ゆきじかん

夢ノ命

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【エミちゃんの声】

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しばらくすると、黒板にもう書くところがなくなってしまったので、先生が、黒板消しをつかみ、消そうとしかけました。

その時、突然先生は、右手に持っていた黒板消しを、ガツンと黒板にたたきつけ、

「マキオ、おきろ!」

とどなりました。

それでもマキオは、完全にじゅくすいしてしまっていて、おきませんでした。

先生はきぜんとした態度でツカツカと、窓ぎわの後ろの方のマキオの席まで歩いていきました。

そして、マキオの片腕をつかみあげました。

めがねをかけた、やせた男の先生でしたが、とても力がありました。

マキオはとつぜん、誰かがぶつかってきたようなしょうげきをかんじたので、目がさめました。

自分の腕を先生につかまれていることを、考えるひまもありませんでした。

ただ、先生のこわい目を見ると、たたかれる、と思いました。

そして、目をつぶるしかありませんでした。

「マキオ! あまったれるな! 」

どなり声とともに、先生の手があがりました。

そのとき、

「こどもをブツ人は、わるい人だって、お母さんがいってました! 」

マキオのすぐそばから、女の子の、さけび声が聞こえました。

それは、エミちゃんの声でした。

ゆっくりと、先生はつかんでいたマキオの腕をはなしました。


空をあおいだマキオの頬(ほほ)に、ポタリポタリと、また雪がふりだしました。……



〈続く〉
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