夢のエレベーター

B.H アキ

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夢のエレベーター

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舞は不精で見栄っ張りな女性だった。
部屋は‪ブランド品の‪”‬ バッグ、衣類 ‪”‬で何時も散らかっていた。
でも舞にとっては‪”‬ 夢の部屋 ‪”‬だった。
舞の住む街は国の政策で‪”‬ 夢の街 ‪”‬として、ある実験がされていた。
それはビルとビルをアルミ硝子のチューブで繋ぎ、その中にエレベーターを通して街の利便性を向上させるというもので、上下移動は勿論、縦横移動も可能というものだった。
不精な舞はいの一番にこの街への移住を希望し、幸運にも居住権を引き当てた。

舞は買い物をする時は何時もこのエレベーターを利用していた。
だが、まだ実験段階のために時々、誤作動を起こし希望したショップには行かず2軒先の市役所に連れてこられたりした。
その度に短気な舞は
「えいっ!」
とエレベーターの操作パネルを蹴飛ばすのだった。
でも不思議な事に何時もそれで正常に動き出した。

今日も舞は友達の結婚式に着る服を買いに御粧しをしてエレベーターを利用した。
「今日は大事な服を買いに行くんだから行先を間違えないでよ!」
舞はエレベーターの操作パネルをタッチして行先をセットした。
「間違えたら、どうなるか分かってるわよね」
エレベーターはまるで舞を鼻で笑うかのように‪”‬ ヒューン ‪”‬と軽い金属音をたてて動き出した。
整然と建ち並んだビルの谷間をエレベーターは快調にすり抜けた。
目的のショップはもうすぐだった。
しかしエレベーターは目的のショップを通り越してしまった。
「あっ!また間違えた!!」
舞は軽く勢いをつけて操作パネルに蹴りを入れた。
エレベーターは一瞬、速度を落として‪”‬ ガタガタ ‪”‬と揺れたかと思うと次の瞬間‪”‬ ヒヒーン ‪”‬と馬のいななきの様な音を出して急加速しだした。

油まみれの作業着を着た男達が作業に専念していた。
ここは‪”‬ 夢の街 ‪”‬のゴミが集まる‪ゴミ収集所。
‪”‬ ドォーン ‪”‬と大きな音とともに地響きがした。
「おーい!デッケイのが来たどー!」
クラッシャー機を操作してゴミを圧縮していた丸刈りの男が目を丸くした。
「構うこたーねー」
責任者の男の指示で丸刈りの男は勢いよくクラッシャー機の鉄の塊を振り下ろした。
‪”‬ グワッシャー!! ‪”‬
鈍い音を立ててエレベーターはペシャンコに潰れた。
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