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第二夜 許された味見(上)
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妙に下半身がダルイ。
まるで体の中心を通る大事な骨を引き抜かれたようなだるさが優羽を襲っていた。
原因は何かわからない。何か忘れてはいけない特別なことが起こったような気もするが、ふわふわと素肌に絡み付く柔らかな感触が心地よくて、優羽は眠りから覚められずにいた。
「……っん…」
うっすらと開けた瞳の中に、白い毛並みがうつる。ふさふさと時々上下にゆっくりと揺れているが、包み込んでくれる気持ちよさに意識の目覚めはやってこない。
「…あったか…い……」
すりよるついでにホホを寄せれば、その白い毛並が優しくふわりと動いた。優羽を抱きしめるように向きを変えたその"毛"は、どこからかザラついた舌を出してぺろぺろと全身を舐めあげてくる。
くすぐったい。
くすくすと力なく笑いながら優羽はその毛の感触を楽しんでいた。
「…ん…ッ…」
いたわるような優しい舌先に、体に感じる心地よさが増す。
そういえば、自分は肉食獣に食べられてしまったんだとぼんやりと思い出した。死を体験したことは今まで一度もないが、ふわふわと軽い眠りが心地いいのなら、これもありかもしれない。ただ、最後に生きた一日は、あまりにも衝撃的だった気がする。なんて濃厚な一日で、刺激的な出来事だったのだろう。イヌガミと呼ばれる太古の神様と出会い、そして連れられた森の奥の洞窟でその命は消えてしまった。
「あっ…っ~~ん」
さすが、天国とうたわれるだけあって気持ちいい迎え入れ方だと、優羽は起きない頭の片隅で、死んだ世界のことを考えていた。故郷で眠る皆が辿った道であれば、会うこともあるかもしれない。その前に、全身をくまなく愛撫される感覚に、心当たりが浮上してくる。涼という人間離れした美しさを持つ男から与えられた感覚に、似ている気がする。
ピクッと体が反応するのは、生きているころと変わらない。耳、まぶた、首から下にかけてどんどん降りてくるその柔らかく湿った感触に、もぞもぞと優羽の体が揺れ始めていた。
「…ッ…ン?」
少し変だと気付き始める。
「………ぅッ…ん…~っヤッ、ぁ」
気持ちよさが妙に現実味を帯び始めていた。
力の抜け切っていた身体が時間を経過するごとに、愛撫が深まるにつれて、硬直していく。首筋をなぞるように、乳輪に沿うように、上から下へと曲線通りに移動してくる感覚に、背筋が湧きたつ。
顔の表情が保っていられない。
胸の頂を舐める時間が、長いような気がする。ぴりぴりと微弱な電流が体を駆け抜け、優羽は知らずにその刺激を抱え込む。重力に従い、習い、上から降ってくる圧力に甘い吐息がこぼれる頃には、ふさふさの白い毛並みは消え、均整のとれた肉体の美しい男が優羽の胸をつかんでいた。
「ひぁッ?!」
つかまれた胸の尖端が視界から消えている。
どこに消えたのか、説明はいらない。軽く歯をたてられたおかげで、優羽は覚醒していた。そして、声にならない驚きに、息をのんで何度も強く瞬きをする。
「なっなんあななな……」
ここが天国にしては出来すぎている。
最後の記憶とまったく変化のない場所で再生した脳内の想像は、先を予想して、一気に優羽を現実へと導いた。
どうりで気持ちいいはずだと認識する。
「っ…アッ?!」
身体が敏感に反応し、神経が震えていく。
胸の先を口に含みながら水平に見上げてくる涼の視線が面白そうに歪んで見える。驚きすぎて、すぐに言葉が出てこなかった。たぶん間違いがなければ、優羽の顔は赤く色づいている。
大きな白銀の狼の尻尾に全裸でくるまれていた夢から涼に抱かれる現実に変わった状況。舐めるのを止めない舌先に感じて、声を出していた事実を受け止めきれずに、優羽は鼓動を不安定に動かしていた。
下半身の間を陣取る涼のモノに、知らずと意識が持っていかれる。
「やっと、起きたか」
そう言いながら顔を上げて唇を奪う涼の動きに、優羽はただ黙って固まっていた。
アレが夢じゃなければ、処女は唇を奪う彼に奪われたことになる。
「……涼?」
フッと、笑う姿はやはり涼だった。
「どうし…っ…て?」
理解できないと言う風に目をまたたかせる優羽を涼は不思議そうにジッと覗き込んでくる。その温かな涼の腕の中で、優羽は深い息を静かに吐き出して、生きていることを実感した。
「私、死んだんじゃ───」
「そんなに気持ちよかったか?」
「───え?」
どこか嬉しそうにノドを鳴らす涼の姿に、優羽はあっけにとられてジッと見つめ返す。何を聞かれているのか、質問の意味がいまいち理解できない。
「初めてイッた感想はどうだ?」
「えっ?」
感想を問われても答えられるはずがない。
「イク」とは何を指す言葉なのか。戸惑いを全身で表す優羽に、また涼はおかしそうにノドを鳴らした。
「男を知った感想はどうだ?」
わざとらしく言い直した涼に、質問の意図を理解した優羽は、音が出るほど全身を赤く染めた。
パクパクと声が言葉になっていない。
その様子に、涼が本格的に笑いだしたのだから、恥ずかしさはますます優羽を襲った。
「優羽。お前、可愛いな」
「ッ!?」
人間の姿で言うのは反則に近い。
その白銀の瞳に吸い込まれそうなほど、至近距離で口説く笑みに、優羽の心は居場所をなくしたように混乱していた。
もう、まともに顔をあげられなくなってしまった。
穴があったら入りたい。
この美麗な狼を見なくて済むのなら、どこだっていい。
「初めて満たされた」
「な…っ」
何がと聞き返したくても、それは不可能な話。
「ッ…ん」
後頭部を引き寄せられて重なった唇に、脳が甘いしびれをもたらしてくる。素肌に直接触れる男の肌は、知る前とは違って妙に吸いついてくるから不思議だった。
自分とは違う。どこか骨ばっていて筋肉質な体。それなのに同じ匂いがする。
まるでお互いの匂いが混ざり合ってひとつになってしまったみたいだった。
眠っているあいだ、夢見ていた匂いと同じそれは、どこか心地よくて、安心できて、すべてをゆだねることが出来る優しい匂いだった。
「あれからそう、時間はたっていない」
解放された唇が酸素を求めて浅く息を吸うと同時に、涼がずっと傍にいてくれたんだとわかる。随分と眠っていたような気がした。それなのに涼は「数刻」だという。
つまり、まだ夜なのだろう。
信じられないことに。
それだけ涼に心を許していたのかと、優羽は自分でも不可解な感情を受け入れる。それから、深く吐き出した空気と一緒に、食べられていない現実を知って、内心ホッと胸をなでおろした。
自分でも驚くほど、初めての乙女を奪った涼の存在が少し心強かった。
「おっじゃましまぁぁあ───」
真横から飛び出て来た生き物は、すぐに帰っていく。いや、正確には涼に蹴り飛ばされていた。
「───ひっどぉぉおぉい!!」
風を切る音と共に、唸り声が部屋に響く。その少し小柄で、どこか可愛い印象を与える狼には見覚えがあった。
「り、く?」
自然とその名前が口から出ていた。
記憶が確かであれば、広間で母性本能をくすぐってきた狼の名前は「陸」だったはずだ。潤んだ瞳と、ふわふわの白い毛並みと、幼さが残る若い狼。他にも似たような雰囲気の狼がいたらわからないが、優羽は確かめるように涼に視線を動かす。
正解だったらいいな、くらいの確認だったのに、そんなに不安そうな顔をしていただろうか。
「あってる」
どこかむすっとした顔で、涼は見上げてきた優羽の質問を肯定しながらも不安を取り除くように頭を撫でた。
それを陸がどう見たかはわからない。けれど、涼に蹴り飛ばされた陸は、仕返しとばかりに強行突破に出ることにしたようだった。
「キャアッ!?」
室内に突風が巻き上がる。その瞬間、優羽は白銀の狼の牙にかすめ取られる寸前で、涼に強く抱き寄せられた。陸が優羽を涼から奪おうとしたことが原因だが、そのままの勢いで真横を通り過ぎていった陸は力任せに止まると、くるりと振り返った。
その振り返る反動で、輪を描いて優羽と涼を尻尾が襲う。
「ちょっと、どうしてそうなるわけ?」
あまりにも一瞬の出来事過ぎて、優羽は涼の腕の中で茫然としていた。代弁した陸の台詞は、どちらかというと、こちらが問いたい。
なぜ、こんなことになったのか。
「僕は優羽を奪おうと思ったんだけど」
そのおかげで優羽は陸の尻尾に弾き飛ばされた勢いのまま転がり、涼に組み敷かれる形で止まっていた。
それに納得がいかない陸の不満の声がすぐ真横から聞こえてくる。
「陸、邪魔だ」
陸を見もせずに、真上に見える涼の顔が妖しく舌舐めずった。
思わず、優羽のノドがゴクリと鳴る。
「ねぇ、涼。ひとくちだけ」
「あっちにいけ」
「ちょっとだけ。ねっ?」
「陸、うるさい」
バシッと再び陸が飛んで行ったのは気のせいじゃない。
何度も挑んでくる陸も陸だが、それを毎回蹴散らす涼も涼だと思った。
「ヤダ!大体、僕が一番だっていってたじゃん!ひどいよ!涼のバカ!」
いっこうに懲りることを知らないらしい。
きっと涼もしつこいと思ったのだろう。今度は優羽との間からねだるように覗き込んできた陸に対して、ついに涼は人型から狼の姿へと戻ってしまった。
騒がしいどころの騒がしさではない。
二匹の巨大な狼同士の対決は、牙と爪のぶつかり合いといっても過言ではないだけに、裸の優羽は風圧で部屋の壁まで吹き飛ばされていた。結局、涼も陸も折れるということを知らないのだろう。
「あ…あの…っ!」
意を決して声をかけることにした優羽の小さな声が暴風の中を流れていく。
ぴたりと、喧騒がやんだ。
「私を食べることについて喧嘩、してるんですよね?」
こういった場合、食べ物である自分が提案していいのかわからないが、聞く構えを見せた二匹の狼に優羽は告げる。
「それなら、私ひとりじゃおなかいっぱいにならないと思いますけど、仲良くわけあってみたらどうでしょうか?」
「………」
「………」
つかの間の沈黙が耳に痛い。
涼と陸の二匹になんとも言えない目で見つめられるが、優羽も実際のところかなり複雑な心境だった。
どうして最後になるかもしれないこの時になって、見ず知らずの…それも狼の仲裁を買ってでているのだろうか…あきれを通り越して、ため息さえ出てこない。
「イイって言ってるんだからいいじゃん」
軽いノリで、陸が仲直りの交渉をした。
「少しだけな」
「涼のケチ」
どうやら解決したらしい。
また人間に戻った涼は不機嫌きわまりない顔をしていたが、優羽が了承したのだからと陸になだめられて渋々納得したようだった。
「ねぇ、名前なんていうの?」
「えっ?」
可愛い狼はやはり母性本能をくすぐる瞳で優羽の顔を見上げてくる。
思わず彼の頭を撫でそうになってしまった。そして慌てて優羽は思いとどまる。いくら無事にここまで来たとはいえ、これから先はもちろん命の保証はないだろう。
自分は食べられるためにここにいる。
それを忘れてはいけない。
「優羽、です」
変な狼たちだ。
仮にも今から胃袋におさまる食物の名前を聞くなんて。情がわいたりしないのだろうか。
「そっか、優羽って言うんだ。僕は陸。じゃあ、優羽。どこから食べられたい?」
このキラキラした瞳をみる限り、いらない世話だったようだ。
そもそも聞いておいて、本当にその通りに食べてくれるのかと逆に問いたい。生き延びた命もついにここまでかと、ジロジロ見つめてくる陸の視線に耐えきれずに、優羽は強く目をつぶった。
「その通りにしてあげるよ」
クスリと笑った陸に、涼の時とは違った緊張がはしる。深呼吸するはずの体は硬直し、ドキドキとうるさくなり始めた心臓を落ち着けるように、優羽は胸の前で両手を組む。
食べられることに恐怖を感じているはずなのに、それとはまた違った胸の鼓動を感じていた。
「い、痛いのはイヤです」
声が震える。
「お願いします。時間をかけないで一気に食べてください」
祈るように指を組んでしまったのは無意識の恐怖心からだろう。目を固く閉じたまま頭を垂れた優羽は、じっと静かにその時を待っていた。それなのに涼の時と同様、痛みがいっこうにやってこない。不思議に思って、思わず目を開ける。
「ッ?!」
まさか穴が開くほどジッと見つめられているとは思っていなかった。その無垢な銀色の瞳に映る自分を眺めていると、なんだか変な気持ちが沸き起こってくる。どこからどうみても陸は狼なのに、どこからどうみても可愛い少年にしか見えなかった。
「たっ食べるなら、ひと思いにやってもらいたいんですけどっ!」
焦った優羽の声がしどろもどろに陸の瞳に呼び掛けた。
何が悲しくて、死ぬ前に食べられる方法を希望しなければならないのだろう。見る限りでは、陸も涼と申し分ないほど素晴らしい鋭利さを持った牙と爪がある。先はとがり、八つ裂きにされれば、一瞬で死ねそうだった。
痛いのは嫌だ。
時間を伸ばされれば伸ばされるほど、恐怖だって増してくる。
「優羽って、見かけによらず大胆なんだね」
静かに吐き出された陸の感想に、優羽の肩がピクリと揺れる。
彼らからこの哀れな姿がどう見えているのかはわからない。羞恥にも恐怖にも耐えながら懇願する非力さに、神は人間を救おうとするのだろうか。
感心したようにつぶやかれても、誰だって殺されるのならいっきにやってもらう方がイイと思う。無駄に怖い想いをするくらいなら、死んだかどうかもわからないくらい瞬間的に、この命を奪ってほしい。
「見かけとか…っ…関係ないと思いますけど」
少しむすっとした優羽の声が陸に向けられる。そして口走ったことに気づいたのか、優羽は慌てて頭を下げた。
「すっすみません」
こんなときなのに、つい反論の言葉を吐いてしまった。
焦った優羽の心境を無視するように、途端、陸はブハッと噴出す。
「あははは、優羽って面白いね。うん、見かけ関係ない。大胆さは見かけじゃないよね」
「ッ?!」
片目を閉じながら笑うその顔に、なぜか顔が熱くなる。
赤面しながら唇を結んだ優羽の姿に、まだ狼の姿の陸はニヤリと笑った。
「でも残念。涼に少しだけって言われちゃったし、味見しかできないや。ねぇねぇ、涼。優羽の足持ってて」
「はっ、えっ、な……な、にッぁ」
素直に陸の言うことを聞いた涼にも驚いたが、何より一糸まとわぬ姿で後ろから足を大きく開脚させられたことに驚かざるを得ない。
眠る前に涼が貫いた場所。
数刻前に犯されたばかりの可憐な秘部が、陸の前に差し出された。
「いっただっきまぁす」
「ヒァッ?!」
それこそひと思いにかぶりついてきた陸の舌が、遠慮も知らずに割れ目をなぞる。
突然の感覚に、優羽の身体は自然と閉じようとした。しかし、涼に足が固定されているためにそれは叶わない。
「アッ…やぁ…なに…ッ…あっ」
殺されると思っていた覚悟が一掃され、また、勝手に変な声が出てくる。後ろから涼に持ち上げられた体は、優羽の内部から蜜を溢れさせて、陸の舌に甘味を与えていた。
「ヒッ…っ…~っん」
なんとか耐えようと、両手で口を押さえてみるが、まったく効果がなかった。
断続的に、鼻から吐息がこぼれてくる。
甘く抜けるような女の鳴き声、ざらついた舌に吸い上げられるイヤらしい音。
「ッあ…ャッ…なんかへ…ンッ…ダメ」
肉厚のよい陸の舌が、優羽の中から全てを掻き出すようにねじ込まれては、抜けていく。時々、固くとがった小さな秘芽に引っかかる舌先が余計に悪い。
ざらついて、なめらかで、往復するたびに、腰が跳ねる。
「ヤメッ…や…変に…な…る」
陸も涼も何も言わない。
傍目には何も変わらない姿のはずが、陸の顔が埋まるその内部では明らかな変化が優羽に訪れていた。
往復される断続的な快感に、知らずと優羽の身体が小刻みに震え始める。
「アッ…あ…はぁ…っ…~~ふっ」
両手で口をおさえていても、もう隠せない吐息が何よりの証拠だった。
「ヤメッ…~~っ…イヤッ──ァアァァッア」
身体中が暴れて、のけぞろうとする。
下肢から駆け抜ける電流が、頭の中をチカチカと点滅させていた。
キモチイイ。
きっとどうすればその味を堪能できるのか、神は知っているのだろう。ドクドクと体の奥からあふれ出ていくような乙女の蜜を味わうように、陸の頭はその場所から微動だにしなかった。
「陸、終わりだ」
陸の代わりに、涙を浮かべた優羽の体がピクリと反応する。
「おい。俺は味見程度しか許した覚えはない」
ヒクヒクと体を痙攣させる優羽の足の間にある陸の頭を涼がはたく。小気味イイ音がしたが、ジュルジュルと愛液をすすりあげる音はやまなかった。
「はぁっ…~ッア…ッ…っん」
わけのわからない感覚に、優羽は酔いしれる。
自分の呼吸の音がやたら大きく聞こえ、何が起こったのか理解も出来ずに混乱していた。
「美味しい。なにこれ、本当に美味しいんだけど」
「ッあ…ぁ…はぁ…ッく」
「涼のが混ざってなかったらもっと最高。だけど仕方がないよね───」
どこかで「陸」の名前を怒ったように叫ぶ涼の声が聞こえる。けれどその意味を理解する前に、優羽の体は男たちに挟まれる形で突き上げられていた。
「───あはは、可愛い。奥まで突き上げられて感じちゃうんだ。変な声出てたよ。まだ苦しいのかな。ナカ、キツイもんね。だけど、逃がさないよ」
「おい、陸」
「もう、涼も怒らないでよ。一気に食べてほしいって言ったのは優羽なんだから」
涼が制止の怒声をあげているが、優羽は、一瞬にして狼から少年の姿に変わった陸に突き刺された事実を受け止められていなかった。
ただ、ただ、混乱していた。
圧迫感が内臓を押し上げて、股の間が悲鳴を上げて、繋がりを叫んでいる。無抵抗な状態で容赦なく最奥まで押し込まれたせいで、無意識のうちに身体が陸のモノを締めあげている。
「ほら、優羽も喜んでるでしょ?」
グイっと強制的に向けられたあごに、優羽の瞳は覗き込む二人の男を映した。
端正な顔立ちでも大人の落ち着きをもつ涼と、あどけなさが残る陸の違いに、胸がドキリとなる。
「一回でいいから、お腹いっぱい食べてみたかったんだよね」
「ヒッ!?」
思わず陸の肩をつかんでしまった。
「ヒッ…あっ~───…アァッ…」
男を知ったばかりの身体に、いきり立った張型は苦しさ以外の何物でもない。
抜いてくれるのかと錯覚したそれは、質量と重量を確認させるように、力のこもる身体の奥まで食べつくそうと深く差し込まれていく。初めはゆっくりと。そしてそれは徐々に獲物を楽しむ獣のように獰猛な気配の色が濃くなっていく。
「アッ…あ…っ…はぁ…はぁ」
異物の侵入を拒む内壁が、その異物によって犯されていく。曲がった足の間に埋まる陸の動きに優羽は顔をしかめながら答えていた。
涼の時とは、また違う。それでも確かな律動に、世界は揺れ動いていた。
「アッあ…ぅく…やっアアッァァ」
のけぞる体は陸の肩に爪痕を残し、涼に唇を奪われる。その間も宙に浮いた状態で抵抗も出来ない体は、重力に従うように陸の上に何度も何度もたたきつけられていた。
「涼ばっかりずるい。僕にもちょうだい」
「~~っん」
酸素が陸に奪われる。
ふわふわの柔らかい髪からは想像ができないたくましさに、背筋をピンと張らせながら、優羽の蜜壺は激しい伸縮を繰り返す。
ドクドクと、内側からとめどなく愛液が溢れだしていくのを感じていた。
「優羽って、可愛いね」
「ッ…アァァァ…っ…ぃゃ…アッ?!」
「なに、ここ、気持ちイイの?」
陸が探り当てるように角度を変えて腰を打ちつければ、優羽の反応も素直に変わる。
「まだ、よくわかってないの?」
「ヒッ…やぁ…ッアァァそこ…ヤッめ…っ…やだぁ」
「なんで?」
「へっ変な声…でちゃ…ッ…アッ!?」
陸が集中的に責め始めたせいで、優羽の視界にチカチカと星がまたたいた。こみ上げてくる強烈な快楽に、なにもかもが押さえきれない。
制御しきれない波にもまれながら、優羽は陸にしがみつくしかなかった。
「ヤメッあ…あぁ…ッひ」
「僕の名前、ちゃんと覚えてる?」
耳元でささやかれる甘い強制に、体の芯がうずく。
「ほら、呼んでみて?」
助けてあげるかもしれないよ。
気まぐれで可愛い姿に忘れそうになる。
今のすべてを支配する権利をもっているのは自分ではないことはわかっている。
わかっていても、本能の抵抗が優羽に現実の受け入れを拒否させる。
「僕の名前、忘れちゃった?」
その銀色の瞳は何もかも見透かしたように優羽に微笑んでいた。
まるで体の中心を通る大事な骨を引き抜かれたようなだるさが優羽を襲っていた。
原因は何かわからない。何か忘れてはいけない特別なことが起こったような気もするが、ふわふわと素肌に絡み付く柔らかな感触が心地よくて、優羽は眠りから覚められずにいた。
「……っん…」
うっすらと開けた瞳の中に、白い毛並みがうつる。ふさふさと時々上下にゆっくりと揺れているが、包み込んでくれる気持ちよさに意識の目覚めはやってこない。
「…あったか…い……」
すりよるついでにホホを寄せれば、その白い毛並が優しくふわりと動いた。優羽を抱きしめるように向きを変えたその"毛"は、どこからかザラついた舌を出してぺろぺろと全身を舐めあげてくる。
くすぐったい。
くすくすと力なく笑いながら優羽はその毛の感触を楽しんでいた。
「…ん…ッ…」
いたわるような優しい舌先に、体に感じる心地よさが増す。
そういえば、自分は肉食獣に食べられてしまったんだとぼんやりと思い出した。死を体験したことは今まで一度もないが、ふわふわと軽い眠りが心地いいのなら、これもありかもしれない。ただ、最後に生きた一日は、あまりにも衝撃的だった気がする。なんて濃厚な一日で、刺激的な出来事だったのだろう。イヌガミと呼ばれる太古の神様と出会い、そして連れられた森の奥の洞窟でその命は消えてしまった。
「あっ…っ~~ん」
さすが、天国とうたわれるだけあって気持ちいい迎え入れ方だと、優羽は起きない頭の片隅で、死んだ世界のことを考えていた。故郷で眠る皆が辿った道であれば、会うこともあるかもしれない。その前に、全身をくまなく愛撫される感覚に、心当たりが浮上してくる。涼という人間離れした美しさを持つ男から与えられた感覚に、似ている気がする。
ピクッと体が反応するのは、生きているころと変わらない。耳、まぶた、首から下にかけてどんどん降りてくるその柔らかく湿った感触に、もぞもぞと優羽の体が揺れ始めていた。
「…ッ…ン?」
少し変だと気付き始める。
「………ぅッ…ん…~っヤッ、ぁ」
気持ちよさが妙に現実味を帯び始めていた。
力の抜け切っていた身体が時間を経過するごとに、愛撫が深まるにつれて、硬直していく。首筋をなぞるように、乳輪に沿うように、上から下へと曲線通りに移動してくる感覚に、背筋が湧きたつ。
顔の表情が保っていられない。
胸の頂を舐める時間が、長いような気がする。ぴりぴりと微弱な電流が体を駆け抜け、優羽は知らずにその刺激を抱え込む。重力に従い、習い、上から降ってくる圧力に甘い吐息がこぼれる頃には、ふさふさの白い毛並みは消え、均整のとれた肉体の美しい男が優羽の胸をつかんでいた。
「ひぁッ?!」
つかまれた胸の尖端が視界から消えている。
どこに消えたのか、説明はいらない。軽く歯をたてられたおかげで、優羽は覚醒していた。そして、声にならない驚きに、息をのんで何度も強く瞬きをする。
「なっなんあななな……」
ここが天国にしては出来すぎている。
最後の記憶とまったく変化のない場所で再生した脳内の想像は、先を予想して、一気に優羽を現実へと導いた。
どうりで気持ちいいはずだと認識する。
「っ…アッ?!」
身体が敏感に反応し、神経が震えていく。
胸の先を口に含みながら水平に見上げてくる涼の視線が面白そうに歪んで見える。驚きすぎて、すぐに言葉が出てこなかった。たぶん間違いがなければ、優羽の顔は赤く色づいている。
大きな白銀の狼の尻尾に全裸でくるまれていた夢から涼に抱かれる現実に変わった状況。舐めるのを止めない舌先に感じて、声を出していた事実を受け止めきれずに、優羽は鼓動を不安定に動かしていた。
下半身の間を陣取る涼のモノに、知らずと意識が持っていかれる。
「やっと、起きたか」
そう言いながら顔を上げて唇を奪う涼の動きに、優羽はただ黙って固まっていた。
アレが夢じゃなければ、処女は唇を奪う彼に奪われたことになる。
「……涼?」
フッと、笑う姿はやはり涼だった。
「どうし…っ…て?」
理解できないと言う風に目をまたたかせる優羽を涼は不思議そうにジッと覗き込んでくる。その温かな涼の腕の中で、優羽は深い息を静かに吐き出して、生きていることを実感した。
「私、死んだんじゃ───」
「そんなに気持ちよかったか?」
「───え?」
どこか嬉しそうにノドを鳴らす涼の姿に、優羽はあっけにとられてジッと見つめ返す。何を聞かれているのか、質問の意味がいまいち理解できない。
「初めてイッた感想はどうだ?」
「えっ?」
感想を問われても答えられるはずがない。
「イク」とは何を指す言葉なのか。戸惑いを全身で表す優羽に、また涼はおかしそうにノドを鳴らした。
「男を知った感想はどうだ?」
わざとらしく言い直した涼に、質問の意図を理解した優羽は、音が出るほど全身を赤く染めた。
パクパクと声が言葉になっていない。
その様子に、涼が本格的に笑いだしたのだから、恥ずかしさはますます優羽を襲った。
「優羽。お前、可愛いな」
「ッ!?」
人間の姿で言うのは反則に近い。
その白銀の瞳に吸い込まれそうなほど、至近距離で口説く笑みに、優羽の心は居場所をなくしたように混乱していた。
もう、まともに顔をあげられなくなってしまった。
穴があったら入りたい。
この美麗な狼を見なくて済むのなら、どこだっていい。
「初めて満たされた」
「な…っ」
何がと聞き返したくても、それは不可能な話。
「ッ…ん」
後頭部を引き寄せられて重なった唇に、脳が甘いしびれをもたらしてくる。素肌に直接触れる男の肌は、知る前とは違って妙に吸いついてくるから不思議だった。
自分とは違う。どこか骨ばっていて筋肉質な体。それなのに同じ匂いがする。
まるでお互いの匂いが混ざり合ってひとつになってしまったみたいだった。
眠っているあいだ、夢見ていた匂いと同じそれは、どこか心地よくて、安心できて、すべてをゆだねることが出来る優しい匂いだった。
「あれからそう、時間はたっていない」
解放された唇が酸素を求めて浅く息を吸うと同時に、涼がずっと傍にいてくれたんだとわかる。随分と眠っていたような気がした。それなのに涼は「数刻」だという。
つまり、まだ夜なのだろう。
信じられないことに。
それだけ涼に心を許していたのかと、優羽は自分でも不可解な感情を受け入れる。それから、深く吐き出した空気と一緒に、食べられていない現実を知って、内心ホッと胸をなでおろした。
自分でも驚くほど、初めての乙女を奪った涼の存在が少し心強かった。
「おっじゃましまぁぁあ───」
真横から飛び出て来た生き物は、すぐに帰っていく。いや、正確には涼に蹴り飛ばされていた。
「───ひっどぉぉおぉい!!」
風を切る音と共に、唸り声が部屋に響く。その少し小柄で、どこか可愛い印象を与える狼には見覚えがあった。
「り、く?」
自然とその名前が口から出ていた。
記憶が確かであれば、広間で母性本能をくすぐってきた狼の名前は「陸」だったはずだ。潤んだ瞳と、ふわふわの白い毛並みと、幼さが残る若い狼。他にも似たような雰囲気の狼がいたらわからないが、優羽は確かめるように涼に視線を動かす。
正解だったらいいな、くらいの確認だったのに、そんなに不安そうな顔をしていただろうか。
「あってる」
どこかむすっとした顔で、涼は見上げてきた優羽の質問を肯定しながらも不安を取り除くように頭を撫でた。
それを陸がどう見たかはわからない。けれど、涼に蹴り飛ばされた陸は、仕返しとばかりに強行突破に出ることにしたようだった。
「キャアッ!?」
室内に突風が巻き上がる。その瞬間、優羽は白銀の狼の牙にかすめ取られる寸前で、涼に強く抱き寄せられた。陸が優羽を涼から奪おうとしたことが原因だが、そのままの勢いで真横を通り過ぎていった陸は力任せに止まると、くるりと振り返った。
その振り返る反動で、輪を描いて優羽と涼を尻尾が襲う。
「ちょっと、どうしてそうなるわけ?」
あまりにも一瞬の出来事過ぎて、優羽は涼の腕の中で茫然としていた。代弁した陸の台詞は、どちらかというと、こちらが問いたい。
なぜ、こんなことになったのか。
「僕は優羽を奪おうと思ったんだけど」
そのおかげで優羽は陸の尻尾に弾き飛ばされた勢いのまま転がり、涼に組み敷かれる形で止まっていた。
それに納得がいかない陸の不満の声がすぐ真横から聞こえてくる。
「陸、邪魔だ」
陸を見もせずに、真上に見える涼の顔が妖しく舌舐めずった。
思わず、優羽のノドがゴクリと鳴る。
「ねぇ、涼。ひとくちだけ」
「あっちにいけ」
「ちょっとだけ。ねっ?」
「陸、うるさい」
バシッと再び陸が飛んで行ったのは気のせいじゃない。
何度も挑んでくる陸も陸だが、それを毎回蹴散らす涼も涼だと思った。
「ヤダ!大体、僕が一番だっていってたじゃん!ひどいよ!涼のバカ!」
いっこうに懲りることを知らないらしい。
きっと涼もしつこいと思ったのだろう。今度は優羽との間からねだるように覗き込んできた陸に対して、ついに涼は人型から狼の姿へと戻ってしまった。
騒がしいどころの騒がしさではない。
二匹の巨大な狼同士の対決は、牙と爪のぶつかり合いといっても過言ではないだけに、裸の優羽は風圧で部屋の壁まで吹き飛ばされていた。結局、涼も陸も折れるということを知らないのだろう。
「あ…あの…っ!」
意を決して声をかけることにした優羽の小さな声が暴風の中を流れていく。
ぴたりと、喧騒がやんだ。
「私を食べることについて喧嘩、してるんですよね?」
こういった場合、食べ物である自分が提案していいのかわからないが、聞く構えを見せた二匹の狼に優羽は告げる。
「それなら、私ひとりじゃおなかいっぱいにならないと思いますけど、仲良くわけあってみたらどうでしょうか?」
「………」
「………」
つかの間の沈黙が耳に痛い。
涼と陸の二匹になんとも言えない目で見つめられるが、優羽も実際のところかなり複雑な心境だった。
どうして最後になるかもしれないこの時になって、見ず知らずの…それも狼の仲裁を買ってでているのだろうか…あきれを通り越して、ため息さえ出てこない。
「イイって言ってるんだからいいじゃん」
軽いノリで、陸が仲直りの交渉をした。
「少しだけな」
「涼のケチ」
どうやら解決したらしい。
また人間に戻った涼は不機嫌きわまりない顔をしていたが、優羽が了承したのだからと陸になだめられて渋々納得したようだった。
「ねぇ、名前なんていうの?」
「えっ?」
可愛い狼はやはり母性本能をくすぐる瞳で優羽の顔を見上げてくる。
思わず彼の頭を撫でそうになってしまった。そして慌てて優羽は思いとどまる。いくら無事にここまで来たとはいえ、これから先はもちろん命の保証はないだろう。
自分は食べられるためにここにいる。
それを忘れてはいけない。
「優羽、です」
変な狼たちだ。
仮にも今から胃袋におさまる食物の名前を聞くなんて。情がわいたりしないのだろうか。
「そっか、優羽って言うんだ。僕は陸。じゃあ、優羽。どこから食べられたい?」
このキラキラした瞳をみる限り、いらない世話だったようだ。
そもそも聞いておいて、本当にその通りに食べてくれるのかと逆に問いたい。生き延びた命もついにここまでかと、ジロジロ見つめてくる陸の視線に耐えきれずに、優羽は強く目をつぶった。
「その通りにしてあげるよ」
クスリと笑った陸に、涼の時とは違った緊張がはしる。深呼吸するはずの体は硬直し、ドキドキとうるさくなり始めた心臓を落ち着けるように、優羽は胸の前で両手を組む。
食べられることに恐怖を感じているはずなのに、それとはまた違った胸の鼓動を感じていた。
「い、痛いのはイヤです」
声が震える。
「お願いします。時間をかけないで一気に食べてください」
祈るように指を組んでしまったのは無意識の恐怖心からだろう。目を固く閉じたまま頭を垂れた優羽は、じっと静かにその時を待っていた。それなのに涼の時と同様、痛みがいっこうにやってこない。不思議に思って、思わず目を開ける。
「ッ?!」
まさか穴が開くほどジッと見つめられているとは思っていなかった。その無垢な銀色の瞳に映る自分を眺めていると、なんだか変な気持ちが沸き起こってくる。どこからどうみても陸は狼なのに、どこからどうみても可愛い少年にしか見えなかった。
「たっ食べるなら、ひと思いにやってもらいたいんですけどっ!」
焦った優羽の声がしどろもどろに陸の瞳に呼び掛けた。
何が悲しくて、死ぬ前に食べられる方法を希望しなければならないのだろう。見る限りでは、陸も涼と申し分ないほど素晴らしい鋭利さを持った牙と爪がある。先はとがり、八つ裂きにされれば、一瞬で死ねそうだった。
痛いのは嫌だ。
時間を伸ばされれば伸ばされるほど、恐怖だって増してくる。
「優羽って、見かけによらず大胆なんだね」
静かに吐き出された陸の感想に、優羽の肩がピクリと揺れる。
彼らからこの哀れな姿がどう見えているのかはわからない。羞恥にも恐怖にも耐えながら懇願する非力さに、神は人間を救おうとするのだろうか。
感心したようにつぶやかれても、誰だって殺されるのならいっきにやってもらう方がイイと思う。無駄に怖い想いをするくらいなら、死んだかどうかもわからないくらい瞬間的に、この命を奪ってほしい。
「見かけとか…っ…関係ないと思いますけど」
少しむすっとした優羽の声が陸に向けられる。そして口走ったことに気づいたのか、優羽は慌てて頭を下げた。
「すっすみません」
こんなときなのに、つい反論の言葉を吐いてしまった。
焦った優羽の心境を無視するように、途端、陸はブハッと噴出す。
「あははは、優羽って面白いね。うん、見かけ関係ない。大胆さは見かけじゃないよね」
「ッ?!」
片目を閉じながら笑うその顔に、なぜか顔が熱くなる。
赤面しながら唇を結んだ優羽の姿に、まだ狼の姿の陸はニヤリと笑った。
「でも残念。涼に少しだけって言われちゃったし、味見しかできないや。ねぇねぇ、涼。優羽の足持ってて」
「はっ、えっ、な……な、にッぁ」
素直に陸の言うことを聞いた涼にも驚いたが、何より一糸まとわぬ姿で後ろから足を大きく開脚させられたことに驚かざるを得ない。
眠る前に涼が貫いた場所。
数刻前に犯されたばかりの可憐な秘部が、陸の前に差し出された。
「いっただっきまぁす」
「ヒァッ?!」
それこそひと思いにかぶりついてきた陸の舌が、遠慮も知らずに割れ目をなぞる。
突然の感覚に、優羽の身体は自然と閉じようとした。しかし、涼に足が固定されているためにそれは叶わない。
「アッ…やぁ…なに…ッ…あっ」
殺されると思っていた覚悟が一掃され、また、勝手に変な声が出てくる。後ろから涼に持ち上げられた体は、優羽の内部から蜜を溢れさせて、陸の舌に甘味を与えていた。
「ヒッ…っ…~っん」
なんとか耐えようと、両手で口を押さえてみるが、まったく効果がなかった。
断続的に、鼻から吐息がこぼれてくる。
甘く抜けるような女の鳴き声、ざらついた舌に吸い上げられるイヤらしい音。
「ッあ…ャッ…なんかへ…ンッ…ダメ」
肉厚のよい陸の舌が、優羽の中から全てを掻き出すようにねじ込まれては、抜けていく。時々、固くとがった小さな秘芽に引っかかる舌先が余計に悪い。
ざらついて、なめらかで、往復するたびに、腰が跳ねる。
「ヤメッ…や…変に…な…る」
陸も涼も何も言わない。
傍目には何も変わらない姿のはずが、陸の顔が埋まるその内部では明らかな変化が優羽に訪れていた。
往復される断続的な快感に、知らずと優羽の身体が小刻みに震え始める。
「アッ…あ…はぁ…っ…~~ふっ」
両手で口をおさえていても、もう隠せない吐息が何よりの証拠だった。
「ヤメッ…~~っ…イヤッ──ァアァァッア」
身体中が暴れて、のけぞろうとする。
下肢から駆け抜ける電流が、頭の中をチカチカと点滅させていた。
キモチイイ。
きっとどうすればその味を堪能できるのか、神は知っているのだろう。ドクドクと体の奥からあふれ出ていくような乙女の蜜を味わうように、陸の頭はその場所から微動だにしなかった。
「陸、終わりだ」
陸の代わりに、涙を浮かべた優羽の体がピクリと反応する。
「おい。俺は味見程度しか許した覚えはない」
ヒクヒクと体を痙攣させる優羽の足の間にある陸の頭を涼がはたく。小気味イイ音がしたが、ジュルジュルと愛液をすすりあげる音はやまなかった。
「はぁっ…~ッア…ッ…っん」
わけのわからない感覚に、優羽は酔いしれる。
自分の呼吸の音がやたら大きく聞こえ、何が起こったのか理解も出来ずに混乱していた。
「美味しい。なにこれ、本当に美味しいんだけど」
「ッあ…ぁ…はぁ…ッく」
「涼のが混ざってなかったらもっと最高。だけど仕方がないよね───」
どこかで「陸」の名前を怒ったように叫ぶ涼の声が聞こえる。けれどその意味を理解する前に、優羽の体は男たちに挟まれる形で突き上げられていた。
「───あはは、可愛い。奥まで突き上げられて感じちゃうんだ。変な声出てたよ。まだ苦しいのかな。ナカ、キツイもんね。だけど、逃がさないよ」
「おい、陸」
「もう、涼も怒らないでよ。一気に食べてほしいって言ったのは優羽なんだから」
涼が制止の怒声をあげているが、優羽は、一瞬にして狼から少年の姿に変わった陸に突き刺された事実を受け止められていなかった。
ただ、ただ、混乱していた。
圧迫感が内臓を押し上げて、股の間が悲鳴を上げて、繋がりを叫んでいる。無抵抗な状態で容赦なく最奥まで押し込まれたせいで、無意識のうちに身体が陸のモノを締めあげている。
「ほら、優羽も喜んでるでしょ?」
グイっと強制的に向けられたあごに、優羽の瞳は覗き込む二人の男を映した。
端正な顔立ちでも大人の落ち着きをもつ涼と、あどけなさが残る陸の違いに、胸がドキリとなる。
「一回でいいから、お腹いっぱい食べてみたかったんだよね」
「ヒッ!?」
思わず陸の肩をつかんでしまった。
「ヒッ…あっ~───…アァッ…」
男を知ったばかりの身体に、いきり立った張型は苦しさ以外の何物でもない。
抜いてくれるのかと錯覚したそれは、質量と重量を確認させるように、力のこもる身体の奥まで食べつくそうと深く差し込まれていく。初めはゆっくりと。そしてそれは徐々に獲物を楽しむ獣のように獰猛な気配の色が濃くなっていく。
「アッ…あ…っ…はぁ…はぁ」
異物の侵入を拒む内壁が、その異物によって犯されていく。曲がった足の間に埋まる陸の動きに優羽は顔をしかめながら答えていた。
涼の時とは、また違う。それでも確かな律動に、世界は揺れ動いていた。
「アッあ…ぅく…やっアアッァァ」
のけぞる体は陸の肩に爪痕を残し、涼に唇を奪われる。その間も宙に浮いた状態で抵抗も出来ない体は、重力に従うように陸の上に何度も何度もたたきつけられていた。
「涼ばっかりずるい。僕にもちょうだい」
「~~っん」
酸素が陸に奪われる。
ふわふわの柔らかい髪からは想像ができないたくましさに、背筋をピンと張らせながら、優羽の蜜壺は激しい伸縮を繰り返す。
ドクドクと、内側からとめどなく愛液が溢れだしていくのを感じていた。
「優羽って、可愛いね」
「ッ…アァァァ…っ…ぃゃ…アッ?!」
「なに、ここ、気持ちイイの?」
陸が探り当てるように角度を変えて腰を打ちつければ、優羽の反応も素直に変わる。
「まだ、よくわかってないの?」
「ヒッ…やぁ…ッアァァそこ…ヤッめ…っ…やだぁ」
「なんで?」
「へっ変な声…でちゃ…ッ…アッ!?」
陸が集中的に責め始めたせいで、優羽の視界にチカチカと星がまたたいた。こみ上げてくる強烈な快楽に、なにもかもが押さえきれない。
制御しきれない波にもまれながら、優羽は陸にしがみつくしかなかった。
「ヤメッあ…あぁ…ッひ」
「僕の名前、ちゃんと覚えてる?」
耳元でささやかれる甘い強制に、体の芯がうずく。
「ほら、呼んでみて?」
助けてあげるかもしれないよ。
気まぐれで可愛い姿に忘れそうになる。
今のすべてを支配する権利をもっているのは自分ではないことはわかっている。
わかっていても、本能の抵抗が優羽に現実の受け入れを拒否させる。
「僕の名前、忘れちゃった?」
その銀色の瞳は何もかも見透かしたように優羽に微笑んでいた。
10
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