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セドリックは、ふっと低く笑った。
自分の寝巻きの帯を抜いて、身体を僕の前に晒す。その隆起した筋肉の動きに、僕の目は奪われてしまった。身体の動きひとつひとつに肉が盛り上がり、へこみ、そしてたくましい身体が僕を抱きしめる。
「いいか?」
その言葉に、僕はたまらず、力の限りセドリックを抱きしめた。
大きな掌が、僕の背中を這う。
「緊張してるのか?」
「ん……」
あいまいに鼻を鳴らす。僕の震える背筋を、セドリックの指がなぞった。心臓がどくどくと高鳴って、身体が熱くて、まずい。このままでは、僕がときめいているのがバレてしまう。
なのに、離れようとは思えない。僕は必死でセドリックに擦り寄って、その首筋に鼻をつけた。すん、とにおいを嗅ぐと、ひだまりに咲く花の香りがする。
「いいにおい」
うっとり囁くと、セドリックも僕の鎖骨にぺとりとくっつく。こちらもにおいを嗅いで、挙げ句の果てに舐めた。
「うまいな」
僕は食べ物じゃない。抗議の声を上げようとしたら、胸をさわさわと撫でられて、変な声が出てしまった。
「ひゃあっ」
乳首をそっと摘まれるだけで、身体に得体の知れない刺激が走る。苦しいのに、ずっと浸っていたいような、変な痺れ。
「気持ちいいか?」
セドリックの問いへ、反射的に頷いた。
そうか。これは、気持ちいいのか。
「きもち、いい……」
セドリックの身体が、どんどん下がっていく。気づくと、僕の股間に、その端正な顔があった。
「かわいいな」
そう言って、僕の勃起したものをつつく。恥ずかしくなってそっぽを向いた。両方の膝を掴まれて、股を開かされる。その動きに、ぎょっと身体を起こした。
「ちょっと」
焦って股を閉じようとすると、「ダメか?」と上目遣いに尋ねられる。その顔は、ずるい。
「……今から、何、するんですか」
「お前のここをかわいがる」
そう言って、僕の睾丸を、大きな掌が包んだ。それに背筋がぞくぞく震えて、もっと触れてほしくなる。
だんまりになった僕を見て、セドリックが「よさそうだ」と笑った。僕の睾丸をいじっていた手はするすると先端に滑って、そっとそこを扱く。
「ナカで感じるのは難しいから、まずはこっちで気持ちよくなる練習だ」
「れんしゅう」
セドリックに触れられている。それだけで僕はいっぱいいっぱいになって、ふうふうと荒い息をついた。
思わず太ももでセドリックを挟む。彼は内腿に頬擦りをして、その髪の一本一本の感触がぞわぞわして、気持ちいい。
「あふ」
思わず甘えた声を漏らすと、セドリックは僕のものの付け根を舐めた。思わず悲鳴をあげて、セドリックの頭を押しのけようとする。
「きたない、だめ」
「きたなくないが、お前がダメならやめるよ。すごく、気持ちいいと、思うけどな」
その余裕そうな表情に、僕はなんだかムッとした。セドリックは「拗ねるな」と、僕の頬を撫でる。その動きに、またどきどきした。
僕は恐る恐る、腰を突き出す。
「……舐める?」
セドリックは「喜んで」と言って、僕の股間に顔を埋めた。舌がぬるぬると竿を舐めて、その濡れた感覚と温かさに、声が上擦る。
「ひゃあ、あ」
気持ちいい。先端をちろちろと舐められて、睾丸を包まれてたぷたぷと揉まれる。されるがままになりながら、ぎゅっと目をつむった。
「きもち、い……」
おずおずと目を開けると、ものすごい光景が広がっていた。セドリックの顔が僕の股間にあって、さらには僕のものを咥えている。
「わ、わ」
慌てて腰を引くと、それも気持ちよくて「ひん」と声を出してしまった。セドリックが笑ったのか、振動がそこに伝わる。
「かわいい」
そんなにかわいがられると、おかしくなる。股が勝手に開いた。腰が揺れて、きゅんきゅんと鼻が鳴る。
セドリックは僕のものの根本をねぶって、挙げ句の果てには睾丸まで吸った。僕のみっともない悲鳴をひとしきり聞き終わった後、セドリックはそこから口を離す。
「かわいかった」
そして、唾液やいろいろな体液でよごれた口元を拭う。いたたまれなくて、「ふん」と鼻を鳴らしてうつむいた。その拍子に、セドリックのものが目に入る。
「おっきい……」
思わずそう言ってしまうくらい、そこは大きかった。勃起したそこを、セドリックの手がさっと隠す。
「あんまり見るな」
「さっき、散々僕のここを舐めたくせに」
恨めしげに言うと、セドリックは誤魔化すみたいに僕の胸へ頬擦りする。僕はそれに甘えて、ぎゅっと頭を抱きしめた。
セドリックの手が、僕のへその辺りを撫でる。そして腰からお尻に回って、そこを揉んだ。
その手つきのいやらしさに、かえって笑ってしまう。セドリックは僕の胸に懐きながら、不満げに目を細めた。
「なんで笑うんだ」
「なんだか、いやらしくって。ふふ……ん、あ」
いたずらな指が、僕の後孔をなぞる。その濡れた感覚に、僕のそこは、ちゃんと潤む機能があるのだと知った。
なんだか胸がいっぱいになって、セドリックに抱きついた。
「きて」
その言葉に、セドリックは忠実に応じてくれた。
僕の身体に覆い被さって、何度も僕の胸に口付ける。僕は笑って、「キスして」とねだった。
「口と口、くっつけたい」
そしてその通り、キスしてくれた。ためらいなく舌を差し出すと、ちゃんと舐めて、優しく吸ってくれる。
僕が優しいキスにうっとりしている間に、セドリックはそこへ指をいれていた。浅いところで抜き差しされると、その違和感でぎゅっと眉間にしわが寄る。でもすぐに胸をいじられたり、舌を吸われたり、気を紛らわしてもらった。
はふはふと荒い呼吸を繰り返す。僕の身体はじんわりと汗ばんで、セドリックもそうで、お互いの肌はしっとりと濡れていた。ひっついている間に、指は奥へ奥へとはいってくる。
「ん、ん」
その指が、嬉しかった。こんなに嬉しいことは、これまでの人生にないってくらい。
指がお腹の方を押したり、ひろげたり、奥を撫でたり。その動きひとつひとつがたまらなくて、僕はあんあんと情けない声をたくさん上げた。
「あうっ……ん……あ、……ふ、ぅ」
キスしてほしいし、胸もいじってほしいし、お腹もだんだん気持ちよくなってきた。全身がぽかぽかする。セドリックの甘いにおいに汗のにおいも混じって、なんだかやらしい。男らしいその表情を見つめるだけで、お腹の奥がぐつぐつ熱くなる。
そして、セドリックの指が、お腹の方を優しく押した。
「……っあ」
ぱちん、と意識が弾ける。身体中の血があふれるように巡って、足の指の先まで熱い。腰が震えて止まらなくて、指をきゅうきゅうと締め付けてしまう。
「なに、なに、これ」
こわい。セドリックに抱きつくと、「大丈夫」と優しく頭を撫でられた。
「俺と番になれるようになっただけだ」
「ほ、ほんとに……?」
そうだったら、嬉しい。じんわりと涙がにじんで、セドリックに擦り寄る。その広い胸も汗ばんで、心臓がどくどく鳴っていた。
セドリックは、僕の身体をころりと転がして、うつ伏せにした。僕はどうしてか、腰をあげるのだと知っていた。四つん這いになって膝を立てると、セドリックが多いかぶさってくる。
「いれる」
その一言と一緒に、熱いものが押し当てられた。それは信じられないことに、少しずつ、僕の身体の内側へとはいってくる。その大きさと、重たさと、熱さに、僕は思わず悲鳴をあげた。
セドリックは「すまない」と言いながら、でも興奮した声で、「止まらない」と囁いた。正直なところ、僕も止まってほしくない。
「はや、く……はやく……」
啜り泣くみたいな声が出た。セドリックは「うん」と頷いて、僕の腰を掴み直す。そして、ぐっと腰が進んだ。
「ああーっ」
僕はのけぞって、肘をついた。上半身は崩れて、腰だけあがっている。その腰をセドリックが鷲掴んで、僕の内側を突いた。
「んんっ」
その衝撃に、また声が漏れる。そして律動が始まって、僕たちの繋がったところからは、信じられないくらいやらしい水音がする。何かが滴りおちる感覚すらあって、恥ずかしくて、気持ちよくて、どうにかなりそうだ。
「あ、あ、ふあ……っあ、っあ」
奥を突かれるたびにシーツの上を身体が滑って、引き戻す動きで元の位置に戻される。あんまりな体格差があるから、僕たちの行為は、はたからみたら捕食みたいに見えるかもしれない。
どんどん身体が熱くなる。悲しくないのに涙がぼろぼろ流れて、僕は気づくとお尻を振っていた。
「かんで、……かんで……」
番になりたい。僕が出来損ないとか、そういうことはどうでもいい。
ただ、セドリックを、ひとりじめしたかった。
セドリックの体温が、ぐっと近くなる。押し潰すように体重がかかって、僕はベッドへひしゃげるようにうつ伏せになった。そのまま律動が続くものだから、僕はくぐもった悲鳴をあげることしかできない。
うなじに熱い吐息がかかる。舐められると、それだけで多幸感が全身にあふれた。
セドリックの動きが、どんどん激しくなる。僕はわけがわからなくなって、泣き喚いた。お腹はきゅんきゅんして苦しいし、頭は真っ白になるし、腰の前は湿った感覚がある。汗まみれで、汚い。でもこの僕ごと愛してほしい。
「出すぞっ……!」
セドリックの低い唸り声がして、うなじに鈍い衝撃があった。きゅう、と全身の筋肉が収縮して、またゆるむ。獣じみた生暖かい吐息が、うなじへ何度も何度もかかった。お腹の奥には、温かいものがあふれている。
セドリックは唸りながら、何度も僕のうなじを噛んだ。僕はその度に幸せでたまらなくて、こっそり泣いた。
こうして、僕たちは番になった。
とはいえ、その夜で子どもができることはなかった。
寝室で僕が残念がっていると、セドリックは鷹揚に笑って、僕を抱きしめる。
「できてもできなくても、俺たちは番だろう」
「でも、出来損ないの僕にも発情期が来て、せっかく番になれたのに」
僕が反論すると、セドリックは「たしかに、それも大事だ」と、僕をベッドへ押し倒す。
「でも子どもができたら、こういうことはできないよ」
そして、いやらしい手つきで僕の身体を撫でる。思わず笑ってしまった僕に、「なあ」と、セドリックは話しかけた。
「俺は、お前のことを『出来損ない』と思ったことはない。散々そう言われて、お前がそう思ってしまうのも、無理はないが」
その優しさに、僕はうっとりと目を細めた。だけど慌てて身体を起こして、「でも」と反撃する。
「こういうエッチなことだけするって、いけない気がするんです。それにこのままおじいちゃんになったら……」
「なら、じいさんになってもエッチしよう」
もう、と憤慨するふりをした。セドリックは思いの外真剣な表情で、ひたりと僕を見据える。
「好きだよ。ウィリアム」
そう言われてしまうと、何も言えない。僕は俯いて、「僕も……」ともごもご呟いた。
そして後々、僕の最初の婚約が破棄された黒幕はセドリックだったとか、それを謝罪された僕がキレてセドリックに乗っかって搾り取ったとか、いろんなことがあった。
そして僕たちの間に子どもができたかどうかはあんまり重要じゃないんだけど、セドリックを搾り取ったしばらく後、微熱や食欲不振が続いていた。
まあ、そういうことになっても構わないとは、お互いに思っている。僕は真昼間の寝室で、無様にゲーゲー吐いて横たわりながら、セドリックと医者を待つのだった。
自分の寝巻きの帯を抜いて、身体を僕の前に晒す。その隆起した筋肉の動きに、僕の目は奪われてしまった。身体の動きひとつひとつに肉が盛り上がり、へこみ、そしてたくましい身体が僕を抱きしめる。
「いいか?」
その言葉に、僕はたまらず、力の限りセドリックを抱きしめた。
大きな掌が、僕の背中を這う。
「緊張してるのか?」
「ん……」
あいまいに鼻を鳴らす。僕の震える背筋を、セドリックの指がなぞった。心臓がどくどくと高鳴って、身体が熱くて、まずい。このままでは、僕がときめいているのがバレてしまう。
なのに、離れようとは思えない。僕は必死でセドリックに擦り寄って、その首筋に鼻をつけた。すん、とにおいを嗅ぐと、ひだまりに咲く花の香りがする。
「いいにおい」
うっとり囁くと、セドリックも僕の鎖骨にぺとりとくっつく。こちらもにおいを嗅いで、挙げ句の果てに舐めた。
「うまいな」
僕は食べ物じゃない。抗議の声を上げようとしたら、胸をさわさわと撫でられて、変な声が出てしまった。
「ひゃあっ」
乳首をそっと摘まれるだけで、身体に得体の知れない刺激が走る。苦しいのに、ずっと浸っていたいような、変な痺れ。
「気持ちいいか?」
セドリックの問いへ、反射的に頷いた。
そうか。これは、気持ちいいのか。
「きもち、いい……」
セドリックの身体が、どんどん下がっていく。気づくと、僕の股間に、その端正な顔があった。
「かわいいな」
そう言って、僕の勃起したものをつつく。恥ずかしくなってそっぽを向いた。両方の膝を掴まれて、股を開かされる。その動きに、ぎょっと身体を起こした。
「ちょっと」
焦って股を閉じようとすると、「ダメか?」と上目遣いに尋ねられる。その顔は、ずるい。
「……今から、何、するんですか」
「お前のここをかわいがる」
そう言って、僕の睾丸を、大きな掌が包んだ。それに背筋がぞくぞく震えて、もっと触れてほしくなる。
だんまりになった僕を見て、セドリックが「よさそうだ」と笑った。僕の睾丸をいじっていた手はするすると先端に滑って、そっとそこを扱く。
「ナカで感じるのは難しいから、まずはこっちで気持ちよくなる練習だ」
「れんしゅう」
セドリックに触れられている。それだけで僕はいっぱいいっぱいになって、ふうふうと荒い息をついた。
思わず太ももでセドリックを挟む。彼は内腿に頬擦りをして、その髪の一本一本の感触がぞわぞわして、気持ちいい。
「あふ」
思わず甘えた声を漏らすと、セドリックは僕のものの付け根を舐めた。思わず悲鳴をあげて、セドリックの頭を押しのけようとする。
「きたない、だめ」
「きたなくないが、お前がダメならやめるよ。すごく、気持ちいいと、思うけどな」
その余裕そうな表情に、僕はなんだかムッとした。セドリックは「拗ねるな」と、僕の頬を撫でる。その動きに、またどきどきした。
僕は恐る恐る、腰を突き出す。
「……舐める?」
セドリックは「喜んで」と言って、僕の股間に顔を埋めた。舌がぬるぬると竿を舐めて、その濡れた感覚と温かさに、声が上擦る。
「ひゃあ、あ」
気持ちいい。先端をちろちろと舐められて、睾丸を包まれてたぷたぷと揉まれる。されるがままになりながら、ぎゅっと目をつむった。
「きもち、い……」
おずおずと目を開けると、ものすごい光景が広がっていた。セドリックの顔が僕の股間にあって、さらには僕のものを咥えている。
「わ、わ」
慌てて腰を引くと、それも気持ちよくて「ひん」と声を出してしまった。セドリックが笑ったのか、振動がそこに伝わる。
「かわいい」
そんなにかわいがられると、おかしくなる。股が勝手に開いた。腰が揺れて、きゅんきゅんと鼻が鳴る。
セドリックは僕のものの根本をねぶって、挙げ句の果てには睾丸まで吸った。僕のみっともない悲鳴をひとしきり聞き終わった後、セドリックはそこから口を離す。
「かわいかった」
そして、唾液やいろいろな体液でよごれた口元を拭う。いたたまれなくて、「ふん」と鼻を鳴らしてうつむいた。その拍子に、セドリックのものが目に入る。
「おっきい……」
思わずそう言ってしまうくらい、そこは大きかった。勃起したそこを、セドリックの手がさっと隠す。
「あんまり見るな」
「さっき、散々僕のここを舐めたくせに」
恨めしげに言うと、セドリックは誤魔化すみたいに僕の胸へ頬擦りする。僕はそれに甘えて、ぎゅっと頭を抱きしめた。
セドリックの手が、僕のへその辺りを撫でる。そして腰からお尻に回って、そこを揉んだ。
その手つきのいやらしさに、かえって笑ってしまう。セドリックは僕の胸に懐きながら、不満げに目を細めた。
「なんで笑うんだ」
「なんだか、いやらしくって。ふふ……ん、あ」
いたずらな指が、僕の後孔をなぞる。その濡れた感覚に、僕のそこは、ちゃんと潤む機能があるのだと知った。
なんだか胸がいっぱいになって、セドリックに抱きついた。
「きて」
その言葉に、セドリックは忠実に応じてくれた。
僕の身体に覆い被さって、何度も僕の胸に口付ける。僕は笑って、「キスして」とねだった。
「口と口、くっつけたい」
そしてその通り、キスしてくれた。ためらいなく舌を差し出すと、ちゃんと舐めて、優しく吸ってくれる。
僕が優しいキスにうっとりしている間に、セドリックはそこへ指をいれていた。浅いところで抜き差しされると、その違和感でぎゅっと眉間にしわが寄る。でもすぐに胸をいじられたり、舌を吸われたり、気を紛らわしてもらった。
はふはふと荒い呼吸を繰り返す。僕の身体はじんわりと汗ばんで、セドリックもそうで、お互いの肌はしっとりと濡れていた。ひっついている間に、指は奥へ奥へとはいってくる。
「ん、ん」
その指が、嬉しかった。こんなに嬉しいことは、これまでの人生にないってくらい。
指がお腹の方を押したり、ひろげたり、奥を撫でたり。その動きひとつひとつがたまらなくて、僕はあんあんと情けない声をたくさん上げた。
「あうっ……ん……あ、……ふ、ぅ」
キスしてほしいし、胸もいじってほしいし、お腹もだんだん気持ちよくなってきた。全身がぽかぽかする。セドリックの甘いにおいに汗のにおいも混じって、なんだかやらしい。男らしいその表情を見つめるだけで、お腹の奥がぐつぐつ熱くなる。
そして、セドリックの指が、お腹の方を優しく押した。
「……っあ」
ぱちん、と意識が弾ける。身体中の血があふれるように巡って、足の指の先まで熱い。腰が震えて止まらなくて、指をきゅうきゅうと締め付けてしまう。
「なに、なに、これ」
こわい。セドリックに抱きつくと、「大丈夫」と優しく頭を撫でられた。
「俺と番になれるようになっただけだ」
「ほ、ほんとに……?」
そうだったら、嬉しい。じんわりと涙がにじんで、セドリックに擦り寄る。その広い胸も汗ばんで、心臓がどくどく鳴っていた。
セドリックは、僕の身体をころりと転がして、うつ伏せにした。僕はどうしてか、腰をあげるのだと知っていた。四つん這いになって膝を立てると、セドリックが多いかぶさってくる。
「いれる」
その一言と一緒に、熱いものが押し当てられた。それは信じられないことに、少しずつ、僕の身体の内側へとはいってくる。その大きさと、重たさと、熱さに、僕は思わず悲鳴をあげた。
セドリックは「すまない」と言いながら、でも興奮した声で、「止まらない」と囁いた。正直なところ、僕も止まってほしくない。
「はや、く……はやく……」
啜り泣くみたいな声が出た。セドリックは「うん」と頷いて、僕の腰を掴み直す。そして、ぐっと腰が進んだ。
「ああーっ」
僕はのけぞって、肘をついた。上半身は崩れて、腰だけあがっている。その腰をセドリックが鷲掴んで、僕の内側を突いた。
「んんっ」
その衝撃に、また声が漏れる。そして律動が始まって、僕たちの繋がったところからは、信じられないくらいやらしい水音がする。何かが滴りおちる感覚すらあって、恥ずかしくて、気持ちよくて、どうにかなりそうだ。
「あ、あ、ふあ……っあ、っあ」
奥を突かれるたびにシーツの上を身体が滑って、引き戻す動きで元の位置に戻される。あんまりな体格差があるから、僕たちの行為は、はたからみたら捕食みたいに見えるかもしれない。
どんどん身体が熱くなる。悲しくないのに涙がぼろぼろ流れて、僕は気づくとお尻を振っていた。
「かんで、……かんで……」
番になりたい。僕が出来損ないとか、そういうことはどうでもいい。
ただ、セドリックを、ひとりじめしたかった。
セドリックの体温が、ぐっと近くなる。押し潰すように体重がかかって、僕はベッドへひしゃげるようにうつ伏せになった。そのまま律動が続くものだから、僕はくぐもった悲鳴をあげることしかできない。
うなじに熱い吐息がかかる。舐められると、それだけで多幸感が全身にあふれた。
セドリックの動きが、どんどん激しくなる。僕はわけがわからなくなって、泣き喚いた。お腹はきゅんきゅんして苦しいし、頭は真っ白になるし、腰の前は湿った感覚がある。汗まみれで、汚い。でもこの僕ごと愛してほしい。
「出すぞっ……!」
セドリックの低い唸り声がして、うなじに鈍い衝撃があった。きゅう、と全身の筋肉が収縮して、またゆるむ。獣じみた生暖かい吐息が、うなじへ何度も何度もかかった。お腹の奥には、温かいものがあふれている。
セドリックは唸りながら、何度も僕のうなじを噛んだ。僕はその度に幸せでたまらなくて、こっそり泣いた。
こうして、僕たちは番になった。
とはいえ、その夜で子どもができることはなかった。
寝室で僕が残念がっていると、セドリックは鷹揚に笑って、僕を抱きしめる。
「できてもできなくても、俺たちは番だろう」
「でも、出来損ないの僕にも発情期が来て、せっかく番になれたのに」
僕が反論すると、セドリックは「たしかに、それも大事だ」と、僕をベッドへ押し倒す。
「でも子どもができたら、こういうことはできないよ」
そして、いやらしい手つきで僕の身体を撫でる。思わず笑ってしまった僕に、「なあ」と、セドリックは話しかけた。
「俺は、お前のことを『出来損ない』と思ったことはない。散々そう言われて、お前がそう思ってしまうのも、無理はないが」
その優しさに、僕はうっとりと目を細めた。だけど慌てて身体を起こして、「でも」と反撃する。
「こういうエッチなことだけするって、いけない気がするんです。それにこのままおじいちゃんになったら……」
「なら、じいさんになってもエッチしよう」
もう、と憤慨するふりをした。セドリックは思いの外真剣な表情で、ひたりと僕を見据える。
「好きだよ。ウィリアム」
そう言われてしまうと、何も言えない。僕は俯いて、「僕も……」ともごもご呟いた。
そして後々、僕の最初の婚約が破棄された黒幕はセドリックだったとか、それを謝罪された僕がキレてセドリックに乗っかって搾り取ったとか、いろんなことがあった。
そして僕たちの間に子どもができたかどうかはあんまり重要じゃないんだけど、セドリックを搾り取ったしばらく後、微熱や食欲不振が続いていた。
まあ、そういうことになっても構わないとは、お互いに思っている。僕は真昼間の寝室で、無様にゲーゲー吐いて横たわりながら、セドリックと医者を待つのだった。
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