不思議なお話・亡き友からのメッセージ

安藤 菊次郎

文字の大きさ
5 / 30
不思議なお話NO5

奥様は超能力者

しおりを挟む
 僕が女房の特異な能力に気づいたのは、暇つぶしに二人でトランプ遊びをしていた時のことです。神経衰弱にも飽き、僕はテーブルに並べた5枚のカードの中から1枚のカード、ジョーカーをどちらが多く引き当てられるかを競うゲームを思い立ちました。
 最初に挑んだのは僕です。自分は勘が鋭い方だと思っていましたから、多少自信があったのです。神経を集中させ、手をかざしたりしながら最初の一枚をめくります。ハズレ。女房が再びシャッフルして並べます。またしてもハズレ。結局、5回中1回しかジョーカーを当てられませんでした。勘が鋭いというのは僕の勘違いだったようです。
 今度は女房の番です。女房はじっと見入っています。なかなかカードをとろうとしません。ようやく一枚のカードに手を伸ばし、そして開くと、なんとジョーカーです。そして、次も次もジョーカーを引き当てました。僕はまだ、単なる偶然だと思っていました。そして何度もシャッフルしてカードをテーブルに並べました。すると残り2回とも引き当てたのです。
 僕は、女房がじっとカードを見据える姿を思い出し、何か見えるのかと尋ねますと、精神を集中しているとジョーカーだけが浮いて見えると言うのです。僕はゲームどころではなくなり、女房の特異な能力を更にテストすることにしました。
 その結果、11回までは言い当てましたが、それ以降は当たったりハズレたりで、確率は半分以下に落ちました。女房が疲れたというので、テストを終了しましたが、どうやら、精神を集中させるのは相当疲れるようです。つまり集中力が落ちると能力も落ちると言うことです。
  ここで、ちょっと話の腰を折るようですが、この不思議なお話を書くに当たって、僕の脳裏にある核心が芽生えていました。それは不思議な現象の謎を解く鍵は「極度の集中力もしくは妄執」ということです。そして女房の特異の能力の出所も集中力にあるということを覚えておいてください。また、妄執はその対象となる妄想に囚われることにより狂気じみた集中力を発揮することも確かなのです。すべての鍵は集中力にあるということです。 

 さて、話の続きをしましょう。次に僕が実験?したのは、競馬の予想です。僕はすぐさま競馬新聞を買ってきて、枠順と馬の名前を見せ、女房の脳裏に二つの数字が頭に浮かぶと、競馬新聞にそれを記入してゆくのです。その時、どれほど馬券を買ったかは覚えていませんが、馬券を握りしめテレビに見入ったことだけは覚えています。・・・結果はすべてハズレでした。
 その後、僕は超能力の本をかなり読みました。そして、20世紀最高の超能力者エドガー・ケイシーを知ることになります。このホームページに掲載しているある小説は、霊界がユングの謂う集合的無意識領域に存在するとした僕の意欲作ですが、この中でもこの超能力者の言葉を数多く引用しています。それは、この人物の言葉に真実を見いだしたからです。
 このエドガー・ケイシーの精神を集中させる方法が少し変わっています。静かな環境で横たわり、自己催眠と他者による催眠(多くは奥さんが施行)により、眠りに陥るのです。恐らく、これほど精神を集中させる方法はないと思います。
  何故このエドガー・ケイシーの話になったかと言いますと、実はケイシーの能力に目をつけ群がった人々がいたのですが、その人々が考えたのが、僕と同じ金儲けだったからです。
 難病に苦しむ人々を助けてきた眠れるケーシーに、株価の動きや儲け話の成否を語らせたのです。しまいには、油田開発会社も乗りだし、油田の採掘場所を探索させることまでしまた。誰しも考えることは同じというわけです。しかし、結果は僕の場合と同様すべてハズレでした。 
 どうも、この超能力はお金儲けには向いていないようです。女房の超能力も現実には何の役には立ちません。せいぜいトランプゲームにそれが生かされる程度でしょうが、お金を賭けていればその効果も発揮できないのですから、実利という点からみれば、何の役にも立たないということになります。
 また女房と同程度、或いはそれ以上の超能力者は街に掃いて捨てるほどいますし、更に能力のある方がいてもおかしくはないのです。
 エッセイ「インターネットの文化人類学的な意味」にも書いたとおり、それは誰もが持っていた能力なのですが、文明の発達とともに徐々に失われていったのです。しかし女性にはその残滓が残されているようです。

 さて、何もかも忘れてしまう皆さん、この程度の不思議はあってもおかしくないと認めたら如何でしょうか。超能力と称されるもののうち、その多くは皆さんもかつてはお持ちだったのですから。
 とはいえ、テレビで超能力者が驚くべき現象を引き起こすたびに「あれは、絶対、ヤラセよ」と言い張る女房を後目に、何を見ても聞いても、信じたくないものは絶対に信じないという人々の頑なさを思い知らされるのです。
  そうそう一つ忘れていました。女房の超能力を知って以来、僕は女房にジャンケンで勝てるようにななりました。カラクリはこうです。頭の中でパーを思い浮かべます。しかし出すのはグー。分かりますか?僕のこの高等テクニック?女房は必ず引っかかり、小首を傾げます。
 こうして、僕は、冬の憂鬱な仕事、寒い中、石油ファンヒーターの石油を補充するという仕事から解放されたのです。これも、女房の超能力の存在あってのことと感謝しています。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

真面目な女性教師が眼鏡を掛けて誘惑してきた

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
仲良くしていた女性達が俺にだけ見せてくれた最も可愛い瞬間のほっこり実話です

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

処理中です...