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少年とエルフさんの逃避行 ~世界樹温泉逗留記~
腹ペコエルフ高官の来襲
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お昼ご飯と食べ終わり、冷やしそば茶で一服してほっこりする僕とエルフさん。
さて午後はどうしよっかなーと考えていると――
ピンポーン
なんかチャイムの音。
「誰か来たみたいだよ?」
「誰かしら……フロントの人?」
怪訝な顔をしてエルフさんが立ち上がり、踏込へ。
部屋のドアを開けると、そこには複数のエルフ族の男女が立っていた。
「や、やぁ駐日首席観察官。奇遇だね」
その中の代表なのか初老のエルフ女性が代表してエルフさんにいう。
「副議長に……皆さん……この旅館に泊まってたんですか?」
「エルフさん、このひとたちは?」
「庶民院副議長に内務省事務次官に探索省事務次官に典礼秘跡省長官に資源管理省長官と……だれ?」
「当旅館の総支配人を務めている者でございます」
「だって?」
「わぁエルフさんの国の偉い人とホテルで一番偉い人がそろい踏みだぁ」
要人が止まる旅館って聞いてたけどもうエルフさんの本国の偉い人が止まってるんだ?
「それで、どうしましたか」
「い。いやね、ここで本国の晩さん会で食した地球産食料にそっくりなふんウキを感じてね、まだこの世界樹再開宅地には日本食材を輸入してなかったのでね、何事かと思ってね」
エルフさんの疑問に歯切れの悪そうな回答をするお偉いさん。
食事のにおいでこの部屋を特定して訪ねてきたってコト?
……もしかして、ごはん狙い?
エルフさんも同様の考えに達したのか、気まずそうに僕を見てくる。
作ってほしいってことね。
「……エルフさん、一応まだ数人分の天蕎麦を作れるくらいの食材なら倉庫にあるけど」
僕はエルフさんに耳打ちする。
その様子をかたずをのんで見守るお偉いさん。
「ごくり」
「良ければお昼を召し上がっていきますか?」
「い、良いのかね?」
エルフさんの返答にぱっと明るくなるお偉いさんたち。
どんだけ食べたかったの?
「えぇ、本国の方々には今回の件では無理を通していただきましたし、もしよければ」
「君が作るのかね?首席観察官は多芸だねぇ」
「いえ、私ではなくこの少年が作ります……絶品ですよ」
「なんと」
エルフさんがダイニングに来客を案内する。
僕もエルフさんの後ろに続き、そのままキッチンへ。
油、まだしまってなくてよかった。
☆ミ
数分後。
「あぁ何という口福」
「晩さん会では既成の輸入食品だったが、出来立ての料理とはこうも芳醇なマナを纏っている者なのか!!」
「複製機でつくらない自然由来食品って何て味なの……あぁ、ダメ。もう複製機の食品が食べられなくなってしまうっ!」
「じ、時空凍結コンテナで出来立て料理を輸入するとかはできないのかね!?運輸省の物流調整や時空凍結コンテナの増産が必要ならすぐに議会に提案するぞ」
各々まるでグルメ漫画のような反応を返すエルフ族のお偉いさん方。
全員分できてから配膳るのだと天ぷらが冷めてしまって美味しくないので、まずはざるそばセットを提供し、その後に具材ごとにあげた手を少しづつ振る舞うスタイルで提供中。
出されたそばから消えていく天ぷら。
グルメ漫画みたいな反応を毎回するえらい人たち。
なかなかに面白い風景だね。
「うちのお偉いさんがごめんなさい」
「まあ、さっきのお菓子が標準だとこの反応はわからないでもないね……」
そんな様子の中、総支配人さんがガバっと立ち上がって僕の方を見る。
「あ、あの……えーと……お名前を伺っても?」
そういえば偉い人に僕は名乗っていなかった。
「エルフさん、僕って何て名乗ればいいと思う?」
「婚約者とかどう?」
「いいね。僕は首席観察官の婚約者です」
恋人から婚約者にランクアップ。
いいね。婚約者。
「そうなのですか?あの……ホモサピエンス族はこの肉体年齢で成人で……?」
「聞きたいことがそれなら一旦お引き取り頂けるかしら」
「いえ!プライベートな案件でぶしつけでした。無礼をお許しください」
「えぇ、謝罪を受け取りました。それで、私の婚約者に何か聞きたいことが?」
エルフさん、勢いでごまかした……。
「お願いいたします!当ホテルに逗留中に従業員への料理指導をお願いできませんでしょうか!!!」
流れるように土下座するかの勢いで頭を下げてくる総支配人。
「おぉう、そう来たか」
レシピが欲しいくらいは言われるかなと思ったけど料理指導はちょっと予想外。
「それはぜひ我々からもお願いしたいね。今後日本側の要人が我が国に来る時にもこのホテルは中間拠点として使う想定で建てているし、その時に日本の水準からしたら著しく低い饗応では国威にかかわってしまう」
「それは日本政府側でも認識してるし気にしなくてよいのでは?」
僕との時間が減るためだろうか、若干難色を示すエルフさん。
「目の前に改善する方策があるならやるべきではないかね?」
「まあ、一理、ありますね」
「もし婚約者君がこの依頼を引き受けてくれるのであれば……政府としては逗留中の万全のバックアップを約束しよう。もちろん日本からの輸入食品もすぐに融通するし、万一首席観察官、君が何らかの銀河連邦警察とのトラブルがあったとしても内務省事務次官としての権能で介入の阻止を確約しようじゃないか」
少しニヤッとしながら言う青年くらいのエルフ男性。
「それはそれは……」
エルフさんもなんか悪い顔をしている。
「どうかね?」
「少年……」
僕に上目使いでお伺いを立ててくるエルフさん。
「別にいいよ?」
「本当かね!?」
「ただし、僕は別にプロの料理人ってわけじゃないからね。基本的な料理しか作れないし、だから基本的なレシピしか教えられないよ?」
「それでも十分だよ君!それに基本的とはいうが君の作ったランチは絶品だった!期待させてもらうよ」
内務省事務次官さんの言葉にうなづくほかのお偉いさんたち。
まぁ、できる範囲でできることをやればいいか。
そんなこんなで、なんか流れで旅館の人たちに料理指導をすることになった。
さて午後はどうしよっかなーと考えていると――
ピンポーン
なんかチャイムの音。
「誰か来たみたいだよ?」
「誰かしら……フロントの人?」
怪訝な顔をしてエルフさんが立ち上がり、踏込へ。
部屋のドアを開けると、そこには複数のエルフ族の男女が立っていた。
「や、やぁ駐日首席観察官。奇遇だね」
その中の代表なのか初老のエルフ女性が代表してエルフさんにいう。
「副議長に……皆さん……この旅館に泊まってたんですか?」
「エルフさん、このひとたちは?」
「庶民院副議長に内務省事務次官に探索省事務次官に典礼秘跡省長官に資源管理省長官と……だれ?」
「当旅館の総支配人を務めている者でございます」
「だって?」
「わぁエルフさんの国の偉い人とホテルで一番偉い人がそろい踏みだぁ」
要人が止まる旅館って聞いてたけどもうエルフさんの本国の偉い人が止まってるんだ?
「それで、どうしましたか」
「い。いやね、ここで本国の晩さん会で食した地球産食料にそっくりなふんウキを感じてね、まだこの世界樹再開宅地には日本食材を輸入してなかったのでね、何事かと思ってね」
エルフさんの疑問に歯切れの悪そうな回答をするお偉いさん。
食事のにおいでこの部屋を特定して訪ねてきたってコト?
……もしかして、ごはん狙い?
エルフさんも同様の考えに達したのか、気まずそうに僕を見てくる。
作ってほしいってことね。
「……エルフさん、一応まだ数人分の天蕎麦を作れるくらいの食材なら倉庫にあるけど」
僕はエルフさんに耳打ちする。
その様子をかたずをのんで見守るお偉いさん。
「ごくり」
「良ければお昼を召し上がっていきますか?」
「い、良いのかね?」
エルフさんの返答にぱっと明るくなるお偉いさんたち。
どんだけ食べたかったの?
「えぇ、本国の方々には今回の件では無理を通していただきましたし、もしよければ」
「君が作るのかね?首席観察官は多芸だねぇ」
「いえ、私ではなくこの少年が作ります……絶品ですよ」
「なんと」
エルフさんがダイニングに来客を案内する。
僕もエルフさんの後ろに続き、そのままキッチンへ。
油、まだしまってなくてよかった。
☆ミ
数分後。
「あぁ何という口福」
「晩さん会では既成の輸入食品だったが、出来立ての料理とはこうも芳醇なマナを纏っている者なのか!!」
「複製機でつくらない自然由来食品って何て味なの……あぁ、ダメ。もう複製機の食品が食べられなくなってしまうっ!」
「じ、時空凍結コンテナで出来立て料理を輸入するとかはできないのかね!?運輸省の物流調整や時空凍結コンテナの増産が必要ならすぐに議会に提案するぞ」
各々まるでグルメ漫画のような反応を返すエルフ族のお偉いさん方。
全員分できてから配膳るのだと天ぷらが冷めてしまって美味しくないので、まずはざるそばセットを提供し、その後に具材ごとにあげた手を少しづつ振る舞うスタイルで提供中。
出されたそばから消えていく天ぷら。
グルメ漫画みたいな反応を毎回するえらい人たち。
なかなかに面白い風景だね。
「うちのお偉いさんがごめんなさい」
「まあ、さっきのお菓子が標準だとこの反応はわからないでもないね……」
そんな様子の中、総支配人さんがガバっと立ち上がって僕の方を見る。
「あ、あの……えーと……お名前を伺っても?」
そういえば偉い人に僕は名乗っていなかった。
「エルフさん、僕って何て名乗ればいいと思う?」
「婚約者とかどう?」
「いいね。僕は首席観察官の婚約者です」
恋人から婚約者にランクアップ。
いいね。婚約者。
「そうなのですか?あの……ホモサピエンス族はこの肉体年齢で成人で……?」
「聞きたいことがそれなら一旦お引き取り頂けるかしら」
「いえ!プライベートな案件でぶしつけでした。無礼をお許しください」
「えぇ、謝罪を受け取りました。それで、私の婚約者に何か聞きたいことが?」
エルフさん、勢いでごまかした……。
「お願いいたします!当ホテルに逗留中に従業員への料理指導をお願いできませんでしょうか!!!」
流れるように土下座するかの勢いで頭を下げてくる総支配人。
「おぉう、そう来たか」
レシピが欲しいくらいは言われるかなと思ったけど料理指導はちょっと予想外。
「それはぜひ我々からもお願いしたいね。今後日本側の要人が我が国に来る時にもこのホテルは中間拠点として使う想定で建てているし、その時に日本の水準からしたら著しく低い饗応では国威にかかわってしまう」
「それは日本政府側でも認識してるし気にしなくてよいのでは?」
僕との時間が減るためだろうか、若干難色を示すエルフさん。
「目の前に改善する方策があるならやるべきではないかね?」
「まあ、一理、ありますね」
「もし婚約者君がこの依頼を引き受けてくれるのであれば……政府としては逗留中の万全のバックアップを約束しよう。もちろん日本からの輸入食品もすぐに融通するし、万一首席観察官、君が何らかの銀河連邦警察とのトラブルがあったとしても内務省事務次官としての権能で介入の阻止を確約しようじゃないか」
少しニヤッとしながら言う青年くらいのエルフ男性。
「それはそれは……」
エルフさんもなんか悪い顔をしている。
「どうかね?」
「少年……」
僕に上目使いでお伺いを立ててくるエルフさん。
「別にいいよ?」
「本当かね!?」
「ただし、僕は別にプロの料理人ってわけじゃないからね。基本的な料理しか作れないし、だから基本的なレシピしか教えられないよ?」
「それでも十分だよ君!それに基本的とはいうが君の作ったランチは絶品だった!期待させてもらうよ」
内務省事務次官さんの言葉にうなづくほかのお偉いさんたち。
まぁ、できる範囲でできることをやればいいか。
そんなこんなで、なんか流れで旅館の人たちに料理指導をすることになった。
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