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エピソード3 キラキラ星
しおりを挟むロピーは、光の鳥に乗って、光の国を脱出しました。
光の鳥は、光の国を離れると、
ほうき星に変わって、宇宙を一気に駆け抜けました。
そして、キラキラ星の近くまでくると、
ほうき星はまた光る鳥に姿を変えて、キラキラ星に降り立ちました。
キラキラ星。
その名の通りまぶしいほどキラキラと輝く星。
住んでいる者たちも自ら輝きを発し、
誰もが自由に輝きの力をあやつれると、
ロピーの住む光の国にまでその噂は聞こえてきていました。
ところがどうでしょう。
見れば、鎧のように分厚い灰色の雲に空はおおわれ、
辺りは薄暗く、地面には一面黒い粉が降り積もっています。
ロピーは、光の弓矢をかかげて、足元を照らしながら歩きました。
少し歩いただけで息切れして、体がふらつきます。
それでもロピーは、何か手がかりを探そうと、必死に歩き続けました。
ロピーは、歩けば歩くほど力が抜けていくような感覚に襲われて、
とうとう立ち止まりました。
もう一歩も動けそうもありません。
ロピーが目を閉じて、故郷の光の国のことを思い浮かべながら、倒れかけたその瞬間、
ささやくような声が聞こえました。
「うちなるいずみ 輝いて 真なる力 鼓動打てば 輝くままにあふれゆく あなたに……ひろがれ」
すると、ロピーの体がキラキラと、輝きはじめ、再び力が蘇ってきました。
「うちなる輝きに目覚めて 魅力の泉を汲んで わきあがる あなたの輝き……ひろがれ」
ロピーの体が更に輝きました。
また、不思議なことが、起こりました。
マントから広がるバラの香りが、金粉の様に光ながら地面にこぼれ落ち、
そこからにょきにょきと芽が出て、成長し、次から次へと花を咲かせたのです。
やがて、ロピーを取り囲むようにバラの園ができあがりました。
ロピーは、バラの香りをかいで、元気を取り戻しました。
〈続く〉
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