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人類補完計画
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時は212X年、地球は環境や食物連鎖の破壊で食料不足に陥り未来を悲観した人類は人口減少の一途をたどっていた。
今までまともに機能していなかった国連本部もさすがに本腰を入れ人類を火星へ移住させる” 人類補完計画 ”を進めていた。
人類を火星に住まわせる建物、それを保護するドーム、インフラの整備など技術科学的な問題はほぼクリアしていた。
だが地球外の空間で人類が繁殖する事が出来るのか生命科学的な大きな問題が残っていた。
そこで国際宇宙ステーションへ2組のカップルを送り込み、生命の誕生から成長を観察するという実験に取り組みだしていた。
人類の命運をかけて宇宙経験の豊富なボーマンを船長とし、その妻キャサリン(天文学者)、副長のアラン(科学主任)とその妻エマ(医療主任)、そしてパイロット(技術主任)のハルオの5名が選ばれた。
船長夫妻、副長夫妻が食堂で談笑しながら夕食をとっていた。
両夫妻ともめでたく妊娠をし食堂は和やかな雰囲気に包まれていた。
「アッハッハ、船長は精力旺盛だから妊娠8ヶ月目以降のSEX禁止はつらいでしょ?」
イケメンのアランが船長をからかった。
「医学的にはムリしなければ10ヶ月目でも大丈夫なんだがな、なぁキャサリン?」
ボーマンはアゴヒゲを撫でながら妻のキャサリンに笑いかけた。
「大事をとってのルールでしょ!」
キャサリンは夫のデリカシーのない問いかけに顔を赤らめてたしなめた。
その時だった、宇宙ステーションに微かな振動があり緊急事態を知らせる警告灯で食堂は赤一色となりブザーが鳴り響いた。
「何があった!」
ボーマンはブリッジでステーションの計器を監視していたパイロットのハルオに通信した。
「スペースデブリが走行システムに衝突したようです!」
慌てふためいたハルオの声を聞いて全員がブリッジへと急いだ。
事態を確認したボーマンは技術主任でもあるハルオに船外での修理を命じた。
船外に出ると技術者として優秀なハルオは手早く修理を終わらせた。そして船内へ戻ろうとハッチを開けた時だった、ステーションの影からUFOが現れハルオに緑の光線を浴びせかけた。
ハルオは気を失い命綱一本で宇宙を漂った。
ボーマンは宇宙服を着ると自らハルオの救出に向かった。ハルオはボーマンが宇宙飛行士訓練学校の教師をしていた時の教え子で彼の優秀さを認めて今回のミッションに推薦したこともあり責任を感じていた。
ボーマンはハルオをステーション内に救助すると急いで彼を抱き抱えて医療室へ連れて行った。人口重力がある医療室のベッドに彼を寝かせると後から来たDr.(ドクター)エマが彼を診察をした。
「大丈夫、気を失っているだけよ。バイタルも安定しているわ」
それを聞いてボーマンは微かな寝息をたてて眠るハルオの寝顔を見て安堵した。
その後、ハルオは順調に回復し冗談にもあどけない表情で笑うようにまでなった。
ステーションでの就寝時間、ブリッジで計器の観測をしているアラン副長以外は眠りについていた。
ハルオも薄暗い医療室で眠っていた。そのハルオに部屋の隅からゆっくりと近づく影があった。影はハルオの体に寄り添うと全身をくまなく愛撫しだした。
影がハルオにキスをしようとした時、バイタル計器類の明かりが影の顔を照らし出した。それはボーマン船長だった。ハルオも抵抗する事なく身をゆだねていた。
1週間後、ハルオはDr.エマの許可も出て無事任務に戻った。
ハルオは任務にも体が慣れ、食堂で船長夫妻、Dr.エマと食事をとっていた。しばらくして彼は突然、激しい吐き気に襲われ嘔吐しだした。
すぐに医療室でDr.エマがハルオをMRI診察するとハルオの下腹部に受精卵がある事がわかった。
「なんだって!男が妊娠した!!」
ボーマンは思わず叫んだ。
「男性にも前立腺小室という男性子宮がある事が医学的にわかっているわ。でも妊娠事例は初めてよ…」
Dr.エマはモニターに男性子宮を映して説明をした。
”俺が父親か…?”
身に覚えがあるボーマンは動揺し赤面した。
「男も妊娠するようになったら火星移住計画を急がないとますます食料不足が深刻化するわね、あなた?」
夫の後をつけて来たキャサリンの言葉にボーマンは「あぁ」と上の空で答えた。
無機質な部屋の中、大きな頭を無数の細長い足で支え、まるで精子が直立したかのような姿の生物が2体動いていた。
” アラタナセイメイヲカクニンシタ ”
” デハジッケンハセイコウダナ ”
醜い姿の生物は互いに足で床を踏み鳴らし喜びあった。
” コレデニンゲンハフエルダロウ ”
” ワレワレノショクリョウブソクハカイショウダ ”
”ニンゲンノアジハカクベツダカラナ”
国際宇宙ステーションをモニターしていたUFOは任務を終え故郷の火星へと帰って行った。
今までまともに機能していなかった国連本部もさすがに本腰を入れ人類を火星へ移住させる” 人類補完計画 ”を進めていた。
人類を火星に住まわせる建物、それを保護するドーム、インフラの整備など技術科学的な問題はほぼクリアしていた。
だが地球外の空間で人類が繁殖する事が出来るのか生命科学的な大きな問題が残っていた。
そこで国際宇宙ステーションへ2組のカップルを送り込み、生命の誕生から成長を観察するという実験に取り組みだしていた。
人類の命運をかけて宇宙経験の豊富なボーマンを船長とし、その妻キャサリン(天文学者)、副長のアラン(科学主任)とその妻エマ(医療主任)、そしてパイロット(技術主任)のハルオの5名が選ばれた。
船長夫妻、副長夫妻が食堂で談笑しながら夕食をとっていた。
両夫妻ともめでたく妊娠をし食堂は和やかな雰囲気に包まれていた。
「アッハッハ、船長は精力旺盛だから妊娠8ヶ月目以降のSEX禁止はつらいでしょ?」
イケメンのアランが船長をからかった。
「医学的にはムリしなければ10ヶ月目でも大丈夫なんだがな、なぁキャサリン?」
ボーマンはアゴヒゲを撫でながら妻のキャサリンに笑いかけた。
「大事をとってのルールでしょ!」
キャサリンは夫のデリカシーのない問いかけに顔を赤らめてたしなめた。
その時だった、宇宙ステーションに微かな振動があり緊急事態を知らせる警告灯で食堂は赤一色となりブザーが鳴り響いた。
「何があった!」
ボーマンはブリッジでステーションの計器を監視していたパイロットのハルオに通信した。
「スペースデブリが走行システムに衝突したようです!」
慌てふためいたハルオの声を聞いて全員がブリッジへと急いだ。
事態を確認したボーマンは技術主任でもあるハルオに船外での修理を命じた。
船外に出ると技術者として優秀なハルオは手早く修理を終わらせた。そして船内へ戻ろうとハッチを開けた時だった、ステーションの影からUFOが現れハルオに緑の光線を浴びせかけた。
ハルオは気を失い命綱一本で宇宙を漂った。
ボーマンは宇宙服を着ると自らハルオの救出に向かった。ハルオはボーマンが宇宙飛行士訓練学校の教師をしていた時の教え子で彼の優秀さを認めて今回のミッションに推薦したこともあり責任を感じていた。
ボーマンはハルオをステーション内に救助すると急いで彼を抱き抱えて医療室へ連れて行った。人口重力がある医療室のベッドに彼を寝かせると後から来たDr.(ドクター)エマが彼を診察をした。
「大丈夫、気を失っているだけよ。バイタルも安定しているわ」
それを聞いてボーマンは微かな寝息をたてて眠るハルオの寝顔を見て安堵した。
その後、ハルオは順調に回復し冗談にもあどけない表情で笑うようにまでなった。
ステーションでの就寝時間、ブリッジで計器の観測をしているアラン副長以外は眠りについていた。
ハルオも薄暗い医療室で眠っていた。そのハルオに部屋の隅からゆっくりと近づく影があった。影はハルオの体に寄り添うと全身をくまなく愛撫しだした。
影がハルオにキスをしようとした時、バイタル計器類の明かりが影の顔を照らし出した。それはボーマン船長だった。ハルオも抵抗する事なく身をゆだねていた。
1週間後、ハルオはDr.エマの許可も出て無事任務に戻った。
ハルオは任務にも体が慣れ、食堂で船長夫妻、Dr.エマと食事をとっていた。しばらくして彼は突然、激しい吐き気に襲われ嘔吐しだした。
すぐに医療室でDr.エマがハルオをMRI診察するとハルオの下腹部に受精卵がある事がわかった。
「なんだって!男が妊娠した!!」
ボーマンは思わず叫んだ。
「男性にも前立腺小室という男性子宮がある事が医学的にわかっているわ。でも妊娠事例は初めてよ…」
Dr.エマはモニターに男性子宮を映して説明をした。
”俺が父親か…?”
身に覚えがあるボーマンは動揺し赤面した。
「男も妊娠するようになったら火星移住計画を急がないとますます食料不足が深刻化するわね、あなた?」
夫の後をつけて来たキャサリンの言葉にボーマンは「あぁ」と上の空で答えた。
無機質な部屋の中、大きな頭を無数の細長い足で支え、まるで精子が直立したかのような姿の生物が2体動いていた。
” アラタナセイメイヲカクニンシタ ”
” デハジッケンハセイコウダナ ”
醜い姿の生物は互いに足で床を踏み鳴らし喜びあった。
” コレデニンゲンハフエルダロウ ”
” ワレワレノショクリョウブソクハカイショウダ ”
”ニンゲンノアジハカクベツダカラナ”
国際宇宙ステーションをモニターしていたUFOは任務を終え故郷の火星へと帰って行った。
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