Murder Mystery VR ~SF電脳空間でミステリー体験? VRの世界へようこそ~

冴季栄瑠

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15.エレノア(1)

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 美女と並んで宇宙の星々を眺める。
 この経験は、まず間違いなく「ゲームをプレイして良かった思い出ベスト3」にランクインすることだろう。

「……綺麗ですね」
 整ったエレノアの横顔を見て、何がとも言わず、そう呟いた。

「ええ……本当に」
 エレノアの硬質の表情がわずかに緩み、問いかけに応えてくれる。

 早めに食事を済ませた彼女は、それからずっとここでゆっくりしていたらしい。
 こちらの動向についても聞かれて、正直に答えた。

「――それで食堂から戻って……早めに寝ようとしたら、変な時間に起きてしまいました。普段は不規則で、夜型なんですけどね」

「そうでしたか。私は、せっかくなのでゆっくりとこの世界に浸ってみたくて……この空間、いいですよね。こうしてひとりで外を眺めていると、まるで宇宙の海を漂っているみたい」

「そうですね――あ、もしかして、邪魔をしてしまったかな」

 そうセリフを付け足すと、

「あっ、別に責めているわけではないですよ? すみません、私、言葉が足りないとよく言われるんです」

 エレノアが焦った様子で、こちらを向く。
 当方も、特に内容のない軽いやりとりのつもりだったので、気にしないでという呈で笑う。

「大丈夫です、こちらこそ深い意味はなくて……気を遣わせて、ごめんなさい」

 とりとめのない会話を、訥々と続ける。
 子どもみたいに夜の探索をしてみようと部屋を出てきたが、怖くなっていたところだった、エレノアがいてくれてよかったという趣旨を伝えたら、彼女は安心したように微笑んだ。

「そう言ってくださり、ありがとうございます。あの……私、最初に会ったときも、愛想もなく失礼だったでしょう……? 私、極度の人見知りなんです」

「そうでしたか? 謝られるようなことはなかったと思うんですが」

 ブリーフィングルームで顔を合わせたときのことかな?
 記憶をたどると、たしかにあの時は、冷たい表情をしていたかな、と思い至る。取り付く島もなかったというか……緊張しているのかもと思っていたけれど。

「私、人間嫌いなんです。この性格を直したいと思ってゲームに参加したんですけど、なんだか最近、ますますおかしくて……更年期かしら」

 彼女の口から飛び出した単語に、思わず噴き出した。

「更年期って……! そんな年じゃないでしょう?」

「でもほら、腕を上げると痛いんですよ。四十肩っていう症状なのではないかと」

 案外、面白い女性だな。
 普通そんなこと自分から話すか? 会話の内容はどうあれ、初対面のときよりも彼女が心を開いてくれているのは察せられるが――。

 もしや、ロマンスタイム?
 このゲームに好感度を上げるシステムなんてあっただろうか?
 遠い昔、一斉を風靡したという伝説のノベルゲーム「鴨たちの夜」ばりのピンクなシナリオも搭載――いやいや、それは考えすぎ。期待しすぎだと、自分を諫める。

(冗談はさておき、もしかしたら――)

 思い当たる節はあった。こういったイベントに、意味のない会話なんてない。すべてに、意味がある。
 フラグっぽい何かが粉々に砕け散りゴミと化したとしたら、それは自分のカスみたいな言動が原因なのだ。

 だとすれば、差しさわりのない答えでスルーするのは間違い。攻めあるのみだ。

「あの――ちょっと肩を見せてもらっていいですか。誓っておかしなことはしないので」

「はい?」

 直球すぎた。いや、変なことを言っているというのは、自分でもわかってる。
 でもね、気になることがあってですね……。下心は、ないんですよ、ちょっとしか。いや全然。
 どう説明しようが、この流れはおかしいだろう。しかし今さら引っ込みはつかない。

 だんだんと鼻息が荒くなるのを抑えながら、平常心を保っているよう見せかける。正直に言ってだな。ゲームとはいえ、美人の体に触れちゃうんだぜ。そりゃ胸アツにならざるを得ない――いやいや、だからちょっと何を言ってるんだ、俺は。だいぶ俺もバグってるぞ。

「ライさんは、整体師さんかなにかなのですか?」
「そ、そう……限定的ですが、それに近いようなことをしている、とだけ言っておきます」

 じー……。
 エレノアの視線を感じる。
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