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第7話 夜空を繋ぐ河(前編)
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朝から天気のいい日に、優羽は退院した。
あの日から二週間。
夏の装いを見せ始めた空が、一面に広がっている。
「今夜は七夕かぁ。織姫と彦星は無事に出会えるかな?」
「優羽は案外ロマンチストですね。」
「えー。僕は一年に一度しか優羽と会えないなんて無理。」
お抱えの運転手ではなく、輝の運転する車が病院にやってきたのは数十分前。その後部座席で、夏休み目前の学校をわざわざ休んだ戒と陸に挟まれながら優羽は座っていた。
「ねぇ、家でも飾り付けしていい?」
陸のぼやきを聞き流した優羽は、誰にでもなく顔をあげる。
退院する時に病院の待合室で飾られていた笹の葉と短冊がまだ記憶に新しい。そう走る車の中で話題にしてみただけなのに、なぜか、からかうような笑い声だけが車内に響いた。
「まだまだガキだな。」
「ちっちがうもんっ。イベントは楽しむものでしょ?」
季節行事に浮かれているのは自分だけみたいに聞こえると、優羽はホホを膨らませる。
そこでバックミラー越しに目があった輝に、優羽はパッと視線をそらした。
「ガキじゃないもん。」
小さくつぶやいた声はきっと誰にも聞こえていない、はず。
この国は十八歳だからといって行事に浮かれてはいけないという法律はないのだから、輝にとがめられる理由はない。
「その顔、すっげぇそそられるな。わざと?」
「えっ?」
「僕が優羽の願い事、叶えてあげるよ。」
「えっ!?」
「イベントはみんなで楽しむものなのでしょう?」
「なっ何が!?」
一様に含まれる笑顔に、優羽の顔がひきつっていく。
何を言っているかがわからないほど彼らと浅い関係ではないだけに、想像が勝手にふくらんでいた。
「ほら、早く願い事いってよ。」
「りっ陸?」
七夕は確かに願い事を短冊に書いて星に祈るのだが、そこに書くはずの願いとは別の"お願い"を強調されているようで、優羽はごくりと息をのむ。
「いつもみたいにお願いしていいんですよ?」
「かっ戒?」
窓の外を流れていく景色を一瞬横目で見た戒が、綺麗な顔で首をかしげてくる。
何をしても絵になる繊細な線に優羽の顔は赤く色づくが、きっと原因はそれだけではないのだろう。それに気づいた輝が、バックミラーにうつる言葉を失ったままの優羽を見てニヤリと笑った。
「淫乱な優羽ちゃんが叶えて欲しい願い事なんていつも同じだよなぁ?」
「てっ輝!?」
何を言い出すのかと、優羽は本格的に顔を真っ赤にして挙動不審にうろたえる。
それにクスクスと答えるように、両サイドからは好奇な笑みが向けられた。
「もうすぐ夏休みだし、時間はいっぱいあるよ。」
「何回でも優羽のお願いを聞いてあげられます。」
安易に想像できる内容に、優羽は段々口を閉ざして言葉を探す。
けれど、向けられる三人の視線に耐えきれず、恥ずかしさの方が勝って大声をあげていた。
「やっやだッ!だって、欲しいっていうまで責めてくるし、入院中だって毎日イカされッ───あ。」
口にしてからしまったと思っても、もう遅い。
勝ち誇った顔をした彼らに優羽の顔が青ざめる。
「あっれぇ。僕ら"優羽のお願い"を聞くって言っただけだよね?」
「優羽が望んでるんなら仕方ねぇよ。」
「心配しなくても、毎日イヤというほど、たくさん可愛がってあげますよ。」
言葉が口から出てこない。
恥ずかしすぎて顔を赤くしながらうつむく優羽に、今度こそ三人の優越な笑い声が車内に響いていた。
「んな顔してっと、車、脇にとめっぞ?」
「ぁっ、ダメッ!」
そこで顔をあげて、赤い顔のまま必死で否定する優羽にまた笑い声があがる。
「すっかり染まってしまいましたね。」
「ただ車を止めるって言っただけだよ?」
「ッ!!?」
だまされた!
そう思ってももう遅い。
彼らのペースに巻き込まれたら、そう簡単に抜け出せないことはもうわかっている。
「けど、優羽の期待に答えられなくて悪いな。」
「父さんも帰ってくるようですし。」
「優羽がしたいっていう七夕の飾り付けもしなくちゃね。」
パクパクと口を動かす優羽に、楽しそうな声が心拍をあおる。
今すぐ願いが叶うなら、彼らの余裕な態度をどうにかしてもらいたいと本気で思う。
「待ちきれないなら、今してあげてもいいよ?」
「ッ!?」
どこの願いが聞き届けられたのか、グイッと肩を引き寄せて耳元でささやく陸のせいで、優羽は完全に真っ赤な顔でうつむいた。
恥ずかしすぎて顔があげられない。
真っ赤なリンゴのように、小さく丸まった優羽は、完全防御を全身で表していた。
それなのに無理矢理あげさせられた顔に、陸の深い口づけがおとされる。
「んっ…ッ…あっ」
その強い力に押されて、陸とは反対側に座っていた戒に背中があたる。
「陸、辞めて下さい。」
「んっ…ぁ…り…く…ヤメ……」
「うん、おしまい。」
揺れはじめた車内に戒が怪訝な顔を見せたからか、優羽の抵抗は珍しくもすぐに終わりを告げた。
いつもであれば、ここで反対側から戒も参加してくるはずなのに、予想に反して止められた行為に疑問が残る。
「ごちそうさま。」
「ぅ?」
「残念だったな、着いちまった。」
そう言われて視線を窓の外に向けてみれば、いつの間に帰ってきたのか、魅壷邸がすぐ目の前にあった。
懐かしい。
たった二週間留守にしていただけなのに、「ただいま」という言葉がとても身に染みるようだった。
「"お願い"叶わなかったな。」
「えっ!?」
戒が車を降りた弾みで開いたドアから覗きこんだ輝が笑う。
イタズラに視線を流した戒と、まだ真横にいる陸が同時に口角をあげたせいで優羽は再び顔を真っ赤にさせて反論した。
「お願いしてない!」
その声にまた三人が笑う。
いい加減にしてほしくて、優羽はまた唇をかんだ。
「おや、いつからそんな顔が出来るようになったのかな?」
「──っお父さん!」
車を降りると同時にかけられた、懐かしい声に優羽は顔をあげる。
長期不在にしていた幸彦とは、最初の夜以来の再会だった。
「仲良くやっていそうだね。」
久しぶりに会ったにもかかわらず、変わらない父の姿にどこかホッとした。
そうして胸を撫で下ろす優羽の先で、戒が幸彦に首をかしげる。
「どこに行ってきたんですか?」
手に大きな袋とカバンを持ったままの義父の姿は、今まさに旅行から帰ってきたといっても過言ではない雰囲気を携(タズサ)えていた。
バカンスにしては、まだ季節が早い気もする。
「出張でしたよね?」
にこり。
大人の笑みで質問の答えとした幸彦に、戒の顔がピクリと動いた。まさかとは思うが、先日の陸の帰宅場面と重なるところがありすぎて、嫌な予感がする。
「お帰りなさい。」
「優羽はバカですね。」
「え?!」
なぜ急に戒にバカにされないといけないのかが理解できない。駆け寄るなり頭を優しく撫でてくれる幸彦の手の下で、優羽は驚きの声を戒にむける。
「バカって、どういう意───」
「そこが可愛いんですが。」
「おや、戒にそれを言わせるとは、なかなか悪い子だね。」
「─────ッ!?」
「ただいま。いや、お帰りかな?」
首が意思に反して反転する。
戒に向けていた顔を強制的に幸彦に視線を合わせるように向け直された優羽は、状況判断が出来ないように目をまたたかせた。
「優羽?」
「はっはい!」
優しく笑う幸彦に、優羽はあわてて返事をする。名前を呼ばれただけなのに、幸彦にはなぜか逆らえない魅力が存在していた。
けれど、その空気は輝の声が邪魔をする。
「親父、笹ってこの辺なかった?」
「笹?」
「優羽が願い事を書きてぇんだとよ。」
「願い事?」
またも強制的に、近くに来た輝へと向きそうになった優羽の顔は幸彦へと戻される。
「なにをお望みかな?」
「え?」
「願いを叶えてあげよう。」
うなずいた幸彦に答えられるわけもない。
本当に何でも叶えてくれそうなだけに、怖くて何も言えない。
「えっと。」
言葉を探すように視線を泳がせはじめた優羽を幸彦は依然、優しげな眼差しで見つめている。
なにが楽しいのか、愛娘の願い事が紡ぎ出されるのをじっと待っていた。
「じゃ、僕は新しいオモチャ。」
「それは輝に作ってもらいなさい。」
「じゃ、俺は休日にするわ。」
「普段から自由に休みをとっているだろう。」
「「……………。」」
まさに一刀両断な幸彦の返答に、陸と輝がしらけた顔をしているのがわかる。
リクエストを無下に扱われた彼らは差別だの、贔屓だのを雰囲気で批判しているが、幸彦には通じない。さすがに食い下がることを諦めたのか、盛大なため息をはいて、陸も輝も先を行った戒にならうように玄関へと歩いていった。
「お帰り。揃いも揃って、玄関先でなにしてるの?」
苦笑ともとれる笑いとともに、晶が兄弟たちを出迎える。
けれど、その疑問の声は通りすぎていく弟たちの向こうに見えた景色に合点がいったらしい。
「優羽、短冊の飾り付けするから早くおいで。」
「あ!はい。」
大声で現状回避をはかってくれた晶にお礼が言いたい。
幸彦への返答に困っていた優羽は、助け船を出してくれた晶の元へと駆け出した。
「僕、しーらない。」
「優羽はバカですからね。」
陸と戒があきれたように何かを言っているが、幸彦を置き去りにして玄関をかけ上った優羽には気づかない。
気づかないまま晶の元へとたどり着いた優羽は、直後に持ち上がった身体に悲鳴をあげる。
「キャァっ!?」
突然、体を後ろから幸彦に抱きすくめられ、肩にかつぎ上げられた優羽の足がバタバタとゆれていた。
一体どこに運ばれるのか。
広く長い廊下を幸彦に担がれたまま優羽は抵抗むなしく運ばれていく。
「きゃッ!?」
リビングまで運ばれた優羽は、そのままソファーに落とされた。
ボスッと軽く沈んだ体に驚いて目を閉じた優羽は、目を開けてさらに驚く。
「ッ!?」
近い。
真正面から見下ろすように覗き込んでくる幸彦の目から逃げられない。
「ッア。」
初めての夜と重なって、ごくりと喉がなった。
至近距離で見つめられる瞳の強さに、ドキドキと鼓動は早くなり、息をするのも躊躇(タメラ)われる。
「ゆっ幸彦さま?」
恐る恐る名前を呼んでみた。
「兄弟仲良くとは言ったが、仲良くなりすぎるのはよくない。」
「え?」
予想外の台詞に、間の抜けた優羽の声が響く。
よく見ると、少し怒ったようなすねたような幸彦の表情はどこかで見たことがある気がした。
この顔は誰かに似ている。
「あはは。」
陸とそっくり。
あまりにそっくりな親子が重なって、優羽は思わず笑い声をあげていた。
「笑っている場合ではないよ。」
「だって幸彦さまったら。」
おかしくて笑いが止まらない優羽を引き起こしながら、幸彦は口をとがらせる。
「久しぶりに会えたのだから、もっと優羽を近くで感じたい。」
そのすねかたが可愛くて、ついついいじめたくなる。
自分よりも随分大人なはずなのに、たまに見せるワガママが優羽を余裕の態度に変えさせる。
「はい。」
クスクスと含み笑いをこぼしながら、優羽はソファーに座る幸彦にまたがった。
首もとに手を回し、向かい合う形で微笑む優羽に幸彦が少し驚いた顔を見せる。
「しばらく見ない間に、すっかり大人になったようだ。」
「えっ?」
驚いたのもつかの間、干渉に浸るように優しく笑った幸彦の指が優羽の髪をなでる。
その色気ある視線と触り方に、優羽の理性がドキッと音をたてた。しまったと思う。調子に乗って上を陣取ったが、見方を変えれば幸彦の望む形に収まったと言っても過言ではない。
いつのまに?
流れるように誘導された体制に、気づくと意外に恥ずかしさが込み上げてくる。
「おや、どこにいくつもりかな?」
「ッ!?」
最早、形勢逆転。
ちゃっかり腰に手を当ててくる幸彦に退路をたたれた優羽は、なすすべもなくその後頭部を引き寄せられた。
「ンッ…っ…あ」
甘い口づけに、深い吐息。心地よさに揺れ始めた優羽のもとに、忘れてはいけない彼らがやってくる。
「それくらいにして下さい。」
「父さん、ずるい!僕だって我慢したのに。」
「ンッ!?」
不機嫌な戒と陸の声が目の前から聞こえたことで、幸彦との行為にスイッチが入ろうとしていた優羽の目がパチッと見開いた。
「ンン~ッ…あっ…~っ」
バタバタと暴れてもがっしりと押さえられた後頭部と、目の前に迫る長いまつげに唇が離れない。
「ぷはっ。」
何分耐えていたのだろうか。
息が出来るようになった頃には、優羽はぐったりと幸彦の肩に顔をのせるほど酸欠になっていた。
はぁはぁと呼吸をする優羽の背中を幸彦は満足そうにさする。
「ちゃんとしつけているようだね。」
「優羽は、飲み込みが早いですからね。」
不敵に父親らしい言葉を向けてきた幸彦に戒が答える。
まるで優羽を飼っているペットか何かのように扱うその仕草に、酸素不足に陥っていた優羽はふてくされたように顔をあげた。
「犬じゃないもん!」
「いや。優羽はメス犬の素質あるだろ。」
「輝っ!?」
「あきねぇなぁ。優羽は。」
グリグリと頭を撫でられながら、優羽は言葉につまる。このまま彼らから逃げ切れずに、きっとどこまでも溺れていくのだろう。
幸彦の腕の中にもたれながら、優羽は少しだけ甘えるように視線をあげた。
「っ。」
美麗な家族に視線が定まらない。
もう好きにしてくれと思う一方で、好きにされたらどうしようとたじろぐ。
このままでは流されるまま大変なことになると身構えた所で、晶の声が飛んできた。
「飾りつけの準備が出来たから、そろそろ優羽を解放してもらえるかな?」
笑顔の晶のせいかおかげか、やっと解放されると、ひとり収まらない熱と鼓動を落ち着けながら優羽は幸彦から降りる。
「笹!どうしたの?」
「願い事、書くんだろ?」
さっき言ってたはずだと苦笑する輝をはじめ、準備を始める彼らの顔を見渡して優羽はひとりつぶやいた。
「みんなの傍にいれて幸せ。」
「そのぶん、大きな罰を与えられちゃったけどね?」
「えっ?」
陸の言葉に首をかしげる優羽は、楽しげに作業にとりかかる彼らに、何も答えてはもらえなかった。
一生逃げられない檻の中に囚われたまま、日に日に愛欲にまみれ溺れていく苦しみは罰なのだろうか?
それとも、罪?
たぶん、それすら気付かない自分が少し怖い。
幸せか苦しみかは、きっと心次第。
「優羽はこちらに来なさい。」
「え?」
まさに今から飾りつけだの、短冊などを用意すると言うときに幸彦は優羽を近くに呼び寄せる。
和気あいあいと共同作業の割り振りを考えている輪の中に入ろうとしていた優羽は、首をかしげて幸彦の元で足を止めた。
「座りなさい。」
「なに?」
疑問に感じながらも優羽は、ソファーに座る幸彦の隣にチョコンと腰を落ち着ける。
素直に従った優羽は、指示を出した幸彦をじっと見つめ返した。
「退院おめでとう。」
「あ。ありがとうございます。」
「その服もよく似合っている。」
「えっ?」
「本当に送った服を着てくれてるとは思ってなかったのでね。」
毎日欠かさず幸彦が出張先から送ってくる服は何故かワンピースばかりだったが、着なれると結構楽な上に退院時に荷物にならなくてすむからと、優羽は今日も幸彦の贈ってくれた服を着ていた。
「とてもよく似合っている。」
心配そうに顔を歪ませたあとで、安堵するように笑った幸彦につられて、優羽も微笑む。
「毎日ちゃんと着てるよ。」
ありがとうという言葉が震える。
ちゃんと面と向かって言うお礼は、少しくすぐったくて、照れくさかった。
「ありがとう。そういってもらえると選んだかいがある。」
「お父さんが?」
「不思議かい?」
うんと小さくうなずいた優羽を幸彦は優しく抱き締める。
「痛い思いさせてしまったからね。」
「ッ!?」
耳元でささやかれた台詞に、優羽の体は面白いくらいにビクリと硬直をみせた。
幸彦の言葉が表現する共通の出来事なんてひとつしか存在しない。
「どれ、あの日からどれくらい成長したのか見せてもらおう。」
「やッ!?」
抱き締める力を強くした幸彦の腕の中で、優羽は小さく抵抗の声をあげる。
すぐそこにみんながいるのに、幸彦の行為を受け入れるわけにはいかない。
「だっだめ。」
顔を背けて、距離をとろうと胸をおしてくる優羽をすっぽりと包み込んだ幸彦の唇が額に落ちてくる。
髪、おでこ、まぶた、頬。
そうして落ちてきた唇に優羽は、いとも容易く塞がれた。
「ンッ…っ…はぁ…ん」
硬直した体のまま、全身の神経が幸彦ではないところに向いている。
七夕の飾りつけをしているはずの兄弟たちが、今、どういう状態なのかの方が気になって、変な緊張感だけが頭の中に渦巻いていた。
理性が現実に意識をとどまらせる。
「素直になったと聞いているよ。」
「あっ…ッ…だっめ」
恥ずかしいとかそれ以上に、周りの目が気になってそれどころじゃない。
それなのに優羽の足を割るように自分の足を割り込ませた幸彦は、簡単にワンピースの乙女を解放させた。
空気が下着に風を通す。
「これでも退院日くらい、休ませてやろうと思っていた。」
「あ…っヤッ!?」
胸に強く引き寄せられた上半身に反して、遅れをとった下半身に幸彦はその手を滑り込ませる。
「い…ヤ…です」
真っ赤な顔で幸彦の胸に抵抗を記す優羽の声は小さく羞恥に震えていた。
クスリと幸彦が耳元で笑う。
その瞬間、滑り込んできた幸彦の手が下着の中で動く。
「ひァッ!?」
中を押し込むように、グニッと入ってきた指の感覚に優羽はびくりと腰を引いた。
それでも逃げられる相手ではない。
「これは優羽の計算かな?」
もう怖くて顔をあげられなかった。
あの日から二週間。
夏の装いを見せ始めた空が、一面に広がっている。
「今夜は七夕かぁ。織姫と彦星は無事に出会えるかな?」
「優羽は案外ロマンチストですね。」
「えー。僕は一年に一度しか優羽と会えないなんて無理。」
お抱えの運転手ではなく、輝の運転する車が病院にやってきたのは数十分前。その後部座席で、夏休み目前の学校をわざわざ休んだ戒と陸に挟まれながら優羽は座っていた。
「ねぇ、家でも飾り付けしていい?」
陸のぼやきを聞き流した優羽は、誰にでもなく顔をあげる。
退院する時に病院の待合室で飾られていた笹の葉と短冊がまだ記憶に新しい。そう走る車の中で話題にしてみただけなのに、なぜか、からかうような笑い声だけが車内に響いた。
「まだまだガキだな。」
「ちっちがうもんっ。イベントは楽しむものでしょ?」
季節行事に浮かれているのは自分だけみたいに聞こえると、優羽はホホを膨らませる。
そこでバックミラー越しに目があった輝に、優羽はパッと視線をそらした。
「ガキじゃないもん。」
小さくつぶやいた声はきっと誰にも聞こえていない、はず。
この国は十八歳だからといって行事に浮かれてはいけないという法律はないのだから、輝にとがめられる理由はない。
「その顔、すっげぇそそられるな。わざと?」
「えっ?」
「僕が優羽の願い事、叶えてあげるよ。」
「えっ!?」
「イベントはみんなで楽しむものなのでしょう?」
「なっ何が!?」
一様に含まれる笑顔に、優羽の顔がひきつっていく。
何を言っているかがわからないほど彼らと浅い関係ではないだけに、想像が勝手にふくらんでいた。
「ほら、早く願い事いってよ。」
「りっ陸?」
七夕は確かに願い事を短冊に書いて星に祈るのだが、そこに書くはずの願いとは別の"お願い"を強調されているようで、優羽はごくりと息をのむ。
「いつもみたいにお願いしていいんですよ?」
「かっ戒?」
窓の外を流れていく景色を一瞬横目で見た戒が、綺麗な顔で首をかしげてくる。
何をしても絵になる繊細な線に優羽の顔は赤く色づくが、きっと原因はそれだけではないのだろう。それに気づいた輝が、バックミラーにうつる言葉を失ったままの優羽を見てニヤリと笑った。
「淫乱な優羽ちゃんが叶えて欲しい願い事なんていつも同じだよなぁ?」
「てっ輝!?」
何を言い出すのかと、優羽は本格的に顔を真っ赤にして挙動不審にうろたえる。
それにクスクスと答えるように、両サイドからは好奇な笑みが向けられた。
「もうすぐ夏休みだし、時間はいっぱいあるよ。」
「何回でも優羽のお願いを聞いてあげられます。」
安易に想像できる内容に、優羽は段々口を閉ざして言葉を探す。
けれど、向けられる三人の視線に耐えきれず、恥ずかしさの方が勝って大声をあげていた。
「やっやだッ!だって、欲しいっていうまで責めてくるし、入院中だって毎日イカされッ───あ。」
口にしてからしまったと思っても、もう遅い。
勝ち誇った顔をした彼らに優羽の顔が青ざめる。
「あっれぇ。僕ら"優羽のお願い"を聞くって言っただけだよね?」
「優羽が望んでるんなら仕方ねぇよ。」
「心配しなくても、毎日イヤというほど、たくさん可愛がってあげますよ。」
言葉が口から出てこない。
恥ずかしすぎて顔を赤くしながらうつむく優羽に、今度こそ三人の優越な笑い声が車内に響いていた。
「んな顔してっと、車、脇にとめっぞ?」
「ぁっ、ダメッ!」
そこで顔をあげて、赤い顔のまま必死で否定する優羽にまた笑い声があがる。
「すっかり染まってしまいましたね。」
「ただ車を止めるって言っただけだよ?」
「ッ!!?」
だまされた!
そう思ってももう遅い。
彼らのペースに巻き込まれたら、そう簡単に抜け出せないことはもうわかっている。
「けど、優羽の期待に答えられなくて悪いな。」
「父さんも帰ってくるようですし。」
「優羽がしたいっていう七夕の飾り付けもしなくちゃね。」
パクパクと口を動かす優羽に、楽しそうな声が心拍をあおる。
今すぐ願いが叶うなら、彼らの余裕な態度をどうにかしてもらいたいと本気で思う。
「待ちきれないなら、今してあげてもいいよ?」
「ッ!?」
どこの願いが聞き届けられたのか、グイッと肩を引き寄せて耳元でささやく陸のせいで、優羽は完全に真っ赤な顔でうつむいた。
恥ずかしすぎて顔があげられない。
真っ赤なリンゴのように、小さく丸まった優羽は、完全防御を全身で表していた。
それなのに無理矢理あげさせられた顔に、陸の深い口づけがおとされる。
「んっ…ッ…あっ」
その強い力に押されて、陸とは反対側に座っていた戒に背中があたる。
「陸、辞めて下さい。」
「んっ…ぁ…り…く…ヤメ……」
「うん、おしまい。」
揺れはじめた車内に戒が怪訝な顔を見せたからか、優羽の抵抗は珍しくもすぐに終わりを告げた。
いつもであれば、ここで反対側から戒も参加してくるはずなのに、予想に反して止められた行為に疑問が残る。
「ごちそうさま。」
「ぅ?」
「残念だったな、着いちまった。」
そう言われて視線を窓の外に向けてみれば、いつの間に帰ってきたのか、魅壷邸がすぐ目の前にあった。
懐かしい。
たった二週間留守にしていただけなのに、「ただいま」という言葉がとても身に染みるようだった。
「"お願い"叶わなかったな。」
「えっ!?」
戒が車を降りた弾みで開いたドアから覗きこんだ輝が笑う。
イタズラに視線を流した戒と、まだ真横にいる陸が同時に口角をあげたせいで優羽は再び顔を真っ赤にさせて反論した。
「お願いしてない!」
その声にまた三人が笑う。
いい加減にしてほしくて、優羽はまた唇をかんだ。
「おや、いつからそんな顔が出来るようになったのかな?」
「──っお父さん!」
車を降りると同時にかけられた、懐かしい声に優羽は顔をあげる。
長期不在にしていた幸彦とは、最初の夜以来の再会だった。
「仲良くやっていそうだね。」
久しぶりに会ったにもかかわらず、変わらない父の姿にどこかホッとした。
そうして胸を撫で下ろす優羽の先で、戒が幸彦に首をかしげる。
「どこに行ってきたんですか?」
手に大きな袋とカバンを持ったままの義父の姿は、今まさに旅行から帰ってきたといっても過言ではない雰囲気を携(タズサ)えていた。
バカンスにしては、まだ季節が早い気もする。
「出張でしたよね?」
にこり。
大人の笑みで質問の答えとした幸彦に、戒の顔がピクリと動いた。まさかとは思うが、先日の陸の帰宅場面と重なるところがありすぎて、嫌な予感がする。
「お帰りなさい。」
「優羽はバカですね。」
「え?!」
なぜ急に戒にバカにされないといけないのかが理解できない。駆け寄るなり頭を優しく撫でてくれる幸彦の手の下で、優羽は驚きの声を戒にむける。
「バカって、どういう意───」
「そこが可愛いんですが。」
「おや、戒にそれを言わせるとは、なかなか悪い子だね。」
「─────ッ!?」
「ただいま。いや、お帰りかな?」
首が意思に反して反転する。
戒に向けていた顔を強制的に幸彦に視線を合わせるように向け直された優羽は、状況判断が出来ないように目をまたたかせた。
「優羽?」
「はっはい!」
優しく笑う幸彦に、優羽はあわてて返事をする。名前を呼ばれただけなのに、幸彦にはなぜか逆らえない魅力が存在していた。
けれど、その空気は輝の声が邪魔をする。
「親父、笹ってこの辺なかった?」
「笹?」
「優羽が願い事を書きてぇんだとよ。」
「願い事?」
またも強制的に、近くに来た輝へと向きそうになった優羽の顔は幸彦へと戻される。
「なにをお望みかな?」
「え?」
「願いを叶えてあげよう。」
うなずいた幸彦に答えられるわけもない。
本当に何でも叶えてくれそうなだけに、怖くて何も言えない。
「えっと。」
言葉を探すように視線を泳がせはじめた優羽を幸彦は依然、優しげな眼差しで見つめている。
なにが楽しいのか、愛娘の願い事が紡ぎ出されるのをじっと待っていた。
「じゃ、僕は新しいオモチャ。」
「それは輝に作ってもらいなさい。」
「じゃ、俺は休日にするわ。」
「普段から自由に休みをとっているだろう。」
「「……………。」」
まさに一刀両断な幸彦の返答に、陸と輝がしらけた顔をしているのがわかる。
リクエストを無下に扱われた彼らは差別だの、贔屓だのを雰囲気で批判しているが、幸彦には通じない。さすがに食い下がることを諦めたのか、盛大なため息をはいて、陸も輝も先を行った戒にならうように玄関へと歩いていった。
「お帰り。揃いも揃って、玄関先でなにしてるの?」
苦笑ともとれる笑いとともに、晶が兄弟たちを出迎える。
けれど、その疑問の声は通りすぎていく弟たちの向こうに見えた景色に合点がいったらしい。
「優羽、短冊の飾り付けするから早くおいで。」
「あ!はい。」
大声で現状回避をはかってくれた晶にお礼が言いたい。
幸彦への返答に困っていた優羽は、助け船を出してくれた晶の元へと駆け出した。
「僕、しーらない。」
「優羽はバカですからね。」
陸と戒があきれたように何かを言っているが、幸彦を置き去りにして玄関をかけ上った優羽には気づかない。
気づかないまま晶の元へとたどり着いた優羽は、直後に持ち上がった身体に悲鳴をあげる。
「キャァっ!?」
突然、体を後ろから幸彦に抱きすくめられ、肩にかつぎ上げられた優羽の足がバタバタとゆれていた。
一体どこに運ばれるのか。
広く長い廊下を幸彦に担がれたまま優羽は抵抗むなしく運ばれていく。
「きゃッ!?」
リビングまで運ばれた優羽は、そのままソファーに落とされた。
ボスッと軽く沈んだ体に驚いて目を閉じた優羽は、目を開けてさらに驚く。
「ッ!?」
近い。
真正面から見下ろすように覗き込んでくる幸彦の目から逃げられない。
「ッア。」
初めての夜と重なって、ごくりと喉がなった。
至近距離で見つめられる瞳の強さに、ドキドキと鼓動は早くなり、息をするのも躊躇(タメラ)われる。
「ゆっ幸彦さま?」
恐る恐る名前を呼んでみた。
「兄弟仲良くとは言ったが、仲良くなりすぎるのはよくない。」
「え?」
予想外の台詞に、間の抜けた優羽の声が響く。
よく見ると、少し怒ったようなすねたような幸彦の表情はどこかで見たことがある気がした。
この顔は誰かに似ている。
「あはは。」
陸とそっくり。
あまりにそっくりな親子が重なって、優羽は思わず笑い声をあげていた。
「笑っている場合ではないよ。」
「だって幸彦さまったら。」
おかしくて笑いが止まらない優羽を引き起こしながら、幸彦は口をとがらせる。
「久しぶりに会えたのだから、もっと優羽を近くで感じたい。」
そのすねかたが可愛くて、ついついいじめたくなる。
自分よりも随分大人なはずなのに、たまに見せるワガママが優羽を余裕の態度に変えさせる。
「はい。」
クスクスと含み笑いをこぼしながら、優羽はソファーに座る幸彦にまたがった。
首もとに手を回し、向かい合う形で微笑む優羽に幸彦が少し驚いた顔を見せる。
「しばらく見ない間に、すっかり大人になったようだ。」
「えっ?」
驚いたのもつかの間、干渉に浸るように優しく笑った幸彦の指が優羽の髪をなでる。
その色気ある視線と触り方に、優羽の理性がドキッと音をたてた。しまったと思う。調子に乗って上を陣取ったが、見方を変えれば幸彦の望む形に収まったと言っても過言ではない。
いつのまに?
流れるように誘導された体制に、気づくと意外に恥ずかしさが込み上げてくる。
「おや、どこにいくつもりかな?」
「ッ!?」
最早、形勢逆転。
ちゃっかり腰に手を当ててくる幸彦に退路をたたれた優羽は、なすすべもなくその後頭部を引き寄せられた。
「ンッ…っ…あ」
甘い口づけに、深い吐息。心地よさに揺れ始めた優羽のもとに、忘れてはいけない彼らがやってくる。
「それくらいにして下さい。」
「父さん、ずるい!僕だって我慢したのに。」
「ンッ!?」
不機嫌な戒と陸の声が目の前から聞こえたことで、幸彦との行為にスイッチが入ろうとしていた優羽の目がパチッと見開いた。
「ンン~ッ…あっ…~っ」
バタバタと暴れてもがっしりと押さえられた後頭部と、目の前に迫る長いまつげに唇が離れない。
「ぷはっ。」
何分耐えていたのだろうか。
息が出来るようになった頃には、優羽はぐったりと幸彦の肩に顔をのせるほど酸欠になっていた。
はぁはぁと呼吸をする優羽の背中を幸彦は満足そうにさする。
「ちゃんとしつけているようだね。」
「優羽は、飲み込みが早いですからね。」
不敵に父親らしい言葉を向けてきた幸彦に戒が答える。
まるで優羽を飼っているペットか何かのように扱うその仕草に、酸素不足に陥っていた優羽はふてくされたように顔をあげた。
「犬じゃないもん!」
「いや。優羽はメス犬の素質あるだろ。」
「輝っ!?」
「あきねぇなぁ。優羽は。」
グリグリと頭を撫でられながら、優羽は言葉につまる。このまま彼らから逃げ切れずに、きっとどこまでも溺れていくのだろう。
幸彦の腕の中にもたれながら、優羽は少しだけ甘えるように視線をあげた。
「っ。」
美麗な家族に視線が定まらない。
もう好きにしてくれと思う一方で、好きにされたらどうしようとたじろぐ。
このままでは流されるまま大変なことになると身構えた所で、晶の声が飛んできた。
「飾りつけの準備が出来たから、そろそろ優羽を解放してもらえるかな?」
笑顔の晶のせいかおかげか、やっと解放されると、ひとり収まらない熱と鼓動を落ち着けながら優羽は幸彦から降りる。
「笹!どうしたの?」
「願い事、書くんだろ?」
さっき言ってたはずだと苦笑する輝をはじめ、準備を始める彼らの顔を見渡して優羽はひとりつぶやいた。
「みんなの傍にいれて幸せ。」
「そのぶん、大きな罰を与えられちゃったけどね?」
「えっ?」
陸の言葉に首をかしげる優羽は、楽しげに作業にとりかかる彼らに、何も答えてはもらえなかった。
一生逃げられない檻の中に囚われたまま、日に日に愛欲にまみれ溺れていく苦しみは罰なのだろうか?
それとも、罪?
たぶん、それすら気付かない自分が少し怖い。
幸せか苦しみかは、きっと心次第。
「優羽はこちらに来なさい。」
「え?」
まさに今から飾りつけだの、短冊などを用意すると言うときに幸彦は優羽を近くに呼び寄せる。
和気あいあいと共同作業の割り振りを考えている輪の中に入ろうとしていた優羽は、首をかしげて幸彦の元で足を止めた。
「座りなさい。」
「なに?」
疑問に感じながらも優羽は、ソファーに座る幸彦の隣にチョコンと腰を落ち着ける。
素直に従った優羽は、指示を出した幸彦をじっと見つめ返した。
「退院おめでとう。」
「あ。ありがとうございます。」
「その服もよく似合っている。」
「えっ?」
「本当に送った服を着てくれてるとは思ってなかったのでね。」
毎日欠かさず幸彦が出張先から送ってくる服は何故かワンピースばかりだったが、着なれると結構楽な上に退院時に荷物にならなくてすむからと、優羽は今日も幸彦の贈ってくれた服を着ていた。
「とてもよく似合っている。」
心配そうに顔を歪ませたあとで、安堵するように笑った幸彦につられて、優羽も微笑む。
「毎日ちゃんと着てるよ。」
ありがとうという言葉が震える。
ちゃんと面と向かって言うお礼は、少しくすぐったくて、照れくさかった。
「ありがとう。そういってもらえると選んだかいがある。」
「お父さんが?」
「不思議かい?」
うんと小さくうなずいた優羽を幸彦は優しく抱き締める。
「痛い思いさせてしまったからね。」
「ッ!?」
耳元でささやかれた台詞に、優羽の体は面白いくらいにビクリと硬直をみせた。
幸彦の言葉が表現する共通の出来事なんてひとつしか存在しない。
「どれ、あの日からどれくらい成長したのか見せてもらおう。」
「やッ!?」
抱き締める力を強くした幸彦の腕の中で、優羽は小さく抵抗の声をあげる。
すぐそこにみんながいるのに、幸彦の行為を受け入れるわけにはいかない。
「だっだめ。」
顔を背けて、距離をとろうと胸をおしてくる優羽をすっぽりと包み込んだ幸彦の唇が額に落ちてくる。
髪、おでこ、まぶた、頬。
そうして落ちてきた唇に優羽は、いとも容易く塞がれた。
「ンッ…っ…はぁ…ん」
硬直した体のまま、全身の神経が幸彦ではないところに向いている。
七夕の飾りつけをしているはずの兄弟たちが、今、どういう状態なのかの方が気になって、変な緊張感だけが頭の中に渦巻いていた。
理性が現実に意識をとどまらせる。
「素直になったと聞いているよ。」
「あっ…ッ…だっめ」
恥ずかしいとかそれ以上に、周りの目が気になってそれどころじゃない。
それなのに優羽の足を割るように自分の足を割り込ませた幸彦は、簡単にワンピースの乙女を解放させた。
空気が下着に風を通す。
「これでも退院日くらい、休ませてやろうと思っていた。」
「あ…っヤッ!?」
胸に強く引き寄せられた上半身に反して、遅れをとった下半身に幸彦はその手を滑り込ませる。
「い…ヤ…です」
真っ赤な顔で幸彦の胸に抵抗を記す優羽の声は小さく羞恥に震えていた。
クスリと幸彦が耳元で笑う。
その瞬間、滑り込んできた幸彦の手が下着の中で動く。
「ひァッ!?」
中を押し込むように、グニッと入ってきた指の感覚に優羽はびくりと腰を引いた。
それでも逃げられる相手ではない。
「これは優羽の計算かな?」
もう怖くて顔をあげられなかった。
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