと道のように並んでいくあの不思議な現象の中に、どうやって、飛び魚は飛び込んで行くんだろう?



「妹」は、「おしゃれ」たちや手紙のことが気になり考え込んでいたが、まさか自分までが「死んだフリ」の海草の中に首を突っ込んでいたとは思いがけないことだった。



「死んだフリ」もなかなか便利ね、と思いながら、「妹」は気を取り直して、



森の中をターコイズブルーウミウシのところまで泳いで行った。







〈続く〉
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