Murder Mystery VR ~SF電脳空間でミステリー体験? VRの世界へようこそ~

冴季栄瑠

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17.一日目・深夜 食堂(1)

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 夜中だったが、各々の部屋を回り、全員に声をかけて、黒須が殺されたことを告げた。
 その後、とおり一遍の現場検証に入ったが、先に見た以上の手がかりは見つけられなかった。

 死体をそのままにしておけないので、黒須の部屋のベッドに運び、部屋の扉はマーリンさんに頼んでロックをかけてもらう。
 事件について話し合うため、そのまま全員に食堂に残ってもらうことにした。

 プレイヤーたちは、短いスパンで起こった二件目の殺人をどう思ったか、一様に俯いて、気まずい沈黙が流れている。

 早速だが、今晩の各自の行動・アリバイを確認したい旨を告げた。

 まずはじめに、自分の行動について報告を済ませることにする。
「実は夜中に目が冴えてしまって……」
 夜中に船内を探索し、展望ラウンジでエレノアと過ごしていたことを告げると……。

「ライちゃん、またエレノアさんと一緒に行動してたの……?」

 こんな夜中になにやってんの?と、あーちゃんから怪しまれたが、別に後ろめたいことはしてないからね!?

「お会いしたのは偶然ですよ」
 取り乱しもせず、エレノアが淡々と答えた。その流れでエレノアも自分の行動について話し、ほぼこちらと同様の理由で展望ラウンジで過ごし、合流したあとも「ライさんと同じ」だとして説明を終えた。

 そして、俺のほうから、

・エレノアと少し話したあと、黒須の悲鳴が聞こえてきて、すぐに現場へ駆けつけたこと。

・廊下を移動する間は誰にも遭遇せず、被害者の部屋にも犯人の姿がなかったこと。

……などについても、併せて整理する。

 プレイヤーたちは、どう受け止めたか、首を傾げて考え込んでいた。
 これで、俺とエレノアの報告は終了。その後、順番に他のプレイヤーが、それぞれの行動を答えていく……。

「僕は部屋で寝てましたよ。睡眠はしっかりとるタチなんで、グッスリとね」
と、ヒカル。

「私も部屋からは出ていないわ」
 宇佐美も同様、部屋で待機。ただ眠りにつくことはせず、食堂の奥にあるアクティビティエリアの図書室から借りてきた本を読んでいたらしい。

「あたしは普通に寝てたよ。夜だもん」
と、あーちゃん。

「僕は部屋で寝ようとしたところで……なかなか寝付けなくて。でも物音とかは聞こえなかった。部屋の防音性能、意外と高いみたいだし」
 夢人は少しハイになっているのか、上擦った調子でまくしたてた。ピエロのような化粧のせいで、怯えているのか喜んでいるのか、判別がつかない。

 黒須の部屋に一番近いのが夢人だが、怪しい音は聞いていない、か……。
 隣室といっても、間に空き室を挟んでいるし、部屋と部屋の距離も離されているしな。

「他になにか変わったこと、感じたことはありませんでしたか?」

 夢人はまだ話していないことがありそうな雰囲気だったので、促すように尋ねた。

「じ、実はね、事件のちょっと前、寝入りばなに誰かが僕の部屋を訪れたんだ。呼び出しのブザー音を聞いて、目覚めはしたんだけど、モニターを見たら誰の姿も映ってなくて、誰なのか聞いても返事もないし……気味が悪いから、出なかったんだよ」

 来訪者があったって? しかもモニターに映っていないと。
 誰か夢人の部屋を訪ねた者はいるかと全員に視線を送ったが、皆、自分ではないと首を振った。
 怪しい訪問者。それは、犯人だと考えるのが筋だが……。

「出なかったというのは……扉を開けなかったわけですね?」

「うん。だって気持ち悪いし……今思えば、もし扉を開けていたら、殺されていたのは僕だったのかもしれないって……」

「そうですね。無防備に出ていかなくて正解だったと思います。中から扉を開けなければ、すり抜け能力でもない限り、襲うことはできないでしょうから……。
 その人物は、次に黒須さんの部屋に向かったのかな。だとすると、黒須さんはどうしてすんなり扉を開けてしまったんだろう……」

「体も大きいし、自信があったんじゃないかしら? 私の部屋には、誰も来なかったわよ。ずっと起きていたけれど」
 宇佐美が言った。

 自信があったから扉を開けた……それも一理あるかもしれないな。
 宇佐美の解析に同意を示す。この人はなかなかシンプルないい推理をする。さすがミステリーマニアだ。
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