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第一章
目撃
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(一)
行徳駅南口を降り、右手の商店街の路地を抜けてしばらく行くと、一見してそれと分かる、けばけばしい装いのホテルが見えてくる。周りはビルやマンションが建ち並び、その谷間には板塀を巡らせた民家や古びた木造アパートがひっそりと佇んでいる。
その人通りのない路地で、民家の門前に寝そべっていた猫が伸びをし、のっそりと腰を浮かせて移動を始めた。真向かいに建つホテルの入り口に背を向け、民家のじめじめとした裏庭へと歩いて行く。しのびやかな足音が近付いてきたのだ。
男と女の二人連れである。男は38歳、女は少女ような印象を受けるが、26歳。大手生保の支店長とセールスレディで、共に伴侶がある。待ちきれぬ思いがぴったりと体を寄せ合う二人の体から滲み出ているようだ。二人はホテルの門をくぐった。
二人が消えたホテルの前を、一人の営業マン風の男が、ぶ厚いカバンを肩から下げ、地図を片手に、住居表示をいちいち確認しながら歩いていく。しかし、よくよく見ると左手には小型カメラが握られている。男は二人の後をつけてきた探偵、石井真治である。
大手生保の千葉南支店は総勢15名のセールスレディを抱え、支店長、支店次長が管理職として彼女達を統括している。支店長はセールスの最前線に立ち、文字通り年中無休でセールスレディ達をサポートする。体力がなければ勤まらない職業である。
支店長がセールスレディと行動を共にするのは珍しいことではない。ここぞという時、たとえ小さな取引でも同行して頭を下げるのが一つの役割なのだ。石井の今回のターゲットはこの支店長で、依頼主はその夫人であった。
最初は仕事帰りを尾行したのだが、彼は毎日のようにセールスレディ達を連れて飲み歩くだけで、お開きになれば、一人タクシーで帰る。となれば日中が怪しいということになり、尾行は昼夜継続に変更された。一昨日、石井が有力視していた、見た目が派手なトップセールスの女性が支店長と同行したが、何ごとも起こらず、期待は見事に裏切られた。
今日の相手は、どちらかといえば目立たないタイプで大して期待はしていなかった。電車の中では上司と部下という接し方を崩さなかったが、駅を下りた途端、二人の態度に変化が見られ、そのままホテルへ直行となった次第である。石井は思わずほくそえんだ。
首尾は上々だった。二人がホテルに消える瞬間、後ろから来る石井に気付いてちらりと振り向いた。二人の顔はばっちりカメラに映っている。二人がホテルから出てくるまで待たなければならないかとうんざりしていたのだが、その必要はなさそうである。
ふと、喉がからからに渇いているのに気付いた。背広を脱いで丸めてカバンに押し込み、30メートル先のコンビニへ向かった。店内は閑散としているがセールスマンらしき若者が二人、雑誌を立ち読みしながら涼んでいる。
石井はすぐにでも水分を補給しようと思ったが、ワイシャツが汗で湿っているので、若者に混じってしばらく涼むことにした。雑誌を見る振りをしながら、何気なく例のホテルに視線を向けた。すると、ホテルから一人の女が出てきた。連れはいない。
女はサングラスをかけ、帽子を目深にかぶっている。スタイルは抜群でジーンズがその長い脚をぴったりと覆っている。白地のTシャツがゆさゆさと歩くたびに揺れる。重そうなバストだ。女が俯きながら急ぎ足でこちらに近付いてくる。
女は道の反対側を歩いてくる。大き目のサングラスで顔は良く分からないが、すっきりとした鼻梁から推察すれば、かなりの美人のようだ。その時、ふと、顎の黒子に気付いた。ガラス越しにじっと彼女の顔を覗きこんだ。
最初は他人の空似だろうと思った。しかしその黒子の位置は同じだし、顔の造作も幾分丸くなった印象を受けるが、思い出の人の面影と重なる。しかし、サングラスでその瞳が隠され、どうしても確信が持てない。彼女が目の前を通り過ぎていく。
初恋の少女の面影が蘇る。俯いた時の頼りなげな目元、視線をあげた時の涼しげな瞳。そのサングラスに隠された瞳が見たいと思った。石井はその後姿を見詰め、声を掛けたい衝動に駆られた。しかし、女はラブホテルから出てきたのだ。そんな訳にもいかない。
その初恋の相手を見初めたのは中学1年のことだった。石井はいつものように先生の声を遠くに聞きながら、ぼんやりと朝靄のかかる中庭を眺めていた。靄の彼方に黒い影がほんのりと現れた。石井の視線はまだ焦点も定まらずぼんやり宙を漂っていた。
ふと、石井は目を凝らした。見たこともない少女が朝靄の中から突然現れたのだ。石井の視線は釘付けになり、移動する少女の姿を追った。少女が目の前を通り過ぎる。教室の窓から見詰める石井など気付かぬ素振りで再び靄の中に消えていった。
後で知ったのだが、少女は東京から引っ越して来て、その日、一人で登校してきた。群馬の山の中に東京育ちの女が紛れ込んだ。それまで構内で人気のあった女達が急に色褪せ、田舎じみて見え、やはり東京もんは違うという印象を男達に与えた。
石井は同じ高校に進んだが、結局、彼女とは一言も話すことも出来ず、卒業後、ぷっつりと縁が途切れて、もう会うこともないと思っていた。しかし、石井の心には朝靄の中から現れた少女の姿が神秘的なベールをまとい焼き付けられていた。
石井は去り行く女の後姿を見詰めた。彼の思い出の女性は東京の短大を卒業して何年かの後、墨田区で社長婦人に納まったと風の便りに聞いた。石井は心のどこかで手の届かない存在となった彼女と再会することを願っていた。それが今日だったのだろうか。
遠ざかる後姿がしだいに小さくなり、角に消えた。果たして本当に彼女だったのだろうか。浮気?あの彼女が?いや、それより何故連れもなく一人だったのか?それに急ぎ足で何かに追われているような切羽詰った様子が気になった。
その日、喫茶店でレポートを仕上げるといつの間にかぐっすりと寝込んで、気が付くと午後4時を回っていた。おもむろに煙草に火をつけ、煙を肺に送り込む。ふと、先輩の実家が行徳だったことを思い出し、家に寄って線香を手向けようと思い立った。
石井は元警察官で、その先輩には在職中なにかと世話になった。先輩は二年前殉職したのだが、当時、石井はアル中で入院しており、葬儀に出席出来なかった。機会があれば線香を手向けたいと思っていたのである。
先輩のマンションは駅から歩いて5分、総武線の線路と平行に走る細い道沿いにあった。かつて農道であったと思われる道は、一杯飲み屋やスナックが軒を連ねてくねくねと続いていた。先輩である坂本警部と、かつて飲み歩いた道である。
あの頃、坂本警部はまだ離婚していなかった。奥さんは、二人の酔っ払いに顔をしかめながらも温かく迎えてくれたものだ。しかし、石井が奥多摩の駐在に左遷され、しばらくたって二人が離婚したと風の噂で聞いた。夫婦に何が起こったのか知るよしもない。
歩きながら、ふと、顔を上げた時、思いもよらぬ男の顔を見出した。榊原警部補である。榊原は背広を肩にかけ両腕を組みながら歩いてくる。石井は思わず立ちどまった。3メートルの距離になるまで、榊原は石井に気付かない。
榊原警部補は、かつて奥多摩の駐在所に訪ねてきたことがある。石井の関わった事件の再捜査をしていると言った。バーボンウイスキーを二本持って現れ、朝まだ付き合わされた。酔った勢いで何を喋ったのか、まるで覚えていない。
榊原が目の前に佇む男に気付き、視線をあげた。一瞬、その顔に驚きと喜びの表情を浮かべ、「おい、石井じゃないか。お前もこれから坂本の所にゆくところか。」
と言うと、つかつかと寄ってきて石井の肩をつかんだ。
「ええ、たまたま行徳に来たものですから。線香でもあげようと思って。」
「ワシもその帰りだ。実に奇遇だ。いや、坂本がワシ等を引き会わせてくれたんだろう。おい、線香をあげた後、用事はあるのか。」
「いえ、ありません。後は家に帰るだけです。」
「どうだ、一杯。ワシはこの店で待っている。ちょいと早いが、たまにはいいだろう。付き合え、いいだろう。」
そう言って目の前の居酒屋を指差した。
「ええ、かまいません。しばらく待っていてください。」
(二)
石井が店の入り口から顔を覗かせたのはそれから一時間もたってからだ。
「線香一本あげるのに随分と時間くったじゃないか。こっちはそろそろ出来上がりそうだ。あの婆さんにつかまったのか?」
榊原は苦笑いしながら石井のグラスにビールを注ぎ、二人はグラスを合わせた。
「ええ、ちょと驚きました。別れた奥さんの悪口を並びたてて、大変でした。」
「ああ、ワシも聞かされたよ。ワシは2時間、君が一時間。ワシの方が割を食った。恐らくワシが婆さんのガス抜きしたから、君は短くて済んだんだ。」
「あのマンションには、何度か泊まったことがありましたが、嫁姑の仲は悪くないと思っていましたけど。」
「見た目じゃ分からん。坂本も陰では苦労していたんだ。離婚、絶望、そして…。奴の気持ちがようやく分かった気がした。」
榊原は、しみじみと坂本警部のヤクザな顔を思い出していた。誰にもそれぞれ家庭の事情ってやつがある。憮然と宙を睨んでいた榊原が、ふと視線を戻し口を開いた。
「そういえば、お前、今、何をやっているんだ。」
「お恥ずかしい話ですが、探偵をやってます。」
「恥ずかしがることはない。探偵だって立派な職業だ。実入りも良さそうだし。何かあったら協力するぞ、何時でも言ってこい。」
「有難うございます。榊原さんからそのように言って頂くと本当に心強いです。ところで、その後、例の連中が逮捕されましたが、やはり榊原さんが関わったのですか。」
「ああ、関わった。君の証言のおかげだ、感謝している。」
「いえ、とんでもありません。実を言うと、榊原さんに何を喋ったかまったく覚えていないんです。でも、聞き上手の口車に乗せられたか、或いは酔いも手伝って、私も洗いざらい喋ったみたいですね。」
「何も覚えていないのか。」
「ええ、まったく。」
「まあ、それはそれでいい。さっぱり忘れろ。こっちは緘口令がひかれてるから何も喋れん。分かるだろ。俺の言う意味が。」
「ええ、分かります。よくあることでしょう。自分達に都合の悪いことは捜査上の秘密とか何とか。」
「そういうこった。」
榊原は順次、目、口、そして耳を両手で塞いで、泣き顔を作ってみせた。石井は吹き出しそうになるのをようやく堪えた。榊原が真顔に戻り、言った。
「それより、よく立ち直ったな、もう駄目じゃないかと思っていた。」
「ええ、兄貴に精神病院にぶち込まれまして、漸く社会復帰しました。」
「それじゃあ、あんまり酒は飲まんのか。」
「いいえ、そんなことはありません。普通に飲んでます。それより部署とか、お変わりありませんか?」
「ああ、部署は相変わらずだ。携帯番号もそのまま変わらん。警部補もそのまんま。それより飲もう。坂本を酒のつまみに飲もうじゃないか。」
「そうしましょう。あのカーボーイ野郎に乾杯しましょう。」
石井と榊原はその晩酔いつぶれた。坂本警部が一緒に飲んでいるような気がして、なかなか席を立てなかったのだ。
(三)
翌日、石井は二日酔いで事務所に出勤した。叔父が経営する探偵事務所は、四谷駅から歩いて2分、外堀通りを渡って路地に入ったところだ。1階は叔母の経営する美容院、2階が探偵事務所、三階は叔父夫婦の住居になっている。
叔父は所謂婿さんである。夫婦には子供がなく、石井を事務所の後継に据えるつもりなのだ。気の弱い叔父は養子という言葉を口に出せないでいるが、それを望んでいることは確かだ。そんな叔父を可愛いと思うとともに、心の底で尊敬もしていた。
叔父は、石井の今は亡き父の末弟で、厄介叔父として石井が小学生高学年になるまで家にいた。石井の9歳年上の兄が無難な人生経路を辿るのに対し、叔父は転職を繰り返し、最後に所謂天職を見出したようだ。それが探偵だった。
今では石井を含め職員3人、アルバイト3人を抱える事務所の経営者ではあるが、根っから探偵という職業が好きなようで今でも現役である。また笑ってしまうのだが、彼は探偵の仕事においても善をなすことを心掛けるという、まさに実直な心根の持ち主なのだ。
石井はこの探偵事務所に勤めて1年2ヶ月になる。それ以前、警視庁に勤めていたがしくじって、酒に溺れた。見かねた兄がアル中でぼろぼろになった弟を病院に押し込め、回復すると、叔父の経営する探偵事務所に勤めさせたのである。
「だいぶ飲んだようだな。まだ顔が赤いぞ。」
事務所に入って行くと、叔父の篠崎龍二が声を掛けて来た。昨夜、石井が警視庁の刑事と飲むと連絡すると、交際費を使えとさかんに勧める。石井はこれまで刑事時代の交友関係を避けてきたが、龍二はそれが不満だったようだ。警察の力は絶大だ。それを利用したいのだ。
「ええ、朝まで飲み明かしちゃいました。二日酔いです。」
「そうか、そいつは大変だったな。でも、たまにはいい。で、どうだった。」
何がどうだったと聞いているのか意味が分からなかったが、龍二の気に入りそうな答えが頭に浮かんだ。
「何でも言ってこい、協力するって言っていました。」
これを聞いて龍二は相好を崩すと、
「よし、その関係を大事にしろよ。幾ら金掛けてもいい。交際費使い放題、許す。」
と言い放った。これを聞いていた事務員の佐々木紀子が龍二を睨みつけて言う。
「所長。いい加減にしてくださいよ。経理を預かっている者としては聞き捨て出来ませんね。うちにそんな余裕があると思っているんですか。」
龍二が苦笑いして、ソファーに座り込んでテレビに見入る磯田薫に声をかけたのは話の矛先をかわすためだ。
「おい、磯田、もう9時を過ぎているぞ。いつまでテレビにかじり付いているんだ。もし、急にお客さんが入って来たらどうする?」
磯田と呼ばれた男は龍二の大学の後輩で48歳になるが独身である。龍二に言わせると「事務所に流れ着いて、そのまま居ついてしまった」のだそうだ。磯田は大学卒業後、放浪の人生を送っていたというが、詳しくは誰も知らない。
龍二と磯田は、大学時代空手部に所属しており、上下関係は厳しかったはずなのだが、人を食ったような磯田にかかっては、龍二も形無しの場面もしばしばである。それは互いに心を許しあった関係だからこその馴れ合いともいえる。
しかし、その磯田も石井に対してはどこか意固地になっていて頑な態度を崩さず、叔父と甥が仲良く喋っているのを、ちらちらと窺いながらも決して話に加わろうとはしない。石井も最初は気になったが、今ではそんな関係にも慣れてきた。
磯田はテレビのリモコンを握ったまま立ち上がり、まだワイドショウのニュースに見入っている。佐々木が呆れ顔で龍二に視線を送る。磯田がテレビのスイッチを切ると、ぼそっと言った。
「今、ニュースに映っていた男は2年前、この事務所に来たお客ですよ。」
龍二が叫んだ。
「何だって、何でそれを早く言わないんだ。そうと知っていたら俺だって見たかった。最初に言えよ、最初に。お前はいつだって肝心なことを言わないんだから。」
「いえ所長、見覚えはあったんですが、僕自身、テレビを消すちょっと前まで思い出せなかったんです。」
こう言いながら、磯田は書棚に歩み寄り、「ええと、あいつのレポートは確かこのへんだったかな」などと言いながら過去のファイルを探し始めた。龍二が磯田の背中に苛苛した様子で言葉を投げかける。
「おい、磯田、それより、その男は何をやらかしたんだ?」
「えっ、なんですか?」
磯田はファイルの背表紙をなぞりながら、
「このファイル棚、何とかならないかな。もうちょっと整理するとか、せめてナンバーを付けるとか」
とつぶやき、佐々木にいやみたらしく視線をる。佐々木は佐々木で、ふんと鼻を鳴らし、
「二度と見返すようなファイルじゃあるまいし」
とやり返す。
「現にこうして見返しているじゃないか。」
「事務所開設以来初めてじゃない。」
磯田は、三歳年下の行かず後家、佐々木に密かに思いを寄せている。しかし、その心情をこうした形でしか表現出来ないのだ。龍二は、自分の質問を無視している磯田に苛苛をつのらせている。石井がそれに気付き、にやりとして聞いた。
「磯田さん、その男は事件の主役ですか?それとも目撃者とか犯人の知人かなにかでインタビューを受けていたんですか?」
いつものように、磯田は一瞬間を置いてから口を開いた。
「まあ、良く分からんが、事件の主役みたいだったな。」
龍二が諦め顔で聞いた。
「だからー、一体全体どういう事件だったんだ。」
「殺人事件みたいでしたけど……考えごとしていましたし……」
磯田は口ごもるばかりで、埒が明かないと思ったのか、佐々木がテレビのリモコンのスイッチを押した。
「どっかのチャンネルでまたやっているかもしれないわ。」
画面が映し出された。次々とチャンネルを変える。その時、突然石井が叫んだ。
「あれっ、ちょっと待って、佐々木さん。チャンネルを前に戻して。」
佐々木は石井のいつになくきつい口調に驚いて、慌ててリモコンのスイッチをいくつか押した。
「そこそこ、その一つ前。」
そこに映し出された場面に、石井は釘付けになった。あのホテルが映っていた。昨日、ターゲットと女が入って行った行徳のホテル。ニュースの音声が伝えていた。
「殺されていたのは政治家秘書の浦辺一郎さん51歳。連れの女性は、14時30分頃、一人でホテルを出たとのこと。歳は三十歳前後。目深に帽子を被り、サングラスをかけ、白っぽいテーィシャツにジーンスという服装だったということです。目下のところ、警察はこの女性を重要参考人として行方を追っています。」
磯田が間延びした声で言った。
「そうそう、僕はこんなことをしている場合じゃなかったんだ。そんなことより、あのレポートを書き上げなくっちゃ。」
磯田は手に持ったファイルを棚に戻し、ぽかんと口を開いて石井を見詰める龍二と佐々木を置き去りにし、さっさと席に着いた。テレビにかじり付いているのを詰られた腹いせに、デマカセを言っただけなのだ。石井がぽつりと言った。
「僕は、この重要参考人の女性が、このラブホテルから出てくるのを目撃している。」
「えっ、今何て言った?」
ひときわ大きな声を上げたのは磯田で、振り向いたその顔には好奇心がべったりとへばりついていた。
行徳駅南口を降り、右手の商店街の路地を抜けてしばらく行くと、一見してそれと分かる、けばけばしい装いのホテルが見えてくる。周りはビルやマンションが建ち並び、その谷間には板塀を巡らせた民家や古びた木造アパートがひっそりと佇んでいる。
その人通りのない路地で、民家の門前に寝そべっていた猫が伸びをし、のっそりと腰を浮かせて移動を始めた。真向かいに建つホテルの入り口に背を向け、民家のじめじめとした裏庭へと歩いて行く。しのびやかな足音が近付いてきたのだ。
男と女の二人連れである。男は38歳、女は少女ような印象を受けるが、26歳。大手生保の支店長とセールスレディで、共に伴侶がある。待ちきれぬ思いがぴったりと体を寄せ合う二人の体から滲み出ているようだ。二人はホテルの門をくぐった。
二人が消えたホテルの前を、一人の営業マン風の男が、ぶ厚いカバンを肩から下げ、地図を片手に、住居表示をいちいち確認しながら歩いていく。しかし、よくよく見ると左手には小型カメラが握られている。男は二人の後をつけてきた探偵、石井真治である。
大手生保の千葉南支店は総勢15名のセールスレディを抱え、支店長、支店次長が管理職として彼女達を統括している。支店長はセールスの最前線に立ち、文字通り年中無休でセールスレディ達をサポートする。体力がなければ勤まらない職業である。
支店長がセールスレディと行動を共にするのは珍しいことではない。ここぞという時、たとえ小さな取引でも同行して頭を下げるのが一つの役割なのだ。石井の今回のターゲットはこの支店長で、依頼主はその夫人であった。
最初は仕事帰りを尾行したのだが、彼は毎日のようにセールスレディ達を連れて飲み歩くだけで、お開きになれば、一人タクシーで帰る。となれば日中が怪しいということになり、尾行は昼夜継続に変更された。一昨日、石井が有力視していた、見た目が派手なトップセールスの女性が支店長と同行したが、何ごとも起こらず、期待は見事に裏切られた。
今日の相手は、どちらかといえば目立たないタイプで大して期待はしていなかった。電車の中では上司と部下という接し方を崩さなかったが、駅を下りた途端、二人の態度に変化が見られ、そのままホテルへ直行となった次第である。石井は思わずほくそえんだ。
首尾は上々だった。二人がホテルに消える瞬間、後ろから来る石井に気付いてちらりと振り向いた。二人の顔はばっちりカメラに映っている。二人がホテルから出てくるまで待たなければならないかとうんざりしていたのだが、その必要はなさそうである。
ふと、喉がからからに渇いているのに気付いた。背広を脱いで丸めてカバンに押し込み、30メートル先のコンビニへ向かった。店内は閑散としているがセールスマンらしき若者が二人、雑誌を立ち読みしながら涼んでいる。
石井はすぐにでも水分を補給しようと思ったが、ワイシャツが汗で湿っているので、若者に混じってしばらく涼むことにした。雑誌を見る振りをしながら、何気なく例のホテルに視線を向けた。すると、ホテルから一人の女が出てきた。連れはいない。
女はサングラスをかけ、帽子を目深にかぶっている。スタイルは抜群でジーンズがその長い脚をぴったりと覆っている。白地のTシャツがゆさゆさと歩くたびに揺れる。重そうなバストだ。女が俯きながら急ぎ足でこちらに近付いてくる。
女は道の反対側を歩いてくる。大き目のサングラスで顔は良く分からないが、すっきりとした鼻梁から推察すれば、かなりの美人のようだ。その時、ふと、顎の黒子に気付いた。ガラス越しにじっと彼女の顔を覗きこんだ。
最初は他人の空似だろうと思った。しかしその黒子の位置は同じだし、顔の造作も幾分丸くなった印象を受けるが、思い出の人の面影と重なる。しかし、サングラスでその瞳が隠され、どうしても確信が持てない。彼女が目の前を通り過ぎていく。
初恋の少女の面影が蘇る。俯いた時の頼りなげな目元、視線をあげた時の涼しげな瞳。そのサングラスに隠された瞳が見たいと思った。石井はその後姿を見詰め、声を掛けたい衝動に駆られた。しかし、女はラブホテルから出てきたのだ。そんな訳にもいかない。
その初恋の相手を見初めたのは中学1年のことだった。石井はいつものように先生の声を遠くに聞きながら、ぼんやりと朝靄のかかる中庭を眺めていた。靄の彼方に黒い影がほんのりと現れた。石井の視線はまだ焦点も定まらずぼんやり宙を漂っていた。
ふと、石井は目を凝らした。見たこともない少女が朝靄の中から突然現れたのだ。石井の視線は釘付けになり、移動する少女の姿を追った。少女が目の前を通り過ぎる。教室の窓から見詰める石井など気付かぬ素振りで再び靄の中に消えていった。
後で知ったのだが、少女は東京から引っ越して来て、その日、一人で登校してきた。群馬の山の中に東京育ちの女が紛れ込んだ。それまで構内で人気のあった女達が急に色褪せ、田舎じみて見え、やはり東京もんは違うという印象を男達に与えた。
石井は同じ高校に進んだが、結局、彼女とは一言も話すことも出来ず、卒業後、ぷっつりと縁が途切れて、もう会うこともないと思っていた。しかし、石井の心には朝靄の中から現れた少女の姿が神秘的なベールをまとい焼き付けられていた。
石井は去り行く女の後姿を見詰めた。彼の思い出の女性は東京の短大を卒業して何年かの後、墨田区で社長婦人に納まったと風の便りに聞いた。石井は心のどこかで手の届かない存在となった彼女と再会することを願っていた。それが今日だったのだろうか。
遠ざかる後姿がしだいに小さくなり、角に消えた。果たして本当に彼女だったのだろうか。浮気?あの彼女が?いや、それより何故連れもなく一人だったのか?それに急ぎ足で何かに追われているような切羽詰った様子が気になった。
その日、喫茶店でレポートを仕上げるといつの間にかぐっすりと寝込んで、気が付くと午後4時を回っていた。おもむろに煙草に火をつけ、煙を肺に送り込む。ふと、先輩の実家が行徳だったことを思い出し、家に寄って線香を手向けようと思い立った。
石井は元警察官で、その先輩には在職中なにかと世話になった。先輩は二年前殉職したのだが、当時、石井はアル中で入院しており、葬儀に出席出来なかった。機会があれば線香を手向けたいと思っていたのである。
先輩のマンションは駅から歩いて5分、総武線の線路と平行に走る細い道沿いにあった。かつて農道であったと思われる道は、一杯飲み屋やスナックが軒を連ねてくねくねと続いていた。先輩である坂本警部と、かつて飲み歩いた道である。
あの頃、坂本警部はまだ離婚していなかった。奥さんは、二人の酔っ払いに顔をしかめながらも温かく迎えてくれたものだ。しかし、石井が奥多摩の駐在に左遷され、しばらくたって二人が離婚したと風の噂で聞いた。夫婦に何が起こったのか知るよしもない。
歩きながら、ふと、顔を上げた時、思いもよらぬ男の顔を見出した。榊原警部補である。榊原は背広を肩にかけ両腕を組みながら歩いてくる。石井は思わず立ちどまった。3メートルの距離になるまで、榊原は石井に気付かない。
榊原警部補は、かつて奥多摩の駐在所に訪ねてきたことがある。石井の関わった事件の再捜査をしていると言った。バーボンウイスキーを二本持って現れ、朝まだ付き合わされた。酔った勢いで何を喋ったのか、まるで覚えていない。
榊原が目の前に佇む男に気付き、視線をあげた。一瞬、その顔に驚きと喜びの表情を浮かべ、「おい、石井じゃないか。お前もこれから坂本の所にゆくところか。」
と言うと、つかつかと寄ってきて石井の肩をつかんだ。
「ええ、たまたま行徳に来たものですから。線香でもあげようと思って。」
「ワシもその帰りだ。実に奇遇だ。いや、坂本がワシ等を引き会わせてくれたんだろう。おい、線香をあげた後、用事はあるのか。」
「いえ、ありません。後は家に帰るだけです。」
「どうだ、一杯。ワシはこの店で待っている。ちょいと早いが、たまにはいいだろう。付き合え、いいだろう。」
そう言って目の前の居酒屋を指差した。
「ええ、かまいません。しばらく待っていてください。」
(二)
石井が店の入り口から顔を覗かせたのはそれから一時間もたってからだ。
「線香一本あげるのに随分と時間くったじゃないか。こっちはそろそろ出来上がりそうだ。あの婆さんにつかまったのか?」
榊原は苦笑いしながら石井のグラスにビールを注ぎ、二人はグラスを合わせた。
「ええ、ちょと驚きました。別れた奥さんの悪口を並びたてて、大変でした。」
「ああ、ワシも聞かされたよ。ワシは2時間、君が一時間。ワシの方が割を食った。恐らくワシが婆さんのガス抜きしたから、君は短くて済んだんだ。」
「あのマンションには、何度か泊まったことがありましたが、嫁姑の仲は悪くないと思っていましたけど。」
「見た目じゃ分からん。坂本も陰では苦労していたんだ。離婚、絶望、そして…。奴の気持ちがようやく分かった気がした。」
榊原は、しみじみと坂本警部のヤクザな顔を思い出していた。誰にもそれぞれ家庭の事情ってやつがある。憮然と宙を睨んでいた榊原が、ふと視線を戻し口を開いた。
「そういえば、お前、今、何をやっているんだ。」
「お恥ずかしい話ですが、探偵をやってます。」
「恥ずかしがることはない。探偵だって立派な職業だ。実入りも良さそうだし。何かあったら協力するぞ、何時でも言ってこい。」
「有難うございます。榊原さんからそのように言って頂くと本当に心強いです。ところで、その後、例の連中が逮捕されましたが、やはり榊原さんが関わったのですか。」
「ああ、関わった。君の証言のおかげだ、感謝している。」
「いえ、とんでもありません。実を言うと、榊原さんに何を喋ったかまったく覚えていないんです。でも、聞き上手の口車に乗せられたか、或いは酔いも手伝って、私も洗いざらい喋ったみたいですね。」
「何も覚えていないのか。」
「ええ、まったく。」
「まあ、それはそれでいい。さっぱり忘れろ。こっちは緘口令がひかれてるから何も喋れん。分かるだろ。俺の言う意味が。」
「ええ、分かります。よくあることでしょう。自分達に都合の悪いことは捜査上の秘密とか何とか。」
「そういうこった。」
榊原は順次、目、口、そして耳を両手で塞いで、泣き顔を作ってみせた。石井は吹き出しそうになるのをようやく堪えた。榊原が真顔に戻り、言った。
「それより、よく立ち直ったな、もう駄目じゃないかと思っていた。」
「ええ、兄貴に精神病院にぶち込まれまして、漸く社会復帰しました。」
「それじゃあ、あんまり酒は飲まんのか。」
「いいえ、そんなことはありません。普通に飲んでます。それより部署とか、お変わりありませんか?」
「ああ、部署は相変わらずだ。携帯番号もそのまま変わらん。警部補もそのまんま。それより飲もう。坂本を酒のつまみに飲もうじゃないか。」
「そうしましょう。あのカーボーイ野郎に乾杯しましょう。」
石井と榊原はその晩酔いつぶれた。坂本警部が一緒に飲んでいるような気がして、なかなか席を立てなかったのだ。
(三)
翌日、石井は二日酔いで事務所に出勤した。叔父が経営する探偵事務所は、四谷駅から歩いて2分、外堀通りを渡って路地に入ったところだ。1階は叔母の経営する美容院、2階が探偵事務所、三階は叔父夫婦の住居になっている。
叔父は所謂婿さんである。夫婦には子供がなく、石井を事務所の後継に据えるつもりなのだ。気の弱い叔父は養子という言葉を口に出せないでいるが、それを望んでいることは確かだ。そんな叔父を可愛いと思うとともに、心の底で尊敬もしていた。
叔父は、石井の今は亡き父の末弟で、厄介叔父として石井が小学生高学年になるまで家にいた。石井の9歳年上の兄が無難な人生経路を辿るのに対し、叔父は転職を繰り返し、最後に所謂天職を見出したようだ。それが探偵だった。
今では石井を含め職員3人、アルバイト3人を抱える事務所の経営者ではあるが、根っから探偵という職業が好きなようで今でも現役である。また笑ってしまうのだが、彼は探偵の仕事においても善をなすことを心掛けるという、まさに実直な心根の持ち主なのだ。
石井はこの探偵事務所に勤めて1年2ヶ月になる。それ以前、警視庁に勤めていたがしくじって、酒に溺れた。見かねた兄がアル中でぼろぼろになった弟を病院に押し込め、回復すると、叔父の経営する探偵事務所に勤めさせたのである。
「だいぶ飲んだようだな。まだ顔が赤いぞ。」
事務所に入って行くと、叔父の篠崎龍二が声を掛けて来た。昨夜、石井が警視庁の刑事と飲むと連絡すると、交際費を使えとさかんに勧める。石井はこれまで刑事時代の交友関係を避けてきたが、龍二はそれが不満だったようだ。警察の力は絶大だ。それを利用したいのだ。
「ええ、朝まで飲み明かしちゃいました。二日酔いです。」
「そうか、そいつは大変だったな。でも、たまにはいい。で、どうだった。」
何がどうだったと聞いているのか意味が分からなかったが、龍二の気に入りそうな答えが頭に浮かんだ。
「何でも言ってこい、協力するって言っていました。」
これを聞いて龍二は相好を崩すと、
「よし、その関係を大事にしろよ。幾ら金掛けてもいい。交際費使い放題、許す。」
と言い放った。これを聞いていた事務員の佐々木紀子が龍二を睨みつけて言う。
「所長。いい加減にしてくださいよ。経理を預かっている者としては聞き捨て出来ませんね。うちにそんな余裕があると思っているんですか。」
龍二が苦笑いして、ソファーに座り込んでテレビに見入る磯田薫に声をかけたのは話の矛先をかわすためだ。
「おい、磯田、もう9時を過ぎているぞ。いつまでテレビにかじり付いているんだ。もし、急にお客さんが入って来たらどうする?」
磯田と呼ばれた男は龍二の大学の後輩で48歳になるが独身である。龍二に言わせると「事務所に流れ着いて、そのまま居ついてしまった」のだそうだ。磯田は大学卒業後、放浪の人生を送っていたというが、詳しくは誰も知らない。
龍二と磯田は、大学時代空手部に所属しており、上下関係は厳しかったはずなのだが、人を食ったような磯田にかかっては、龍二も形無しの場面もしばしばである。それは互いに心を許しあった関係だからこその馴れ合いともいえる。
しかし、その磯田も石井に対してはどこか意固地になっていて頑な態度を崩さず、叔父と甥が仲良く喋っているのを、ちらちらと窺いながらも決して話に加わろうとはしない。石井も最初は気になったが、今ではそんな関係にも慣れてきた。
磯田はテレビのリモコンを握ったまま立ち上がり、まだワイドショウのニュースに見入っている。佐々木が呆れ顔で龍二に視線を送る。磯田がテレビのスイッチを切ると、ぼそっと言った。
「今、ニュースに映っていた男は2年前、この事務所に来たお客ですよ。」
龍二が叫んだ。
「何だって、何でそれを早く言わないんだ。そうと知っていたら俺だって見たかった。最初に言えよ、最初に。お前はいつだって肝心なことを言わないんだから。」
「いえ所長、見覚えはあったんですが、僕自身、テレビを消すちょっと前まで思い出せなかったんです。」
こう言いながら、磯田は書棚に歩み寄り、「ええと、あいつのレポートは確かこのへんだったかな」などと言いながら過去のファイルを探し始めた。龍二が磯田の背中に苛苛した様子で言葉を投げかける。
「おい、磯田、それより、その男は何をやらかしたんだ?」
「えっ、なんですか?」
磯田はファイルの背表紙をなぞりながら、
「このファイル棚、何とかならないかな。もうちょっと整理するとか、せめてナンバーを付けるとか」
とつぶやき、佐々木にいやみたらしく視線をる。佐々木は佐々木で、ふんと鼻を鳴らし、
「二度と見返すようなファイルじゃあるまいし」
とやり返す。
「現にこうして見返しているじゃないか。」
「事務所開設以来初めてじゃない。」
磯田は、三歳年下の行かず後家、佐々木に密かに思いを寄せている。しかし、その心情をこうした形でしか表現出来ないのだ。龍二は、自分の質問を無視している磯田に苛苛をつのらせている。石井がそれに気付き、にやりとして聞いた。
「磯田さん、その男は事件の主役ですか?それとも目撃者とか犯人の知人かなにかでインタビューを受けていたんですか?」
いつものように、磯田は一瞬間を置いてから口を開いた。
「まあ、良く分からんが、事件の主役みたいだったな。」
龍二が諦め顔で聞いた。
「だからー、一体全体どういう事件だったんだ。」
「殺人事件みたいでしたけど……考えごとしていましたし……」
磯田は口ごもるばかりで、埒が明かないと思ったのか、佐々木がテレビのリモコンのスイッチを押した。
「どっかのチャンネルでまたやっているかもしれないわ。」
画面が映し出された。次々とチャンネルを変える。その時、突然石井が叫んだ。
「あれっ、ちょっと待って、佐々木さん。チャンネルを前に戻して。」
佐々木は石井のいつになくきつい口調に驚いて、慌ててリモコンのスイッチをいくつか押した。
「そこそこ、その一つ前。」
そこに映し出された場面に、石井は釘付けになった。あのホテルが映っていた。昨日、ターゲットと女が入って行った行徳のホテル。ニュースの音声が伝えていた。
「殺されていたのは政治家秘書の浦辺一郎さん51歳。連れの女性は、14時30分頃、一人でホテルを出たとのこと。歳は三十歳前後。目深に帽子を被り、サングラスをかけ、白っぽいテーィシャツにジーンスという服装だったということです。目下のところ、警察はこの女性を重要参考人として行方を追っています。」
磯田が間延びした声で言った。
「そうそう、僕はこんなことをしている場合じゃなかったんだ。そんなことより、あのレポートを書き上げなくっちゃ。」
磯田は手に持ったファイルを棚に戻し、ぽかんと口を開いて石井を見詰める龍二と佐々木を置き去りにし、さっさと席に着いた。テレビにかじり付いているのを詰られた腹いせに、デマカセを言っただけなのだ。石井がぽつりと言った。
「僕は、この重要参考人の女性が、このラブホテルから出てくるのを目撃している。」
「えっ、今何て言った?」
ひときわ大きな声を上げたのは磯田で、振り向いたその顔には好奇心がべったりとへばりついていた。
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