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第20話 七人目の帰来(後編)
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ごめんなさい。
それは誰に対してなのか、何に対してなのか、自分でもよくわからなかった。制御のきかなくなった感情が暴発して、勝手に涙が溢れ出して止まらない。
本能が求める感情と、理性が制御する感情がぶつかり合って、どちらに優劣をつければいいのか判断できるほど、優羽には材料が何もなかった。
「優羽。」
ぼろぼろと子供のように泣き出した優羽を涼はそっと抱き締める。
一瞬、ビクッと肩を強(コワ)ばらせたが、優羽は気づかないふりをして、涼の腕の中におさまった。
「謝るのは俺の方だ。」
なだめるように優しく、額に唇を押し当てるように涼は囁いてくる。
落ち着く声と胸の鼓動に、このまま永遠の眠りについてしまいたくなるほどの心地よさに襲われる。
「ごめん。」
目線を合わせるように、涼は優羽の顔を覗きこんだ。
深い深い青のような黒い瞳。
真っ直ぐ見つめながら顔を包んでくる涼の手に、優羽は思わず頬をすり寄せてその思いを飲み込んだ。
無条件で許すには、あまりにも距離が遠すぎる。
「だめ…っ…なの。」
例え自分が許したとしても、美麗な家族達はきっと許してくれないだろう。
望めば何でも手に入れてくれる彼らが、唯一拒んだ相手を自分のわがままで手に入れることは出来ない。
「幸彦さまは知っている。」
「え?」
全ての決定権を持つ最高権力者の名前を聞いて、優羽の顔にわずかな期待が膨らんだ。
「大丈夫だ。」
なぜか、大丈夫だと思える自分が不思議でしょうがない。
涼がそう言うなら大丈夫だと、希望の先が見える未来に後光が差しているようだった。
「俺は優羽の傍にいる。」
至近距離で宣言された言葉に、自然と涙がこぼれていく。
嬉しかった。
ずっと心に引っ掛かっていたもどかしさがなくなり、ぽっかり空いていた穴が埋まったみたいに心が満たされていく。
「優羽、愛してる。」
「~~ッりょう」
優羽は言葉にならない望みを吐き出すように、涼に抱きついた。
誰でもいいわけじゃない。
だけど、誰か一人には決められない。
全員が同じくらい愛しくて、同じくらい欲しい。貪欲に、飽きることなく、心が勝手に求めている。
「涼が欲しい。」
抱きしめた先で、優羽は魔性の女のように涼の耳に囁いた。
「ッン」
下から噛みつくように奪われた唇に襲われた優羽の体は、後頭部を涼に支えられてベッドへと舞い戻っていく。
「~んっ…ッ…あ…りょ」
どう反応したらいいかわからない。
初めてするわけでもないのに、優羽は突然込み上げてきた恥ずかしさと緊張感に身体を萎縮させて狼狽えた。
「ッ?!」
見下ろしてくる色気全開の涼の視線に、心臓が止まったかと思った。
艶のある雰囲気と潤んだ瞳。こぼれる熱い吐息と男らしい手に、引き締まった身体。
たぶん今、どこに視線を向けても平常心には戻れそうにない。
「どうした?」
その声に反応して優羽は女の部分をギュッと引き締めた。
「なっなななんでもないの。」
今さら急に怖くなってきたなんて言えない。カタカタと震えはじめた指先を隠すように優羽は涼から赤くなった顔をそらした。
「許せないか?」
「ちがっ───」
涼の視線にこっちまで胸が痛くなってくる。
離れていく涼を追いかけるように、慌てて半身を起こした優羽は次の瞬間、とらえるように目を細めた涼の視線に息をのむ。
「───っ?!」
持ち上げられた足の間に、埋まろうとしている舌先に身体が反応したのは言うまでもない。
太ももにキスを落とし、下から徐々に舐めあげてくる柔らかな舌に、顔を隠しながら優羽は快感を噛み締めていた。
「っ…ん」
足の裏側を這い上がり、くちゅっと可愛らしい音をたてて涼の顔が股の間で固定される。
「ッ?!」
声をもらさないようにしたつもりなのに、鼻から抜ける甘美な吐息だけはどうしようもなかった。
腰を捕まれて丁寧に舐めあげられるその感触に、勝手につかまれた腰が上下に揺れていく。
「あいつらは手加減を知らないのか?」
「ヒぁッ!?」
痛いほど吸い上げられ、口内でしごかれる淫核に、優羽の足が暴れる。
自分でも硬く勃起しているとわかるほど、それはコロコロと涼の唇と舌の中で踊り喘いでいた。
「あッ…っ…ヤッやめ…あぁ」
ベットの上で丸まるように下肢に埋まる涼の髪をつかんだ優羽の声は、どんどん甘さを増して震えていく。
理屈抜きの気持ちよさと、快楽の先を求める優羽は、自分の股間を押し付けるように涼の頭を支えていた。
「ッアア…っく…涼っイクッいっあ」
限界は突然訪れる。
「やアァあァァア涼っ~ッ~涼」
快楽に浮く腰を両手でつかまれ、閉じようともがく足で涼の顔を強く挟み込ながら、優羽は快活に果てた。
「ッあぁヤァッア涼?!」
溢れてくる蜜が止まらない。
身体の芯から男が欲しくなっていた。
涼が欲しい。
今すぐにでも、疼く蜜壺に男を突き立ててもらいたい。
「入れて、涼のいれ…~っあッ?!」
代わりに入ってきたのは数本の指。
バラバラと激情に掻き立ててくる指の動きに、優羽は身体をのけぞらせてベッドへと倒れこんだ。
「アッやめ…声でチャ…アッ───」
かき回される蜜がぐちゃぐちゃとイヤらしい音を荒げて淫惨な匂いを放って溢れ出してくる。それをすべてをこぼさず吸いとろうとしてくれている涼の唇が離れない。
歯をたてて乙女の果実にかじりき、泣き声をあげる優羽の姿を楽しむように涼の口角があがっていく。
「───ヤッ…く…ァッ…ダメダメいやぁあっ!?」
チカチカと星がまたたいていた。
力を預けた身体が絶頂の声を叫んでベッドの上で躍り狂う。卑猥な水音がシーツを濡らし、飛び散る愛液に乱れる吐息。何度も、何度も狂ったように腰を暴れさせているのに、それでもくれない涼に優羽の懇願の声が繰り返される。
「くださッ…涼ッ…涼をくださイッ」
涙目で快楽の支配に屈した優羽の願いは部屋中に響いていた。
「いいのか?」
手の甲で唇を拭い不適に笑いながら見下ろしてくる涼の表情を見た瞬間、優羽は思い知る。
確定した序列。
この家族の中で、優羽は誰の上にもなれない。
「いいのかと、聞いている。」
「っ?!」
入れるか入れないかの位置に押し当てられた涼の異物に、優羽は目を見開いて涼を見つめていた。
ゆっくりと涼がふってくる。
「やめるか?」
格の違いを思い知らされる。
勝てる要素なんかひとつもないのに、認めざるを得ない敗北の印を与えるまで彼らの調教が止んだことはない。
"その分、大きな罰を与えられちゃったけどね。"
いつだったか、陸の言葉を思い出した。ああ、受け入れるしかないんだと漠然と悟る。
誰もの一番でありながら、誰も一番に出来ないことの罰を与えられるのは当然なのだと。
「欲しいときはなんていうか、学んでいるだろ?」
はい。と、答えた唇が歓喜に震えていた。
欲しいと望む気持ちが止まらない。
寸前でお預けをくらう膣の入り口が、パクパクと餌を求める魚のように口を開いて待っていた。
「涼を──」
ちゃんと目を見ながら優羽は彼らに教えられた通りの言葉を口にする。
「───涼を優羽にください。」
その言葉は快楽の契約。
魔法の呪文のように成功したときに訪れる現象は、想像の範囲を越えて蜜壺に深く突き刺さってくる。
「ッ…ア…アぁあ」
太くて硬い異物を跳ね返そうと今さら身体が拒否したところで、一度発動した呪文が消えることはない。
根本まで埋め込もうと徐々にかかる重力が苦しくて、優羽は涼の肩にしがみついた。
「俺が最初に優羽と出会った。」
「ッあ…ッ…く」
味わうように補食してくる涼の質量に、歪んだ優羽の顔が首をかしげる。
何のことかわからない。
最初に出会ったのは幸彦のはずで、その記憶は確かに存在していた。
「覚えていなくても知っていろ。」
寂しさとも、心配とも、悔しさとも、なんとも言えない表情のまま涼は力を込めて迫ってくる。
受け入れる方は大変なのに、遊ぶように少しずつしか埋まってこない涼に吐息が乱されていく。
「はや…っ…くアァちょ…だイッ?!」
ひどい。
彼らの快楽の手解きにいまだかつて、一度も勝てたことがなかった。
最奥まで一気に突き上げてきた涼が悠然と見下ろしてくるが、息ひとつ乱れないその崇高さに、屈辱と快楽が同時に優羽を襲う。
「やっイヤァ…あっ…りょ」
「優羽。」
動き始めた腰に、内壁が削り取られてまた戻ってくる。
それだけじゃなかった。
今まで感じたことのない快楽の先がチラチラと見え隠れしているようで優羽は助けを求めるように涼へとしがみついた。
「あっあッぃ…怖い…アッあ」
遊悦な感覚に酔いそうになる。
深い底無し沼に埋まっていくように、脳が溶けそうな快感が混み上がってくる。
「イクッなっなんでッヤッいや───」
「優羽は俺のものだ。」
「───イヤッいッあぁぁぁあアァ」
抱き締め返してくれた涼の声を聞きながら、優羽の子宮は弓なりにのけぞった。
打ち込まれる律動に腰が砕けそうに揺れていく。前後にうつる視界の中に見えるものは涼しかいない。
涼の匂い、涼の声。自分のからだの中に刻み込まれていく新しい男の名前。
「もァッりょ…ッ…あっ」
誰も裏切りたくないのに
誰も選べない
こんな自分を彼らは愛してくれる
無条件に受け入れてくれる
「ッアぁ…~っひ…っく」
「誰にも渡さない。」
「ッ?!」
絶頂を噛み締めると同時に、ドクドクと注ぎ込まれてくる感覚に心が震えていた。かすんだ視界の先にいる人が、愛しくてたまらない。
「全部食ってやる。」
答える台詞の代わりに、優羽は銀色の瞳に変わった涼の腕の中で鳴き叫ぶ自分の声を聞いた。
───────────
──────────
─────────
「涼ぉぉぉおぉおぉぉ!!」
全てが寝静まった夜更けに、ドアを蹴破る勢いで飛び込んできた陸の姿が、次の瞬間には壁にめり込む。
「静かにしろ。」
「うるさいよ。」
涼と晶が陸を同時に蹴り飛ばしたらしいが、お互いをさも宿敵かのように睨み合う二人には陸のうめき声しか聞こえない。
その様子にため息を吐く残りの四人が、先に登場した陸と晶に続くように部屋に入ってきた。
「相変わらず仲えーんか、悪いんか。息はピッタリやな。」
「竜、帰ったのか?」
「俺が呼び戻したんだよ。」
いくら広い個室といえど、七人の男たちが身を寄せると狭く感じる。
晶と物言わぬ対決を始めようとしていた涼は、ぞくぞくと入ってくる男たちに向かって息を吐いて休戦を示した。が、その視線が交わった途端に、晶がニコッと笑みを深めてそれを否定する。
「誰かさんはいっそのこと、永遠に帰ってこなければよかったんだけどね。」
極上の笑みで冗談に聞こえないことを口走った晶に、涼も負けじと笑みで返した。
「俺は優羽の傍にいる。」
「優羽の傍には俺がいるから涼は心配しなくても大丈夫だよ。」
バチバチと見えない火花が散る。
笑顔で対峙し合う二人をよそに、部屋に入ってきた彼らは思い思いに集まっていた。
「また始まりましたね。」
ベッド近くの椅子に腰を下ろした戒が、どうしようもないと言った風に肩をおとして深いため息を吐き出す。
「どちらの優羽でもないでしょうに。」
自然と集まったのはやはり優羽の傍で、深い眠りについている優羽の身体に布団をかけなおしている竜をとらえて輝が鼻で笑った。
「毎回、毎回、よく飽きねぇな。」
「輝は飽きられへんように必死やもんな。」
フンッと鼻で笑い返した竜は、輝が睨み返してきたことを受けてその眉をしかめる。今度は優羽の頭上で、バチバチと唸り声にも似た睨みあいが始まった。
「こちらもですか。」
壁にめり込んだままの陸はともかく、戒がしらけた視線を衝突しあう二組にむける。しかし、直後に漂い始めた悪寒にゲッと顔をひきつらせた。
真っ暗な室内に悠然とたたずむ一家の大黒柱は、その存在感だけですべての空気を独り占めにする。
「わたしの話を聞く意思はあるかな?」
穏やかな宣告のせいかおかげか、水を打ったようにシンと静まり返った室内に、幸彦は満足そうに一人うなずいた。集めた視線は誰もがスッキリと邪気を払い落としたような顔をしているのに、幸彦は依然としてどす黒い雰囲気を携(タズサ)えている。
「先に食事を与えるのは今回限りだ。」
わかっているね。と、細く変わった陰惨な瞳に誰もがゴクリと喉をならしてうなずいた。
逆らうものは皆無。
固まったように動かない息子たちの合間を縫うようにして、幸彦はゆっくりと眠る少女の元まで歩いていく。
「優羽は"まだ"普通の娘なのだよ。」
今は落ち着いた寝息を繰り返している優羽の髪を撫でるように、幸彦はその手を優羽の額においた。
「願いは叶えてあげよう。」
優羽がどちらを選ぶことになったとしても。全てを黙って受け入れるつもりだと、安易ににおわせた幸彦の言葉に、誰もが黙って顔を伏せる。
傍にいたいか、いたくないか。
傍にいることを望めば、快楽は必然。
ここ数日で彼女に与えられた凌辱的な行為は、命を削るように激しく散っていった。
どちらを選ぶかは優羽次第。
「優羽の望みのままに。」
幸彦の声で静けさを取り戻した室内の空気は、変わらずにスヤスヤと寝息をたて続ける少女へと向けられる。
「ぷはぁッ。ちょっと、酷いよ!!」
壁から抜き出たばかりの陸が大声をあげたせいで、幸彦の視線が知らずにその箇所を射抜いた。
パラパラと崩れ落ちる壁紙を横目に、陸が口をとがらせる。
「だって父さん、涼と晶が蹴ったからこうなったんだよ!?」
「今は父さんが陸を蹴りたい気分だよ。」
「ちょっと僕に対して扱いひどくない?!」
「壁はちゃんと直すように。」
噛みあわない親子の会話に終止符を打ったのは、それを眺める男たちではなく、優羽の小さな寝がえりの音だった。
「優羽が起きます。静かにしてください。」
そっと優羽を見つめる戒に反論する者はいない。
冬の冷気が窓から侵入してくるが、彼らの熱に当てられた空気は温かく優羽を包み込んでいた。
「わたしも寝ることにします。」
「おいおい。ちゃっかり優羽の隣にもぐりこんでんじゃねぇよ。」
「そう言いう輝もやん?!」
「戒、輝、竜どけ。優羽の隣は俺のものだ。」
「涼に優羽の隣は渡さないよ。」
「ずるい。僕が一番優羽の傍って決まってるでしょ!!」
優羽の眠るベッドの上で、ついには団子状態になりはじめた彼らに幸彦の顔から笑みが消える。
白銀の閃光をまとわせた幸彦に、優羽の隣をかけた熱い戦いを繰り広げている彼らはまだ気づいていなかった。
「………。」
無言で見下ろされる圧力。
それ気付いた彼らは、そろって青ざめた顔を見合わせる。誰もがしまったと顔をひきつらせていた。
「うるさぁぁぁっぁい!!」
「っ?!」
突如響き渡る怒声。
ビクリと大きく肩を震わせた彼らの下で、優羽が半身を起しながら怒鳴り声をあげている。
これには"いい加減にしろ"と怒る準備をしていた幸彦も驚いたようで、その視線は息子同様に優羽へと向けられていた。
「疲れてるの!眠たいの!次騒いだら」
なんなのだろう。
ゴクリと息をのんだまま、呆気にとられて静かになった彼らを確認した優羽は満足したのか、そのまま何事もなかったように布団へと戻っていく。
一体何が起こったのだろうか。
誰もが呆然と時間が止まる中で、すやすやと何も変わらない寝息が聞こえていた。
「ぶっ。」
耐えきれなくなったのか輝の吹き出す声が聞こえる。
くっくっと頑張って笑いを圧し殺しているからか、涙目で輝は優羽を見つめた。
「優羽には、敵わねぇな。」
本気でそう思う。
無理矢理犯しても、その力に屈服させても、変わらない態度と優羽の心に安堵と信頼が生まれたのはもうずっと遠い昔のこと。
輝の言葉に、その場にいた全員が柔らかな笑みをこぼして優羽を見つめていた。
「今夜は部屋に戻りなさい。」
怒るタイミングを見失った幸彦が苦笑の息をこぼして息子たちをなだめる。
幸彦の命令は絶対。
それに逆らおうとした涼を晶が、無視しようとした陸を戒が、笑いの止まらない輝を竜が、各々に相方を選んで優羽の部屋を出ていった。
「さすがは優羽だね。」
嵐が過ぎ去ったようにシンと静まり返った室内に、幸彦の声が染み渡る。
「だが、忘れてはいけない。」
シュッと、幸彦がネクタイを緩める音が聞こえてきた。
気のせいでなければ、ギシッと男の体重が加わった歪みが優羽の眠るベッドの上から聞こえてくる。
「この家の主はこのわたしだ。」
寄せられた唇に優羽の顔が苦しそうに歪んでいく。そうして休むまもなく再開された狂喜の宴に、音もなく星がひとつ流れ落ちた。
──────To be continue.
それは誰に対してなのか、何に対してなのか、自分でもよくわからなかった。制御のきかなくなった感情が暴発して、勝手に涙が溢れ出して止まらない。
本能が求める感情と、理性が制御する感情がぶつかり合って、どちらに優劣をつければいいのか判断できるほど、優羽には材料が何もなかった。
「優羽。」
ぼろぼろと子供のように泣き出した優羽を涼はそっと抱き締める。
一瞬、ビクッと肩を強(コワ)ばらせたが、優羽は気づかないふりをして、涼の腕の中におさまった。
「謝るのは俺の方だ。」
なだめるように優しく、額に唇を押し当てるように涼は囁いてくる。
落ち着く声と胸の鼓動に、このまま永遠の眠りについてしまいたくなるほどの心地よさに襲われる。
「ごめん。」
目線を合わせるように、涼は優羽の顔を覗きこんだ。
深い深い青のような黒い瞳。
真っ直ぐ見つめながら顔を包んでくる涼の手に、優羽は思わず頬をすり寄せてその思いを飲み込んだ。
無条件で許すには、あまりにも距離が遠すぎる。
「だめ…っ…なの。」
例え自分が許したとしても、美麗な家族達はきっと許してくれないだろう。
望めば何でも手に入れてくれる彼らが、唯一拒んだ相手を自分のわがままで手に入れることは出来ない。
「幸彦さまは知っている。」
「え?」
全ての決定権を持つ最高権力者の名前を聞いて、優羽の顔にわずかな期待が膨らんだ。
「大丈夫だ。」
なぜか、大丈夫だと思える自分が不思議でしょうがない。
涼がそう言うなら大丈夫だと、希望の先が見える未来に後光が差しているようだった。
「俺は優羽の傍にいる。」
至近距離で宣言された言葉に、自然と涙がこぼれていく。
嬉しかった。
ずっと心に引っ掛かっていたもどかしさがなくなり、ぽっかり空いていた穴が埋まったみたいに心が満たされていく。
「優羽、愛してる。」
「~~ッりょう」
優羽は言葉にならない望みを吐き出すように、涼に抱きついた。
誰でもいいわけじゃない。
だけど、誰か一人には決められない。
全員が同じくらい愛しくて、同じくらい欲しい。貪欲に、飽きることなく、心が勝手に求めている。
「涼が欲しい。」
抱きしめた先で、優羽は魔性の女のように涼の耳に囁いた。
「ッン」
下から噛みつくように奪われた唇に襲われた優羽の体は、後頭部を涼に支えられてベッドへと舞い戻っていく。
「~んっ…ッ…あ…りょ」
どう反応したらいいかわからない。
初めてするわけでもないのに、優羽は突然込み上げてきた恥ずかしさと緊張感に身体を萎縮させて狼狽えた。
「ッ?!」
見下ろしてくる色気全開の涼の視線に、心臓が止まったかと思った。
艶のある雰囲気と潤んだ瞳。こぼれる熱い吐息と男らしい手に、引き締まった身体。
たぶん今、どこに視線を向けても平常心には戻れそうにない。
「どうした?」
その声に反応して優羽は女の部分をギュッと引き締めた。
「なっなななんでもないの。」
今さら急に怖くなってきたなんて言えない。カタカタと震えはじめた指先を隠すように優羽は涼から赤くなった顔をそらした。
「許せないか?」
「ちがっ───」
涼の視線にこっちまで胸が痛くなってくる。
離れていく涼を追いかけるように、慌てて半身を起こした優羽は次の瞬間、とらえるように目を細めた涼の視線に息をのむ。
「───っ?!」
持ち上げられた足の間に、埋まろうとしている舌先に身体が反応したのは言うまでもない。
太ももにキスを落とし、下から徐々に舐めあげてくる柔らかな舌に、顔を隠しながら優羽は快感を噛み締めていた。
「っ…ん」
足の裏側を這い上がり、くちゅっと可愛らしい音をたてて涼の顔が股の間で固定される。
「ッ?!」
声をもらさないようにしたつもりなのに、鼻から抜ける甘美な吐息だけはどうしようもなかった。
腰を捕まれて丁寧に舐めあげられるその感触に、勝手につかまれた腰が上下に揺れていく。
「あいつらは手加減を知らないのか?」
「ヒぁッ!?」
痛いほど吸い上げられ、口内でしごかれる淫核に、優羽の足が暴れる。
自分でも硬く勃起しているとわかるほど、それはコロコロと涼の唇と舌の中で踊り喘いでいた。
「あッ…っ…ヤッやめ…あぁ」
ベットの上で丸まるように下肢に埋まる涼の髪をつかんだ優羽の声は、どんどん甘さを増して震えていく。
理屈抜きの気持ちよさと、快楽の先を求める優羽は、自分の股間を押し付けるように涼の頭を支えていた。
「ッアア…っく…涼っイクッいっあ」
限界は突然訪れる。
「やアァあァァア涼っ~ッ~涼」
快楽に浮く腰を両手でつかまれ、閉じようともがく足で涼の顔を強く挟み込ながら、優羽は快活に果てた。
「ッあぁヤァッア涼?!」
溢れてくる蜜が止まらない。
身体の芯から男が欲しくなっていた。
涼が欲しい。
今すぐにでも、疼く蜜壺に男を突き立ててもらいたい。
「入れて、涼のいれ…~っあッ?!」
代わりに入ってきたのは数本の指。
バラバラと激情に掻き立ててくる指の動きに、優羽は身体をのけぞらせてベッドへと倒れこんだ。
「アッやめ…声でチャ…アッ───」
かき回される蜜がぐちゃぐちゃとイヤらしい音を荒げて淫惨な匂いを放って溢れ出してくる。それをすべてをこぼさず吸いとろうとしてくれている涼の唇が離れない。
歯をたてて乙女の果実にかじりき、泣き声をあげる優羽の姿を楽しむように涼の口角があがっていく。
「───ヤッ…く…ァッ…ダメダメいやぁあっ!?」
チカチカと星がまたたいていた。
力を預けた身体が絶頂の声を叫んでベッドの上で躍り狂う。卑猥な水音がシーツを濡らし、飛び散る愛液に乱れる吐息。何度も、何度も狂ったように腰を暴れさせているのに、それでもくれない涼に優羽の懇願の声が繰り返される。
「くださッ…涼ッ…涼をくださイッ」
涙目で快楽の支配に屈した優羽の願いは部屋中に響いていた。
「いいのか?」
手の甲で唇を拭い不適に笑いながら見下ろしてくる涼の表情を見た瞬間、優羽は思い知る。
確定した序列。
この家族の中で、優羽は誰の上にもなれない。
「いいのかと、聞いている。」
「っ?!」
入れるか入れないかの位置に押し当てられた涼の異物に、優羽は目を見開いて涼を見つめていた。
ゆっくりと涼がふってくる。
「やめるか?」
格の違いを思い知らされる。
勝てる要素なんかひとつもないのに、認めざるを得ない敗北の印を与えるまで彼らの調教が止んだことはない。
"その分、大きな罰を与えられちゃったけどね。"
いつだったか、陸の言葉を思い出した。ああ、受け入れるしかないんだと漠然と悟る。
誰もの一番でありながら、誰も一番に出来ないことの罰を与えられるのは当然なのだと。
「欲しいときはなんていうか、学んでいるだろ?」
はい。と、答えた唇が歓喜に震えていた。
欲しいと望む気持ちが止まらない。
寸前でお預けをくらう膣の入り口が、パクパクと餌を求める魚のように口を開いて待っていた。
「涼を──」
ちゃんと目を見ながら優羽は彼らに教えられた通りの言葉を口にする。
「───涼を優羽にください。」
その言葉は快楽の契約。
魔法の呪文のように成功したときに訪れる現象は、想像の範囲を越えて蜜壺に深く突き刺さってくる。
「ッ…ア…アぁあ」
太くて硬い異物を跳ね返そうと今さら身体が拒否したところで、一度発動した呪文が消えることはない。
根本まで埋め込もうと徐々にかかる重力が苦しくて、優羽は涼の肩にしがみついた。
「俺が最初に優羽と出会った。」
「ッあ…ッ…く」
味わうように補食してくる涼の質量に、歪んだ優羽の顔が首をかしげる。
何のことかわからない。
最初に出会ったのは幸彦のはずで、その記憶は確かに存在していた。
「覚えていなくても知っていろ。」
寂しさとも、心配とも、悔しさとも、なんとも言えない表情のまま涼は力を込めて迫ってくる。
受け入れる方は大変なのに、遊ぶように少しずつしか埋まってこない涼に吐息が乱されていく。
「はや…っ…くアァちょ…だイッ?!」
ひどい。
彼らの快楽の手解きにいまだかつて、一度も勝てたことがなかった。
最奥まで一気に突き上げてきた涼が悠然と見下ろしてくるが、息ひとつ乱れないその崇高さに、屈辱と快楽が同時に優羽を襲う。
「やっイヤァ…あっ…りょ」
「優羽。」
動き始めた腰に、内壁が削り取られてまた戻ってくる。
それだけじゃなかった。
今まで感じたことのない快楽の先がチラチラと見え隠れしているようで優羽は助けを求めるように涼へとしがみついた。
「あっあッぃ…怖い…アッあ」
遊悦な感覚に酔いそうになる。
深い底無し沼に埋まっていくように、脳が溶けそうな快感が混み上がってくる。
「イクッなっなんでッヤッいや───」
「優羽は俺のものだ。」
「───イヤッいッあぁぁぁあアァ」
抱き締め返してくれた涼の声を聞きながら、優羽の子宮は弓なりにのけぞった。
打ち込まれる律動に腰が砕けそうに揺れていく。前後にうつる視界の中に見えるものは涼しかいない。
涼の匂い、涼の声。自分のからだの中に刻み込まれていく新しい男の名前。
「もァッりょ…ッ…あっ」
誰も裏切りたくないのに
誰も選べない
こんな自分を彼らは愛してくれる
無条件に受け入れてくれる
「ッアぁ…~っひ…っく」
「誰にも渡さない。」
「ッ?!」
絶頂を噛み締めると同時に、ドクドクと注ぎ込まれてくる感覚に心が震えていた。かすんだ視界の先にいる人が、愛しくてたまらない。
「全部食ってやる。」
答える台詞の代わりに、優羽は銀色の瞳に変わった涼の腕の中で鳴き叫ぶ自分の声を聞いた。
───────────
──────────
─────────
「涼ぉぉぉおぉおぉぉ!!」
全てが寝静まった夜更けに、ドアを蹴破る勢いで飛び込んできた陸の姿が、次の瞬間には壁にめり込む。
「静かにしろ。」
「うるさいよ。」
涼と晶が陸を同時に蹴り飛ばしたらしいが、お互いをさも宿敵かのように睨み合う二人には陸のうめき声しか聞こえない。
その様子にため息を吐く残りの四人が、先に登場した陸と晶に続くように部屋に入ってきた。
「相変わらず仲えーんか、悪いんか。息はピッタリやな。」
「竜、帰ったのか?」
「俺が呼び戻したんだよ。」
いくら広い個室といえど、七人の男たちが身を寄せると狭く感じる。
晶と物言わぬ対決を始めようとしていた涼は、ぞくぞくと入ってくる男たちに向かって息を吐いて休戦を示した。が、その視線が交わった途端に、晶がニコッと笑みを深めてそれを否定する。
「誰かさんはいっそのこと、永遠に帰ってこなければよかったんだけどね。」
極上の笑みで冗談に聞こえないことを口走った晶に、涼も負けじと笑みで返した。
「俺は優羽の傍にいる。」
「優羽の傍には俺がいるから涼は心配しなくても大丈夫だよ。」
バチバチと見えない火花が散る。
笑顔で対峙し合う二人をよそに、部屋に入ってきた彼らは思い思いに集まっていた。
「また始まりましたね。」
ベッド近くの椅子に腰を下ろした戒が、どうしようもないと言った風に肩をおとして深いため息を吐き出す。
「どちらの優羽でもないでしょうに。」
自然と集まったのはやはり優羽の傍で、深い眠りについている優羽の身体に布団をかけなおしている竜をとらえて輝が鼻で笑った。
「毎回、毎回、よく飽きねぇな。」
「輝は飽きられへんように必死やもんな。」
フンッと鼻で笑い返した竜は、輝が睨み返してきたことを受けてその眉をしかめる。今度は優羽の頭上で、バチバチと唸り声にも似た睨みあいが始まった。
「こちらもですか。」
壁にめり込んだままの陸はともかく、戒がしらけた視線を衝突しあう二組にむける。しかし、直後に漂い始めた悪寒にゲッと顔をひきつらせた。
真っ暗な室内に悠然とたたずむ一家の大黒柱は、その存在感だけですべての空気を独り占めにする。
「わたしの話を聞く意思はあるかな?」
穏やかな宣告のせいかおかげか、水を打ったようにシンと静まり返った室内に、幸彦は満足そうに一人うなずいた。集めた視線は誰もがスッキリと邪気を払い落としたような顔をしているのに、幸彦は依然としてどす黒い雰囲気を携(タズサ)えている。
「先に食事を与えるのは今回限りだ。」
わかっているね。と、細く変わった陰惨な瞳に誰もがゴクリと喉をならしてうなずいた。
逆らうものは皆無。
固まったように動かない息子たちの合間を縫うようにして、幸彦はゆっくりと眠る少女の元まで歩いていく。
「優羽は"まだ"普通の娘なのだよ。」
今は落ち着いた寝息を繰り返している優羽の髪を撫でるように、幸彦はその手を優羽の額においた。
「願いは叶えてあげよう。」
優羽がどちらを選ぶことになったとしても。全てを黙って受け入れるつもりだと、安易ににおわせた幸彦の言葉に、誰もが黙って顔を伏せる。
傍にいたいか、いたくないか。
傍にいることを望めば、快楽は必然。
ここ数日で彼女に与えられた凌辱的な行為は、命を削るように激しく散っていった。
どちらを選ぶかは優羽次第。
「優羽の望みのままに。」
幸彦の声で静けさを取り戻した室内の空気は、変わらずにスヤスヤと寝息をたて続ける少女へと向けられる。
「ぷはぁッ。ちょっと、酷いよ!!」
壁から抜き出たばかりの陸が大声をあげたせいで、幸彦の視線が知らずにその箇所を射抜いた。
パラパラと崩れ落ちる壁紙を横目に、陸が口をとがらせる。
「だって父さん、涼と晶が蹴ったからこうなったんだよ!?」
「今は父さんが陸を蹴りたい気分だよ。」
「ちょっと僕に対して扱いひどくない?!」
「壁はちゃんと直すように。」
噛みあわない親子の会話に終止符を打ったのは、それを眺める男たちではなく、優羽の小さな寝がえりの音だった。
「優羽が起きます。静かにしてください。」
そっと優羽を見つめる戒に反論する者はいない。
冬の冷気が窓から侵入してくるが、彼らの熱に当てられた空気は温かく優羽を包み込んでいた。
「わたしも寝ることにします。」
「おいおい。ちゃっかり優羽の隣にもぐりこんでんじゃねぇよ。」
「そう言いう輝もやん?!」
「戒、輝、竜どけ。優羽の隣は俺のものだ。」
「涼に優羽の隣は渡さないよ。」
「ずるい。僕が一番優羽の傍って決まってるでしょ!!」
優羽の眠るベッドの上で、ついには団子状態になりはじめた彼らに幸彦の顔から笑みが消える。
白銀の閃光をまとわせた幸彦に、優羽の隣をかけた熱い戦いを繰り広げている彼らはまだ気づいていなかった。
「………。」
無言で見下ろされる圧力。
それ気付いた彼らは、そろって青ざめた顔を見合わせる。誰もがしまったと顔をひきつらせていた。
「うるさぁぁぁっぁい!!」
「っ?!」
突如響き渡る怒声。
ビクリと大きく肩を震わせた彼らの下で、優羽が半身を起しながら怒鳴り声をあげている。
これには"いい加減にしろ"と怒る準備をしていた幸彦も驚いたようで、その視線は息子同様に優羽へと向けられていた。
「疲れてるの!眠たいの!次騒いだら」
なんなのだろう。
ゴクリと息をのんだまま、呆気にとられて静かになった彼らを確認した優羽は満足したのか、そのまま何事もなかったように布団へと戻っていく。
一体何が起こったのだろうか。
誰もが呆然と時間が止まる中で、すやすやと何も変わらない寝息が聞こえていた。
「ぶっ。」
耐えきれなくなったのか輝の吹き出す声が聞こえる。
くっくっと頑張って笑いを圧し殺しているからか、涙目で輝は優羽を見つめた。
「優羽には、敵わねぇな。」
本気でそう思う。
無理矢理犯しても、その力に屈服させても、変わらない態度と優羽の心に安堵と信頼が生まれたのはもうずっと遠い昔のこと。
輝の言葉に、その場にいた全員が柔らかな笑みをこぼして優羽を見つめていた。
「今夜は部屋に戻りなさい。」
怒るタイミングを見失った幸彦が苦笑の息をこぼして息子たちをなだめる。
幸彦の命令は絶対。
それに逆らおうとした涼を晶が、無視しようとした陸を戒が、笑いの止まらない輝を竜が、各々に相方を選んで優羽の部屋を出ていった。
「さすがは優羽だね。」
嵐が過ぎ去ったようにシンと静まり返った室内に、幸彦の声が染み渡る。
「だが、忘れてはいけない。」
シュッと、幸彦がネクタイを緩める音が聞こえてきた。
気のせいでなければ、ギシッと男の体重が加わった歪みが優羽の眠るベッドの上から聞こえてくる。
「この家の主はこのわたしだ。」
寄せられた唇に優羽の顔が苦しそうに歪んでいく。そうして休むまもなく再開された狂喜の宴に、音もなく星がひとつ流れ落ちた。
──────To be continue.
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