日本と皇國の幻争正統記

坐久靈二

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第一章の登場人物・用語集

用語集

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⦿しんせいだいにっぽんこうこく

 西暦二〇二〇年九月八日、空に顕現し突如太平洋上にごうりんした面積十倍の日本列島及びその国家。
 通称には略して皇國と呼ばれる。(第一話『ごうりん』)

 離れた場所に巨大要塞を転移させる・全世界の上空に映像を投影する・極超音速の機体から発生する衝撃波やレーダー反射などの波動を完全に相殺して影響力を排除するなどといった、この世界の科学力を遥かに凌駕した文明力を誇る。
 また、しんと呼ばれる超常の神秘エネルギーを社会基盤とし、物理的制約を超越した技術や埒外の身体能力・特殊能力を身に付けた人間を軍事的に運用しており、前述の文明力と合わせて米中露を圧倒する強大な軍事力を備えている。(第三話『事態急変』)

 嘗てはこの世界の日本国と同じようにしん維新と呼ばれる王政復古を経験したが、敗戦に伴う革命によって国家を簒奪され、ヤシマ人民民主主義共和国の成立を許してしまっている。
 その後、国家を奪還した帝のこういんじんのうを名告り、しんせいだいにっぽんこうこくを新たに建国したという経緯を持つ。(第六話『親と子』)

 その影響で三種の神器が失われたことで社会基盤となるじんのうしんの安定継承に懸念が生じた為、様々な世界線を移動して所々で日本国を吸収しながら国家の転移を繰り返してきた。
 現在、日本国に現存している三種の神器を手に入れるべく虎視眈々と機会を窺っているが、事を急いで手に入れる筈だった神器の力を失った経験から政権は軍事力の行使に消極的である。
 但し、国内には様々な立場の精力がそれぞれの思惑を異にしており、今後どの勢力が実権を握るかによってその方針は大きく変わる可能性がある。(第二十七話『つぎ』)


⦿じんのう

 しんせいだいにっぽんこうこくに於ける天皇にあたる存在で、うることからは「偽りの帝」と呼ばれる。(第一話『轟臨』)
 世界七位に匹敵する面積の国土を丸ごと世界線を越えて転移させるほどの凄まじいしんを誇り、それを国家に「貸し出す」ことによってこうこくの圧倒的発展の礎を築いた。
 その継承を巡る懸念がこうこくの国策の大元となっている。(第二十七話『つぎ』)


⦿しん

 主にこうこくで使われる超常の力。
 しんとは神の模倣を意味し、自身の内面に神なるものを探求することで力を引き出す。
 探求の深さの段階によって、「驚異的な耐久力と生命力を獲得する」(第一段階)、「驚異的な身体能力や知覚能力を発揮する」(第二段階)、「自然現象を越えた特殊な超常能力を行使する」(第三段階)という風に発展していく。(第五話『視界消失』)

 また無機物にも宿るとされ、どうしんたいの様に人型を模したものを操縦し、特異な原理の兵器を運用することも出来る。(第九話『親愛なる残春』・第二十話『運命のふた』)


⦿じゅつしきしん

 しんの第三段階に達した者が行使する特殊な能力のこと。
 そうせんたいおおかみきばではこの能力に名前を付けているが、一般的にそのようなことはしない。(第五話『視界消失』・幕間四『正義の名の下に』)


⦿とうえいがん

 服用することでしんを身に付けることが出来る錠剤。
 薄めて飲むと体力を回復することも出来る。(第七話『どうしんたい』)

 効果の持続期間は二十八日間で、延長するには服用後十日後から二十日後の間に再服用しなければならない。
 早過ぎると健康に害が生じ、遅過ぎると却って効果が短くなる。
 また、一度効果が切れてしまった場合は再服用に中一日空けなければ六時間で効果が切れる。(第十四話『醜態』)


⦿どうしんたい

 こうこくで運用されているロボット兵器で、しんを用いて操縦が出来る他、操縦室「なおだま」さえ残っていればしんによって再生することも出来る。
 神為を利用した様々な兵装が備わっており、物によっては一発で集落を消滅出来る程の凄まじい破壊力を誇る。(第三話『事態急変』・第七話『どうしんたい』)

 その大きさによってちょうきゅういっきゅうきゅうさんきゅうしょうきゅうまっきゅうの分類が存在し、全高二十メートルを越えるものはちょうきゅう、二~五メートルのものはきゅうに分類される。(第十七話『奸計』)


⦿なおだま

 ちょうきゅうどうしんたいの操縦室。
 球形をしており、操縦席「あらみたまくら」と副操縦席「にぎみたまくら」が備わっている。
 損壊したどうしんたいしんを送り込むことで再生することが出来るが、このなおだまが破壊されてしまうとそれは叶わない。(第七話『どうしんたい』・第十五話『激突』)


⦿ちょうきゅうどうしんたい・ミロクサーヌ改

 こうこくで運用されているちょうきゅうどうしんたい・ミロクサーヌをおおかみきばかくし、独自の改造を施した機体。
 元々ミロクサーヌは高機動型の機体で、改造機は通常の機体よりも機動力を更に増している。(第七話『どうしんたい』)

 さきもりわたるが脱出の際に奪ったもので、土生はぶあきの駆るガルバケーヌ改と相打ちとなった。
 その後、おりりょうによってなおだまを破壊され、修復不可能となった。(第十五話『激突』)


⦿ちょうきゅうどうしんたい・ガルバケーヌ改

 こうこくで運用されているちょうきゅうどうしんたい・ガルバケーヌをおおかみきばかくし、独自の改造を施した機体。
 元々ガルバケーヌは重火装型の機体で、改造機は通常の機体よりも機動力を通常のミロクサーヌ並みに増している。(第七話『どうしんたい』・第十四話『醜態』)

 さきもりわたるを追い掛けるのに土生はぶあきが利用した機体で、交戦でミロクサーヌ改と相打ちになる形で撃墜された。(第十五話『激突』)


⦿ちょうきゅうどうしんたい・ミロクサーヌれいしき

 こうこくに於ける最新鋭の機体で、ミロクサーヌの機動力とガルバケーヌの火力の双方を上回る上位互換。
 帰国を控えたさきもりわたる達が待機する警察署を襲撃したが、うることによって破壊された。(第二十七話『つぎ』)


⦿じんかい

 日本国の秘密政治結社。
 こうこくと戦うことを目的としているとされ、うることの祖父と大きな関わりがあるらしい。
 すめらぎかなとも繋がっている。
 こうこく顕現の直前にさきもりわたるの高校を襲ったテロ組織は分派の「かいてん」であり、本流とは対立関係にある過激派。(第二話『閑話の談笑』)


⦿じんかいかいてん

 武装した過激派政治結社。
 じんかいから分派した異端集団で、しんの使い手を擁する。
 うることの身柄を確保しようとその高校を襲ったが、さきもりわたるの奮戦や仲間の猫面の裏切りもあって失敗。
 その一年後、壊滅した。(第二話『閑話の談笑』)


⦿そうせんたいおおかみきば

 こうこくの反政府テロ組織。
 何も知らない人間を拉致して強制的に活動に参加させる、訓練と称して死人が出るほどの虐待を加える、地方を乗っ取ってその地域の財産を収奪する、民家の集落をちょうきゅうどうしんたいで射撃して壊滅させるなどの悪行の数々を平然と行う凶悪犯罪集団。(第四話『理不尽』・第十三話『最高の譚詩曲を贈ろう』・第十四話『醜態』)

 かつしん維新政府から政権を奪取した国家「ヤシマ人民民主主義共和国」を前身としており、しゅりょうДデーことどうじょうふとしはその国家主席・どうじょうきみの孫。(第八話『剛腕』)

 社会から落後した様々な人材をスカウトしているが、何度かこうこくに戦いを挑む中で勢力は衰退している。
 そんな事情から強引なやり方で隊員を増やすことも行っており、わざわざ日本まで海を渡ってさきもりわたる達を拉致した。(幕間四『正義の名の下に』)


⦿はっしゅう

 そうせんたいおおかみきばの最高幹部。
 しゅりょうДデーことどうじょうふとしを含めて八人が名を連ねている。(幕間二『毒牙を研ぐ者達』)


⦿こうてんかん

 山奥に位置しているそうせんたいおおかみきばのアジトで、民宿に擬態されている。
 拉致されたさきもりわたる達は一箇月この場所で過ごした。
 おうぎことはたが管理していたが、わたる達が脱走する際に破壊した。(第五話『視界消失』・第十三話『最高の譚詩曲を贈ろう』)


⦿くも研究所

 そうせんたいおおかみきばの研究施設で、はっしゅうの一人であるじがむらもりが所長を務める。
 嘗ては国営の生命工学研究所だったが、機能を移管されてからはおおかみきばが乗っ取って非人道的な研究を行っている。
 双子の兄妹を拉致して何者かのクローンに体を入れ替える人体実験を行っていたが、さきもりわたる達を誘き出したことが徒となって検体を連れ去られた。(第十七話『奸計』・第二十話『運命のふた』)


⦿へらぶないくほう

 そうせんたいおおかみきばの活動内容を記した全十巻の冊子集。
 こうこくに於けるおおかみきばの歴史や戦い方について、彼ら目線から正当化した内容が記されている。(第五話『視界消失』)


⦿ヤシマ人民民主主義共和国

 こうこくが成立する以前、共産主義革命によって成立した国家。
 国家の理念を清貧に求めた結果として経済的に行き詰まり、民心の離反を招いてこうこくに国家を奪還された。
 その時の政府を現在では「ヤシマ政府」と呼ぶ。(第六話『親と子』)


⦿しん政府

 こうこくの世界線に於ける、維新によって成立した近代政府で、こうこくの前身。
 しんというのは、維新に伴う改元で採用された元号。
 世界大戦の敗戦から共産主義革命を呼び、ヤシマ政府に国家をさんだつされた。(第六話『親と子』)


⦿旧華族・新華族

 こうこくに現存する貴族。
 ヤシマ人民民主主義共和国以前、即ちしん政府時代からの華族を「旧華族」、現体制のこうこくで認定された華族を「新華族」と呼ぶ。
 前者の代表例がきのえ公爵家・たかつがい公爵家・たい侯爵家、後者の代表例がはた男爵家。(第十一話『約束』・第二十一話『狼と鴉』・第二十七話『つぎ』)


⦿こうどうしゅとう

 こうこくの極右政治団体で、軍部や新華族を中心に勢力を伸ばしている。
 また、背後にはきのえくろが影響力を及ぼしている。
 極端な愛国主義と神皇への崇拝が特徴。(第七話『為動機神体』・第二十七話『つぎ』)


⦿摂関家

 こうこくの公爵家の中でも特に強い権威を持ったきのえいちどうとおどう殿でんどうたかつがいの六家。
 別名「六摂家」とも呼ばれる。(第二十七話『つぎ』)


⦿軍閥・貴族閥・学閥

 こうこくの政界で権勢を争う三つの政治派閥。
 軍閥は軍隊の力を、貴族閥は新旧華族の権威を、学閥は学歴の繋がりを背景としている。
 それぞれは互いに完全に対立しているわけでも、また完全に別れているわけでもなく、複雑に連立と対立を繰り返しながら政界の主導権を争っている。
 現在では首相を務めるのうじようづきを輩出した軍閥が優勢で、前首相であるきのえくろを中心とした貴族閥が巻き返しを狙っている。(第二十七話『つぎ』)
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