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しおりを挟むダメス様の放った言葉で前世を思い出した私。頭痛が酷くて2人のイチャつきを見せられても痛過ぎてそれどころでは無かったがそんな中王宮の舞踏会会場に到着していた
ダメス様が降りてセーラ様の手を取り優雅にステップから降ろした後は私に手を貸す事無くそのままセーラ様をエスコートして行ってしまった。またしてもため息が出そうになった、予想どうりと言えば予想通りのその行動に記憶が戻って無ければ涙が出そうな案件だ。
舞踏会にエスコートも無しに入場するなんて淑女にとってあり得ない事だもの。と、そこでダメス様とセーラ様が振り返った。
「アンリは強いから大丈夫だろ? ギフトも無い “ 無能 “ だし仕方無いよな。 」
クスクスと笑いながら目に嘲りを載せ
「そんな、お気の毒よ? いくら無能だからって・・・フフッ」
と優越感に浸りきったその顔でドレスを翻し去って行った。ここまでエスコートしないならどうしてエスコートするなんて言ってきたのか疑問だ。こんなのエスコートとは言わない、ただの嫌がらせ?
馭者が慌ててエスコートしに来てくれた。でも、降りたら次の馬車の為に移動させなければならないのだ。申し訳なさそうな顔をする彼に
「ありがとう、降りられたらもう大丈夫よ。」と笑みを向ければ震えながら申し訳ありませんと礼をして馬車を移動させて行った。彼は悪く無いのにあんなに恐縮して・・仕える主人よりまともだ
さて、気合を入れなくちゃ。下は向かないわ、負けない。そして帰ったら今後についてお父様達と相談させて貰おう。婚約している方が家にも迷惑だもの
気持ちを切り替えて背筋を伸ばして胸を張り堂々と進んで行く。 案の定周りからは嘲笑と心無い言葉が溢れている。まぁ、それも当然だろう。婚約者は義妹のエスコートをしており仲睦まじい姿を見せている。
『あらやだわ、アンリ様・・お一人よ、ありえないわね、私なら帰るわ。』クスクスと笑いながら流し見てくる。
『そんな事出来るはずないわよ、この夜会は高位貴族なら必ず出席するものだもの。流石にダメス様やり過ぎじゃないの?』とこちらは良心的
『だって、仕方ないわよギフト無しの無能なんですもの。』
『それはあなた言い過ぎよ。』
『あなた達ったら聞こえてるわよ・・・ダメス様は攻撃に特化されていて、魔力も歴代でもトップ5に入る実力者よ?将来有望で容姿もあんなに素敵な上に伯爵家とは言え有力貴族で裕福なお家。かたや公爵令嬢とは言えギフトも無いのと同じ “ 無能 “ よ?婚約破棄されても仕方のない事よ?___お気の毒だけど』
声を落としているつもりみたいだけれど高めのその声はちゃんと私の耳にも届いている。さして気の毒とは思っていなさそうだけどまだマシな方の反応なのかもしれない
聞こえていない振りをしつつ進んでいく。どうせ、最近は会場の中まではエスコートされてもその後は壁の花だし “ 無能 “ の私をダンスに誘うような者は居ない。この時間をやり過ごせば・・・
まだ舞踏会が開始までには少し時間がある、飲み物を手に取り一息つこうとしたした時。
取り巻きの子女を連れたダメス様がセーラと数人の女子をピッタリとくっつけながらこちらに向かって来た。
その姿にひっつき虫を沢山くっ付けていらっしゃるわ、なんて思ってしまった
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