【本編完結済】悪役令息に転生したので死なないよう立ち回り始めたが何故か攻略対象達に執着されるように

なつさ

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予期せぬ話

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何だかんだエヴァに転生してから王宮に来るのは初めてだ。ゲームで1度見たことがあるとは言え実物はかなり壮観だ。

「デカすぎる・・・」

大理石や高価な調度品で飾られた城内は正に選ばれた者が入る事を許された空間。父の後に続きながらどこか萎縮してしまった。

「ヴィリエどのよく来てくださった」
「陛下、ご挨拶が遅くなり申し訳ありません。こちら息子のエヴァです」
「エヴァ・ヴィリエです」

威厳たっぷりな髭を蓄えた国王陛下は玉座から立ち上がりこちらに歩み寄った。その横にはアルベール、こちらをじっと見ている。
婚約破棄の話をするにしては国王陛下は朗らかな様子だ。罰は免れられる感じか?

「陛下、この度はアルベール殿下とエヴァの婚約を進めて下さり誠に感謝致します」
「ああ、その件だがな。アルベールもご子息の事をいたく気に入ったようで将来的な王宮入りも含め結婚の話を前向きに進めたいと考えているのだ」
「有り難き幸せでございます」

は?えっ今なんて言った???

「エヴァも喜んでいる事でしょう。アルベール殿下のような優秀な方の伴侶として嫁ぐことはヴィリエ家にとっても名誉なことでございます」
「はっはっはっ、エヴァのように美しく聡明な貴族が妃になればこの国も安泰であろう」

俺の意思を無視して進む話に唖然とする。
アルベールはというと、何も言わずただじっと立っているだけだ。お前いいのか!?このままじゃ本当に結婚する事になるぞ!?
何も反論しないアルベールに耐えかねつい口を開いてしまった。

「陛下、失礼ながら申し上げます。アルベール様との婚約は我が一族にとっても私自身にとってもこの上なき有難い事でございます。しかし、アルベール様のように優秀で素敵な方の伴侶を務め妃となる自信が私にはございません。それに1番大切なのはアルベール様のお気持ちでございます・・・!アルベール様に想い人がいるのであれば私は潔く身を引きます」

俺の発言に父はビックリしたように目を見開いている。しかし国王は笑い出す。

「はっはっはっこれはまた随分と謙虚な事を言う。心配するでないこの結婚の話はアルベール自信が進めたいと話してきたのだ。そうだろうアルベール」
「はい父上。婚約して数ヶ月が経ちましたがエヴァは私の美しく聡明で誰よりも妃に相応しいです。そして私の伴侶としても」
「我が息子もこう言っておる。アルベールとエヴァが18歳になった時、正式に次期妃として迎えよう。それに備えて15歳になった時アルベールと同様聖ヴァイツ学園へ入学するといい。そこで勉学に励み妃としての知識や身の振る舞い方を身につけるのだ」

思わず絶句する。会話する父と国王を傍目にアルベールを睨みつければにこりと微笑み返された。


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