【本編完結済】悪役令息に転生したので死なないよう立ち回り始めたが何故か攻略対象達に執着されるように

なつさ

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いざお菓子作り

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子鳥のさえずりならぬ朝チュンで目覚めた俺。
ユーゴの逞しい腕に抱かれながら目覚め、肝心のユーゴは爽やかな笑みで、おはようと囁き俺にキスをした。
現実逃避すら許されないこの状況。

「エヴァ、今日は部活休みだから一緒にエリックの散歩行こうぜ。それで帰ってきたらエヴァの作った飯食いたい。な、良いだろ?」

デートプランを提案してくる彼氏のようにベラベラ語り出したユーゴにうんざりする。
お前は俺の彼氏か。いやこいつの中では彼氏なんだった。
否定すればまた酷い目にあわされると適当に頷いていればユーゴの手が俺の肌を怪しく撫で回し始める。こいつマジか、昨日あんなヤッたのに。
流石に休日をベッドの中で過ごすのは勘弁とユーゴの手を掴む。

「駄目か・・・?」
「昨日いっぱいシた・・・」
「昨日シたから今日もシたい。エヴァの事めちゃくちゃに抱きたい」

めちゃくちゃは止めてくれ・・・。
俺は縋るようにユーゴを上目遣いで見て呟く。

「ユーゴとデートしたいのに・・・えっちしたら動けなくなっちゃう・・・」
「っ・・・!エヴァっ・・・」
「んぶっ…♡♡」

じゅるじゅるとディープなキスをかまされ酸欠になりそうだ。
結局俺のお強請りも虚しく、ユーゴに散々抱かれた俺はせっかくの休日をベッドで過ごす羽目になった。本当に散々な一日だ。





だがしかし、そんな俺にも朗報が舞い降りた。
遂に料理研究部の活動が始まったのである!
お願いしていた調理器具や食材が一通り届き、俺の夢にまで見たお菓子づくりの日々が始まる。
早く放課後にならないかとソワソワしていたせいで、無駄に周りの生徒から見られてしまったのは仕方がない。
俺はエリックを抱っこし早足で調理室へと向かった。

「うおおお!凄い!ちゃんと揃ってる・・・!」

流石金持ちの集まる学園。というかリュカのおかげ。備品代は惜しみなく出して貰えたお陰で何不自由なく活動出来るはずだ。
部員は俺とユリス、自称味見係のリュカの3人だけだが・・・。
俺は図書室で借りてきたレシピ本を早速開いた。
俺の尊敬するパティシエ「エミール・ポワリエ」
。彼の作るスイーツはどれも華やかで芸術作品のよう、しかし見た目だけでなく繊細で優しい味は誰をも虜にする。
何を隠そう、この俺もエミールの大ファンなのだ。

彼のレシピを再現するには自室のキッチンでは設備が足りず出来なかった。だが、調理室を手に入れた今いくらでも俺の夢は叶うのだ。
早速取り掛かろうとした時、扉ががらりと音を立てる。

「エヴァ様っ遅くなりました!」
「ユリス、仕事はいいの?」
「はい!急いで終わらせてきたのでっ・・・今日は何を作られるんですか?」
「今日はパフェ、ユリス果物切るの手伝って」
「はい!」

駆け込んできたユリスはシャツの袖を捲り俺の手伝いを始める。

「こうして2人でいると屋敷にいた時を思い出しますね」
「ん、そうだな」
「エヴァ様、その婚約のことヴィリエ様には話されたのですか」
「・・・言ってない。でも、父上からも何も言われてないから。屋敷に戻る必要は無いだろ・・・」
「そうですか・・・」

長い間アルベールと話をしていない。
相変わらず主人公と親密な様子だという噂は耳に入ってくる。他の攻略対象はともかく、アルベールは物語通り主人公にベタ惚れのようだ。
だとしたら主人公はアルベールのルートを進んでいるのだろうか。
(それなら、他の攻略対象が俺の傍にいても問題は無いのか・・・?)
どちらにせよ早くあの妖精と話をする必要があるな。
そうこう考えているうちに内にパフェは出来上がる。

「凄く美味しそうですね!」
「ああ!果物の素材の味を活かしながら甘すぎないクリームを添えてマシュマロやコーンフレークで食感も出す!正に最高のパフェだ!」 
「エヴァ様の腕ならすぐにお店開けますよ!僕も従業員としてお手伝いします!楽しみですね~」

当然のように俺の店に入ろうと話を進めるユリスを無視してパフェを1口掬い口に入れる。
ああ、なんて幸せ。






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